採集履歴

“2005年 春のカミキリ採集” 編(7)



05.05.21 (Sat)
 Mt, Hill 「気になる林道へ」 
                                                                                                  

晴れた!
文句のつけ様がない採集日和である。

一刻も早く家を飛び出したいと、焦る気持ちを抑えながら
午前中にやっておかねばならない
カミキリの展足を手際よく切り上げ
本日は11:30の出発となった。

行く先は、最近気になっている某林道方面である。

目的地周辺の地理は、水棲昆虫探しの際に
随分予習してあるので、概ね把握しているつもりだ。
ただし、カミキリ的な視点で訪問するのは、実はこれが初めてとなる。

やや交通の便が悪いが、それだけ自然豊かな場所であるとも言え
期待できそうだ。


〜 また、寄り道しながら 〜


家を出てすぐに、Uさんちのコンビニ辺りで
道端の畑の向こうに見える
ミズキの花が気になった。
因みに、バックアップしているのはクリ林。


これは、何かいるでしょう!


予想通り、ムシがワンワン湧いている枝を
軽くビーティングしてみると
いきなり、
ホタルカミキリが落ちてきた。

今更と言われてしまいそうだが、未採集である。
... (^ ^ゞ


-ホタルカミキリ
-Dere thoracica
WHITE, 1855



うん、いいね♪
幸先いいぞ。

とりあえず、ホタルカミキリは、実家周辺に棲息している事が確認できた。


では、いざ目的地へ... 先は長い。

久しぶりに訪問するエリアなんで
普段通いなれてない道を、あえて選択しながら歩を進めよう。

「OB」こと、スジクワポイントの手前で、いつもなら直進する交差点を
今日は右前打してみた。

初めは、採集には全く無縁の市街地へ入り込んでしまったが
そこはやはり田舎だ。
裏手に入れば、すぐに辺り一面緑と化した。
さすがである。

う〜ん、ミヤップがいそうなところだなぁ...。

完成して間もないと思われる
小綺麗で広い通りを軽快に飛ばしていると
いかにもと言える様な光景が目に飛び込んできた。

クヌギを主体とする雑木林だったが
こんな樹がいっぱい見え隠れしている。


夏になってからのお楽しみですね。


洞などは、さほどあいてないが
真っ黒な樹液跡がいたる所についており
おそらく夏になれば
この近辺の子供らが、クワガタを採りにくるのだろう。
それが目に浮かぶようなポイントである。

概ね、
ミヤップス〜ジ〜が中心で、ノコノコは少数派と言ったところか。。。
私も近くへ来た際には是非立ち寄らねばならんなぁ...。
地元とは言え、まだまだ知らないポイントは数多く残されているようだ。

しかし暫らく行けば、すぐに見覚えがある交差点へ合流。
なるほどねぇ〜☆

また、繋がった。
新しいコースを覚えたぞ。

この道は〜、いつか来たみ〜ち〜♪



〜 林道 〜


で、とうとう目指してきた林道の入口手前までやってきた。

いざ、ゆかん!

いや、ちょっと待て。 ...(^-^;

車窓からふと見ると
渓流沿いの、とても陽当りがいい広場に
またもミズキの花が咲いている。
これをチェックしてから行こう。


ここも気になりますね...。


気になっちゃったら
叩いとかんと!

この教訓は正しい。

サクっとビーティングしてみると
いきなりシャア専用モビルスーツ、
ベニカミキリが落ちてきた。

以前、この様な表現を拝見させていただいた事があるが
とても分かる様な気がする。... (^ ^ゞ


-ベニカミキリ
-Purpuricenus temminckii
GUERIN-MENEVILLE, 1844



これに気を良くして
更にビーティングを続けると

トゲヒゲトラカミキリ
いくらでもと言った感じでボロボロと落ちてきた
全くと言って良いほど空振りがない。

更に葉の上では
ここの所、必ず登場している
シナノクロフカミキリが休憩中だった。


休憩しているカミキリムシは...??


とってもお行儀が良いので、顔も撮っちゃえ!


-シナノクロフカミキリ
-Asaperda agapanthina agapanthina
BATES, 1873



どうやら今日は、カミキリムシが大発生の予感♪
これは林道へ入り、標高を上げても
いい線いけそうだぞ。

予行練習はこのぐらいにして
さっさと突入してしまおう。

あまり目立たない入り口から
少しずつ標高をあげ、屋根の尾根線を目指した。

喉かな所だねぇ〜 ここも。

ややや!?
あれに見えるは...


茶摘みじゃないですか〜!


そして、林道沿いには、どこもかしこもミズキが満開。

しかし、林道から手が届く所には
殆ど生えていないのが悲しい...(^-^;

これは、ようやく目の前に現れたもの。





しかし日陰にあって
ムシがあんまり集まってない。
麓では、あんなにフィーバーしていたのに...。
寂しいものだ。...(^-^;


ある程度、高度を上げたところで写真を一枚。

知らないうちに、結構登ってきたんだなぁ...。

そういえば、下(麓)と比べ随分涼しくなった様な気がする。
ムシが少ないのはこの為なのだろうか!?


今日は、こんな所へ来たんです。


せっかくここまで来たので、何かしら手応えを得て帰りたなぁ...。

そう思った矢先、ミズキの花から
小っちゃいカミキリムシがポトリと落ちてきた。

な〜んだ、ちゃんといるじゃんよ!
しかも、未採集種の
フタオビヒメハナカミキリである。


-フタオビヒメハナカミキリ
-Pidonia puziloi SOLSKY, 1873



先週のセスジヒメハナに続く、ピドニアだ♪

なかなか綺麗なカミキリムシである。
これでとりあえずノルマ達成、一安心だ☆

その他にも、ここでは
キバネニセハムシハナカミキリなどが採集できた。


更に歩を進めると、登ってきた林道は
やがて下りに転じ、オオデマリの花を眺めながら
終着点へ向かった。

やっぱりここだったか...。
予定通りである。

この道は〜、いつか来たみ〜ち〜♪

過去に、本日辿ってきたコースの反対側から
この林道の途中までやってきた事がある。

冒頭にも記したが
当時は水棲昆虫(大型ゲンゴロウ)を求めてやってきた。

ここの橋のたもとで
地元のおばちゃんに話しかけられたっけなぁ...。

“魚じゃないっすよ!ムシを探しているんですっ!”

何だか懐かしい...。

また、繋がった。
新しいルートを覚えたぞ。



〜 〆は、ミヤップの郷へ 〜


普段通い慣れている左側の国道へ辿り着くと
右前打して更に山地を目指すか、それとも左前打していつものポイントを目指すか
2つに1つの選択が迫られた。

その結果
時間的な都合上、それから、大分腹が減ったのでコンビニが近い方が良い
と言う理由から、差前打する事になった。
少しずつ、家路につけるしね... (^ ^ゞ


早速、コンビニでエネルゲン補給して
今度は、お馴染みの「ミヤップの郷」へ行ってみる事にした。

まずは、郷の中のポイント「犬屋2」へ。
昨年までは、ガリガリのホワイト犬が闊歩していたポイントなのだが...
あいつは今もどこかで生き長らえているのだろうか...。

わお!ここでもミズキの花が満開だ。

当然叩いてみると...


何かいますか〜?


お! またもピドニアだ。
ビニール傘の中に、
セスジヒメハナカミキリのペアが落ちてきた☆
既採集種だが、標本用にもう少し欲しかったところなので
ラッキーである。


-セスジヒメハナカミキリ
-
Pidonia amentata amentata
BATES,1884



陽も大分傾いてきたので
最後に、先週の土曜日、オオデマリの花が満開だったポイントへ...。
前回は、最後の最後で沢山のカミキリムシを追加採集でき、とても印象が良かったのだが
今週はどうだろう!?

あれ?
白一色だったお花畑が、緑一色に変わってしまったぞ!?
たった一週間で、花は一気に散ってしまった様である。...(^-^;


しかし、その横に生えていた、イワガラミの葉を叩いてみると...

ありゃ!?

とっても綺麗なカミキリムシのペアが落ちてきたぞ♪


イワガラミ...ですよね?同じユキノシタ科のツルアジサイでしょうか!?


既に昨年見つけているが、県内では一応初採集となる
シラホシカミキリだった。

-シラホシカミキリ
-Glenea relicta relicta
PASCOE, 1868


シラホシキクスイカミキリとか、ニセシラホシカミキリとか
瓜二つで結構珍しいカミキリムシもいるが
何度眺めてみても、シラホシカミキリという判定が覆る事はなかった。...(^-^;


しかし、この辺りにもいるんだねぇ〜。
以前採った個体よりやや大型だし
何よりも地元で採集できた事が嬉しい。

ついでに、サイドビュ〜。


サイドビュー!


もう少しいるのでは??
と思い、じ〜っと枝葉を眺めていくと
いたいた!

ほれ、葉っぱの上で休んでいる...。


3頭目は自然体で...。


よしよし。
今週は、ここで3頭のシラホシカミキリを追加する事ができたぞ。

こういった予期せぬ登場をされると
つい興奮してしまう☆

やってくれば何かしら採れるから、このポイントはありがたい。


更に、小川沿いから弟が呼ぶ声がする。
何かを見つけた様だ。...(?_?)


歩み寄って、指差す方向をじっと眺めると...

なるほど、いるね〜!
間違いない、あれはカミキリでしょう!


間違いなくカミキリですね...。


慎重に、傘の上へポトリと落としてみると
胸が真っ赤なハナカミキリであった♪

これね、
ムネアカクロハナカミキリだよ!
先輩から教わったばかりなので、間違いない。

にやり!


-ムネアカクロハナカミキリ
-Leptura dimorpha
BATES, 1873



既採集種だが、前回採集した個体は
頭の先から、お尻の先まで真っ黒だったので
名前の通り、胸が赤い、オーソドックスなタイプを得られた事は
とてもラッキーだった☆


さてと!
随分薄暗くなってきた事だし
今日はこの辺で終了かな...。

さっき、あそこで右前打していたら
帰りが夜中になってしまっていた事だろう...。
いやぁ〜、良かった☆

なんてねぇ!... (^ ^ゞ


☆ おまけ ☆

帰り道、調度タガメが棲んでいる用水路の横を通ったので
トランクから網を持ち出して、一応チェックを入れてみた。

ふふふ...。 遂に現れましたね!

昨年は、5/29に初お目見えだったので
今年は一週間ほど早い。


-タガメ
-Lethocerus deyrollei:VUILLEFROY, 1864):♀



腹とお尻を見てみると、どうやら♀のようだった。
昨年同様、今年も前半は♀が多いのだろうか...!?

とりあえず、お持ち帰りはしないが
こういった役者が揃ってくると、夏が近づいている事を実感できる。

“春のカミキリ採集編”

などとタイトルを掲げられる期間も残りわずかとなった。



〜 後記 〜

19:30に帰宅。

本日は、最近気になり出した林道を
改めて、カミキリ的な視点で眺めてきた。

若干気温が低く
各種カミキリの発生時期にはちょっと早かった様だが
タイミングさえあえば
充分に採集を楽しめる自然環境が残されていた。

どうやら、弟がひそかに狙っている獲物もいるようだし
是非また訪れてみたい。

本日の未採集種は
ホタルカミキリフタオビヒメハナカミキリであるが
オーソドックスなタイプの
ムネアカクロハナカミキリ
県内ではまだ採集してなかった
シラホシカミキリなどにも出遭えて
とても楽しめた。

そうそう、新しいクワガタポイントの発見に加え
タガメもようやく登場し、夏のイメージが湧いてきた。

これから徐々に、楽しいライフワークが
より一層増えて行くんだろうなぁ〜☆

大変だぁ... (^ ^ゞ


〜 主な確認種 (持ち帰り頭数) 〜

●ハナカミキリ亜科
 フタオビヒメハナカミキリ ×1
 セスジヒメハナカミキリ ×2
 キバネニセハムシハナカミキリ
 ムネアカクロハナカミキリ ×1
●カミキリ亜科
 ホタルカミキリ ×1
 ベニカミキリ
●フトカミキリ亜科
 シナノクロフカミキリ
 シラホシカミキリ ×3





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