採集履歴

“2005年 夏のカミキリ採集” 編(8)



05.07.09 (Sat)
 Hill 「ヤナギで、フィーバー☆彡」 
                                                                                                  

今週も割と涼しめ。

朝早くにトレーニングを終え、朝食をとり
午前中の内から、いざ、採集に出かけようとしたが

手持ちのカミキリムシを総チェックしてみると
先週捕まえた、ハスオビヒゲナガカミキリが、ちょうど動かなくなったところだったので
その展足をやってから出かける事にした。

ムシ(特に小型種)は、☆になるとすぐに硬直、乾燥してしまうので
気付いたら、何よりも優先的にこの作業をやってしまわねばならない。

一度硬直したムシの関節は、動かそうものなら、すぐにポロポロと分裂してしまう。

毒瓶で殺す術を知っていれば、ある程度好きなときに展足できるんだけどね。... (^ ^ゞ

で、ちょっぴり出発が遅れた訳だが
今日は、そのハスオビヒゲナガカミキリを採集した、ヤナギ帯へ行ってみたいと思う。

追加個体が得られればありがたいが、本命は、今年初のイタヤカミキリだ。
昨年本種を採集したときに

“これから、カミキリムシを本格的に採集していこうかな...。”

そう思わせた、渋いカミキリムシで
羽化不全の個体を、るどるふ先輩に同定して頂いたことも
好きになった重要なきっかけであったと言える。

先週も、そんなイタヤを求めてヤナギをチェックしたのだが
残念ながら確認することはできなかった。
しかし、あそこに生息しているのは間違いない。

サイズ的にピッタリの脱出口が、半枯れ状態のヤナギに、数多く見受けられるからだ。

そろそろ、クワガタが増えてくる時期でもあるし
自己ギネスサイズの更新も念頭に置いて、出かけよう。


〜 いつもの材場採集 〜


11:00に出発した。

まずは、いつもの「カッコウポイント」へ。
家を出てわずか10分程で辿り着く。

おわ〜っ!
見事に雑草だらけ。 夏本番を迎え、ここも、だんだんうっそうとしてきた。
山積みになった広葉樹材は、湿気を帯び
カミキリが産卵に来ると言った雰囲気ではなくなりつつある。

また、ポイント名の由来となった
カッコウメダカカミキリは、いつものサクラには全く見られない。

その代わり、
セミスジコブヒゲカミキリの♀がとまっていた。



-セミスジコブヒゲカミキリ :♀
-
Rhodopina lewisii lewisii BATES, 1873



あらら、首の回りに赤いダニ(?)がはっているぞ。... (^-^;
よく見る奴らで、どうやらフトカミキリ亜科の種類がお好みのようだ。

で、前述の材場には、かろうじて
シラオビゴマフケシカミキリのペアがいてくれた☆



-シラオビゴマフケシカミキリ
-Exocentrus guttulatus
BATES, 1873



初採集ではないが
現在ストックしてある個体は、上翅の紋様がすり減っていたり
触角がなかったりするので、何気に嬉しい。

その他に見られたのは、ヒメヒゲナガカミキリの死骸。。
あたかも生きているかのように、枯れ枝にとまって硬直していた。

カミキリムシに良くあるパターンだ。

なおかつ、白いカビが生え、体全体が真っ白に覆われていたりすることも多い。。

と言う訳で、ここもそろそろ終わりかなぁ...。といった雰囲気。
しかし、随分と世話になったもんだ。 ありがとう。。 > カッコウP



〜 ヤナギで、フィーバー☆彡 〜


目的地へ向かう途中
国道を走っていると、何だか見覚えのある
マクドナルドと遊び場の前で
こんなトラックの文字に遭遇。。

“ いつまでも 有ると思うな 親と金 ”





そうやなぁ〜。 まったくです。。
ちょっと古そうだが、右端にサインが入っているように
地元の顔、すずき文字なんで、無視はできませんでした。... (^ ^ゞ


で、目的地付近に近づいてくると
これまで結構世話になっていた、コナラの林が伐採されていたので
ちょっと残念に思いながらも

カミキリがいないかな!? と、期待して探し始める。... (^ ^ゞ

しかし駄目だ、いないねぇ〜。。。


以前はミヤマクワガタがいっぱいいました... (^-^;


そんなこんなで、色々と寄り道したけど
目指してきたヤナギ帯へ、ようやく辿り着いた。... (^ ^ゞ

割と涼しい陽気とは言え、林の中は空気がこもり、とてつもなく湿度が高い。
きっと、すぐに汗びっしょりになるだろう。。

では、覚悟して林の中へ潜入してみよう!

さぁ、今日は何が採れるのだろうか??


長靴に履き替え、ヤナギ帯へ....


ややや!? いきなりか?
林の中へ潜入するなり、手応え有り!
眼前に、茶色のカミキリムシが見えた。


どこにいるのか、分かります???


中央部を拡大してみると、ほら、この通り♪


この子です。


大きさから言って、初めはイタヤカミキリでしょ!なんて決めつけてしまったが
そうではなかった。
とは言え、残念がることはない。

県内初となる、嬉しい×2
ビロウドカミキリをゲットである♪



-ビロウドカミキリ
-Acalolepta fraudatrix fraudatrix
BATES, 1873



黄金色に輝く、上翅の毛並みがとても綺麗で
是非おさえておきたかったカミキリムシである。

ラッキ〜☆彡

因みに、林の中はこんな感じ。。

チョロ×2と、渓流から分岐した小川が流れ込んでいる。



辺り一面、こんな感じです...。


他にもいないかなぁ... と、じ〜っと首を上に傾け
枝先を眺めていくと...

おお、また見っけ!

今度は??


結構いるようです...。


あらら、先程と比べると随分小さいビロウドカミキリであった。
サンプルとして手堅く頂いておこう。

どうやら、ビロウドも結構いるらしい。

と言うことは、周囲の枯れ枝に見受けられる
多数の脱出口は、イタヤだけの物ではないと言うことか...。

冒頭に記した考えは、ちょっと浅はかな解釈だったかも... (^ ^ゞ


あ〜、何だか疲れてきたなぁ...。
上ばっかり見ていて、だんだん首が痛くなってくると
探すのが、ちょっぴりめんどくさくなってきた。... (^-^;

こうなったら、クワガタ探しと同様にケリ採集と行きましょ〜!

せいやっ!

直感で、この樹はいそうだなぁ...。 と思えるヤナギに、ドスンとケリを1発!

すると、ボトボトッ!

と数頭の甲虫が落ちてきた。。

小さなノコノコの♂、それから♀に、ホソカミキリ... ふむ、あなたとは良くヤナギ帯で逢いますね...

ね?

うわ〜!

遂に来ましたぁ〜☆☆



-イタヤカミキリ
-Mecynippus pubicornis
BATES, 1884



これが、今年も是非おさえておきたかったイタヤカミキリだ。
実は、カミキリ標本の、触角のスタイルを、今年から新たに統一し始めたので
どうしても、もう一頭のサンプルが欲しかったのだ。

なんだぁ... 頭上にいたのかぁ。。
もっと良く探して、ヤナギの枝につく、生態写真をおさめておきたかったものだ... 残念。。

まぁ、仕方なかろう。... (^-^;

指で摘んで更に撮影。。
やはり、フトカミキリ亜科は格好いい♪



これ位大きな種類になってくると、まともに噛まれた時、結構痛いです...。


それにしても、ノコノコはいっぱいいるなぁ...。
この時点迄でも、相当数確認している。

全て回収すれば、あっという間に3桁に乗るだろう。。


いくらでもいるようです...。


せっかくなんで、ちょっと大きめのやつを拾って撮影してみる。
なんか、変な絵だね。... (^-^;



-ノコギリクワガタ
-Prosopocoilus inclinatus
MOTSCHULSKY, 1857



ここで、このヤナギ帯に見切りをつけた。 脱出!

シャツが汗でびしょ濡れである。... (^-^;
ほんの少し、休憩しよう。


おとうとの方は、骨休みに、ビーティングをやっているようだ。。
気になった、植物でもあったのだろう。。


久しぶりにビーティング採集です。


おっ!なんか採れた??
そばへ歩み寄って
傘に落ちた小さいムシを摘ませてもらうと

コブスジサビカミキリだった。

5月末に、オニグルミのビーティングで、ペアをゲットして以来である。



-コブスジサビカミキリ
-Atimura japonica
BATES, 1873



素朴な色と、独特なスタイルに味があるカミキリムシだ。
この子も一応、持ち帰ろう♪
因みに、今回の個体もオニグルミであった。



さぁ、一息入れたところで
今度は、別のヤナギ帯へ潜入してみよう。

これから挑むヤナギ帯は
以前から、その存在を把握していたものの
なにぶん、現場までのアクセス方法を見い出せずに、ずっと潜入を諦めていたエリアである。

しかし本日は、なんとか辿り着けそうな糸口を見いだす事ができたので
嬉しい初上陸となった。

滑りやすい土手をクリアし、ジャブジャブと小川を越えると
予想通り、これまで指をくわえて見ていただけのエリアへ
遂に足を踏み入れることができた♪

ふふふっ、潜り込んでしまえば、こっちのものだ☆

エリア内は、思ったよりも地盤がしっかりしていて歩きやすかった。


夢見ていたのは、こんな所でした。


そしてにらんだ通り、やはりここにもクワガタが沢山いる。


我が物顔で、闊歩しています。


林に入って、数分後。。。

ふと前方を見ると、横に伸びたヤナギの枝に、ドルクスのペアがとまっているのが見えた。
因みに、こんな所にオオクワはいない。... (^-^;

しかし、これがコクワちゃんでなく、
ス〜ジ〜だとしたら結構なサイズである。

自己ギネスサイズ更新、いけるかも!?

枝の下側にくっついていたし、逆光でよく見えなかったものの
シルエットを見た瞬間に、そう感じた。

写真を撮ろうかと迷ったが、フラッシュの光でポロッと落ちてしまったら
取り返しのつかないことになる。。

なので、ここは手堅く “
撮る前に、採る。” を実行させて頂いた。

右手を伸ばし、慎重に指で摘み採ると、どれどれ、早速種類の確認をば。。。

やったぁ〜!ス〜ジ〜だっぺよ♪

同時に、自己ギネスサイズの更新を確信した。
普段標本を作ったり、眺めているので、この判断に間違いはない。

さっさとプリンカップにおさめ、絶対に逃げられない事を確認してから撮影に入った。

で、その獲物がこれ☆



-スジクワガタ
-Dorcus striatipennis striatipennis
MOTSCHULSKY, 1861



車に戻って、ドキドキしながらノギスを当てると、サイズは34.0mmオーバーであった。
辛めに見ても、0.5mm以上の更新である。

やっぱりねぇ〜♪

小型のクワガタなんで、0.5mmの違いは姿形に大きく差が出る。

久しぶりに、クワガタを採って感動してしまった♪... (^ ^ゞ

うまい下手ではなく、こういうのは偶発的な出逢いが全てであるので
本と、ここへやってこれて、ラッキ〜☆彡 であった。

ネット上では、36.0mmとか、37.0mm なんてサイズも目にするので
いつか私も、そんなごっついやつと出逢ってみたいなぁ〜。。

なんてね... (^ ^ゞ

まぁ、これからもマイペースで、地道に積み重ねていこう。。

カミキリムシの追加はなかったが
ノコノコ無数、ミヤップ少々、そんなクワガタだらけのポイントを満喫してこの地を後にした。。



〜 気になるヤナギ帯の調査 〜


随分前から気になっていたヤナギ帯は他にもまだある。
せっかくなので、立ち寄れる近場には、ついでにチェックを入れておきたい。

次のポイントは、これまでのヤナギ帯と比べ、結構面積が広い。
しかし、林を形成する一本×2の樹がまだ若く、背が低い。
背景に広がるのは大規模なスギ帯なので、あまり期待はできないかも... (^-^;

とりあえず、長靴に履き替え、レッツ・ゴ〜♪

まずは陽当たりの良い林の外側を見ると
ゴマダラカミキリが沢山見受けられた。

まぁ、定番だねぇ...。

おそらく、ここにイタヤはいないだろうな。。 そう確信できる。

で、林の中へ潜り込むのは意外と簡単だった。

か細いヤナギの幹には、チョビチョビと傷が付いており
わずかににじみ出た樹液に
ドウガネブイブイ、アオカナブンなどが吸い付いていた。

林の奥の方の、ちょっとした日溜まりには、クワ・カブ的に
非常に期待できる数本のヤナギが見られた。

まぁ、次回この林へ入るとするなら
ここだけをチェックしておけばいいかな...。

そんな感じだった。

お土産を採ってきてと頼まれれば、ここでも充分に用を足せるだろう。



続いては、一昨年見つけたヤナギ帯へ。

眼下に見下ろすここには、ミヤップが沢山いるのだ♪


しかし、昨年とは随分違った印象を受けました...。


が。。。

あれ〜?? ... (@_@)!

なんかいつもと雰囲気が違うぞ...。

渓流の途中に形成されたヤナギ帯だったが
川がどこかでせき止められているのだろうか??
随分と水位が上がっており、以前まで降り立っていた陸地は全くなくなっていた。

こりゃ、キツイなぁ... (^-^;

03.08.30以来、04.08.10など
ミヤップ採集で幾度もお世話になっていたポイントだけに、この状況は結構痛い。

とは言え、せっかくやってきたので無理してでも林に潜入し、様子を見てみる事にした。


ジャブジャブと、ジャングルの中を歩き回ってみました。


雷でも落ちたのだろうか?主要なヤナギが減っていることが分かる。
周囲から、林の概況を把握する事はできた。

ただ、ちょっと水位が高すぎて、一歩×2、前進するのが大変だった。
すぐによろけてしまうが、絶対に、こける訳にはいかない。... (^-^;
また、日中だというのに、方向感覚も失いそうになった。

遠方に、ノコの姿を確認できたので
相変わらず、ミヤップもやってくるのだろうが
毎回×2、この様なリスクをおかすことはできない。
これまでの様な夜間の侵入などは、もってのほかだろう。。


あと数センチ水位が高ければ、長靴の上から水が侵入してしまうでしょう...。


う〜ん、ここはもう望みが薄そうである。
と言う訳で、今年に関しては、このポイントを放棄する事にした。。

毎年×2、少しずつ変わっていくものだねぇ...。

さて!本日はこの辺でお開きにしよう。
今晩は、久しぶりに田舎の親戚一同が集まるとの事だ。
年に何度とない顔見せである☆



〜 後記 〜

本日は、県内初採集のビロウドカミキリの他
イタヤカミキリシラオビゴマフケシカミキリなど、
標本用に追加しておきたかったお目当てのカミキリムシを採集する事ができ
短時間ながら、なかなか楽しかった。

スジクワガタの♂(辛めに見積もって34.0mm)に関しては
久しぶりにクワガタ採集の興奮を思い出すことができた。

また、とある開発計画により、もしかしたら今年で最後となるかもしれないポイントだけでなく
今後に期待が持てる新たなポイントなどもチェックできて
割と有意義な時間を過ごすことができたのではなかろうか。。

考えてみれば、最近忘れているポイントも相当あるなぁ...。

これが “ときの流れ” なんだと思う。

とにかく今日は、ヤナギ三昧の一日であった...☆


〜 主な確認種 (持ち帰り頭数) 〜

●ホソカミキリムシ科
 ホソカミキリ ×1
●フトカミキリ亜科
 セミスジコブヒゲカミキリ
 シラオビゴマフケシカミキリ ×2
 ゴマフカミキリ
 ヒメヒゲナガカミキリ
 ビロウドカミキリ(県内初採集) ×2
 イタヤカミキリ ×1
 コブスジサビカミキリ ×1
 ゴマダラカミキリ
●クワガタムシ科
 スジクワガタ:♂34.0mm ×1





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