採集履歴

“2005年 夏のカミキリ採集” 編(10)



05.07.16 (Sat)
 Mt, Hill 「出逢い」 
                                                                                                  

相変わらず暑い。。
さらには曇っていて湿度も高い。。
不快指数DI、めちゃ高し。。である。

ただこれ、クワガタを採るなら申し分ない天候だろう。
気がつけば、もう7月中旬だ。
発生頻度が上がるこの時期には
自己ギネスサイズの更新の事も
念頭に入れておかねばならない。

で、本命のカミキリの話だが、今週も先週と同じ山へ行こうと思う。
是非、前回の材場採集の続きといきたい。
特に狙いはないが、平野部では見たことのないカミキリムシが採れれば嬉しい。


〜 ヤナギのクワガタ 〜


11:00、家を出発。
久しぶりに近場の「カッコウP」へ立ち寄ってみた。

一度は、「もうここも終わりだな...」 と見切りをつけたのだが
そばを通り過ぎる際に、つい気になってしまった。 ... (^ ^ゞ

う〜む... 積み上げられた材が、以前よりも更にシナシナになっている。
一部は土の中に埋もれ始め
雑草のはびこりようも、相当の物だった。
かろうじて見つけられたのは、シラオビゴマフケシカミキリぐらい。。

こりゃ、本当に終わったな... (^-^;

カッコウメダカカミキリがついていたサクラの木には
静かにオニヤンマが休んでいた。。


全く動かないオニヤンマ... なんだか、さ〜みしぃ〜♪


道中、更に寄り道がしたくなって
湿地帯の中に群生するヤナギ林へ立ち寄る事にした。
冒頭にも記したが、クワガタのことも気になる、今日この頃。 ... (^ ^ゞ

長靴に履き替え、ただでさえ蒸し暑いこの日に
サウナのような林の中へ潜入した。

うぉ〜、いるいる!
見事に
ノコノコミヤップばっか!

しかし、一辺にこんな沢山のクワガタを見る事は
なかなかできないだろうなぁ。
圧倒されてしまう... (^-^;


ヤナギをよじ登っていくノコノコ♂...


全てのヤナギに...


樹液を吸うミヤップ♂...


確実に付いていると言っていい。


下にミヤップ♀とカナブン、上の方から降りてくるノコノコ♂...


自然体のクワガタの姿が...


よじ登るミヤップ...


四方八方から視界に入ってくる。


泥まみれのカップル...


一つ、二つ... と、何となく数えてみたが
それだけで、47頭にものぼった。

きりがない。... (^-^;

しかし、これほどの数が揃っても
自己ギネスサイズを更新するような個体には、残念ながら出会う事がなかった。


うへ〜っ!気が付けば、汗びっしょり。
蒸し風呂のような空間に包まれていたのだから、無理もない。。

地盤ぐちょ×2のヤナギ帯を脱出し、しっかりとした台地上へ戻った時には
見事に生還!
そんな気分になった。... (^-^;



〜 雨上がりの出逢い 〜


車を走らせ、数十キロ。
先週訪れた山へ、何時間もかけて、ようやく到着した。

雲行きが怪しくなって、一時土砂降りに見舞われたが
運良く青空は見え始めた。

しかし、地上はびしょ濡れである。... (^-^;
これによって、カミキリ採集に影響が出るのかどうかが心配だが
とりあえず、前回ヘリグロベニカミキリを採集した材場へやってきた。

むむぅ〜。。

やはり雨上がりのせいか、先週と比べ、ぐっと数が減っている。
タイミングが悪いなぁ...。

とりあえず、ポツリ×2と見受けられた
キイロトラカミキリでも撮っておこう。



-キイロトラカミキリ
-Demonax notabillis notabillis
PASCOE, 1862) 



ゲゲ!、こんなんも落ちてる。... (^-^;
何かに食べられたのだろうか???

先輩の言葉をお借りすれば

「キイロトラカミキリ、だった...。」

で、あろう。 (^-^;


キイロトラカミキリ、だった...(^-^;


材場にも、樹上にも、カミキリの姿があまり見えず。。。


もう少し待てば、飛び出すと思うのですが...


仕方なく、早々とここには見切りをつける事にした。


続いては、是非また来てみたいと思っていた某炭焼き小屋へ到着。
今日の期待度からいえば、ここがメインと言っていいだろう。
敷地の入口には、鉄の鎖が張られていたので、その手前に車を停め、意気揚々と外へ出た。

ん!?

思わずハッとしてしまった。。
気が付けば、ここの主らしき方が、遠くから、じ〜〜っとこちらを凝視している。
「遠くから」 とは言え、直立不動、仁王立ちなので、かなり焦った。... (^-^;

フィラソラモ〜ネ〜♪ フィラソラモ〜ネ〜♪

しかし前回は、他人の敷地内に入ってしまったという負い目があったので
早々に引き返した訳であり
ならばこそ、今日はこれからの事も考え、ここでの採集を許可してもらわなければならない。

とりあえず、まずは

「こんにちは〜!」

と大きな声で挨拶してみた。

ありゃ... 返事がない。
遠くて聞こえないのかもしれない。

ではもう一度、「こんにちは!」 と言いながら近づいていって

「実は私ら、こういった材の表面についてるカミキリムシを探しているのですが... 」

そう伝えると、いきなり

「どうぞ×2!」

と嬉しそうに応えてくれた!

「良かった!ありがとうございます♪」


とても親切な方でした。


主は、私同様とっても話し好きのようで

「この材は、○×町から運んでもらったんだよ〜。」

とか、

「この辺の山が、うちの土地なんだ...。」

とか、色々と教えてくれた。 更に

「ここで薪を割ってると、そんなムシがいっぱい出てくるよ!」

だって... (^-^;

え゙っ??
ちょっと待てよ、てことは、○×町のカミキリムシは
材に乗って、毎年ここへ流入してるって事だよね...。

ふ〜ん...。 しかしまぁ、釜の中に入れられて炭になっちゃうんだから
あんまり関係ないかな。。

成虫の流入もありうるけど
そういうことは、考えてもキリがない。... (^-^;


まぁ、そんな会話をしながらも
カミキリムシをつかまえては、主に

「ほら!ほらねっ!こんなやつですよ!」

なんて、キイロトラを見せちゃったりして、結構楽しいひと時を過ごした。

因みに、主の襟元や、背中には、キイロトラカミキリや、シラホシカミキリが闊歩していた。
シャツに材の臭いがしみこんでいるのだろうか??
完全に「
カミキリムシとお友達
そんな貫禄を見せつけられてしまった。。


で、肝心なカミキリムシだが
前回ほどの爆発力はなかったものの、撮影した個体のみをご紹介しておこう。。

まずは、けっこう大きなカタシロゴマフカミキリ...



-カタシロゴマフカミキリ
-Mesosa hirsuta hirsuta
BATES, 1884



これも大きいなぁ...ウスイロトラカミキリ。



-ウスイロトラカミキリ
-Xylotrechus cuneipennis
KRAATZ, 1879



シラホシカミキリも結構いた。



-シラホシカミキリ
-Glenea relicta relicta
PASCOE, 1868



やったネ!ようやく来たぞ〜。未採集種!



-ゴマダラモモブトカミキリ
-Leiopus stillatus
BATES, 1884



どうやら、ゴマダラモモブトカミキリのようだ♪
材の上を、ヒョコ×2歩いていたのだが
これだけは、確実に手中に収めてから撮った。
撮影中に、逃げられちゃったら困るからね。 ... (^ ^ゞ

とりあえず、未採集種が1頭でも追加できれば
今日は、ここへ来た甲斐があったと言っていい。

因みに、同種は、もう一頭追加することができた。


帰り際...

「ご不在中に、またここへやってきた場合、今日みたいにカミキリを分けてもらっていいですか??」

と訪ねると、主は

「勝手に来て、持ってっていいよ!」

と言ってくださった。

「マジですか!?ありがとうございます♪」

15分ほどの短い滞在時間だったが、大変有意義なひとときであった。
ゴマダラモモブトカミキリと、車の中にあった、元気溌剌リポビタンDやバナナを交換して、この地を後にした。。

「また来いよ〜!」

「ありがとうございま〜す!」

いや〜、良かった☆



さてさて、更に暫く行くと、道端に生い茂っていたヤナギに、アカアシクワガタがとまっているのが見えた。。
うむ。 順調に出てきているな。。
他にもちらほら見える。
全部で3♂1♀と言ったところだろうか...。



-アカアシクワガタ
-Dorcus rubrofemoratus
VOLLENHOVEN, 1865



そして、ヤナギ林に入れば必ず出逢う事になるこいつにもご挨拶。
「こんにちは〜☆」
なかなか綺麗なカミキリムシなんだけどね... (^-^;



-ゴマダラカミキリ
-Anoplophora malasiaca
THOMSON, 1865



今年も秋になったら、ヒメオオを求めて山地性のヤナギをルッキングする事になるのだろうか...??
今のところ未定かな...。

ヤナギ、材置き場、ヤナギ、材置き場…

こんな具合で色々と寄り道しながら、他には特に目新しい発見もなく、下山した。
未採集のカミキリムシは、わずかに1種。
されど、暖かい山人との、想い出に残る出逢いがあった☆


アジサイの花が、満開でした☆



〜 夜の部 〜


せっかくなので、夜の部へ突入!
ベッタリとした汗が、肌にまとわりつく、嫌〜な気候だけに
今日あたり、ごっついミヤマクワガタにでも逢えるんじゃないか?
そんな予感がしていた。

毎年、7月の20日前後は要注意である。

このところの、どこへいってもカラカラという貧弱な樹液事情の中で
唯一例外的に、ブシュ〜!バシュ〜!っと音を立てながら樹液を出している
クヌギのそばへやって来た。

早速、樹幹にライトを照らしてみる。。

む? うぉ!?

でっけぇ...!



-ミヤマクワガタ
-Lucanus maculife moratus
MOTSCHULSKY, 1861



やっぱり来たかぁ〜、大物がっ! (>_<) (>_<) (>_<)

毎年、必ず1回は、こういった当たりが来る♪

一度、ライトを奴から外し
「今のでかいな。」 と、おとうとに囁きかけ、落ち着いてから
もう一度改めて照らし直してみる...。

オオクワじゃないんだから、そんなに慌てる必要はないのだが... (^-^;

ほほぅ... ミヤップにしては珍しく、樹皮の間に挟まっているのね。。

ね...

ね?

ありゃりゃ??


右の顎が...



あっちゃ〜、こりゃ残念...。右の顎がない!

負傷して、どこかへ無くしてしまったのだろうか...??
残念な結果だが、2度もビックリしてしまった。... (^-^;


しかし良く見ると、頭部右側の突起が何だか退化しているように思われる。
なるほど... こいつ、頭部羽化不全のようだ。
てことは、右顎も、喧嘩によって失ったのではないと言うことか...。

ちょっと考えた末、このような結論に達した。


採集してサイズを計測してみると
辛く見積もっても68.0mmはあった。

惜しかったねぇ...。

でもおぬし、なかなかカッコイイぞよ!



〜 yanaさん 〜


イタヤカミキリを探しながら、昼間とは別のヤナギ帯をクリアした後
最後に、もう一本気になる木があったので、そこまでクワガタをチェックしに向かい
特に目新しい個体がいない事を確認してから、Uターンして戻ってくると
またしても新しい出逢いが待ち受けていた。。

某河川を渡る際、水辺で灯火セットをはられている方々が見えたので
思い切って声をかけてみると
なんとその人は、日頃から、水棲昆虫の話でお世話になっている
yanaさんであった☆

私自身の日記の中でも、貴重なゲンゴロウの採集成果について
何度かご紹介をさせてもらっているが
実際にお会いするのは、実はこれが初めてである。

「初めまして♪」

こんな山奥で、こんな時間帯に... ビックリである。
yanaさんは、トビケラを熱心に探求されているKさんと
やはりトビケラの調査中であった。
お二人とも水戸昆虫研究会で積極的に活動されている先輩方である。


私:

こんばんは!カミキリは飛んできませんか??

Kさん:

私ら、水棲昆虫を探してるんですよ!

私:

え?ひょっとしてyanaさんじゃないですよね!?

Kさん:

yanaさんはこっち!

yanaさん:

くもんさんですか??


そんな挨拶から始まった☆

突然押しかける、という形になり、色々とご迷惑をかけしてしまいましたが
トビケラに対する、想いを聞かせて頂きながら
灯下セットに群がるムシの様子を見学させてもらい
大変貴重なときを過ごさせて頂きました。
おとうと共々、どうもありがとうございました!

世の中には、色んなムシに興味を持たれている方がいるのである。。


さて、そろそろ引き上げるべき時間かな...

yanaさんとは、つい先日、メールのやりとりもしていたので
これを機に、急に水棲昆虫のことが気になり
近場で各種ゲンゴロウや、タガメを見つけては、水路へリリースしながら家路についた。
絶滅が危惧されているこのタガメくん... こうして沢山いるうちはいいんだろうなぁ。。。

では、今日はこの辺で...☆彡



〜 後記 〜

今回の初採集種は、ゴマダラモモブトカミキリのみ。
他に見る事ができたのは、いつもの役者さんばかりであった。

雨が降るのも、未採集のカミキリムシが発生するのも、全てはタイミングの問題。
これもまた、いとおかしである。

ヤナギ帯の中のクワガタムシの量には正直驚いた。
一度にあんな沢山のノコを見たのは、何年ぶりだろう。。
最後に別の山で見つけたミヤマクワガタ(♂)は、なかなかのサイズだっただけに
ほんと、もったいなかった。
クワガタは何度やっても、興奮してしまうなぁ〜。 ... (^ ^ゞ

また、主とお知り合いになれたことは非常に嬉しかった。
あんな山奥で、ああやって毎日×2
一人で薪を割っては釜に入れているのだろう。
ほんと、山の人である。(なんせカミキリムシとお友達」だもの☆)

印象に残ったのは
「ここ、実際××県だけど、こっち(私の地元)へ入り込んできてますよね〜。」 と、言うと
「違う×2、そっちが割り込んできてんだよ!」
という笑いながらの会話を交わした事である。

お互い、生まれの土地を誇りに思っているという事だろう。... (^-^;
しかし、主に一本とられたって感じだった。。

yanaさんには、5分程度だったが、お会いする事ができて、大変嬉しかった。
ただ、トビケラ調査の邪魔になってしまったかも。。
水棲昆虫は、いずれ機が訪れたときに必ずまたやります。

色んな出会いが重なった楽しい一日であった。


〜 主な確認種 (持ち帰り頭数) 〜

●カミキリ亜科
 キイロトラカミキリ
 エグリトラカミキリ
 ウスイロトラカミキリ
●フトカミキリ亜科
 シラオビゴマフケシカミキリ
 ゴマフカミキリ
 カタシロゴマフカミキリ
 ヒメナガサビカミキリ
 シラホシカミキリ
 ゴマダラモモブトカミキリ(初採集) ×2
 ゴマダラカミキリ
●クワガタムシ科
 ミヤマクワガタ ♂68.0mm ×1





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