採集履歴

“2004年 師走” 編 (5)



04.12.19 (Sun)
 Mt 「今年も、〆は山で」 
                                                                                                  

朝4:40に実家へ帰宅した。
今日は2004年最後の採集チャンスとなるため
是が非でも出かけておかなければならない。

そんな思いがあって
午前中の内に、1時間のトレ、朝食を済ませ
いい加減明日にはUPさせたい夏期の遠征に関する採集記を概ね仕上げ
12:00には車に乗り込んで出発していた。

とは言え「気合充分」、そんなテンションではない。
それもその筈で、今回は(毎度の事ながら?)
目標とするムシさえ特に決まっていないのだ。
(ここの所、タナゴ捕り、およびその飼育にハマっていたもので... (^ ^ゞ )

とりあえず、つまらない使命感なども一切抜きにして
あまり時間はないが、のんびりと、ブナのある山へ行ってみたい。
空は良く晴れ上がったし、高山帯の美味しい空気を沢山吸って
少々早いが、2004年を〆くくってこようと思う。

ただただ、これが私の中での自然な流れなのである。


〜 山へ 〜


考えてみれば今年は、まさにヒメオオの年であった。
ただ、だからと言って

「ヒメオオ、ヒメオオ!」

と、やっきになって走り回ってきた訳ではないが
冒頭にも記した様な自然な流れの中で
ふと、機が訪れた時に(決めるべき時に)、採集する事ができて
とてもラッキーだった。

そして目標を達成した現在は
その想い出をいつまでも大切にする為に
今後とも、ゆったりと構えながら採集を楽しんで行きたいと考えている。


で、しばらく走って某山の頂付近に到着した。 …14:20。

さて、どの辺で腰を下ろそうか...。
ちょっと考えた末
今日はちょうど1年前に訪れたエリアへ、久しぶりに足を踏み入れる事にした。
クワガタの存在はやや薄いが
なかなか風景が良く、好きなポイントである。
以前と変わりはないだろうか??

移動中、何気に山道横を見やると
いかにもヒメオオが入っていそうな材を発見。

昨年は全く気付く事ができなかった材に
今年は自然と目が向くようになっていた。


気になったので
軽く表面を削ってみると
あっさりとヒメオオの食痕が現れた。
おそらく、カチンコチンの材芯部分には幼虫が潜っているのだろう。。


すぐに食痕が出ました。


この様に、この山のみならず、地元には
ヒメオオが生息できるだけの環境がかろうじて残されているようだ。

しかし今夏、県外の幾つかの山へ登り
幼虫を育む事ができるブナ材の条件を
多少なりとも勉強してきたが
それを踏まえると、明らかにここは
他と比べ材が乏しい。

今更遅いが、そんな事にもようやく気付いた。
ちょっと情けない...。


暫く走って、目指してきたエリアへ辿り着いた。
山道からの導入部は、クマザサの背が高かったので
ガバガバとそれらをかき分けながら前進。

そして、1年前に訪れた場所へ帰ってきた...。
標高は900mぐらいだろうか??

起伏に富んだ台地上に
若いブナが散見される。


この谷は〜、いつか来た谷♪


う〜む...
辺り一面、本当に綺麗だ!
何とも言い難い、清々しさと感動がある。

傾斜地に立ち、早くも沈みゆく太陽をバックに一枚☆


今日は、山の中で夕陽を見ました...。


昨年春に見た立枯材は
若干細くなったような気もするが
未だ健在だった。


よくもまぁ倒れないでおりますねぇ〜。


相変わらず
ルリの産卵マークがこれでもかといわんばかりに
沢山付いている。


ルリクワガタの産卵マークです。


この他、やはり昨年春に見つけておいた赤枯材を
手でボロッと崩すと
すぐにツヤハダクワガタの幼虫が顔を覗かせた。
成虫の標本がないので
暖かくなったら、是非分けてもらおう♪


ツヤハダクワガタCeruchus lignarius lignarius:LEWIS, 1883)の幼虫です。


いるべき小型種は一通りいる様だ。
いいね〜♪


そうそう、クワガタの事ばかり書いてきたが
今年は、水棲昆虫に加え、カミキリムシを集め始めた。
とは言え、まだまだ駆け出しであり、振り返れば、納得のいく採集はできていない。

来年はここでも何目かおさえておきたい所だ☆
これだけの環境が残されているのなら、たやすい事だと思う。


ぬぉ〜。。。
土砂崩れか何かで、根こそぎぶっ倒れたブナも健在(?)であった。
こんな状況でも依然として生きている。


元に戻してあげたいけれど、ちょっと無理です...。

根っこの方からも一枚。


見事な倒れっぷりだが、この上ない生命力を感じざるをえない。
そこに感動してしまう。


50m程離れた所から、夜景モードでまた一枚...。
けっこう急な傾斜地だ。


シャッター速度を落としてもう一枚...。


傾斜地に踏ん張って、辺りの撮影ばかりしていたら
あっという間にタイムアップ... (^-^;
真っ暗になる寸前であった。 …16:30。

わずか2時間ほどの短い滞在であったが
平野部で暮らしている私にとっては
非日常的な空間に包まれて
本当に心が洗われた。

これまでにも幾度か訪れ、目にしてきた光景である。
されど、決して飽きる事はない。

今年もまた、最後にここへやってこれて良かった。



〜 後記 〜

陽が暮れていく速度が非常に早く
これはヤバイ!と足早に車の方へ戻った。
冬季なので、懐中電灯などは持ち合わせていない。

本日の持ち帰りは何もなし。
しかし充分に満たされた心持ちで
約2時間30分をかけて、のんびりと帰宅した。

最後に、来年の抱負を強いてあげるとするなら
クワガタに関しては、次はヒラタだろう。
そして、優雅にカミキリムシを採ろう!
いずれにせよ、これら採集行は全て私なりの自然探求なのだから
これからもマイペースで、少しずつ楽しんで行きたいと思う...☆


〜 主な確認種 〜

●クワガタムシ科
 ツヤハダクワガタ 幼虫数匹





※採集記目次へ