採集履歴

“2005年 春のカミキリ採集” 編(1)



05.04.24 (
Sun) Plain 「実家の周辺から再出発」 
                                                                                                  

とても暖かい。

心地よい陽気に、ほっと一息をついていたら
ここ暫らくの疲れが一気に出てしまった... (^ ^ゞ
なので、本日はちょっとばかり体調が優れない。

しかし、素晴らしい太陽の恵みを受けられるこの瞬間に
家の中でぐったりしているのは、やはりもったいないので
近場でもいいから、散歩に出かけてみたいと思う。

先日は、カミキリを求めて山へ登ったが
春の兆しは見えたものの
まだまだ風が冷たく
ムシ自体、皆無だった。

それなら今日は、幾分暖かい平野を彷徨ってみよう。

運が良いことに、私の実家周辺は
ムシ採りを楽しむことができるだけの
自然環境がまだまだ残されている。

昨夏には、子供の頃に遊んだ庭先や、裏山で
アトジロサビカミキリや、トガリシロオビサビカミキリなどを
採集することができた。

幼少期は、いつもクワガタばかりに目が行っていたが
歳を重ねてから改めて地元の里山に入ってみると
色々なムシが生息している事を再認識させられるから面白い。

山地では思わずフライングしてしまったが
平野部はどうだろう??
もう5月目前故、多少なりとも手応えが欲しいところだ。


~ いるじゃん! ~


早速、昨年弟が制作したビーティンググッズを持って
玄関を出れば、わずか2分で到着できる裏山へ...。

まぁ、山と呼べる程の土地ではないが
傾斜地に、クリ林や、多少の花樹がある。

昨夏、ここのクリの樹からは、葉っぱを食している
トガリシロオビサビカミキリを得ているが
当然この時期は全く葉がついておらず、本日はスル~。

クリ林をくぐり、開けた斜面の上方へ目をやると
パッ! と綺麗な白い花を咲かせているリンゴの樹が目に留まった。

これは要チェックでしょう!


あそこへ吸い込まれてみましょう...。


春先、カミキリムシは、後々の産卵に備えて
栄養を摂取すべく花に集まるという。

従って、この時期に産卵場所の一つとなる材置き場を
巡るのはナンセンスという事になるらしい。

しかしながら先日の私は、まだまだ空気が冷たい山地へ赴いたにもかかわらず
ついつい材置き場が気になって、チェックしまくってしまった。

あまいのぅ... (^-^;

で、早速花のついた枝を叩いてみる。

あや!?

コガネムシぐらいは入ってほしいと思っていたが
幸先良くオトシブミ科のチョッキリが入ってきたぞ。

う~む... モモチョッキリ。
果樹園における害虫だが、結構沢山いる☆


モモチョッキリRhynchites heros  Roelofs, 1874


とりあえず、この時期にこうした甲虫を見る事ができたのだから嬉しい限りだ。

引き続き、何度かビーティングを繰り返していると...

むむむ!?

はぁ... やったぁ~♪

青空の下で一人、小声で囁く... (^ ^ゞ

めちゃ×2 小っちゃいけれど
お目当てのカミキリムシ科にも出遭う事ができた。
まぎれもなく、トラカミキリの仲間だ!


ピンボケですが、小っちゃなトラカミキリ。 とてもすばしっこいです。


それにしても、動きが速い速い!
アリんこみたいに、実にせわしない!
一生懸命写真を撮っていたら

あ...

飛ばれてしまった... (T^T) (T-T) (T^T)

“採る前に撮る”
カミキリムシのこれは、失敗が付き物と
昨年の苦い経験から充分に認識してはいるものの
しょっぱなから、いきなりやってしまった... 無念。。。

しかし、とりあえずカミキリムシも活動を始めているようだ。

こうなっては、私以上に体調不良を起こし
家の中でぐったりと眠っている弟とは言え
知らせてやらねば、マズイだろう。。。



~ 今度は手堅く! ~


とりあえず、いったんは家に戻り
ぐっすり寝ている弟に、デジカメで撮った
チョッキリとトラカミキリを見せて、やる気にさせる事にした。

おいおい、ちょっとこれ見てみ!

すると、 “なぬっ!?”
とばかりに、ゆっくりと体を起こし、デジカメで撮ったトラカミキリを確認する弟...。

体調不良のくせに
あっさりとエンジンがかかってしまった様だ。

それでは、行ってみるか!


一頭いれば、まだ他にもいるはずだ。
再び先程のトラカミキリを発見したリンゴの樹の前に立ってみる。

ん? もしかしたらナシかな??
双方非常に近縁なだけに見極めが難しい。
いずれにせよ、バラ科には違いないが
今後は植物図鑑も必要になってくるのだろうなぁ~。


真っ白な、リンゴ ( ナシ? ) の花です。


で、早速、ビーティングを開始する重病人...

ありゃりゃ?
せっかく自分で作ったビーティング用のネットは用いず
ビニール傘を逆さにして受け皿に使ってるぞ... (^-^;


なるほど... 傘の方が、効率良いかも!?


しかし、なるほど。
こちらの方が的確に、ムシをキャッチできる模様...。
ハムシ類、テントウムシ類などが沢山落ちては入る。

この様に枝を数回叩いていると...

むむ!?

来た~っ!(>_<) (>_<) (>_<)

これこれ、さっき逃げられたやつ!

すんごい小さいので
潰さないように軽く指でつまんで
今度は、しっかり容器へ移してから撮影だ。
やっぱり、確実な方がいいや... (^-^;



ヒメクロトラカミキリRhaphuma diminuta diminuta BATES, 1874


やったやった、未採集種だ!
その後は追加できなかったが、また一種類、トラカミキリのコレクションが増えちゃった♪

ちょいと展足が大変そうだが
ふっふっふ... 頑張っちゃお~!(^~^) v

続いて、この花はどうかな??


気になったら、叩いてみると良いそうです。


とてもいい臭いを放っていたが
これは駄目...。
思いの外、ムシは少なかった。
しかし、気になったらとりあえず叩いてみるしかないっ!


とてもいい香りを放っていたのですが...


ヤブツバキの葉の上では、こんな光景も...。
蜘蛛がダンスを踊っている。
春だね~♪


両者の飛び跳ねる動き、面白かったですよ!


更にグミの花には...
うぉ~、色んなムシがいる模様。


ムシは沢山いましたが、カミキリは不在でした。


これは、ヒメカメノコテントウですな。
因みにこの辺りには、カメノコテントウは棲んでいない。
昔、この子を見ては、カメノコテントウに憧れた時代が懐かしい。


ヒメカメノコテントウPropylea japonica THUNBERG, 1781


う~ん、注意してみると沢山のムシがいるもんだな~。
家の周囲でさえ、これだけ楽しむ事ができたのだから
ちょっと車で、お出かけしてみよう。



~ もう一丁! ~


ポカポカとした陽気の中を、心地よく車で流してみたが
思いの外、花が咲いている樹が少ない。
色鮮やかに、咲いていたかと思えば
それは全て、民家の敷地内に植えられた庭木である。
かなり惹かれるが、それらを叩く訳にはいかない... (^-^;

町内を、北から南へ流れる長~い川沿いに開けた
広大な田んぼの縁には、クヌギ・コナラ群落の林が延々と連なっている。

林に沿ったあぜ道を、私が昔卒園した保育園の方へ向けて流して行くと...

おっ、咲いてる!

自然下で、花を咲かせている樹を見つける為に、これほど手こずるとは思わなかった。
ようやく、ビーティングするには手頃な樹に出会えたぞ☆


これなら行けそうですね!


花のついた枝の位置が少々高かったので
長い篠棒を用いて、つま先立ちしながら叩いてみる。
すると... うぉっ? (@_@)

ふっふっふ… また来ちゃった♪

ありがとうございます☆
再びトラカミキリの仲間だ!
今度のは、大きさもそこそこあって
いかにもと言った感じ。

グレーと黒の配色から、既に採集したことのある種かと思われたが
よく見れば、この文様は写真でしか見たことがない...。
胸部には黒ポチが2つ...

間違いない、トゲヒゲトラカミキリだ♪


トゲヒゲトラカミキリDemonax transilis BATES, 1884


お散歩感覚で玄関を飛び出してから、わずか2時間...
これで未採集のカミキリを2種類達成することができた。
普通種とは言え、初心者にとっては貴重な手応えである。


この子をしっかりとルアーケースにしまい込み
更に車で移動すると
やがて保育園が見えてきた。

保育園や小学校などの広い校庭には
春に花を咲かせる樹が沢山あるのではないかと
けっこう期待していたのだが
どうやら見当違いだったみたい... (^ ^ゞ

そして、のどかだったあぜ道は、コンクリート舗装に変わり
最終的に小さな市街地へ抜けた。
う~ん、この辺でお開きかな。。。

まだ充分に明るいが
本日は夕刻までに千葉へ帰って済まさねばならない用事がある。
もう少し遊んでおきたい気持ちは否めないが
本日は、充分に知り尽くしているつもりだった実家周辺で
春期における新しいムシの採り方と、その楽しさを知る事ができのだ。

満足である♪



~ 後記 ~

今回は、ヒメクロトラカミキリ、トゲヒゲトラカミキリの2種類を確認することができた。
今頃?と思われる普通種かもしれないが
私にとっては、いずれも未採集だったので素直に嬉しい。
初心者にとっては、入門編ということで調度良かったのかもしれない。
また、何よりも家の近所で、新しい視点を持ってムシ採りを楽しめたことが新鮮だった。

ビーティングによるカミキリ採集の経験は、まだ乏しいので
今後、もっともっとその醍醐味を味わってみたい。

これから更に暖かくなり、より自然度が高いフィールドへ飛び込んだ時には
いったいどんな展開が待ち受けているのだろう??
家の近所でさえこれだけ楽しめたのだから
それはきっと、想像を絶するものとなるに違いない。

春のカミキリ採集の “ つづき ” を、早く見てみたくなった。


~ 主な確認種 ~

●カミキリ亜科
 ヒメクロトラカミキリ ×1
 トゲヒゲトラカミキリ ×1





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