採集履歴

“2005年 夏のカミキリ採集” 編(3)



05.06.12 (Sun)
 Plain 「歳を経て... クリストフを発見!」 
                                                                                                  

最近、天気予報が当てにならない。
嬉しい事に、今日も大外れの模様だ。

“曇りのち雨” の予報が、晴天の真夏日となった!

嬉しいじゃ〜ん♪
(ウルフ金串のサイン色紙を片手に、小馬鹿にする矢吹ジョー風に... と言っても分からないかっ...(^-^; )

しかし、そんな素晴らしい天候とは裏腹に、私の体と来たら随分とお疲れモ〜ド。
毎度の事ながら、さすがに休みなしで採集を続けていると、時折しんどくなってくる。... (^ ^ゞ

そこで今日は、あまり無理して遠出はせず、身近な実家周辺で採集を楽しみたいと思う。
昨日はこっちの山で存分に楽しんだので
今日は少々おとなしくしておくのが正解だろう。

ただ、一つ付け加えておきたいのは
別に、実家周辺での採集を軽視している訳ではない。

カミキリムシに関して言えば、私はまだまだ駆け出しの状況ゆえ
県内では、普通種でも未採集のものが数多く残されており
本日は、海沿いの平野部というあまり恵まれていない環境での採集となる訳だが
まだまだ幾らでもやり様があるといった感じだ。

因みに今日は私の誕生日。。。
また歳を一つ重ねてしまった。(どうりで、疲れる訳ね... (^ ^ゞ )
とは言え、せっかくなので何かいいもの見つけられたら嬉しいなぁ〜。


〜 灯台下暗しだっぺよ! 〜


11:30、今日も採集へ出勤!... (^ ^ゞ

どこへ行こうか??
まずはいつも通り、実家の裏手へ車を走らせた。

小学生の頃よく遊んだNくんちの近くのスギ林では
花に群がる
ツヤケシハナカミキリ
伐採木へ産卵に群がっている
トゲヒゲトラカミキリゴマフカミキリなどを見かけたが
その他、特に珍しいカミキリムシは見当たらない。

運動公園の周辺の湿地帯や
Hちゃんちの材木置き場を見てみたが、カミキリムシとは全く縁がない模様。。。

う〜ん、どうしようかなぁ...。

結局、考えるのが面倒になったので
まずはやはり実績がある場所へ向かおうと提案し
今季限りの採集が可能と思われる
「カッコウポイント」へ向かうことにした。


で、ここが最近通い付けの「カッコウポイント」。。。

うひゃ〜っ、ぐんぐん気温が上がってきたぞ!
めちゃめちゃ暑い!

まずは、積み上げられたソダの山をじっくりと眺めてみる。


ソダの山を眺めます。


お〜お〜♪
ちょこまか×2と、色んなカミキリムシがうごめいているではないか!
これだけ暑いんで、さすがにいるところへ来れば役者も揃っている訳だ☆

あんさん、久しぶりじゃない!
普通種だが、今年初めての
エグリトラカミキリだ。

いっぱいいる!



-エグリトラカミキリ
-Chlorophorus japonicus
CHEVROLAT, 1863



ホタルカミキリも、ぞろぞろと!



-ホタルカミキリ
-Dere thoracica
WHITE, 1855



ゴマフカミキリだって、あちこちで見かけられる。


-ゴマフカミキリ
-Mesosa japonica
BATES, 1873



で、これがポイント名の由来となったサクラの樹。
以前にも紹介したが、このか細く、枯れツルが巻き付いたサクラに
カッコウメダカカミキリが付いているのだが...



カッコウがやってくるサクラの樹ですが...


残念、今日はお留守だった。...(^-^;
もう終わりなのかな???

そんな中、弟が 「ちょっと来て!」 と手招きしながら呼ぶ声が!
やや小声で私をせかしたので

「きっと何かいたんだな!?」

とすぐに悟り、そろっと、されど足早に歩み寄った。 すると...

をっ!...(@_@)

弟が指差す先には、黒字に黄色の鮮やかなラインが入った
とても豪華そうに見えるカミキリムシがたたずんでいた。


あれです。


ピンぼけですが、そのまま拡大...
むむぅ〜、完全にハチの擬態ですね!


アップ!


ニイジマトラや、シロトラなどは例外として
黒字に黄色の縞模様をした、この手のタイプのカミキリムシは
実は初採集だったりする。
結構緊張しながら左手を伸ばして、そっと摘んでみた。。。

よっしゃ〜〜! 来た×2! (>_<) (>_<)

本日1頭目の未採集種は、
キスジトラカミキリであった☆



-キスジトラカミキリ
-Cyrtoclytus caproides caproides
BATES, 1873



普通種とは言え、色鮮やかなカミキリムシを初めて手にする時というのは
やはり感動が大きい。

早く採ってみたかったんだよね〜☆
素直に嬉しい♪


お〜お〜、
キイロトラも沢山いるなぁ〜。
他には何かいないかなぁ... と弟。


他に何かいないかな...


そんな時、ふわ〜っとソダの山から、一頭の小さなカミキリムシが飛び立って
雑草の上へ静かに着地した。

飛んでいる時点で

「間違いない、カミキリムシだ! しかも未採集種!」

と判断することができた。

手元にたぐり寄せるまでに随分苦労したが
次なる獲物はこれ☆



-ヨツキボシカミキリ
-Epiglenea comes comes
BATES, 1884



なんと、ヨツキボシカミキリである。

うひゃ〜!うれし〜〜! (>_<) (>_<) (>_<)

先輩の採集記で見て、結構気になっていたんだよね... これ。

この個体は若干空色がかっていたが
本来は黄色のラインがとても美しいカミキリムシだ。

まぁ、これはこれで綺麗だけどね・笑☆

今日は、ここへ来て本当に良かった。
これまでに、ここで採れていた役者とは随分顔ぶれが変わっている。

…と、思った瞬間、何と何と、また来てしまった!(@_@)

弟が摘んでいるのは
ミドリカミキリ



-ミドリカミキリ
-Chloridolum viride
THOMSON, 1864



さすがにこれだけ綺麗な未採集種が続くと
興奮のるつぼにハマってしまう。

ほらね♪
実家周辺でも、こんなに楽しめちゃうでしょ!... (^ ^ゞ

わっはっは!まだ、その程度のレベルなんですよ〜☆ 我々は。

とは言え、こうやって一歩×2、着実にカミキリムシを採集し
その時×2の感動をしっかり胸に刻み込んでいくのが大事なんだなぁ...と思う。



見てみぃ、そこの伐採木の影にはホタルカミキリがわんさか湧いているっしょ!

嘘やん!?

ほんまやん!


とにかく、ホタルカミキリが一番湧いてます。


…と、そこで立ち上がった弟の足下を見ると
新たなキスジトラカミキリが飛来して平然と休んでいた。

わっはっは!(^O^)

「これこそ灯台下暗しだっぺよ!」

採る前に思いっきり大爆笑してしまった。

キスジトラカミキリ、二つ目なり〜♪



-キスジトラカミキリ
-Cyrtoclytus caproides caproides
BATES, 1873



今度は横顔も撮らせてね〜!


ガッツ星人の頭に似てませんか!?


さてさて、ここでは存分に興奮を味わう事ができたので
そろそろ引き上げよう。。
いつもありがとう! > 「カッコウP」



〜 縄文の遺跡で 〜


14:00... 次に選んだポイントは
小学校6年生の頃から、何年も足を運んでいるエリアだ。

台地の下には、縄文時代中〜後期の集落が眠っており
10年ぐらい前までは、地表にも、おびただしい数の土器や石器が散乱していた。

私は考古学が好きなので
かつては、自転車で弟を連れてやってきては
縄文時代の遺物を収集していたものだ。

昨年の秋(04.10.16)、ハイイロヤハズを求めて竹林を探し回っていた時に
何となくエリアの近くを通ったため、ついでに土器を収集しようと立ち寄ってみたところ
隣接する林の一部が大々的に開墾されていた事を知り
暖かくなれば、カミキリが来そうだなぁと予測を立てていたのだ。

そして、現場へ到着...

うわ〜っ!予想通りじゃんよ♪

8ヶ月ぶりに訪れたこの開墾地は
見るからにカミキリムシが好みそうな、巨大な伐採木場と化していた。

周囲にはコナラの2次林が広がっている。

こんな所です。。。



さぁ、新しいフィールドにダイブします!


うししっ! これは楽しい事になりそうだぞ♪
早速新しいフィールドにダイブだ!

何がいるかなぁ???


果たして何が採れるでしょうか!?


付近を散策し始めて、まもなくすると
ちょうど、写真の右手に横たわっている、やや太いコナラ材に
またも黒字に黄色のラインが入ったトラカミキリが飛来した。

うわっ!来た!

すぐさま指で摘もうとしたが、
あまりにも突然の登場だったので、完全に冷静さを欠き
情けないことに、逃がしてしまった(再び飛ばれてしまった)... (T^T) (T^T) (T^T)

あぁ、虚しぃ...。

しかし、クヨクヨしていても仕方がない。

カッコウポイントで、キスジトラの姿をじっくりと目に焼き付けてきたので
ぶんぶん飛び回っていった先程のカミキリムシも
きっと既に捕まえたキスジであったに違いないと判断し、さっさと忘れることにした。

一端はねぇ。。。

ところがどうよ!
何とその3分程後に、再度同じコナラ材へさっきのトラカミキリが飛来してきやがった。

おわっ!また来た!!

よ〜〜っし、今度こそ慎重に...

今度は、カミキリ全体を覆うように、右手の平をぱかっと被せた。

はいはい!今度こそ確実にゲッツ♪


手のひらの中から、他方の手で慎重に摘み出し
マジマジと眺めてみる。

あれれ??

なんかこれ、キスジとは違うぞ??

やけにずんぐりむっくりした感じ...。

調度私の横で、弟が同時にキスジトラをキャッチしていたので
並べて見比べてみると、明らかに様子が違っていた。

しかし、何カミキリというのかが分からない。
困ったなぁ...。

とりあえず、本日4頭目の未採集種の獲得である。

素直に...
うれすぃ〜♪♪

いつも通り、早速その場で撮影会を開始した。


先程から、爪が汚くて済みません... (^ ^ゞ


斜めから...。


なんちゅう怖い顔をしているのでしょうか...(^-^;


真横から...。


でもおぬし、なかなか格好いいなぁ〜♪


その後も、15分ほど採集を続けたが
後続する獲物は現れなかった。

おかしいな...
これほどの材場であっても、先程のカッコポイントと比べれば
随分とカミキリムシの量が少ない。


もっといても良いと思ったのですが...


暑すぎるせいか??

確かに、一日の内で気温がピークに達する時間帯だったので
土や材の表面温度はあっつあつの状態だった。。

遠方を見やれば、蜃気楼が見えてくる。(嘘です...笑)


だんだん、我々もこの地に立っている事がしんどくなってきた。

マジ、暑すぎる...。

わずか20分ほどの滞在であったが
もう我慢の限界だ... 撤収しよう。。。


すぐ近くの畑では、農家の方がこのくそ暑い炎天下で、ビニルハウスを建設していた。
さすがですねぇ...。

「こんにちは! ご苦労様です!」

と愛想よく挨拶をし、このポイントを後にした。

徒歩で車の所まで向かう途中、弟に話しかけた。

「これ、キスジトラの♂♀の違いかな??」

はははっ!冗談はそれぐらいにして、とりあえず帰ってから同定してみよう。




〜 クリストフ! 〜


まだ14:30だと言うのに、あっさりとKOされてしまった。... (^ ^ゞ

とにかく水分補給がしたいっ!

と言うことで、新しくできたファミリーマートで大量にアイスを調達した。

今日は、一応私の記念日なので、実家で待っている両親にも、と思い
色んな種類のアイスを、はぶりよく買い込んだ。

一端実家に戻ると、私は家に入らずに、弟と別れ
そのままガソリンスタンドへ向かう事にした。
もうタンクがスッカラカンである。

田舎のスタンドは、夕方早々に閉まってしまう事が多いので
早目に給油しておかないと、夜中に千葉まで帰れなくなっちゃうのだ。

面倒くさいでしょ〜??

「悪いけどさぁ、さっき捕まえたカミキリムシの同定でもやっておいてよ!」 >おとうとくん


そして15分後、給油を終えて帰ってくると
しっかりとその答えが用意されていた。

やす先生の判定によると、名前は
クリストフコトラカミキリと言うらしい。

ほぇ〜、なんだか洒落た名前だなぁ〜!

今日は、わずか3時間と言う短い採集行だったにもかかわらず
炎天下の中、興奮しまくって、更にくたびれてしまった。... (^ ^ゞ

「無理はせず... 」の筈だったが、予定通りには行かなかった・笑。

美味しい素麺をすすって、ソファーに横たわると、いつの間にか眠ってしまった...。

今回のクリストフの発見が、とても貴重なものである事など、知る由もなかった。




〜 もう一踏ん張り!セミスジコブヒゲ♪ 〜


20分後、目を覚ました。
昼間の睡眠は、ちょっとでもとれば随分と体力が回復するものだ。

気が付くと、既に陽が傾いており、気温も随分下がっているようだった。

すると、何と弟は
実家の裏山へ、本日第二段となる採集に出かけて行った。

好きだねぇ〜。

では、私も行こう☆ ... (^ ^ゞ


徒歩2分。 いつもの裏山へ...。


間もなく弟が、クリの一部枯れた枝の部分で、こんなカミキリムシを発見し
私を喜ばせてくれた。

おわっ!
これは私のお気に入り、
セミスジコブヒゲカミキリじゃないか!

触覚の根本にはコブがあるが、途中にもう一つコブがない。
という事で、これは♀である。
そして、う〜ん、やっぱりヒゲが長〜〜い。


今度はしっかり爪を切って参りました... (^ ^ゞ


-セミスジコブヒゲカミキリ
-Rhodopina lewisii lewisii
BATES, 1873



好きなんだよねぇ〜、このカミキリがさぁ。。
昨年、標本の作製に大失敗しているからかなぁ... (^ ^ゞ


サイド・ビュ〜。


できれば、コブが2つある♂をも手に入れたいところだったが
その後、一生懸命探しても
残念ながら願いは叶わなかった。

しかし、1頭いるなら、他にもまだ沢山生息しているはずだ。
何度か通っていれば、いずれ♂も採れるに違いない!?

そう考えると、それだけで顔がにやけてしまった・笑。

さて、辺りが大分暗くなった。
今日は、この辺でお開きである。

やっぱり侮れんなぁ〜、実家の周辺は。。。

「別に、実家周辺での採集を軽視している訳ではない。」

などと冒頭に記したが
これが本日の、正直な感想である。

それから、「暑かった...。」 でしょうかね...(^-^;



〜 後記 〜

今回は、実家周辺での2度に渡る出陣で
キスジトラカミキリクリストフコトラカミキリヨツキボシカミキリミドリカミキリ
4種類の未採集種を含む
13種類のカミキリムシを確認することができ、とても満足している。

特に、これは、後日るどるふ先輩から教えて頂いた事だが
この日発見した、
クリストフコトラカミキリ
基本的に山地性の種であり、これまで我が県内においては
県北(山地)の、ごく限られた地域にしか公的な採集記録がなかったらしく
今回の様な海沿いの平野部での採集は、大変貴重な事であったようだ。

採集した時点では、そんな意外性のあるムシを採ったと言う実感が全く湧かなかったが
数日後、先輩が採集地の地形および植生等を調査するために
お忙しい中、わざわざ現場まで足を運んでくださった折り
今回採集したクリストフの希少性を、わかりやすく説明してくださった事をきっかけに
ようやく事の重大性に気付かされた。

同行させていただいた私の弟には、大変親切にしていただいたそうで
その節は、いろいろと、ありがとうございました。


そんな訳で、後々考えてみると
今回は、大変想い出に残る採集行、そして誕生日となった♪
ほんと、HAPPY×2!である・笑。

う〜ん...。 以前、カッコウメダカなどを採集した時にも感じたが
やはり捨てた物ではないな〜、 実家周辺は...。

これまでに知らなかった事が、いくらでも出てくる。

“灯台下暗し” とは、この事ですねぇ...☆彡


-クリストフコトラカミキリ
-Plagionotus christophi
KRAATZ, 1879


※今回の採集結果は、るどるふ先輩にお願いし
水戸昆虫研究会へ報告して頂く事になりました。
この場を借りて、あらためて御礼を申し上げます。
ありがとうございました。


〜 主な確認種 (持ち帰り頭数) 〜

●ハナカミキリ亜科
 ツヤケシハナカミキリ
 ツマグロハナカミキリ
●カミキリ亜科
 ホタルカミキリ
 ミドリカミキリ(初採集) ×1
 トゲヒゲトラカミキリ
 キイロトラカミキリ
 エグリトラカミキリ
 キスジトラカミキリ(初採集) ×3
 クリストフコトラカミキリ(初採集) ×1
●フトカミキリ亜科
 ナカジロサビカミキリ
 ゴマフカミキリ
 ヨツキボシカミキリ(初採集) ×1
 セミスジコブヒゲカミキリ ×1





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