採集履歴

“2004年 猛暑のさなかムシ採り” 編(5)



04.07.31
(Sat) 晴れ Mt〜Hill 「他にはどんなん?ヤナギのカミキリ」 
                                                                                                  

 先週は、5月に下見をしておいたヤナギの群生エリアへ赴き
普通種ではあるが、アカアシミヤップノコノコなどのクワガタを数多く見付けて楽しんだ。

今週も、引き続き山地へ向かって、ヤナギをルッキングするつもりだが
久しぶりに網なんぞを持って水場にも目を向けてみたい。


〜 山へ 〜


 思いのほか、移動時間が遅れ気味だったので
猛烈な勢いで高速移動。
タイム イズ マネー である!?…(^-^;


飛ばせ〜!



〜 水モノ採集 〜


 何度も通っている林道を飛ばして、無事に山頂付近へ辿り着いた。
手頃な湿原を見つけ、早速腰を下ろしてみる。

水が綺麗なので、平野部にはあまり生息していない
ゲンゴロウが見つかるかもしれない。

昨秋10月の、山地における水棲昆虫採集行では
県内における、おおよその地理(水源)の把握はできたものの
採集したムシに関しては、たいした成績が上げられなかった。

あの時期は既に寒くて、大分出遅れた感があったが
今年はまだまだ夏真っ盛りなので、何かしらお持ち帰りしたいものだ。


長靴を履いて、ガサガサやります…


長靴を履いて湿原へ降り立ち、網で植物の根際をガサガサやってみた結果…

う〜ん、まずは残念。
山地性のトンボのヤゴが、ちらほら入ってきた程度であった...。

ゆっくりと水が循環している中にも
しっかりと澱みの部分があって、充分行けそうな雰囲気だったのだが。。。

まぁ仕方ない。

それにしても、湿地上に山地生の若い樹木が生い茂る周囲の環境は
妖精にでも出会えそうな程、美しく幻想的な光景を魅せてくれた。


自然立地度100%、高分級緑地でしょうなぁ…


で、このムシは何でしょうか???


小っさい小っさいムシですねぇ…


その後、カミキリムシがいないかなぁ〜?
などと林道際に積んである伐採木をチェックしながら
暫し移動。。。

どれどれ
第2ラウンドは流れのないこの休耕田にしよう。


いい感じの休耕田です!


長靴を履き、網を持って
休耕田の周囲から眺めていくと…

ややや!?
早速中型のゲンゴロウがいるぞ!

くるくると渦を巻く様に、旋回しながら泳いでいる
この子の正体は…??

やっぱり♪ハイイロゲンゴロウだ。

普通種だが、近年その数は減っているという。
網の上では、ぴょんぴょんと跳びはね続け、すぐに上翅を開いて飛び立とうとする
落ち着かない子の様だ。
故になかなか写真が撮れない…(^-^;


少しは落ち着いて下さいよぅ…


図説:「日本のゲンゴロウ」(文一総合出版)
によると
「水中で上翅を広げたり、水面から直接飛び上がったりと特異なその生態には
興味深い所が多い」…と書かれていた。

どうりで…(^-^;

発泡スチロールの容器に、水草を添えて入れてやると
少しは落ち着いた模様。。。ようやく撮影できた♪


ハイイロゲンゴロウEretes sticticus:LINNAEUS, 1767):♀


シマゲンよりも若干小さいが
体長は9.8〜16.5mmと
コシマ、ヒメなどよりはひとまわり大きい中型種の部類に入る。

当然持ち帰って飼育する事にしよう♪

ゲンゴロウは見た目がとても綺麗だし
餌を捕らえたり、泳ぐ姿は、非常に愛嬌があって面白いので
観賞用のペットとしてはお勧めです☆


続いて相棒がこんなんをすくってきた。

おおお!こりゃゲンゴロウの幼虫ではないかい!

体長が5cm以上あるので、明らかに大型種だろう。
おそらくはクロゲンゴロウと推測されるが
これも持ち帰って育て上げたい。

また、今後のお楽しみが増えてしまった♪


大型ゲンゴロウの幼虫です…初めて見ました。


その後も、水草の根際をガサガサとすくい続けたが
入ってきたのは
色んな種類のヤゴ、コオイムシの初齢、マツモムシの初齢…などが主で
ゲンゴロウはマメ、ヒメ、コシマ程度だった。

そうそう、相変わらず大量のオタマジャクシが水揚げされた…(^-^;



〜 クワガタチェック 〜


 暫くは水棲昆虫採集に夢中になっていたが
周囲を見渡せば沢山のヤナギが生えていたので
今週も自己ギネスサイズの更新を目指して一通りチェックしておく事にしよう。

おっ、結構高い所に早速アカアシクワガタのペアを発見。
この辺にも沢山いる様だ。


すぐに発見できました。

アカアシクワガタDorcus rubrofemoratus:VOLLENHOVEN, 1865):♂♀


昨年は
“減ってしまったのかなぁ〜??”
などという疑問の念を抱いたものだが
今年はあちらこちらでこの様な光景が見受けられる。。。

ノコノコだって、ほら、この様に…


ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatusMOTSCHULSKY, 1857):♂


ざっくざっくと採れますよん♪


なかなか大型ですが…サイズがちょっと足りません。


それはそれは物凄い数のクワガタを確認できたのだが
今週も記録更新に至る程の個体には出逢う事ができなかった。
残念…(^-^;

また次回チェックしてみよう。。。



〜 夜の部 〜


 今宵は月がめちゃくちゃ明るく
これが夜の採集に支障をきたすまいか?…と心配されたのだが

それ以前に
移動やら何やらと
めんどうな事情が重なって、採集人にとっては貴重なゴールデンタイムに
仕上げの「ミヤップの郷」へ辿り着く事ができなかった…(^-^;

不覚である。。。

だからという訳ではないのだが
今夏、あれ程までに沢山のミヤップを確認してきたミヤップの郷では
どのポイントへ回っても、もぬけの殻状態であった。。。

考えてみると、確かに1〜2時間の遅刻は非常に痛かったが
突然これ程までにミヤップがいなくなったのは
やはり昨今のクワガタブームの波が大き過ぎるからだろう。

実際に、この辺のミヤップはとても人気がある様で
7月中下旬からは、他県ナンバーの車も多々見受けられる様になった。
お話を伺うと、口を揃えてミヤマ狙いだという。。。

こんなへんぴな場所にある山なのだが
不思議な事に、むしろ地元以外で有名になっている模様…
いずれにせよ、幾つもの県を飛び越えてまで、皆さんご苦労様ですぅ…。

ただちょっと残念なのは
ようやく噴き出してくれた樹液の泉を維持してもらうために
今夏確認した約120頭のミヤップを、そのままそっと放置してきたわけだが
カブト、ノコノコまでいなくなって、あちらこちらで樹液がストップしつつある事だ。

つまり、ムシが付いていないと、活きた樹でなくなってしまう(樹液が枯れてしまう)。

オオクワとは違い、ミヤマクワガタなのだが
やはりいなくなってしまうとチョビッツ寂しい。
もはや “たかが” と言える存在ではないのかもねぇ…(^-^;

人間が採集する量など
この山に生息している個体数や、土地開発等によって死滅する量に比べたら微々たるモノなのだろうが
正直、少し怖いかも。。。

しかしこの山は、そもそも国や自治体、地主さん…他が所有するものだし
何よりも、みんな平等にクワガタを採りたいんだと思う。
私もその一人。。。
だから、個人的にどうこうと言えた義理ではない…(^ ^ゞ

くだらない話をしてスミマセンです。。。

皆さん共々、楽しくやりたいっすよね♪


そんな訳で今宵は、方針を変更して
少々危険だが、とある湿地帯に生い茂るヤナギジャングルの中へ潜入する事にした。
カミキリを探してみよう☆


月がとても明るいですねぇ…。


相棒と2人、懐中電灯と月明かりを頼りに
地崩れしやすい崖を滑り降り、小川を渡って林の中へ…
そして丹念にヤナギの枝先を見て行くと…

おっ!あれは!?

少々高い所に、相棒がカミキリを発見!
もしや以前(04.07.11)、ここから数キロメートル離れた所にある、別のヤナギ帯で
やはり相棒が採集したイタヤカミキリではないか!?

よっしゃ〜♪

焦るな焦るな!
まずは撮影からだ…(^-^;


高〜い所で休んでる彼の正体は!?


ふむふむ、イタヤだ。
間違いない♪


イタヤカミキリMecynippus pubicornis:BATES, 1884


逃げられない様に、そっと地面へ落としてゲット♪

お〜っし、来た!

こいつを採集できれば、御の字である。

実は、以前採集した個体は、羽化不全のためか上翅を完全に閉じても
中翅をしまう事ができず、右前足の爪は退化した様に、なくなっていた。

だから、それに併せて完全体の個体も1頭、手中に収めておきたかったのである。


以前採集した個体です。


今回の個体は勿論完全体、かつ前回より一回り大きい☆


今回採集した個体の標本写真です。

いい表情です☆


そんな訳で、これで完全体、それから羽化不全という面白いサンプルを
セットで手に入れる事ができた。
嬉しい♪
私の好きなフトカミキリ亜科である所なんかが、なおいい・笑。


22:30…

さて、本日はお腹が一杯になったこの辺で帰る事にしよう。

最後に、帰り際、ガラスのとあるポイントにて発見した貴重なミヤップのペアをご紹介しておきましょう。
クヌギでもコナラでもない得体の知れない細い樹の、わずかな樹液にやってきていたので
おそらく、だれにも気付かれなかったのだろう☆
周囲に生えている樹液ダラダラのクヌギやコナラの方は、やはりもぬけの殻だった…(^-^;

いっぱい子孫を残して下され。。。


ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♂♀



〜 後記 〜

 帰り道は、松本人志、板尾、東野らのコントの1シーンで
板尾の理解できない奇怪な態度に対し
「なんか怖くなってきたぁ〜」という松本のフレーズで大盛り上がりし
23:30、無事に帰宅 (何のこっちゃ…(^-^; )。

本日は、不覚にもタイムロスが多かったが
ハイイロゲンゴロウや、クロゲンゴロウの幼虫の他、待ってましたのイタヤカミキリを持ち帰る事ができ
手応えとしては充分であった♪
ただミヤマクワガタとは言え、余りにも突然だった激減振りをかいま見ると
仕方のない事だが、やはり少々寂しい気がした。


〜 主な確認種(クワガタは全てリリース) 〜


●フトカミキリ亜科
 イタヤカミキリ
●ゲンゴロウ亜科
 ハイイロゲンゴロウ 11
 クロゲンゴロウ 幼虫
●クワガタムシ科
 アカアシクワガタ 15♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂ 1
 ノコギリクワガタ 16♂♂♂♂♂♂ 2♀♀
 ミヤマクワガタ 12♂♂ 1




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