採集履歴

“2004年 出張” 編(1)



04.08.15 (Sun)
17 (Tue) Mt, Hill 「ヒメオオ求めて初遠征!」 
                                                                                                  

2004年、この夏
4年前、自らの脚で、本格的にムシ採りをする様になって以来
初めて地元の県外へクワガタを探しに飛び出してみる事にした。

これまでクワガタに関しては、地元における貴重種にこだわりを持ち続けて来たが
特に、採集難易度が高いとされているヒメオオに関しては
今春、ようやく念願を果たせたので
これをきっかけに、他県での採集を解禁する事にしたのである。

もしも、ヒメオオ採集の順番が
「多産地(他県) → レア産地(地元)」であったなら
あれほどまでに
待ちわびた末の喜びを噛み締める事はできなかったであろう。

わっはっはっ!
…何だか偉そうな事を書いてしまった様だが
そんなつもりなど全くない。
単にこれは、シロウトがムシ採りを楽しむための術だったのである...(^-^;


前置きが長くなったが
そんな訳で、今回第一の狙いはヒメオオに決定した。
結果は大変実りある(?)ものとなったので、ここにご紹介したいと思います。




04.08.15 (Sun) 晴れ Mt


〜 出発前夜にポイント選び 〜


出発前夜、相棒が購入してきた地図上で
近県の有名ポイントを、初めて、そしてマジマジと眺めてみた。

なるほど、地元と比べ美味しそうな環境ばかりである。
こりゃ、ヒメオオは勿論の事、オオクワだっていて当然だわ...(^-^;
それではあえて、その辺は避けよう。。。

決してあまのじゃくな考え方をしたい訳ではない。
あそこには “○クワ” がいるそうだから、行って採ってこよう!
初めての遠征がそんなんじゃ、ちょっと面白味に欠けるではないか...。
物事には、順番というものがあるのだ。
これこそシロウトが、ムシ採りを細く永く楽しむための術なのである... (^.^ゞ

何にせよ
例え情報がない土地とは言え、地元より好環境な場所はいくらでもある様に見受けられる。

地形、標高、植生、河川の方向などの他、与えられた時間の制約などから考え
あっさりと目指すべきポイントを絞り出す事ができた。

同行する相棒に、この辺がいいんじゃない?
と問い掛けると、何と、同じ場所を随分前から見当していたという。
奇遇だの〜・笑。

う〜ん、このポイント選びだけでも充分に楽しむ事ができた☆
現場に出れば、きっともっと楽しいんだろうなぁ。
本番が待ち遠しいねっ!

それにしても、降り出した雨音の、それは強烈な事。 大丈夫かなぁ...(^-^;



〜 いざ! 〜


翌日10:00頃に起き出して、真っ先に感じた。

涼しい...。
ビックリするほど涼しい...。
むしろ、寒いぐらいである。

なんでぇ〜!?
これまで、あれほど暑かったのにぃ
猛暑の夏の珍事なの? あ〜、ついてない...(-_-;

いきなり出鼻をくじかれてしまった気分である。

ただし不幸中の幸いか?雨だけはあがっていた。

しかし、悪いコンディションなりにも
トレを済ませ、食事をとり
車に荷物を積みながら、少しずつテンションをあげていく。。。

まぁ、仕方あるまい!
どんな状況であれ、予定変更はないのだ。
限られた時間を有効に活かすため、一気に高速移動といこう!
こういった時は、ポジティブにものを考えた方が得策なのである。

13:37、こうして我々の初遠征が開幕した。



とりあえず、北上しちゃいましょう!


いつも降りているインターを、あっと言う間に走り去り
周囲に見えてくる、初めての山々の標高を確認し、そして感心しながら
どんどん緯度を上げていった。

地元の外へ出る事など
幼少の頃から数え切れない程繰り返して来たと言うのに
目にする物全てが、とても新鮮に感じた。
何だか、小学生の頃
自転車に乗る事を覚え、初めて隣の学区へ遠出して行った時の
ドキドキ、ワクワクに近い感覚を懐かしく想い出していた...。

既に地元を離れ、13年という歳月を過ごしているこんな田舎出身者が
今になってこんな想いに浸る事ができるのも
ムシを採ろうとする視点を、改めて身につける事ができたおかげなのであろう。

16:15、目的地に最寄りのインターへ無事到着。。。
実にあっと言う間であった。

よ〜っし、これからこの土地で遊ぶぞ〜!

う〜ん、気合と共に、込み上げてくるものがあるねぇ☆
嬉しくて仕方がない。
それにしても、北上した分、先程より更に一段と寒くなったぞ...(^-^;



この土地で目一杯遊ばせてもらいましょう。



〜 宿を確保 〜


先ずはコンビニへ寄ってトイレ休憩した後
今晩の宿泊場所を確保する事にした。
車内宿泊を嫌う訳ではないが
私は腕立て伏せをやらなければならない。

今年一杯、12/31まで、366日間休まずこなす事により
どうしても到達させたい目標日数があるのだ。

と、言う訳で、相棒にもそれにつき合ってもらう事とし
町内の観光案内所で頂いたパンフレットから、適当な民宿を見つけた。

一泊、食事なしだが3500円という、とっても手頃なお値段である。
目指す採集ポイントに、程良く近い所に位置しているのも好都合だ☆

さぁ、これで安心♪
宿のおばちゃんにヨロシク伝えて
早速、周囲の調査に出かけた。



〜 早速調査 〜


インターを降りて、すぐに気付いていた事だが
この辺りには、山地生のヤナギが至る所で見受けられる。
それもその筈で、いわゆる山の麓でさえ、既に800m以上の標高があるのだ。
(因みに先程の宿のおばちゃんの話では、民宿の位置で860mだそうだ。)

地元では、完全に高山と呼べる標高だが
この地ではそうじゃない。


まずは
予め、地図上で目をつけておいた南北にのびる2本の林道のうち
その右側の方を責める事にした。

遙か前方には小高い山が見え
そこへ通ずる林道に沿った河原には
いたる所にヤナギが群生していた。

よし、早速クワガタの探索に入ろう!
車を降り、しっかり身支度を整え
初遠征の、記念すべき第一歩がスタートした。

それにしても、風が冷たいっ!!(>_<)


何かいそうなのですが...

もう夕暮れ時に差し掛かっています。


とても良い環境に思えたのだが...。
探せど探せど、残念ながら、クワガタを確認する事はできなかった。

やはり、気温が低すぎるのか?
時間的な問題なのか?
いやいや、それだけが理由ではなかろう。

そもそもここには余りいないんだな...。
いるのはきっと、広大なこの自然の中のピンポイントなのだろう。
何となく、そんな気がした。
まぁ良い。
まずは、こんな所だろう...。

少々移動した場所で
オリンピックの野球中継を聞きながら
どこかの大学の陸上部が、タイムトライアルしている様子を横目に
赤枯材の中からカミキリの幼虫などを確認した後
この地には見切りをつけた。



〜 夜の部へ 〜


綺麗な水辺の周辺に群生するヤナギ林を一回りしていると
あっと言う間に陽が落ちたので
この辺りでは数少ないコンビニへ立ち寄って、夜のエネルゲンを補給する事にした。
飲食店などは殆ど見当たらない。
その為か、コンビニ店内は観光客が混雑気味で
食事を済ませるのも一苦労であった。

さぁさぁ、お次は待望の灯下巡りだ!
気合いを入れて行こう。

それにしても、夜になってまた一段と冷え込んできたなぁ...(-_-;

道路際に表示されている電光掲示板には、この表示...(^-^;



只今の気温だそうです...(^-^;


某キャンプ場入口から
舗装された緩やかな坂道を登って行くと
大きな白壁の病院?寄宿舎?らしき建物の横に
とても明るい街灯が2本見えてきたので
立ち寄ってみる事にした。

山を背景にして、絶好のシチュエーションだったが
この寒さのためか、ムシは極めて少ない。
ただし、蛾だけは元気に飛んでおった...(^-^;

しかし、
ミヤップアカアシノコノコなどの死骸が散見され
希望も見えてきた。。
普段なら、当然いる様である。


※ アクシデント:その1


ここで、アクシデントが発生。
話を脱線させて申し訳ないが、急に射し込まれてしまった...(^-^;

うん☆がしたい...。

食べ過ぎたか??
いずれにせよ、とても我慢できる状況ではなかったので
泣く×2それを相棒に訴え
急遽山際で、待っていてもらった。

無事に暗闇の草むらに入って用を足す。。

待たせたね〜♪

と車の座席に座って、ホッと一安心、胸をなで下ろした。

と思いきや!
一難去ってまた一難!
間髪入れず、更なる試練が待ち受けていた...。

かゆい〜!!

虫刺されにより、尻のあちこちがプク〜ッ!
と腫れてきたっ!

1・2・3・4…5箇所をわずか1分足らずで刺されたのである。

はぁ〜っ、かゆい!

かゆいっ!

がゆい〜〜っ!!

普通の蚊に刺されとは、比較にならない強烈なかゆさだった...(T^T)
すると相棒からは

ゔるっさいなー!!

と、浜ちゃんばりに怒られてしまった...(^-^;

そんな訳で
わめき声が落ち着くまでは、クーラーボックスに入っていた氷袋を尻にあてながら
歩を進める事にした...(^-^;


※ 初のクワガタは...


続いては、結構広い敷地内に、RC造の別荘らしき建物が散在する温泉施設?
へ立ち寄った。
かなりのスペースを確保しながら、殆ど車が停められていない
殺風景な駐車場の中には
多数の球型水銀灯が設置されている。

しかしながら、ここはムシそのものがお留守の様だった。

とある水銀灯の側に、小さな洞があいているヤナギが見えたので
念のため、その中もチェッキング☆

すると...ややっ!?
記念すべき一頭目のクワガタがいるぞ!!
過日、水銀灯に飛来して、そのまま洞の中に入り込んだ個体だと思われる。
一瞬、
ヒメオオか!?
などと、シロウト丸出しの儚い夢を抱いてみたが
ピンセットでひきづり出せば、お約束の
コクワちゃんであった...(^-^;

いる訳ないかぁ〜 ...(^
.^ゞ


初めはやっぱり、コクワちゃん...(^-^;


※ アクシデント:その2


ここで、今度は相棒にもアクシデントが発生した。
先程の
コクワちゃんを撮影しようとした際に気づいたみたいだが
大切なデジカメを無くした様だ。。

車の中を必死で探せど、一向に出てこない。
こりゃ困ったぞ...。
私も必死になって脳みそを絞り、これまでの経緯を思い返してみる。

コンビニで、弁当の空き箱を捨てたゴミ箱の中など、あちこちを探し回ったが
結局見付からなかった。

仕方がない、諦めよう...。

そんな訳で、第一日目の収穫は、コクワちゃんの発見以外何もなく、むしろ失う物が出てくるという有様であり
せっかく盛り上げてきたテンションが、ちょっぴり下がってしまった。

やりきれなくなって、高〜い山へ登って、遠くに見える麓の町灯りを眺めてみたり
細い林道へ、果敢に挑もうとするも、土地勘がない上、この寒さだ。
更には街灯もないのに、どうしたらええねん!?
と言った感じで、あえなくUターン...。

とうとう行き場を失い
先程とは別なコンビニを見つけ、少々の食糧を調達し
民宿へ戻る事にした。



〜 民宿にて 〜


民宿のおばちゃんに

今夜は遅くなるかも!?

などと宣言して、意気揚々と飛び出して行ったものの
帰宅は22:00前という早さ…
まさに、無念である。

しかし、現地に住まうおばちゃんの方から
今日は驚く程冷えてるねぇ…などと言ってきたのだから
我々の力では、もはやどうする事もできなかった。

しかし、唯一楽しめたのは
民宿のお風呂♪
蓋を開けてみれば割と広い温泉で、それがなかなか良いお湯だった。

ゆっくりと暖まった後は
和室の自部屋で、テレビを見ながら、のんびりとくつろぐ事ができた。

おお!?気になる天気予報だ!
明日の○○地方は? 何々?
う〜ん、15℃〜26℃かぁ... 引き続き、低めだなぁ...(-_-;

その後、ゴジラ好きの師範に
辻ちゃんのコケコ!コケコ!コケコ!という鶏のものまねや
オリンピック(卓球少女愛ちゃん) …etc
テレビから映し出される何気ない映像を眺めながら、0:30、灯りを消した。。

明日はリベンジすっぞ!
せっかくの初遠征、このままでは済まされまい。。。



04.08.16 (Mon) 晴れ Mt 


〜 まずは腕立てから 〜



せっかくのくつろぎムードだったのに
夜中に幼少期からの持病である喘息の発作が...。
これは最悪である。

体を横にすれば、呼吸できなくなってしまうので
仕方なし、30分程上体を起こしていた。

大分ラクになったが、時計を見れば既に4:00を回っている。
今の内に腕立てをやらなければならない。

人目につかない廊下に出て、35分程インターバルトレをして汗を流していたが
さすが北の地、朝はとても涼しく、やりやすかった。

と、そこへ
どこかの高校陸上部の合宿に引率で来ている顧問が、早風呂をすべく通りがかった。

足音がした時点で、とっさにトレをやめて、平静を装ったが
汗だくだったので、何をしていたのか察しがついた様だった。

「おたくも合宿ですか?」

と聞かれたが、自信を持って

「ムシ採りです☆」

と応えてしまった・笑
顧問はきょとんとしていたが、後に失笑していた。

公共の場でお騒がせしましてどうもスンマセンっ...(^-^;

それにしても、あと10分で事は済んだのだが...。

仕方がないので、残りは寝ている相棒の横で失礼させて頂いた。
とりあえず、ノルマ達成。

私も朝風呂に入って、気合いを入れた。

さぁ、今日こそは採ったるぞ〜っ!!



〜 感動の出逢い! 〜


7:30、精算を済ませ民宿を後にした。
ど〜も、お世話になりました!

この民宿、我々と、某高校陸上部に貸し切りだった模様。
若人は、朝のトレを終え次々と民宿前に戻ってきていた。

昨日今日と、マラソンランナーを方々でお見受けするが
どうやらこの辺は、陸上部の合宿地としてメジャーな場所の様である。

しかし、我々はクワ採りに出かけるのだ・笑!

本日は、当初から目をつけておいた2本の林道のうち
昨日とは別の、左側の1本を目指す事にしよう。
因みにこの林道は、結構標高がある山の頂へと通じている。

割と平凡な、住宅が立ち並ぶ舗装道路を突き進んでいくと
すぐに状況は
くねくねと蛇行する綺麗な河川に沿った、美しい林道へと変わっていった。

午前中のため、昨晩から引き続き、空気が大変冷たかったが
太陽が眩しく、とても気持ちがいい♪

早速、進路方向右手に広がった河川敷に
かなり広範囲でヤナギが群生しているのが見えたので
そこへ潜入してみる事にした。

ふむふむ、今日は楽しくなりそうだぞ♪


まずはここから... 河川沿いへ近づいてみましょう。

自然豊かな所ですなぁ〜、蜂や蝶が沢山飛んでいます。


植生が豊富で、それだけヤナギも沢山生えていたのだが
クワガタの姿は一向に見つからない。

途中相棒が、土砂崩れした川岸から
向こうの方に見えるヤナギ帯へ降り立とうとしていたのだが…


やめとけ、やめとけって...。


ちょっと危険だったので
まぁ、これだけの規模の自然が残されているのなら
あえてここに拘る必要もなかろうと
ストップを掛けておいた...(^-^;


しかしこのエリア、確かにヤナギは沢山あるのだが
いかんせん、幼虫を育む為の、ブナ科を中心とした広葉樹が少ない。

それでは、少しずつ標高を上げて様子を見ようと
再び車に乗り込んで歩を進めると
辺りの状況は、「河川敷」といった雰囲気から
次第に「山林」の景色へと変わっていった。

だんだん、この山にはいるなぁ... という確信が湧いてくる。

気になったら、いちいち車を停めて
林の中の様子をチェックして行った。


ちょっと違うみたいですが、だんだん近づいてきました...。


途中、我々の車と同じナンバーの車を発見。
同じ穴の狢か??
ちょっと嬉しいかも。。。

更に歩を進めると、路面は舗装から砂利に変わった。
そして、一気に状況が悪くなった...(^-^;

車はグラン×2!と上下に揺れ
ゴゴ〜!ガゴ〜!と底の方から悲鳴を上げている...。

道幅も狭く
もし対向車が現れたなら、すれ違うのは至難の業だろう。

しかし、それに反比例するかの様に
周囲の植生だけは、どんどん良くなっていった。

おおぉ!遂にブナの巨木が姿を現し始めたぞ!

これなら、ヒメオオがいてもおかしくないでしょう!

申し分のない環境が、険しい道の周囲に広がっていく。
もはや、好奇心の方が先立って、前進する事しか頭の中にはなくなった。


いい所ですね〜!


かなりのガタ道だったが
8:53のデジタル表示を見て

「じゃ、あと7分だけ進んじゃおう!」

などと言いながら、適当な理由づけをして
ポジティブに標高を上げて行った...(^-^;

すると間もなく、少々開けた明るみに出た。
標高は1200m位だろうか、この山の峠付近と思われる。

なかなか雰囲気の良いヤナギが数本見えたので
当然チェックに入った。


道の状況が落ち着いて、明るみに出てきました。


ヤナギの樹上を真下から見上げ始めて
十数秒後の出来事だった...。

ん!?

クワガタだ!


これまでに見た事がない、色と形である。
明らかにアカアシではなく、ペアである事も分かった。
とっさに

おい!やす、来てみ!

と相棒を呼び寄せた。


樹上4m程の高さの所に

小さくも大きく見えるあのツヤ消しブラックは!?


1ペアいるなら
他にもいるな...。
という直感が働き、すぐさま別の枝上を眺めると…

おお!あれは!?


なんと、あっちにも!

間違いない、ヒメオオ♂です!


間違いない!100%ヒメオオ!

今度は♂の立派な大顎が見えたので、確信が持てた。

そうと分かれば、興奮が冷めないうちに
早速捕獲にチャレンジしようではないか。
まずは♂のサイズが大きそうな、ペアの方から行こう!

しかし、どうやって採ろう?
持ってきた道具といえば、長さ2mにも満たない、ショボイ捕虫網ぐらい。
これではとうてい届かない...。

仕方がないので、 蹴り採集を決行する事にした。
落下点を見失えば、まず見つけられない確率の低い方法だが
いつまでも指をくわえて眺めている訳にはいかない。
私が蹴りを入れ、キャッチングはそれに向いていると思われる相棒がスタンバイ。

気休めにしかならないが
白いシーツがトランクの中に積んであったので
想定される落下点には、それも敷いておいた。


では、いくぞよ! せ〜のっ!

ドンっ!

・・・・・・ あれ? (^-^;

大分揺れたのだが、これぐらいの蹴りでは、彼らは微動だにしないようだ。
ではもう一度、今度はやや強めに!

ドスンっ!!

あぁっ、落ちたっっ!


思わず叫ぶと
相棒は、即座に落下軌道を見極め、一歩後退し
額の真上で見事にキャッチした!

来た〜!!(>_<)

まず手中に収めたのは、サイズが大きい方の
ヒメオオ♂であった!!

相棒はこの時、黒い物体が眼前へ近付いてくる様子を、スローモーションで見ていたと言う。
凄い...。

それにしても、こいつはでかいぞ!
大型の♂を見るのは初めてだったので
つい感激してしまった☆

しかし、まだ♀が着いている。
どうせならペアで頂きたい。

相棒は、捕まえた♂を片手に持ったまま、さらにキャッチングに挑んだ。
私は先程よりも更に強めの前蹴りを幹に入れてみた。

バンっ!

さぁ、落ちたぞっ!


採れたか…!?

よっしゃ〜!!

相棒は
何と♀の方も、見事にキャッチしていた☆!


15.jpg ヒメオオクワガタDorcus montivagus montivagus :LEWIS, 1883):♂♀


その後、もう一頭残された♂も無事に手中に収める事ができたのだが
やはり、やや小ぶりであるのを確認し
気持ちよくリリースする事にした。

とりあえず、午前中から地元県外ならではの大きな成果を上げてしまった(^o^)/
こうなると気持ちに余裕が出てくる。
昨日の失意はどこへやら、車内は喜びに満ち溢れた。
早速、♂のサイズをノギスで計測してみよう♪

元気が良すぎて上手く測れなかったが
顎を開いて52mmあった。

過去に野外で目にしたヒメオオ♂は
後にも先にも地元で採集した1個体のみ...そしてそのサイズは44mmだったので
今回の8mmアップは、とてつもない貫禄を見せつけ、我々にとって充分すぎる手応えであった。
いやいや、興奮しちゃった...(^-^;


その後、この山の頂付近に現れた段差のある砂利道を目前にした所で
一時相棒を待たせ、徒歩で50m程先を見に行くと
突如岩壁が視界に広がった。

どうやらこの辺までかな...。

お宝も得られた事だし、あまり無理はしないでおこう。
これにてUターンし、下山する事にした。


この辺でUターンしておきましょうか...。


下山中も、元来た林道の自然を満喫していった。
ほんと、いい所だった☆


いい所でしたねぇ〜♪


また、タバコを吸いながら登山してきた釣り人と遭遇。
こちらを見つけると

「山頂の方で、仲間のワゴン車とすれ違わなかった?」

と尋ねてきた。

「もしかして、○○ナンバーですか?」

と返すと

「そうです!」

だそうな☆

「ああ!それならずっと麓の方にとまってましたよ。」
「すると、我々と同じ出身ですよね♪」
「何しに来られてるんですか?」

と、今度はこちらから尋ねると

「釣りです。」

だそうな。
なんだ、ムシ採りじゃなかったのか...考えてみればそうだよな...(^-^;
更に

「おたくらは何してんの?」

と聞かれたので、宿の顧問の時と同様に

「ムシ採りです!」

と応えた☆

「売んのけ?」

と○×弁で言われ

「そんなぁ、違いますよ〜(^-^; 」

と返した。

そんな、親近感湧く会話を交わし
大変楽しく下山して来られた。



〜 カメラもみっけ! 〜


麓の広い道路まで辿り着くと
まずは相棒の意向で
昨夕一度訪れた、綺麗な水辺周辺を目指す事にした。

彼が最後に撮影した覚えがある林へ
もう一度行ってみたいらしい...。
相棒は、無くしたデジカメの事がどうしても気になっている様だった。

さほど遠くはないので、本人に納得してもらうためにも
つき合う事にした。

現場へはすぐに到着。

イソイソと、土手を滑り降りて、林の中へ潜入していく相棒。。。
私は土手の上で静かに待っていた。
すると間もなく

あった〜♪

という声が聞こえてきた。

多少、夜露か何かで湿気っていたそうだが
電源はしっかりと入り、撮影もできるらしい。
いや〜、昨晩雨が降らなくて良かったねぇ〜。
これで、心おきなく採集にいそしめるよな!

ほんと、良かった×2☆


無事に撮影できるようです。良かったねぇ〜。


幸運にも、一度はあきらめかけたデジカメを取り戻せたついでに
アスファルト上で羽を休めていた一羽のアゲハを撮影。

カラスアゲハだと思うが、実に綺麗な配色である。
私が大学でお世話になった教授や
仕事でつき合いがある、歴史民俗資料館のHさんなど
知り合いの中にも蝶を集めている方は多い。

標本を見せてもらった事もあるが
何となく蝶好きの気持ちが分かる様な気がした。


蝶の愛好家が多いのが、分かる気がします。。。


その後、めちゃめちゃ腹が減ったので
昨晩訪れたコンビニへ向かい、今日初めてとなる食事をとった。
私は軽くやきそばを♪
気がつけば既に昼だった。

遠征の主要な目的だったヒメオオ採集に加え、無事にデジカメも取り戻す事ができ
午前中は上々のできとなった☆



〜 午後の部、開始! 〜


エネオスでガソリンを入れ
午後の部開始。

これまでずっと採集してきたエリアから、やや東方へ移動し
これまたなかなか標高のある山(1300m位)を見付け、南側の斜面から責めてみる事にした。

潜入できそうな林道の入口を目指す途中
広大なクヌギの廃材置き場を発見。
北に生息するカミキリでも見つけられるかな!?
と、20分程彷徨ってみたが
ノコギリカミキリが一頭いたのみであった...(^-^;
やはり、そう簡単にはいかない。


で、気になった幾つかの林道のうち一本に辿り着いた。

ダムの様な、コンクリート製の大きな関が現れる度に
ヤナギが群生している。
よっしゃ、ちょっと様子を見てみよう。


この様な大型の関の横には、ヤナギが群生していました。


あっ!クワガタだ!
高所にアカアシらしきコブが見えたので
すぐさまその様子を撮影。

しかし、うまく撮れてなかったみたい...(^-^;


この中にいるはずなのですが...。


一応、捕虫網を使ってポトリ!

たぐり寄せてみれば、やっぱり
アカアシだった☆
ペアだと思ったが、2♂であった。
ビックリさせちゃってごめんよぉ…。
勿論、キャッチアンドリリースである。


アカアシクワガタDorcus rubrofemoratus:VOLLENHOVEN, 1865):♂


アカアシがいたので、その後も一帯のヤナギを見渡してみたが
これ以上クワガタに出逢う事はなかった。
まぁ、もっと良く探せばいるんだろうけどね...。


その他には見当たりませんなぁ...。


ここはまだ山の中腹。
ヒメオオが見たいなら
山の頂付近を目指さねばならない。
ただし、ブナ帯が近くにある事が条件に入ってくるだろうが...。

そんな訳で、引き続き、徐々に険しくなって行く砂利敷林道を
蛇行しながらよじ登っていった。

しかし状況は急変し、見渡す限りのスギ帯になってしまった。
それにもめげず歩を進めたが
頂上付近に
かろうじて現れた広葉樹は、劣勢となる細めのミズナラや、カエデ類。
う〜ん、ここは駄目かな...(^-^;

せっかくのチャレンジだったが、さっさと見切りをつけてUターンする事にした。。
しかし、こういった場数を踏む事も大切な経験であると私は思っている。


麓まで降りて、先程とは別の河川のそばから新たな林道を臨んでみるも
川原石の地盤上に小規模なヤナギ帯が点在している様な感じ。
乾燥気味で、トノサマバッタが沢山羽ばたいておった。

ちょっと違うなぁ...。


ちょっと勘違いしました...。


この辺は、あまり期待できそうにないねぇ...。

日差しが強くなって
ようやく夏らしく、気温が上がってきたのだが
方々歩き回って、ちょっとくたびれが出てきたみたい...。
寝不足のせいもあるだろう。
とある駐車場の木陰を見つけ、そこで仮眠をとる事にした。。



〜 再び林道へ 〜


若干体力が回復した所で、更に南東へ移動。
また一つ、かなりの標高がある山を見つけたので
林道を彷徨ってみる事にした。

相変わらず導入部は、何のインフォメーションもない細道だった。
しかし、路面が綺麗に舗装されており走りやすかった。
初めは林道というより、農道といった感じである。

侵入して間もなく、左手の河川沿いに良さそうなヤナギ帯が見え始めたので
車内から目をこらして行くと
枝上に黒いコブを発見!
とっさに

「ストップ!」

をかけて、近付いてみたが
ありゃりゃ、カブトの♀だった...(^-^;

しかし、ここはクワガタがいそうだぞ!

直感で直ぐに分かった。
これをきっかけに林の中に潜入すると

ノコノココクワちゃんアカアシがいっぱいいた。

木を揺すればポトポト落ちてくる。

普通種だが、簡単にいっぱい採れるので
とても楽しい♪
では、ちょっとここで時間をとろう。


相棒、しゃがんで落ちたクワガタを拾ってます。

君ならまぁいいんですけど...

あなたは、ちょっとうっとおしいかなぁ〜


そんな中、残念な出来事も発生。
クワガタに夢中になっていると
突如目の前に
ヤツボシカミキリ(未採集)が飛来してきた。
慌てて捕虫網を振りまわしたものの、見事に空振り....
逃がしてしまった...(T-T)(T-T)(T-T)
当然ながら、撮影もしていない...

あ゙ぁ〜、これは痛い。。。
思わずうなり声を上げてしまった。


立入禁止ですが、ほら、目の前のヤナギの横に飛来したんですよ〜(T-T)


とりあえず、クワガタを撮影するため
何頭かにつき合ってもらった。
一部だが、まぁこの様な感じ。


こんな感じでいくらでも... このまま全てリリースですね。


ここへまた来る事があるのかは分からないが
それなりに楽しませて頂いた。
さて、クワガタをリリースして
更に歩を進めてみよう。

あぁ〜、ヤツボシカミキリ...(^-^;



〜 峠越え! 〜


初めは綺麗な渓流が、林道のそばを走っていたので
周囲には見事なヤナギが散見されたのだが
次第に水辺は遠のき
同時に、ヤナギの姿も消えてしまった。

やがて道は、これまでに登った他の林道と同様、砂利敷きに変わり
徐々に細く、険しくなっていった。

それにしても、良く晴れ上がったものだ。
青空が大変綺麗だったが
道は乾いて、若干のホコリが舞い、とても暑い。

延々と続くこの道を、普通車でノロノロと走っていると
何となく、ゴールは遙か遠くにある様な
そんな予感がさせられた。

今まで以上に、この山の規模はでかい...。

体力的に、随分余裕があった、昨日の出発時には
地元にはない自然界の広大さに目新しさを感じて
感動していた筈なのに
いざ、ちょっとでも余裕が無くなってしまうと
絶望に近い不安を抱いてしまうのだから身勝手なものだ...。

いずれにせよ、自然の壮大なスケールの前に
いかに私がちっぽけな存在であるか...と、言う事なのだろう...(^-^;
まだまだ修行が足りない様だ... (^.^ゞ


乾いた道のりですね〜。


とは言え、頭上を見上げれば
若いブナやカエデ類を中心とする広葉樹帯も見受けられる。

クワガタとは縁が遠くなったが
木漏れ日がなかなか綺麗だったので
決して飽きる事だけはなかった。


ああ、木漏れ日が…絶壁上には若いブナ帯が見えます。


林道に入って1時間30分、こんな所に珍しく人工的な小型社を発見。
何となく嬉しくなって寄り道してみた。
多分、誰も寄っていきそうにないし...(^-^;


賽銭箱(ば〜こ)にー!100円玉投げた〜らー!


更に歩を進めて行くと
ちょっとしたきっかけによって

疲労と不安で、下がり気味だった気分が
一気に上昇し始めた。

眼下に、とても綺麗な山々の景色が広がりだしたのである!( →ほんと、私は単純だ...(^-^; )

まだ山頂ではなかったが、近くにとても眺めがいい平原があったので
そこで記念ショット!

先輩がボルネオで撮影した写真をイメージして
つい私も同じ事をやってみたくなった... (^
.^ゞ
それにしても、捕虫網が小さいなぁ...。


つい先輩の真似をしたくなりました。自然はでっかいですね...。


う〜ん、素晴らしい!
何とすがすがしい光景!
そして自然のでかさなのだろう。
やはり、これまで何年か見てきた視野が、とても狭く、ちっぽけに感じるなぁ...。


その後も更に歩を進め、やがては山頂と思われる場所に出た。
標高は1400m弱。

全く人気が無く、殺風景で虚しい砂利敷の広場には
ポツンと、この道の開通記念碑が建てられていた。


開通記念碑を建てたんですね〜。


一帯の植生は、過去に植林された名残であろう、スギが主体となっており
ムシ採りができそうな環境は乏しく、麓の様子も全く見えなかったため
あまり長居はせず、さっさとこの地を後にした。

とりあえず、ここまで良く来れた…
という達成感はある...(^-^;


やはり、峠を越えていた様だ。
道は淡々と下りに転じ始めた。
しかし、これまでの長い道のりを考えても、まだ半分たらずしか走ってないのだから
腰を据えて、気長に行くしかない。


久しぶりに舗装です♪ガタコ〜ン、ガタコ〜ン♪


山頂付近はNG、中腹は、先程の登り斜面と同様に
若い広葉樹帯が見えてきた。
そして、相変わらず道は乾いていた...。


反対側の斜面も同じような状況です。


ぐねぐねと蛇行する砂利敷の山道を行くと
要所要所、一本のか細い滝を跨ぐ事になる。

滝の流れは一続きだが
何度となくそれを跨ぐ度に
その周辺には背丈の低いヤナギが数本ずつ増えていった。

しかし、クワガタの姿はない。

この山は
ヒメオオ採集にはふさわしくなかったみたいだ。
何と言っても幼虫を育むための、ブナやミズナラなどの巨木が見受けられないのが痛い。


とうとう麓の方まで近付いてくると
いつの間にか道のそばに走りだした渓流の幅が増し
久しぶりに立派なヤナギが群生している場所へ出た。

もはやヒメオオが望めるエリアでないのは分かっていたが
車を降りてクワガタ探しをしてみる。

じ〜っと、ヤナギの幹や枝先を眺めていくと...

おお、いた!


おお!クワガタですねぇ〜。

アカアシクワガタ♂の様です。


やっぱりアカアシクワガタの♂であった。
アカアシでこんなに喜べるなんて...
これだから、シロウトはやめられない...(^-^;
ほれ、あそこにも!


どこにいるのか分かりますか?

ほら、アカアシクワガタのペアです!


ペアを見て
こんなに心が和んじゃうなんて...(^-^;

素敵な事じゃ〜ないですか・笑!


ついでに何本かの枝をビーティングしてみると...

おお!カミキリ!?


ホソカミキリDistenia gracillis gracillis:BLESSIG, 1872


…に含めるかどうか、最近疑問視されているそうだが
ホソカミキリをゲット!
ほんと、どうみても姿形はカミキリですよね...(^-^;

あ゙ぁ〜!

つい逃したヤツボシカミキリの事を想い出してしまった...(^-^;


この山に関わり始めて約3時間が経ち
ようやく反対側の麓へ降りてくる事ができた。

入口と同じく、最後はやっぱり普通の農道だった。
なるほど!あれがゴールのゲートかぁ...(^-^;



あそこがゴール地点みたいです...。


約30kmの長い道のりだったが、その間目撃した車は
登りで追い越されたオーマイ・ジープ、それから下りですれ違ったワゴンの
2台のみだった。

ほぼ素通りで、物理的に得られたものは少なかったが
何というか、この上ない達成感があった。
経験値アップ?みたいな所である。
いずれにせよ、景色はとても綺麗だった☆



〜 栄養補給 〜


何とか麓まで降りてくる事ができ
ホッと一安心したせいか
ド〜ッと疲れが出てきた。

そういや腹も減ってきたぞ...。
そろそろ、エネルゲン補給と行こう!

それにしても、平坦で、広い道路を突っ走るこの開放感はいったい...(^-^;
これまで、何をそんなに押さえ込んできたのでしょうか・笑?


何?この開放感...(^-^;


必死になってコンビニを見つけ、まずはトイレ休憩した。
初めはここで弁当でも買うつもりだったが
同じ敷地内に美味しそうなラーメン屋さんがあったので
せっかくだから食事はそちらでとろう。
とりあえず、アートトラック雑誌(すずき工芸特集)と栄養ドリンクをゲットしてから
ラーメン屋へ移り、焼き肉丼付きのセットを注文した。

ぬ゙ぁ〜…くたびれたよ〜ん。

立ち上がる右隣のおっちゃんから、変なプレッシャーを掛けられつつも
お構いなしに、ぐったりパンダになってしまった...(^-^;

魂が抜けた様に顔を伏せていると、相棒に撮られてしまいました...(^-^;


死にそうだったそうです。


お待たせしました☆

おぅ!来たで〜!
こりゃ〜うまそうだ♪


油こってり!美味そうです♪


餌を目の前にすると、急に元気になってきた!
ブタ肉の脂身が、この上なく体に優しかった...(^-^;

相棒も同じ品を注文していたのだが、同意見。
疲れたら、やっぱ油でしょう!(^o^)

食後、コンビニで買っておいた栄養ドリンクをも注入し
17:50〜18:15まで、車の中で仮眠をとった。。。



〜 もうひと踏ん張り!夜の部 〜


さぁ!エネルゲンを補給した所で
もうひと踏ん張りと行こう。

今晩は、往路で高速利用した道のりを、下道に切り替えて
地元方面へ向け灯下をチェックしていく事にした。

採集しながら、明け方までには家に帰り着こうとする腹である。


昨晩がかなり寒かったので、それに比べれば今宵は若干暖かく感じたが
とは言え、依然として肌寒かった。

土地勘のない地域を、街灯を巡って走り回るのはとても楽しみだが
うまい具合にクワガタは飛んできてくれるのだろうか!?

で、初めは
ひたすら東へ、東へと移動した。

煌々と輝いた明るい街灯を見つける度に、それらを総チェックしてゆく。。
しかし、大きなミヤップ♂やカブトの死骸が見つかるだけで
なかなか生きた甲虫に出逢う事ができない。

“これが現実” というやつか...。やっぱり気温が低すぎるの!?

何度も道に迷いながら、県道を乗り継いで、○市へ突入。
山地の中の、真っ暗な谷間を行くも
期待した割に大した成果が上げられない。

遂に、田畑を背にした街灯下で
ノコノコの♀を発見できれば

いたいた!クワガタだ!

などと、喜びを感じてしまう有様だった...(^-^;
これだからシロウトはやめられない・笑!?


おおぉっ!?

ノコノコの♀じゃないですか〜!( byネズミの物まね(^-^;


迷いに迷った、○市内の郵便局でも
ノコノコ♀、またノコノコ♀。


ノコノコの♀ならいますよ〜。


〜 え゙っ!? また、峠越え... 〜


こんな風に戯れているうちに

何だか今宵も期待できそうにないなぁ...。

という気分になってきた。
樹液が出ている樹が、どこにあるのか分かっていれば話は別なのだが...。
ここは地元ではない。

そして
「明け方までには家に帰り着こう」とする予定を考えれば
この後、進むべき道のりが一本に絞られてしまった。

また、峠越えをしなければならない…(T-T)(T-T)(T-T)

時折現れる、裸電球のショボイ街灯以外は
民家の灯りでさえ視界に入らない闇の林道を
登って、下って…ほぼ直線的に、延々と南下する事になった。

じゃ、まずは山頂を目指して登って行こうか。。。

私は、眠くて×2仕方が無くなり
電源がOFFにならない様に

窓の外ではリンゴ売りー!声をからしてリンゴ売りっ!!

と、カーステから流れてくる井上陽水の曲に併せ
バカでかい声で歌いまくった...(^-^;

せっかく知らない道を走っているのに
ショボイ街灯さえもなくなってしまったので
もはやムシ採りどころではなくなり
ただただ、山頂を越え、再び麓へ降りられるまで
それを待ちわびるかの如く
相棒車のスピードと、歌のテンションだけがあがり続けた...(^-^;

ようやく麓の街灯りが見えてきた所で
これまで走ってきた道のりを地図上で確かめると
直線距離にして約25Kmあった。

良かった×2♪...(^-^;


〜 うつろ×2、高速道路へ! 〜


市街地へ入り、懲りずに迷子になると
精神的にホトホト疲れが出て
すがる思いでコンビニ休憩。 ショボイ...(^-^;

栄養ドリンクと、夏ならではのアイス、スイカバーの他
“眠眠打破” (みんみんだは)なる、大量のカフェインが含まれた
ドリンク剤を購入した。
値段も張るし、こりゃ効きそうだぞ!
しかし、これはとっておき☆
まずは栄養ドリンクで、回復を望もう!

その後も、市街地の中をぐるぐる走り回っている内に、ようやく高速道路の入口を発見!
良かった〜♪
もうこれ以上の無駄足は踏みたくはないよ...。
(ほんと何なんだろう、繰り返し訪れるこの安堵感は...(^-^; )

交差点の信号待ちでは、目前にいたパトカーのプレッシャーからも解放され
(突然サイレンを鳴らし、ギュ〜ン!と信号無視の車を追って行ってしまった・笑)

ようやく、高速道路に乗る事ができた☆
知っている道へ出れば、俄然強気になれる。また開放感がやってきた!
地元方面へ向けて、ぐんぐん車を飛ばした。



04.08.17 (Tue) 晴れ Hill 


〜 ラストスパート! 〜



某インターを降り、久しぶりに馴染みのある道を走る事になった。
随分南下し、更に標高が下がった分、大分暖かくなっている。

「どうする?」

ヒメオオアカアシノコノココクワちゃんと、色んなクワガタを見てきた訳だが
まだお目にかかっていない役者が残っているのではないかい?
後半戦築いてしまったダラダラムードから、何とか巻き返しをはかりたい気持ちも出てきた。

時間はまだ1:00前、これは行くしかないでしょ!... (^
.^ゞ


既に体力の限界と思われたが
ここでとっておきのアイテム、“眠眠打破” の登場だ。
相棒と半分ずつ口に含んだのだが
微量でも、かなり刺激が強く、名前の通り、一気に眠気が吹っ飛んでしまった・笑!

さぁ、最後の〆に、この辺りで知っているポイントを総チェックして
気持ちよく事を終えようではないか!

そんな訳で、まずは細道から。
「根太」にて
ミヤップ1♂


ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♂


次いで、「水浸しヤナギ」では!?
おお!またもや
ミヤップ♂!


この時間帯に、ヤナギの湿地帯に潜入するのはドキドキしますね〜。

ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♂


更には
「ガラスクヌギ」でも1♂1♀と、計3♂1♀を確認できた☆


ミヤマクワガタLucanus maculife moratusMOTSCHULSKY, 1861):♂♀


おっと、あなたも大事な役者さんでした。
忘れませんよ〜!
「A川」では大歯型の
ス〜ジ〜♂!


スジクワガタDorcus striatipennisMOTSCHULSKY,1861):♂


「犬屋」の他、「ダムヤナギ」ではノコノコがいっぱいいた。


ノコギリクワガタProsopocoilus inclinatusMOTSCHULSKY, 1857):♂


最後は「石U」まで戻って〆。

クワガタじゃないけど、彼らだって我々の中では
大事な役者さんです。
灯下に飛んできた
タガメの♀に…


タガメLethocerus deyrollei:VUILLEFROY, 1864):♀


♀の直ぐ近くには、すんごく小さくて
かなり笑わせていただいた、♂も発見。
これで1ペアを確認する事ができた♪


タガメLethocerus deyrollei:VUILLEFROY, 1864):♂


高速を降りてから確認してきた、これらクワガタやタガメ
全て手をつけずにそのまま放置。

わざわざ体にムチ打ってまで、何のために
この様な寄り道するのか、私自身良く分からないが

ただ、彼らが今日も健在で、この土地に “息づいてくれている事 ”
それさえ確認できれば、単純に安心できるのである。


それでは、多くのクワガタのご登場により、気分もすっかり盛り上がった所で
そろそろ家路につこうではないか。

とても長かった初の採集遠征。
最後は地元で〆て、予定通り夜明け前、3:50に帰宅する事ができた。

車から少しずつ荷物を降ろし
風呂にも入らず自分の部屋へなだれ込み、4:30には深い眠りについた...。

いやいや、ご苦労様でしたぁ〜☆



〜 後記 〜

ネットや文献など、多くの資料に記されている通り
遺伝子レベルで見ても、国内では最も近縁とされる
高山種のドルクス属、ヒメオオとアカアシだが
今回の山地生ヤナギの採集行を通して
両者の生息環境が標高的にも随分違う事が
改めて感じられた。
ヒメオオは山頂付近のブナ帯が必須であり、アカアシは麓へ行く程個体数を増した。

ヒメオオがいる所に、アカアシがいる可能性はあるが
アカアシがいる所に、必ずしもヒメオオがいる訳ではない…

そんな所か...(^-^;
これは地元でも同じ傾向である。

ヒメオオの幼虫は、アカアシと違い多年1化型なので
冬季の寒さを凌ぐため、生に近く太くて固いブナの材芯に潜り込み
ゆっくりと時間をかけて材を消化していく習性があると言われている。
(目が細かく、高密度の糞を坑道に詰め込んでいくのも上記説明根拠の一つらしい。)
それ故に、標高が高い位置に生育するブナ帯を好む事も
今回、他県へ出る事で再認識できた。


それにしても
ワクワク、 ドキドキ、 ヒヤヒヤ、 ヒィヒィ、 ホッ!…の連続で
ドタバタはしたが、今後いい想い出になるであろう
とても楽しい採集行だった☆

ちょっと後半戦は、手も足も出せず、ダラダラと間延びした感はあったが
トータルして考えてみれば、4つの山の頂を目指し
初めに揚げた目標も、充分に達成できたので
第一回目の遠征としては、上出来だったのではなかろうか!?

後日落ち着いた所で
もう一度、今回一番の成果を撮影してみた。
う〜ん、やっぱ
ヒメオオってステキだな〜☆



ヒメオオクワガタDorcus montivagus montivagus:LEWIS, 1883):♂


〜 主な確認種 〜


●水生半翅類 : カメムシ目コオイムシ科
 タガメ 111
●ホソカミキリムシ科
 ホソカミキリ
●クワガタムシ科
 ヒメオオクワガタ 12♂♂ ♀ (1♂1♀のみ持ち帰り。)
 アカアシクワガタ 1n
 スジクワガタ 11
 コクワガタ 1n
 ノコギリクワガタ 1n
 ミヤマクワガタ 13♂♂♂ 1





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