採集履歴

“2005年 春のカミキリ採集” 編(5)



05.05.14 (Sat)
 Mt, Hill 「もういいかい?」 
                                                                                                  

カミキリの採集意欲が沸々と湧いてくる。

暇さえあれば、勤務校の図書室にある図鑑や
ネット情報、外の景色を眺める日々を送っている。

今の私にとっては、採れるカミキリの全てが普通種だけれど
どれも目新しく感じられるものばかり...。
因みに県内では、現在229種類ものカミキリムシの生息が報告されているそうだ。

つまりこれは、未知の世界への扉を開く楽しみが
まだまだいっぱい残されていると言う事だろう☆

しかし、そんな気持ちとは裏腹に
待ちわびていた週末は
とても薄暗く、肌寒い。

それがちょっと気がかりだが
とは言え、あれから3週間が経っているので
さすがに、そろそろいいんじゃないかなぁ... という気がする。
という訳で、本日は以前フライングしてしまった北部の山へ
再び出かけてみたい。

やっぱり山地は魅力的なのだ☆

果たして今日も、未採集のカミキリムシを得る事ができるだろうか??


〜 寄り道しながら 〜


11:50に、家を出発。

いつもは軽くスルーしてきた道のりも
視点がカミキリ一色に固まれば
随分と違った景色に見えてくるものだ。

近所の杉林を抜ける途中、ポッカリあいた陽だまりを見つけたので
寄り道してみた。

道路横に生えていた植物がちょっと気になったので
覗いてみると...

う〜む... トゲヒゲトラカミキリ

今日も逢えましたね〜♪


トゲヒゲトラカミキリDemonax transilis BATES, 1884


普段は、動きがたいそう俊敏で、シャッターチャンスが少ないカミキリだが
今日は気温が低いためか、とてもだるそう...。
撮影時には、とてもお行儀よくしていてくれた。

お利口ちゃん☆

それにしても、毎回毎回、色々な植物についているものだ。


さらに歩を進めること10分。
スギ林を背景にした、ミズキの花樹が気になった。
白い花は要チェックである。

ふむ... 思った通りハチやアブが、ぶんぶん飛び交っているぞ。
先輩流に言えば、凄い“集虫力”である。


予想通りムシが沢山湧いています。


しかし、甲虫でいたのは
ハムシ類と、こいつだけ。

ジョウカイボンは、カミキリムシではございませぬ。。


-ジョウカイボンAthemus suturellus MOTSCHULSKY


陽当たりも良く
カミキリが見つからないのは不思議なくらいの好環境だったのだが...
バックアップしている林がスギ一色だからだろうか...??



〜 まだでした? 〜


寄り道はこれくらいにして、一気に北上。
予定通り、3週間ぶりとなる山の麓までやってきた。

昼食を調達してから高度を上げようと
コンビニへ立ち寄り、車のドアを開けてみると

あらら...

先程よりも、また一段と涼しくなっていた... (-_-;

同じ県内とは言え
北と南では、こうも違うんだものなぁ... (^-^;

これから山を登れば、更に気温は下がる事だろう。

う〜ん、 弱ったなぁ...。

しかし、今更引き返すことはできないので
やはり、前進あるのみですな☆

不安を抱きつつも、通い慣れた林道を走っていくと
やがて周囲には、いつもの美しい景色が流れ出した。



山河とは、美しいものです。


山の中腹まで来ると、水際に、ムシが良く集まるカエデの樹が目立ち始めた。
よし、この辺でいったん様子を見てみよう。

うへぇ〜、寒いっ!... (^-^;

いてくれるだろうか? カミキリムシ...。
半信半疑でカエデの枝をビーティングしてみると...

おや? いたいた!

しかし、またもやトゲヒゲトラカミキリだった... (^-^;
枝を叩けば、いくらでも採れるといった感じ。
県内各地で大発生だ。
それから、ゾウムシ、オトシブミ類が沢山いた。

…にしても、トゲヒゲ以外のカミキリには、なかなか出逢う事ができないなぁ... (^-^;

ここの気候と発生時期の兼ね合いを考えれば
無理もない事なのだろうか??

更に高度を上げれば、空気がより一層冷たくなるのだろうし
ここで引き返して、麓での採集を楽しもうかと、幾度も迷いが生じたが

それではここまでやって来た意味がないと
一気に山の上方部まで駆け上がってしまった... (^ ^ゞ


数十分後、山頂付近に到着。

のっぺりとした平坦な地形が特徴の我が県内では
明らかに山地の部類に入る標高があるのだが
ここの雰囲気は、平野部にある、小高い山間に入り組んだ湿原地帯と言った感じ。
それも非常に広大だ。

さて、早速周囲の散策に入ろう。

あれ?

車のドアを開けてビックリ。。。

結構暖かいぞ!...(@_@)

麓と違って、まだまだ緑が少なく
芽吹いたばかりの樹が数多く見られる状況だが
明らかに山の中腹部と比べ
空気が生暖かく感じられた。

どうやら今日は、このエリア特有の気候が生み出されているらしい。
これならムシも活動できるだろう。

ふと遠方に目をやると、休耕田の縁にはモモの花が真っ白に咲いている。
山一面を見渡しても、まだ殆ど花が咲いていないので
これは行けるかもしれない。


あのモモの樹は、魅力的ですね〜!


いそいそと、モモの樹のそばまで歩み寄ると
いきなり付近で休んでいた野良犬に、ギャンギャン吠えられてビックリしたが... (^ ^ゞ
そんな事などお構いなしに、ビーティングを開始した☆

ぬぉっ!? いきなり何か落ちたぞ?

まっ赤っ赤だ...。

最近私は、ベニコメツキしかり、ベニボタルしかり、赤色のムシを見つける度に

“真っ赤なドレスの君に〜♪(by 荒木一郎)”

などと、とっても古くて、誰も知らない歌詞を口ずさんでしまうのだが
今回は、ようやく来てくれたかぁ... という安堵感が先に立って
そんな冗談まじりの鼻歌など一切出てこなかった。

ピック!?

違う違う♪

アカイロニセハムシハナカミキリだった。

やったね☆
未採集種が採れたぞ!


-アカイロニセハムシハナカミキリLemura nishimurai SEKI, 1944


腹部が四角くて、ボリュームがあり、実に面白い体型をしている。
これも、れっきとしたカミキリムシだ。

それだけでは終わらない。
更にはこんな子も入ってきた!


セスジヒメハナカミキリPidonia amentata amentata BATES, 1884


やった!
セスジヒメハナカミキリ
これも未採集種である。
黒の字にオレンジ色のラインが、なかなかカッコいいではないか!

2人とも、かなりのチビ助だが
今日も何とか、持ち帰るべき個性的なカミキリが採れた♪

ここまで苦戦していただけに、正直嬉しい☆

しかし、後で弟から聞いた話だが
犬に吠えられながらも、構わずにビーティングしていた私は

山の中にポツンと建っていた一軒屋から
何事かと慌てて飛び出てきたお年寄りに
不安な顔つきで見つめられていたという。

ご迷惑をおかけしまして、済みませんでした...m(__)m

それにしても
「気になったら叩くべし!」
これは正解であった。



免許証を持って、移動☆


その後、山の中の林道を一通り巡回してから
一気に高度を下げ、そして南下することにした。

先程のエリアにて、肌で感じた暖かな気候は
やはり局所的なものだったようだ。

ちょっと場所を変えれば、気温は12℃...
葉が生い茂っておらず
花などは滅多に咲いていない。

この状況下で、未採集のカミキリムシを2種類も追加できれば
今日のところは恩の字だろう。
ラッキーであった...☆彡

途中、コンビニへ寄って
非常に懐かしいおまけ付きのガム(カバヤ食品(株))を買い
結構レアな “なめ猫免許証” をゲットして満足しつつ
「Sきょく」方面へ向かう事にした。

まだ陽差しは残っている。
もう1ラウンドぐらい行けそうだ。

-因みに、これがその免許証。
-懐かしいでしょ(笑)!?




最後の最後で!


時間をかけて、「Sきょく」へ到着。
何とか陽が沈む前に、ここへやってくる事ができた。

日中、少しずつ気温が上がっていたのだろう。
やはり、この辺まで降りてくると、ぐっと暖かくなった。

せっかくなんで、軽く水辺をチェックしてみたが
タガメさんは、お留守の模様。

まぁ、どこかには確実にいるのだろうけどね...。


で、以前トゲヒゲトラカミキリを沢山確認した
ウワミズザクラの下へ再び訪れてみた。

もう、花は全く残っていない。

しかし、念のため叩いてみると...


気になったら叩きましょう!


やや!?

ポトリポトリと2、3頭のカミキリが落ちてきたぞ...
落ち着いて、そっと受け皿の上を覗いてみたが

残念、またもやトゲヒゲトラカミキリだった... (^-^;

それにしても、さすがだね〜。まだいたかぁ〜。


しかしその後、じ〜っと枝先、葉の裏表を眺めていくと...

およ? またカミキリ!?

だよね、間違いない。 これ、先日弟が捕まえてきた
シナノクロフカミキリだ!


-シナノクロフカミキリAsaperda agapanthina agapanthina BATES, 1873


う〜ん、死んだフリをしているのだろうか?
葉の上にとまったまま、短い足を縮めて硬直している。

これはチャンスと、バッチリ撮影させて頂いた♪

しかしその後、指先でつまもうとすると、突然慌てて動き出した。
あれ? 死んだフリをしていた訳ではなかったのだろうか... (^-^;

不思議な子だね〜。

動き出したところで、カミキリらしい写真をもう一枚。


フトカミキリ亜科は、好きなんですよ☆


ほら、小っこいけど、カッコいいでしょ!?


そうかそうか、この辺りの丘陵地では
日中にカミキリムシが随分活動していたんだなぁ。。

少しずつ、そんな気がしてきた。

もし本当にそうだとするなら...!?

う〜ん、俄然やる気が湧いてきたぞ!

陽が随分傾いて、相当暗くなってきたが
もう一頑張りしてみよう。
エキストララウンド、スタートだ!


そんな訳で、最後に選んだのはこんな所...。



夜景モードで、シャッター速度を遅くし撮影しました。


左の方に、スイカズラ科のオオデマリ。。
右手にはフジの花が見える。
実際は、真っ暗だったが
デジカメを夜景モードに設定し、シャッター速度を落として明るく撮影してみた。

真っ白なオオデマリの花は
まるでお花畑のごとく、薄暗い林の中まで延々と連なっていた。
山地とは大違いだ... (^-^;

時間がないので、足早に一株一株の花をチェックしていくと
突然真っ白な花の上に、くっきりと真っ黒いカミキリムシが浮かんでいるのが見えた!


明らかにカミキリムシがとまっています!


よっしゃ〜!
またも未採集種だ♪

そっと摘んで、眺めてみる...。

ハナカミキリの仲間だという事は一目瞭然だったが
いったい何カミキリというのだろう??

後程、るどるふ先輩に相談してみた結果
ムネアカクロハナカミキリである事が判明した☆


ムネアカクロハナカミキリLeptura dimorpha BATES, 1873


この子の場合、頭の先から、尻の先まで真っ黒だが
名前の通り、胸部が赤い、オーソドックスな奴もちゃんといる様だ。


そして、これだけではない。
こんなカミキリムシもゲット!
細〜〜い体型が特徴的なので、そのまんま
ドウボソカミキリと言うらしい☆

残念ながら触角を1本失っているが、本日4種類目の未採集種となった。
因みにこれも、フトカミキリ亜科である。


ドウボソカミキリPseudocalamobius japonicus japonicus BATES, 1873


更には、先程も登場したシナノクロフカミキリもゲット☆

うしゃしゃ♪

わずかな時間ながら、とても心が弾んでしまった!
満足である。


しかし、ふと気がつけば...

あちゃ〜 (^-^;

立て続けに色んなカミキリムシと出逢えたもんで
つい夢中になっていたら、本当に真っ暗になってしまったぞ... (^ ^ゞ

さすがにもう、試合続行は不可能である。

ふ〜っ、出だしが随分と不調だったが
何だかんだ、着々と成果を上げて来られたのではないかい??

ちょいとバタバタしたけれど
待ちに待った週末の一日目は、とりあえず納得の行く形で幕を閉じる事ができた☆



〜 後記 〜

19:45に帰宅。。。
今回の収獲は
アカイロニセハムシハナカミキリセスジヒメハナカミキリムネアカクロハナカミキリ
を含む5種類となった。

初めは気温が低くて、先行きが心配されたが
陽が沈む直前に滑り込みで3種類を追加するなど
結果的には、割と好成績だったのかもしれない... (^ ^ゞ

ただ、北の地はもうちょっと時間をおいた方が良いのかも!?

ムシは、気温の変化にとても敏感だからねぇ...
とりわけ日中の活動を中心とする子らは。。。

日によって気温が高いエリアを予想し、そこを追いかけるのは
なかなか難しいなぁ...。

そんな訳で明日は、緯度、高度とも若干落として、丘陵地の続きと行こう... (^ ^ゞ
エキストララウンドは、なかなか心躍らされた事だしね...☆



〜 主な確認種 (持ち帰り頭数) 〜

●ハナカミキリ亜科
 アカイロニセハムシハナカミキリ ×1
 セスジヒメハナカミキリ ×1
 ムネアカクロハナカミキリ ×1
●カミキリ亜科
 トゲヒゲトラカミキリ
●フトカミキリ亜科
 シナノクロフカミキリ ×3
 ドウボソカミキリ ×1





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