採集履歴

“2005年 夏のカミキリ採集” 編(9)



05.07.10 (Sun)
 Mt 「一味違うカミキリムシ」 
                                                                                                  

暑いな〜。。曇りのはずがドピーカン!
・・・ので、少しでも涼しいところへ行こう。 ... (^ ^ゞ

なんて、安易な考えにもとづくものではないが
今日は、北方の山地へ足を運ぶ事にした。

地元でカミキリムシを責めるなら
やはり少しでも自然度が高く、種類も豊富な所がいい。

これまで幾度も記したように、確かに自分自身の現レベルを考えれば
やや開発が進んだ実家周辺でも
まだまだ充分に採集を楽しめる段階にあるが
こうして時折、条件の良い場所へ足を運ぶ時というのは
自分に対して、いわばご褒美を与えるようなもので
期待感と、気合、嬉しさでいっぱいになってしまう。 ... (^ ^ゞ

近場ではあまり見られないカミキリムシに出逢えたらいいなぁ〜☆


〜 山のポテンシャル 〜


途中、コンビニ横で見つけた開墾地など、いろいろと寄り道しながらも
案外早く、目指してきた山の中腹までやってきた。

林道を軽快に飛ばしながら、ふと見ると
ガードレールの横に直径40〜50cm程の広葉樹材がどっさりと積まれている。
おそらくこの辺りの民家で、薪炭材に用いられるものだろう。

よく見れば材の表面に、キスジトラ、キイロトラ、エグリトラなどのトラカミキリが
うじゃ×2と湧いていた。
それはもの凄い数である。

ちょうど、1ヶ月程前に実家周辺の材場で見た... いや、それ以上の光景である。

普通種ばかりだが
緯度と高度の違いにより生じている、発生時期の差違だけはなく
この山が持つポテンシャル、自然度の違いを、まざまざと見せ付けられたと言う感じだった。



-キスジトラカミキリ
-
Cyrtoclytus caproides caproides BATES, 1873



細い林道に入り、うねうねと緩やかな坂道を登っていくと
毎年アカアシクワガタが沢山集まっている、背の高いヤナギの前に差し掛かった。

今年も、ご挨拶代わりにキックを入れてみよう。。。


バシ!っとね☆


毎年、アカアシクワガタが沢山集まってくるヤナギの木です。


すると、樹幹から離れた道路上へ
パチパチパチパチ☆ と、軽快な音を立て
あられのごとくアカアシクワガタが降ってきたことが分かった。

今年もここはアカアシくんのパラダイスのようだ。

しかし、「お、カミキリだ!」と、おとうとの声もする。

マジで?

そそくさと道路の方へ歩み寄って見てみると

なんとこの辺では初めて見る、
イタヤカミキリであった。
ヤナギだから、納得できる話だが
普段見慣れている個体とはちょっと違って
若干細身である。



-イタヤカミキリ
-Mecynippus pubicornis
BATES, 1884



産地による差違だろうか?
いやいや、そんな大げさな物ではないかな ... (^ ^ゞ
まぁいいや。 面白いので、サンプルとして持ち帰る事にした。

その後、おとうとの足もとに生えている葉を
むしゃ×2と食している
ヤツボシハナカミキリを発見。



-ヤツボシハナカミキリ
-Leptura mimica
PANZER, 1884



近年、ツマグロハナカミキリと同種と言う説があるカミキリムシで
上翅の斑紋が、随分と変化に富むらしい。

この子は、黒色系の個体だが
名前の通り、八つの斑紋が入る物もいる。
果たして、ツヤケシハナと同種なのだろうか???

ヒメハナカミキリといい、本種といい
ハナカミキリの同定が非常に難しいことが、最近身にしみて分かってきた。。



〜 赤い色のカミキリムシ 〜


続いては、昨年材場採集を楽しんだ
某林道へ。

しかし今年は、いつもの現場に丸太材が集積されてはいなかった。
残念。。

ただし、その付近にある炭焼き場には
より美味しそうな四つ割りの材が積まれていた。


これは良さそうですねぇ〜!


まだ割ったばかりの様で、独特の香ばしい木の臭いが辺りに充満している。
周囲の環境は、ブナ、ミズナラ、カエデ類、サクラ類の他、ヤナギなどが広範囲に生育し
その中心を渓流が走っている。
カミキリを採ろうとするなら、まさに絶好のシチュエーションと思えた。

釜場からは煙が上がっているので
おそらく近くに、ここの主がおられるのだろう。
しかし、探しても姿は見えなかった。

本来、許可を頂いてからカミキリムシを探すべきなのだろうが
どうしても我慢できず
遠慮気味に積んだ材の表面を覗かせて頂いた。

うわ〜・・・。

カミキリ、カミキリ、カミキリ・・・それはもの凄い数であった。

今年初の
ウスイロトラカミキリに...



-ウスイロトラカミキリ
-Xylotrechus cuneipennis
KRAATZ, 1879



既採集種だが
チャイロホソヒラタカミキリもいた。
ただし、この子は全身がその名の通り
赤茶色であり
以前採集した上翅に緑色の艶がある個体ではない。



-チャイロホソヒラタカミキリ
-Phymatodes testaceus
LINNAEUS, 1758



さらには、シラケトラカミキリもゲッツ!
何気に初採集である♪




-シラケトラカミキリ
-Clytus melaenus
BATES, 1884



こちらは、シラホシカミキリ。

あ、こいつ飛ぶなぁ...。

と、思った瞬間にシャッターを押したら
こんなのが採れました。


ブィ〜ン!



-シラホシカミキリ
-Glenea relicta relicta
PASCOE, 1868



キスジトラ、エグリトラ、キイロトラは勿論のこと
とにかく、ものの2、3分で
次から次へと息をつく暇もなくカミキリムシの姿を目の当たりにした。

しかし、驚き、喜びと同時に
他人の敷地内へ勝手に侵入しているという負い目があったので
相当な未練を残しつつも
これ以上のルッキングは、遠慮せざるをえなくなった。
仕方ない、さらばじゃ...。

あ〜、もったいないなぁ... (^-^;


いいところでした。。


砂利敷きの林道を抜け、舗装道路に。
少し、移動すると
またも、美味しそうな材置き場が見つかった。

道端に、無造作に丸太材が積んである。
周囲には人家などもなく
ここなら心おきなく、採集を楽しめそうだ。

早速ルッキングを開始すると
すぐにおとうとが

「あ〜!逃げられた!」

と声をあげた。


何に逃げられたって!?


飛んで行かれたのは、赤いカミキリムシだったという。
ベニカミキリが、広葉樹材へ産卵に訪れるとは思えないので
すぐに、おそらくあのカミキリムシだろうと予測がついた。

くぅ〜、もったいない!

しかしながら、この直後に...

あ〜!また来た!」 との声。

何と、悔やんでいる間もなく、再び奴が飛来したようだ!
続けて、

やった、採れた!」 と、歓喜の声が!

おお、でかした! どれどれ、見せてくれ!
手渡されたカミキリムシは、やはりこいつであった。

上翅のホクロがトレードマーク!
一味違うベニカミキリ、「
ヘリグロベニカミキリ」である☆



-ヘリグロベニカミキリ
-Purpuricenus spectabilis
MOTSCHULSKY, 1857



今回、別にこいつをターゲットにしていた訳ではなかったが
初採集である。 素直に嬉しい♪

普通種と言えば、普通種なのだろうが
こういった普段見慣れないカミキリムシは、採ろうと思って探してみても
なかなか出逢う事ができないパターンが多い。
と、言う事で、とってもラッキ〜☆彡であった♪

すると間もなく、「
おっ、そっちへ行った!」 と言う、更なるおとうとの声!
やったね、私の所へも飛来。
今日はヘリグロベニカミキリの当り日だったようだ☆


私の方へも飛んできました☆


この様に、要所要所で材場を見つけては、ルッキング採集を楽しみながら
普段我々が通っている全ルートを、一通り走り終えた。

さて、そろそろ引き上げようか。。
おとうとは、先程の炭焼き小屋のポイントに、まだ未練が残っているようだったが
仕方ない、また来ればいいべ。 そう促して諦めることにした。
正直私も、もうちょっとあそこでは時間をとりたかった。

下山中、昨年までクワガタが沢山湧いていたヤナギ帯をふと見ると
電線を引くために、林の中央部分が随分と伐採されている事に気付いた。
昨年は、どしゃ降りの中、自己ギネスサイズのノコノコを採集するなど
想い出がいっぱい詰まったポイントだっただけに、ちょっぴり残念である。

今回は、この山のポテンシャルにあやかって
もうちょっと盛り上がりそうな雰囲気だっただけに
この様な幕の閉じ方をしてしまうと、何だか不完全燃焼な気持ちになりがちだが
しかしまぁ、改めてルアーケースの中を覗けば、ひと味違ったベニカミキリを始め
目新しいカミキリムシが結構採れているではないか♪
今日の所は、これで良しとしよう☆

そんな事を考えながら、この山を後にした。。



〜 後記 〜

下山後、陽が落ちても気温が27℃ほどあったので
方々のクワガタポイントへ寄り道しつつ、帰宅は20:10となった。

本日は、
ヘリグロベニカミキリシラケトラカミキリと言った初採集種の他
ツマグロハナと同種とも囁かれる
ヤツボシハナカミキリ
採集済みとは言え上翅の色彩が異なる、
チャイロホソヒラタカミキリ
ちょっと痩せ型の
イタヤカミキリなど
一味違ったカミキリを沢山採る事ができた。
やはり、採集地を変えれば
それなりに違った役者と出会えたのでとても楽しかった。

しかし、願わくば、もうちょっと炭焼き小屋の材場で粘ってみたかった気がする。
おそらく、各種カミキリムシの発生時期がピークを迎えていた所だろう。

ふむ、また近々行かねばなるまいなぁ〜♪


〜 主な確認種 (持ち帰り頭数) 〜

●ハナカミキリ亜科
 ヤツボシハナカミキリ ×1
 ニンフハナカミキリ
●カミキリ亜科
 ホタルカミキリ
 キイロトラカミキリ
 エグリトラカミキリ
 キスジトラカミキリ
 ウスイロトラカミキリ
 チャイロホソヒラタカミキリ ×1
 シラケトラカミキリ(初採集) ×1
 ヘリグロベニカミキリ(初採集) ×2
●フトカミキリ亜科
 アトモンサビカミキリ
 シラオビゴマフケシカミキリ
 ゴマフカミキリ
 ナカジロサビカミキリ
 イタヤカミキリ ×1
 シラホシカミキリ





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