採集履歴

“2005年 春のカミキリ採集” 編(9)



05.05.28 (Sat)
 Hill 「カッコウ君らに癒されて」 
                                                                                                  

眠い...。

年度当初から、4〜5時間ぐらいの睡眠を淡々と続けているが
たま〜に、体がしんどくなってくる。

仕事の合間に、研究活動、トレーニング、ムシと
あれもこれも全部やろうとするからいけないのだが
好きな事を続ける為には、仕方がない事だ。

周囲が指摘するように、性格が細かいのもくたびれる原因の一つなのかなぁ...

いずれにせよ、結局は幸せな悩みと言えるだろう。... (^ ^ゞ

そんな事より、今日は非常に天気がよい。
だから、行かねばならない!

小っぽけなものですが、これに関しては一応誇りを持っておりますので☆


はははっ!
何だかんだと、12:00過ぎには車に乗り込んだ。


〜 近所で未採集種をゲッツ! 〜


家を出て間もなく
道端の林の一区画が
ばっさりと切り開かれている事に気づいた。

伐採された広葉樹は、概ね幹と枝に仕分けされ
その場に積み上げられている。

狭いスペースとは言え、陽当たりも良く
カミキリを採集するには、とても魅力的に映った。

文句なく、寄るべし。


こんな所です。


丹念に伐採木上を見ていくと
あっさりと
ホタルカミキリが見つかった。
ここの所良く出会う。


-ホタルカミキリ
-Dere thoracica
WHITE, 1855



しかし、まだ時期早々だったのか??
幸先良くホタルを見つけられたものの、その後、カミキリの追加はなかった。

ただ、広葉樹を主体とする雑木林が背景にあるので
いずれここにはカミキリが群がるに違いない。

そんな風に、ポジティブに考えながら
ふと見ると、積み上げられたソダの傍らに
か細いサクラの樹がポツンと生えていた。

ツル性の植物が絡んでいて、何かしら採れそうである。
木陰に入って頭上を見上げると...

ややや?


何かとまってますよね??


あの長い触角はカミキリじゃないのか??


カミキリですよね!?


だとすれば、未採集種の予感♪

こんなしょぼい写真でも、一応撮影してから
そっと両腕を伸ばし
ゆっくりと葉っぱごと摘んで、奴をたぐり寄せた。

ありゃりゃ、何じゃこれ(@_@)??

触覚や脚の造りなど、どう見たってカミキリムシなのだが
やけに面玉がでかい。
まるで出目金みたいだ。


こんなん採れましたが...


しかし、これに似たタイプのカミキリの写真は何度か見た事があるな...。
きっと同じ仲間なのだろう。

後程図鑑で調べてみると
カッコウメダカカミキリである事が判明した!


-カッコウメダカカミキリ
-Stenhomalus cleroides
BATES, 1873



よっし、今日も未採集種をゲ〜ッツ♪ (^O^)


それにしても、本当に
メダカだなぁ〜。

国内には、このタイプのカミキリが何種類か生息しているようだが
カッコウは、結構希少らしい。

いや〜、こんな変わり者もいるんだね〜。
最近、地元も捨てたものではないと感心している。
のっけから、実にラッキーだった。



〜 寄り道 〜


で、本日目指すのはこれまで何度も訪れている郷だ。
しかしあろうことか、運転手の弟が、通い慣れている筈の道を間違えてしまう。

まただよ。 こいつ、いつも同じ間違いをしてるよなぁ〜。 (-_-;

とは言え、Uターンするのは馬鹿馬鹿しいので
ちょっくら寄り道をしていこう。
遠回りになるが、別ルートを選択する事にした。

グネグネと、滅多に通らない水田地帯を抜けると
ちょうど、ポイント「主の家(石2)」の前へ出てきた。
よし、1年ぶりに、水棲昆虫探しで知った、湿原の中を走ってみよう。
こんな所です。。


いい雰囲気ですよね。


夏になると、主の家の横にある沢山の街頭には
ミヤマクワガタやタガメが数多く飛来する。
この辺から飛んでくるのだろうか??


休耕田が、そのまま何年も放置されているものと思われます。


進路方向の右手にはコナラを中心とする雑木林が連なっていたので
カミキリムシも当然いけるはずなのだが...

熱心に探しても、見つかったのは
1頭の
ホタルカミキリと、トゲヒゲトラカミキリの2ペアだけだった。
あとは、きりがないぐらい沢山いるジョウカイボン。 ...(-_-;

う〜ん、タイミングが悪いのかなぁ〜。
綺麗な水源、豊富な広葉樹... カミキリを採集するには
絶好の場所だと思うのだが。

いずれにせよ、ここの環境の良さは以前と全く変わっておらず
その雰囲気に酔いしれながら、納得してこの地を後にした。



〜 ミヤップの郷でも未採集種をゲッツ! 〜


ようやく目的地の入口へ突入。

車窓から真っ先に見えた
絶壁上の白い花樹が気になったので
よじ登ってチェックしてみる。


気になったら、行くしかありませんよね...。


軽く枝先をビーティングしてみると
セスジヒメハナカミキリが落ちてきた。

既に充分なサンプルを得ているので
今日はリリース。

また、崖を降りる前にふと足元を見ると
伐採木上に、サビ系のカミキリムシを発見した。


サビ系ですね。


ナカジロサビカミキリだった。
既採集種だが、何気にフセツ欠けのない完全体はこれが初めてだったので
ありがたく、いただいておこう☆


-ナカジロサビカミキリ
-Pterolophia jugosa jugosa
BATES, 1873



おとなしいので、別角度からも...。


めちゃめちゃ顎を引いてますねぇ〜。


続いて、以前ヒシカミキリや、コジマヒゲナガコバネカミキリを得たポイントにやって来た。
ほんと、何度来てもここは良いポイントだなぁ〜。


良い所ですよね。


植生が抱負で...


お馴染み、ミズキの花ですね。


水源も近い。


ここ、ミヤップが沢山います。


ここで弟が、生涯3度目となる “デジカメなくし” をやったが
(方々探し回って、最終的に見つけられたから良かったが...)
同時に、こんな成果も上げた様だ。

写真はオニグルミの葉っぱであるが
これを好むカミキリムシは多い。


オニグルミの葉を叩いてみると...


当然叩いてみると...

とっても小っちゃい、未採集のカミキリムシをペアでゲッツ!

2頭とも、最初は死んだふりをしていて気付けなかったが
すぐにちょこまかと動き出したので発見できたらしい。

ふふふ☆ 良くやった!
早速撮影させて頂こう。

そっと指で摘んで、デジカメのレンズごしに、マジマジと眺めてみる...

あぁ、これ知ってるぞ!


-コブスジサビカミキリ
-Atimura japonica
BATES, 1873



コブスジサビカミキリ
であった。

死んだふりをしている時は
おがくずの小さいチップのようで、カミキリムシとは思えない姿形をしている。

このカミキリ、極小だし、いざ探そうとすると、なかなか見つけられないに違いない。
いや〜、採れて良かったなぁ♪
(てか、気付いて良かった・笑)


当然、別角度からも...♪


更に、こんな所では


ここはチョロチョロと水がわき出していますね。


既採集種だが、ムネアカクロハナカミキリをゲッツ!
この子は、まだサンプルが少ないので持ち帰ろう。
それにしてもおぬし、顔に黄色い花粉がいっぱいついてるぞ。...(^-^;


-ムネアカクロハナカミキリ
-Leptura dimorpha
BATES, 1873



さぁ、だんだん乗ってきたぞ!

B小屋エリアを抜けた林道では
半枯れ状態の、ツル性の植物が絡み付いた
背の低い広葉樹をビーティングしてみると...


枯れ枝というやつには、カミキリムシがつくそうですが...


おお、またもや未採集種を発見!

(弟の話では、実は先程立ち寄った、過去にヒシカミキリを採ったポイントで
既にこいつを見かけていたものの、採り逃がしてしまったそうだが…)

今度は手堅くゲッツ♪

写真では良く分からないが
実は結構体毛が濃い。

そんな訳で
オビアラゲカミキリ属の
ヒトオビアラゲカミキリという☆


-ヒトオビアラゲカミキリ
-Rhopaloscelis unifasciatus
BLESSIG, 1873



嬉しい事に、こいつはここでもう一頭追加する事ができた。

それだけでは終わらない。
こんな子もゲッツ!
一見、先程登場したナカジロサビカミキリかと思われたが
どこかが違う。。。

図鑑検索の結果、
ヒメナガサビカミキリである事が分かった♪


-ヒメナガサビカミキリ
-Pterolophia leiopodina
BATES, 1873



やったね!
今日は、未採集のフトカミキリ亜科を、一気に3種類も採る事ができた。

それから、この子はおまけ☆
ふと足元を見ると....



あぁ、いつもの奴もいますねぇ〜。


トゲヒゲトラカミキリ
それにしても、なんでこんな所に...??


-トゲヒゲトラカミキリ
-Demonax transilis
BATES, 1884



その後も、この林道沿いの気になる植物を片っ端からビーティングして歩いていった。

しかし、突然ひょっこりと現れた農作業中のおばあちゃんから

“あんたら、そろそろ帰った方がいいなぁ〜”

と敬遠されてしまったので
あえなく撤収。。。(済みませんっ!... m(__)m)


更に、最近好成績をあげているオオデマリのお花畑ポイントでは
地主さんがKトラックの中から、不審そうに、こちらに睨みを効かせていたので
やむを得ずスル〜。

ふむ...
こんなに晴れているのに、左手にはビニール傘、右手には叩き棒姿...
これでは怪しまれても仕方なかろう。 ... (^ ^ゞ

右手に補虫網であれば、全然印象が違うのだろうなぁ...(^-^;


とは言え、今日は未採集種を合計4種類も得ているし
こんな事があっても、気分的には結構余裕があった☆ ... (^ ^ゞ


最後に、今夏、灯下採集で非常に期待できそうなポイントを発見する事ができた。
毎年お世話になっている、「Sきょく」とそっくりな施設である。
一応、「Sきょく2」とでも命名しておこう。
このポイントの成果については、夏になったらきっと書く事になるだろう。。。

さぁ、今日はこの辺で終了しておこうかな。
体にムチ打ってでも
出かけてしまえば、何かしら発見があるのだから
やっぱやめられないよなぁ〜 ムシ採りという行為は...☆


そろそろ陽が暮れますから、帰りましょう。




〜 後記 〜

19:00に、とりあえず実家へ帰宅。

本日は、実家周辺で、変わった姿形の
カッコウメダカカミキリを皮切りに
ミヤップの郷では、
コブスジサビカミキリヒトオビアラゲカミキリヒメナガサビカミキリ
3種類のフトカミキリ亜科を採集し、計4種類の未採集種を自分のコレクションに追加する事ができた。

これまではハナカミキリ亜科、カミキリ亜科が多かったが
前回あたりから、大好きなフトカミキリ亜科が採れだしているので
とても楽しい。

また、カッコウメダカカミキリは
北海道を始め、多くの都道府県でレッドデータブックに掲載されている様で
けっこう希少種とされているらしい。

むむ〜、実家周辺の自然も、まだまだ捨てた物ではないな〜。

・・・・・。

あれれ??
気付いたら、いつの間にか溜まっていた疲労が吹っ飛んでしまったぞ!?

こうして毎週×2採集に出かけていると
同定や標本作り、採集記録の執筆など、やる事がどんどん増えてしまうが
ムシと戯れている、ほんの束の間に、心理的に随分癒されているのも事実だ。

採集に出かける事が、ある種、日常を忘れるという意味で
休息に繋がっているのだろう。

しかし、明日は気温がぐっと下がるそうだから、これを機会にお休みをとりたいと思う。
好きな事は、上手に楽しくやらねばいけません☆
ほんと、おめでたい人です、私は ... (^ ^ゞ


※次回から、春のカミキリ採集編 → 夏のカミキリ採集編になります。
とはいえ、いつものパターンと何ら変わりありません・笑


〜 主な確認種 (持ち帰り頭数) 〜

●ハナカミキリ亜科
 セスジヒメハナカミキリ
 ツマグロハナカミキリ
 ムネアカクロハナカミキリ ×1
●カミキリ亜科
 カッコウメダカカミキリ(初採集) ×1
 ホタルカミキリ
 トゲヒゲトラカミキリ
●フトカミキリ亜科
 ナカジロサビカミキリ ×1
 シナノクロフカミキリ
 ヒシカミキリ
 コブスジサビカミキリ(初採集) ×2
 ヒトオビアラゲカミキリ(初採集) ×2
 ヒメナガサビカミキリ(初採集) ×1





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