採集履歴

“2004年 初夏の昆虫採集” 編(1)



04.05.29
(Sat) 快晴 Hill 「早々に 夜の部開幕!」 
                                                                                                  

 ここの所、随分気温が上がっている。
今週一週間の日中の最高気温は、ほぼ25℃を上回っていた。
6月目前とは言え、まだ5月である…。
考えてみれば、昨年7月に、25℃を上回った日がいったい幾日あった事だろう…???
現段階でこの状況なら
今年はムシ採り屋にとって、絶好の夏を過ごす事ができそうな、そんな予感がする♪
安易な考えかな…(^-^;

そんな訳で今週末は、採集に対するボルテージがグングンと沸き上がっている。

起床して、豪快にカーテンを開けてみると、とても眩しい陽の光りが差し込んできた。
う〜む、暑くなりそうだ!
本日は久しぶりに夏を満喫できそうである。

朝トレと朝食をさっさと済ませ、意気揚々と相棒と共に実家を出発した。…11:11。


〜 水辺を散策 〜


 採集目標のムシは特に設定していない。
強いて目標をたてるとするなら
「時間はたっぷりあるので、あらゆるムシを探しまわって楽しもう!」
そんな所である☆

では、どこへ行こうか??
ブラブラと流しながら
先ずは昨夏に幾度も世話になった強烈な灯下ポイント「Sきょく」へ立ち寄ってみる事にした。

まだ昼間ではあったが、今週、特に昨夜の暑さで、どれだけのムシが飛来しているのか
何となく知りたくなったのである。
アスファルト上に残されているムシの残骸の量を確認できれば、だいたいの見当がつく。

どれどれ、ふ〜む…

どうやら、さすがにちょっと早かった様だ…何にも落ちてなかった…(^-^;
カラスの食痕でも見付けられれば、それだけでも感動物だったのだが。。。
今晩、機会があればもう一辺来てみよう。


 Sきょくを後にし、お次は付近の水辺をまわる事にした。
陽のある内は、久々に中〜大型のゲンゴロウ探しでもやってみよう!

今年の春に、ようやく学習した事だが
田んぼ、及びその周囲の水路に生息する水棲昆虫達は
ゴールデンウィークの田植えの時期を境に、一気に減少する様だ。
これは、付近の河川から、田んぼへ勢いよく水を引く事によって
昨年から築き上げられてきた、水辺の環境に、いったんリセットがかかってしまうためだ。

よってその様な影響がない水溜まりを、キョロキョロ探しながら歩を進めて行く事にした…

すると、おっ!
幸先良く、いい感じの水溜まりを発見!


感じのいい水溜まりを発見しました♪

相変わらずデンジャーな看板は付き物です。。。


流れが殆どなく、かといってそれ程水は汚くない。
ゲンゴロウも充分生息できそうな感じである。

ただし、網で簡単にすくえる様な規模の水溜まりではないので
とっておきのアイテム、イカの干物を放り込んでみた。

大食漢のゲンゴロウがここに棲んでいるなら、直ぐにもワラワラと群がってくるはずである…

しかし、暫く待てど、な〜んにも寄り付いてこない…
またもや空振りであった様だ…残念。。。

仕方なく付近の様子を観察しながら、ここを引き上げようとしているいと
ふと田んぼの水路で日向ぼっこをしている
シマヘビ(?)を2頭ほど発見した。

結構でかかったので、意味もなく追い回して網ですくってみた・笑
勿論即リリース…(^-^;


ヘビを追い回す私…

ほらほら、でかいでしょ!? 以上…リリースします。


それにしても、今日は相当な暑さになりそうだ。
このあたりから、突如汗がブワ〜っと噴き出してきた!
いい感じである♪



〜 OBポイント 〜


 水辺の散策の途中で
これまでに何頭もの大型コクワちゃん、それから大型ス〜ジ〜を輩出している
「OBポイント」のクヌギにも立ち寄った。

ここも、様子見である。
樹液の量はまだわずかだったが
根元付近の洞の中には、しっかりとやや大型のコクワちゃん(♂)が入っていた。
43mm程だろう…。

しかし、上方の洞、覗いてみたいなぁ…オオクワも入っていそうな、そんな見事なクヌギである。
今年もお世話になりまっせぇ〜!


洞を凝視する相棒です…

上方にも沢山のムシが付きます。

当然、
コクワちゃんは入ってました…。



〜 再び水辺を散策 〜


 引き続き、OBポイント付近でも中〜大型ゲンゴロウを求め、網を持って水辺の散策を行った。
できれば、シマゲンが見たい。
相棒は、兄やんとのメールのやりとりで
「最低でもシマ」みたいな宣言をしたらしい…(^-^;

そしてやはり、水を入れ替えたばかりの水田は避け、休耕田や沼地を中心に見て回った。


まずはこの休耕田…

向かい側のOポンド…

Oスォンプ…


しかし、やはりなかなか見付からない。
嫌という程目に付くのは、アメンボ、オタマジャクシばかり。
それ以外に網に入ったのは
かろうじて、コシマゲン、それからコオイムシの1齢幼虫。。。

ここにいなければ、いったいどこにいるんすか!?

そんな文句が出てきそうな程、環境の良い水辺ばかりなのですが…(^-^;

その後もあてもないドライブは続き
「Oクヌギ並木」から「Kブィレッジ」方面へ抜け、とある温泉スポーツ施設をやり過ごし
いったん山間部へ入った物の、あっさり文明食堂から国道へ逆戻り…

何をやってるんだか…(^-^;

とりあえず、よく利用する7イレブンに辿り着いたので、そこで一息つく事にした。

あちこちで網入れをやってきたが、ここまでの成果は見事に0(ゼロ)…(^-^;
気が付けば気温は28℃まで上がっていた。
色んな意味でバテてきたので、16:00まで20分程の仮眠をとった。。。



〜 懲りずに水辺の散策 〜


 ほんのちょっとの休息だったが大分疲れがとれた!
陽が暮れるまでには、もう暫し時間があるので
懲りずに水辺の散策を続ける事にした。

それにしても本当に暑い。
この調子で行けば、早くも今年初の灯下採集が実現しそうな勢いである。。。

とりあえず、いったん北上してから、真ん中の国道へ移動し、ちょっと東へ逸れてみた。。。
初めて通る道である。
ややや、見事なクヌギ林があるぞよ!
クワガタ採集人が好んで立ち寄りそうな、いわゆる「ボコボコクヌギ」も散見された。

本日の所はスルーするが、時期が経ってから是非またやってこよう!

こうして適当に走っている際に、遭遇した有望ポイントは数知れず。。。
自らの足で地道に行脚を続ける事、これ重要なり☆

そして林を抜けていくと、また新たな水場が現れた。

しかし、ここはちょっと水が綺麗すぎる様だ。
ガードレールを乗り越え、水辺まで歩み寄ってみたが
ツイ〜っと、アメンボが浮かんでいるに過ぎない。。。
ここもハズレであった…(^-^;

ヘビの礫死体に群がるハエを尻目に
カミキリなんぞはいないかと、広葉樹の枝をビーティングしながら車に戻った。


遊びたくても遊べませんでした。。。


 更に、一辺お隣さんに出て、田んぼの中の農道を延々走り回った。

いかにもお宝が眠っていそうな、古びたがらくた小屋の側へ、苦労して車を横付けしつつ
とある小川を覗きに行ってみたが、ゴーゴーと勢いよく水が流れていてお話にならない。

本当に我々は下手くそらしい…(^-^;

しかし、数打ちゃ当たるというもので
諦めず散策を続けた結果
高圧電線を通す鉄塔の根本に、とてもナイスな湿原を発見する事ができた☆
一瞬通りすぎてしまったが、急遽Uターン!
これはいいぞ!

結果、コオイムシしか採れなかったが、時期次第ではオオゲンも行けるかもしれない!
頭に入れておいて損はなさそうな場所だ♪

ただ、お隣さんなんだよね…(^-^;


なかなか良い湿原です!夢中で網を入れる相棒…


 上記ポイントを後にして、小高い丘の際を走っている際
幹が大きくえぐれたクヌギを発見…洞を覗いてみると、ここにもしっかりコクワちゃんが入っていた。

付近には、水田もあってコオイムシを発見。
奥の方には山間に駆け登る様な棚田(休耕田)もあった。
ここも今後に期待できそうな環境である。


コクワちゃんはどこにでもいる模様です…

水田にはまたまたコオイムシがいました。


はしゃぎすぎた私は、左足をズボッとぬかるみへ突っ込んでしまい、泥まみれ…最悪や。。。
ほんと、あてもない旅路を続けてきたもんだ…(^-^;

さてさて、本日の水辺の散策はこの辺で終了。。。
結局獲物はなかったが、また少し地理の把握ができた。
是非今後に繋げたいものである。

ややや!?気が付けば大分遠くまで来てしまったぞ…(^-^;
これから時間をかけて、地元へ引き返そう。
18:00にして、気温はまだ26℃も残っている。
今年初の、待望の灯下採集へと移行できそうである。


夜の部へ期待して、地元を目指しましょう!



〜 2004年度:夜の部開幕! 〜


 国道に沿って時折現れる、電光掲示板の気温表示は
26℃→24℃→22℃と次第に下がっていったが
陽が暮れても依然として20℃以上が保たれていた。

まずは「O団地」で、飛び始めのムシの量をチェックしてみたが
蛾やカメムシが主と言えど、それはもの凄い数だった。

こりゃマジで行けるぞ!

滑り出しに充分な手応えを感じ、昼間一度訪れた「Sきょく」へ再度足を運んだ。 …19:50。

「うぉ〜〜〜!!」

何という凄まじいムシの数!

お馴染みのエゾカタビロオサムシの他、各種ゴミムシ、各種コガネムシ、水棲昆虫もコシマゲン、ヒメガムなど
これでもかと言うぐらいに飛び交い、そして落ちていた。

完全に夏じゃん… あぁ、感動…(T^T)

まだ5月…昨年の冷夏を過ごした苦悩を考えれば、実に信じがたい夢の様な光景であった。

しかし、ここで出鼻をくじかれる事に…(^-^;
私の懐中電灯の光量がドンドン落ちていったのだ。

仕方ない… 本音を言えば、この「2004年灯下採集の扉」を一刻も早く開けてみたい所だったが
一呼吸入れて
近くのホームセンターへ、新しい懐中電灯を調達しに走った。

備え万全にして、心おきなく今宵を楽しもう!
それが利口である。。。

そんな訳で、20:00に閉店のホームセンターへ滑り込み
駐車場の品物を片づけている店員さんに無理を言って一度は閉ざされた店内に入れて貰った…
助かりましたぁ〜m(__)m  > 店員の皆様

さぁ、今度こそ「Sきょく」採集のスタートだ!

ドキドキしながら街灯下の側溝を眺めていくと…


街灯下の側溝を眺めていくと…


「おおぉっ!やったね♪」

早くも今夏1頭目のタガメ♂を発見してしまった!


タガメLethocerus deyrolli):♂


正直、いきなり来るとは思わなかったぞよ!
これは、大事に飼育してくださる方からのリクエストが入っているのでお土産としよう…♪

そして更に!

今度は相棒が、バタバタと飛来した♀を発見!
これはでかいぞ〜!


タガメLethocerus deyrolli):♀72mm

ツルにしがみついてなかなか採れません… ( ^ ^ ゞ


この♀、後程計測した結果、頭の先からお尻の先までで72.0mmもあった。
これでクワガタの顎の様に両腕を開けば、8〜9cmもある様に見えるのだから、相当な迫力である。。。

当然これもお持ち帰り…。

いきなりのビックな発見に、面食らいそうであった…(^-^;

また、エゾカタビロオサもゲット!
余りにもすばしっこいので、思わず指でつまんだら
案の定、右手の指先にひどい臭いがこびりついてしまった…(^-^;



〜 看板駐車場 〜


 「Sきょく」を後にし、直ぐ近くのコンビニの裏手にある駐車場へ行ってみた。
ここにも明るい街灯がある。

ほほぉ〜、クワガタも沢山飛来している模様…
とは言ってもコクワちゃんばかりだったが、至る所でヨチヨチと闊歩していた♪


コクワガタDorcus rectus rectus MOTSCHULSKY, 1857):♂


そして更には、木製看板の上方に小型のカミキリを発見!
赤い頭部に、緑色に輝く上羽根を持った綺麗なカミキリだ。


チャイロホソヒラタカミキリPhymatodes testaceusLINNAEUS, 1758


後程、大体の目星をつけて、先輩に同定して貰った結果
チャイロホソヒラタであることが判明!

実にラッキー☆彡 な一頭であった♪
この様なカミキリは、我々にとってはまだ貴重な存在であるため
持ち帰って標本にしなければ。。。

調子いいぞ〜♪どんどん行こう!



〜 がらくた置き場 〜


 お次は、初めてとなる、とても明るい灯下へと赴いた。
先程のポイントから、そう離れてはいないので
これまでにも何度か側を走り去った事がある箇所だったが
どうしてこんないい場所に気付く事ができなかったのだろう。
情けない…(^-^;


いい場所です!


山間の田んぼと、平野に開けた田んぼの間を仕切る様に伸びた、土手の上にあるポイントだったので
水辺を行き交うムシや、山間の林に生息するムシ達が一気に集まっている様だった。

とりあえず、U字溝やドラム缶などが無雑作に放置してある場所なので
「がらくた置き場」とでも命名しておこう!…(^-^;

コシマゲン、カメムシ、ゴミムシ、コクワちゃんなどが沢山いたが
そんな中で、一際目立った収穫はこれ…


ハイイロヤハズカミキリNiphona furcataBATES, 1873)


ハイイロヤハズカミキリである!
こいつは、以前先輩が竹林から材割りしてベニカミキリと共に採集していたやつではないか!?
そういや、ここから100mも離れていない所に、竹林があるぞ…多分そこから飛んできたのであろう。

チャイロホソヒラタ同様、これも小型種だが、私好みのオーソドックスなタイプ、フトカミキリ亜科である♪
勿論持ち帰って保管しよう。

いや〜、今宵は幅広いムシに出逢えて本当に楽しい♪



〜 石U 〜


 最後の総仕上げは、少々場所を移して、あのカブト養殖の主が住んでいる、「石U」へ向かった。
ここも行きつけの場所で、幾つかの街灯があるのだが

早速ウンテイ手前の灯下をチェックしていた相棒が手招きを始めた。
そそくさと走り寄ってみると…

ぬぉ〜!また来たか!


タガメLethocerus deyrolli):♂


今年3頭目のタガメを、早くも初日に採集してしまった。

先輩のお言葉を拝借すれば
「完全にノックアウト」であった…(*_*)



〜 気持ちよく閉幕 〜


 その後、以前から目をつけておいた、「石U」先の水銀灯や
思い切って再び「O団地」、「Sきょく」へと行ってみたが
既にムシの飛来時間帯のピークを過ぎた様で、これ以上の際だった収穫はなかった。

名残惜しいが、この辺が退き際だろう。。。

一日中動き回って、とてもいい汗をかいた。
久々に沢山のムシを見て興奮できた。
まだ5月だが、やはり夏はこうでなくてはいけない。



〜 後記 〜

 11:50、日付が変わる直前に、無事に実家へ帰宅…。
遅くなってしまったが、しっかりと晩ご飯が食卓に準備されていた。
しかもウナギではないか…感謝!
甘えてばかりで、ごめんね〜 (^-^; > 両親

…で、本日の感想は、繰り返しになって申し訳ないが
5月にして早くも灯下採集の醍醐味を味わう事ができ、大変満足であった。
「あらゆるムシを探しまわって楽しもう!」という当初の目標も充分に成し得たと言えよう♪

ただチョビッツ欲を言えば、シマゲンをゲットしておきたかったかなぁ…(^-^;
水槽を購入して、はや3週間が過ぎたけれど
そろそろ我が家にも「ヒマワリの種」を泳がせてみたい。。。

兎にも角にも、今晩はとても気持ちよく眠れそうである…☆彡


〜 主な確認種 〜


●フトカミキリ亜科
 
ハイイロヤハズカミキリ
●カミキリ亜科
 チャイロホソヒラタカミキリ

●水生半翅類 : カメムシ目コオイムシ科
 タガメ : 2♂ 1♀




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