採集履歴
“2003年 真の開幕” 編
03.03.23 (Sun) 晴れ Mt 「 〆て…新たな出発!できるだけ遠くへ、山へ行きたい」 |
昨日は、私の大学での生活に一応の節目をつける「卒業式」であった。 11年間に出逢った数え切れない程の先輩、後輩、同輩の皆様方、諸先生方には本当に迷惑をかけっぱなしで、そして助けて頂く事ばかりだった。 心の底から感謝の意を表したいと思う。 「長い間、お世話になりました。 本当にありがとうございました。」 博士論文の審査の件については、お陰様で合格を頂く事ができ、何とか無事に一仕事を終える事ができた…という感がある。 1〜2月の1日当りの平均睡眠時間を算出すると3時間30分に満たないわけであるから、とても長く(ある意味ではとても速い時間の流れを)感じた〆の月日となった。 卒業式〜謝恩会の後、後輩達は皆方々へ翌朝にまで及ぶであろう2次会、3次会へと出向いていった訳だが、私はそんな気分にはとてもなれず、一人静かに抜け出して、本日の日付に変わってから、ひたすら北へ、山を求めて車を飛ばしてきた。 本日目指すステージは、私が長きに渡りお付き合いさせて頂いた方(残念ながらつい数ヶ月前に他界してしまったが、千葉に移り住んでからの私のあらゆる勝負、〆の段階で、背中を押し、力と勇気をくれた忘れる事のできない女性である…)のお母さんが生まれ育った某町の山である。 遙か遠方ではあるが、これまでに幾度か訪れているし、余りにも色々な話を聞かせて頂いてきたので、不思議ととても良く知っているような土地である。 また理由は何であれ、この土地を神聖視している方々は先輩方(クワガタ採集の猛者の方々)にも数多い。 いずれにせよ、私が向かうべき癒しの場所は、大勢で盛り上がる為の場所ではなく、静かな故郷の大自然なのである。…そしてそれに呼応するかのように名乗りを上げてくれた同行者は、一人行脚を繰り返しながら、ずっと私を待っていてくれた相棒の弟であった☆ さて!色々な意味でリセットをかけた。 久しぶりに心おきなく行くべ! |
〜 まずは食べよう!〜
日が昇った…運良く快晴だ♪ 長々と北上して目指す山の麓までたどり着くと、だいぶ腹がすいてきた。
頂上付近は小型種が狙えるだけの標高があるので、一度登ってしまったら暫く食べ物を口にすることができない(…というか、店はおろか自販機さえもないのだ)。
そこで国道を逸れた所で適当なラーメン屋さんを発見し、ちょっくら立ち寄っていくことにした。
おぉ…だいぶ文明(!?)化がお進みだぞこりゃ。 置いてある雑誌、ポスターから何まで…(^-^;
真昼時の小さい店舗内にいる客は我々のみだった。 …にもかかわらず店の経営者であるおばちゃんは、ただ単にだべりに来ているだけと思われるおっさん(ただこのおっさん、ベタな事ばかり言ってる割になかなか面白い…)とのやりとりに夢中のようで、我々が注文した品の方はいつまでたっても出てこない。
心情的には一刻も早く頂上を目指したい為(不覚にも時折話に耳を傾けては失笑してしまいつつ)、やきもきしていた。
言わば、ここまでのペースを2人に持ってかれてる感じである…(^-^;
そんなこんなで30分経過…ようやく来ました!待ってたんだぜぃ、おばちゃん!
私は焼き肉丼(野菜・マヨネーズたっぷり♪)、相棒はカツ丼をあっと言う間にたいらげた。
相当腹を腹をすかせていたせいもあるが、これがね〜、うまかったのだ☆ 店を出る時には「いやぁ、うまかったです!」と感謝してしまう始末…。
退店の際にはおっさんから「おたくらどご行くの〜??」と話しかけられ足止めされた。
のっけからかなりの休憩…完全に持ってかれてしまった。
〜 着いた!〜
到着は14:00。 ここまで来るのは久しぶりだ。 …静かである。
ふと思い起こせば昨日の今頃は、ここから数百km離れた幕張メッセで赤シャツにスーツを着ていた・苦笑。
ついつい虫採りの事まで忘れて、のどかで、壮大な景色に浸ってしまう。
この感覚がたまらなく良い…。
逆光気味でちょっと暗めですが…雲も少なく晴れ渡っていました!
若いブナ・ミズナラが育つ急斜面に踏ん張って、眼下を見下ろします。
さて!美味しい空気をいっぱいに吸い込んだ所で、ちょっとだけブナの腐材を削ってみる事にした。
数分間、写真のような山の斜面を渡り歩いていると
すぐさま高山種の代表であるルリクワガタの産卵マークを発見した。
「ルリクワガタの産卵マーク (・)×2 」 分かりますか?? 左の小粒は幼虫のウ○チ☆
産卵マークは、生息圏へ足を踏み入れれば案外容易に、沢山発見できるのであるが、その範囲は限定されているため乱獲は避けたい所だ。
幼虫は材の表面付近に潜んでいる事が多いので、鉈でガンガン削らなくても、腐ったブナの表皮をはがしただけで観察する事ができる。
倒れかけた腐材にも登って探してみました…色んな所に付いてます。
樹皮下に潜んでいたルリクワガタの赤ちゃんです。 頭部は他の種の幼虫に比べ乳白色です。
更に、真ん中が少しだけ赤枯れしたブナの倒木も見受けられたので、鉈を使って一部折ってみると…
こんなブナの腐材がゴロゴロしております。
大好きなオニクワガタの幼虫が出てきた☆ (写真左下)
オニクワガタの♀は、かなり腐朽が進んだ多湿のブナ材に一気にたくさん産卵するため、幼虫は集団で発見される事が多い。
これまでに白枯、赤枯材、何れからも確認している。
今日は右手の上に乗る程の、この小さなブロック材ごと千葉へ持ち帰る事にした♪
→その後
※7/23追記:持帰り材から20mm弱のオニクワガタ♂が羽化。
〜 遊んだよぉ… 〜
そうこうしているうちに時間はあっと言う間に過ぎていき、17:30になった。
我に返れば相棒共々大分疲れ気味である…相棒は鼻水が止まらないようだ・笑
それほどまでに本日はこの山の空気に飲み込まれていたのである。
3月下旬とは言えど、山頂の黄昏時はとてつもなく寒い。 ぐんぐん気温が下がっていく…よって、非常に名残惜しいのだが我々は帰宅モードに入った。
最後に、ここへ到着時、相棒が撮影した幻想的な写真を1枚。
「横倒れになった木々と雪と光が作り出す、アーティスティックな風景を感じたので、写真に収めた。」…そうです。
〜 後記 〜
長年に渡る様々な節目と、新たなる出発の日を過ごした。
帰路に着く車内では「あぁ…終わったんだ」という事実を、ようやく実感することができた。
寂しさと同時に安心感、開放感に包まれたのである。
いずれにせよ、暫くの間 「仕事→研究室→仮眠→トレーニング→仕事…」と、 これを淡々と繰り返してきた私にとって、大変スケールの大きな気分転換となった。
大自然の癒しの効用というやつは確かな物であった…思い切って走って来てしまって本当に良かったと思う。
持ち帰りのオニクワガタの幼虫は、千葉で手厚く保育させて頂きます☆
このページは楽しい×2「採集記」なのだから、あまり感傷に浸らずに…そろそろ成虫の姿を掲載しておきたい所ですな!
「最後まで、前向きに生きるために」…つづく!
〜採集結果〜
オニクワ幼虫×1(持ち帰り)
ルリクワ幼虫×7
コクワちゃん幼虫多数