採集履歴

“2005年 秋のカミキリ採集” 編(2)



05.09.04 (
Sun) Lake Side 「タテジマ求めてカクレミノ発見!」 
                                                                                                  

昨日に引き続き、本日もタテジマカミキリのホストとなるウコギ科のカクレミノを探しにでかけよう。
前回と重複する内容もあるが、現在までに得られているカクレミノの情報は以下の通りである。

関東南部以西の本州、四国、九州、琉球、朝鮮南部・台湾に生育する常緑の亜高木性の樹木。
温暖な地域の二次林や常緑広葉樹林の林床に生育する。
やや暗い林内に生育することが多いが、尾根筋などの明るい場所に生育する場合もある。
沿岸域のシイ林に多い。
庭木として良く植えられる。

これらを頼りにしながら
県内でタテジマカミキリの報告がある地域にて
これまでに2回(山間部、沿岸部)の調査を行なってきたが
残念ながら、現段階ではその姿を確認できていない。

報告地が北関東の、かつ県北である点も
発見を困難にしている要因となっているのかもしれない。

しかし今回は、地元でカクレミノが自生しているスポットがあると言う耳寄りな情報を得たので
早速そこへ行って現物を見てみたいと思う。
この際、本命のタテジマカミキリは後回しでいい。

古い情報なので、あてにはならないが
もしも確認する事ができれば、それは明日へつながる大きな一歩となるに違いない。

う〜ん、楽しみだぁ〜。


〜 その前に 〜


既に昼時を過ぎていたせいもあるが
今日は、いつもより幾分涼し気だった。
ようやく、“秋のカミキリ採集編” らしくなってきたと言えようか...。

で、お待ちかねのカクレミノとのご対面の前に
一つだけチェックしておかねばならないポイントを思いだし
まずは、そこへ立ち寄っていくことにした。

久しぶりに、地元のクリストフポイントである。

ここには、畑地の周辺にカラスウリがはびこっていて
わずかながらヤマブドウも見られるらしい。

「秋の茨城三種の神器」と言えば、タテジマカミキリの他に、もう2つ
カノコサビカミキリと、ブドウトラカミキリが挙げられるというが
これらは、そのカラスウリ、ヤマブドウをそれぞれホストとする。
以前おとうとが、ここへやって来たときに、るどるふ先輩からアドバイスを受けていたのである。

そんな訳で、実家から車で10分の現場へ到着するなり
気になる箇所を片っ端からビーティングしてみた。

まずは、ヤマブドウから...
しかし、気温が低いのか、風が強いせいか、ブドウトラは不在の模様。。


どうやら空振りのようです...。


それでもあきらめず、こんなのを叩きまくります...。


カノコサビも、いなし...。


駄目だぁ〜、いくら探しても見あたらない。
採れる時には採れるけど、採れないときには採れないものだ。
初めから ここには生息していない可能性も高い。
まぁ、探さないことには何も始まらないので
今日のところはこれで充分に納得できた。
とりあえず、来ておいてよかった☆



〜 遂に! 〜


で、遂にお目当ての場所、カクレミノが生えているという、×××地区へ向かった。
現場の地名は、ネット上で見られる簡易な道路地図上には掲載されていない。
「×××」は、本当にごく限られたエリアに残っている古い地名のようだ。

ただ、それだけピンポイントだったので、意外にあっさりと目的地を発見できた♪

なるほど、ここが...。

コンクリート壁でよく整備された崖の下には、こんな看板が出ていた。

なになに?


スダジイを中心とした照葉樹林で、その下にカクレミノが!?


よっしゃ! 間違いないな。
確かに、「カクレミノ」の5文字が特記してある。

それにしても、あらかじめ古い情報だと言うことは分かっていたが
昭和53年といえば、もはや27年も前に掲げられた看板ではないか...。
果たしてカクレミノは、今もなお当時の姿を残しているのだろうか??

因みに、現在位置はここ...。


この中のどこかに、カクレミノがあるのですね!


「普通地区」の意味が良く分からないが... (^-^;
右手の急な階段を登っていけば、神社があるらしい。

よし、とりあえずそこまで行ってみよう!


5.jpg 階段を登る私... おとうとのカメラから頂きました☆


因みにこの階段、結構な段数で、境内にあがった時には息切れしそうだった。 ... (^ ^ゞ

それにしても、久しぶりに胸が高鳴るなぁ〜。... (^ ^ゞ
早速、周囲を見渡してみる。
辺りは、夕刻前の林の中なので薄暗い。

あっ!ヤツデだ☆
実際に葉が八つに分かれている訳ではないのだけれどね。。
そう呼ぶらしい... (^-^;

実家の裏庭にも生えている、見慣れた植物だが
カクレミノと同じウコギ科なので、最近ちょっと興味深く感じている。


ヤツデが沢山生えています。


因みに裏側はこんな感じ。。


裏側です。


ほ〜。。 こりゃ、高ぇ〜なぁ... (^-^;

樹齢を感じさせる巨木とおとうと。。 東側斜面でのショット。



高〜い... 。


…なんて、感心していた矢先だった。

ややや!?

遂に来た!
現物を見るのは初めてだったが
間違いない、写真で見てたやつと同じやつが
突如目の前に現れた☆
すぐに

おいやす、あれじゃねぇ〜!?

と、すぐ後ろにいたおとうとに声をかける。

うん、そうだ。 間違いない!


これが、ずっと探していたカクレミノです。 結構高いですねぇ〜!


やったぜぃ!(>_<) (>_<) (>_<)

遂に見つけた、カクレミノ♪

これが、目印となった葉である。
こんな風に、葉が3裂(稀に5裂)している。
花が咲くような成木では、楕円形や卵形のものも混じるようだ。


写真で見るより、もうちょっと濃い緑色をしています。。


これを見つけるまでに、随分時間を要したもんだよなぁ〜。
素直に嬉しい♪

あれれ?

こっちにもあるじゃん...

ありゃ、そっちにも...

のわ〜っ!
気がつけば、あちこちに生えているではないか!!


結構生えてる様です。 少なくとも、8本は確認しました。


なるほどぉ... これが。。。
あらためて、マジマジとその姿を観察する。
探し求めてきたカクレミノは、葉の色や形、白っぽい木肌の様子など
大変特徴的であった。

それがまた、一層満足度を高める。 ... (^ ^ゞ

で、一応タテジマカミキリも探してみたが
食害の痕と思われる状況は全く見あたらず
当然、その姿を確認することはできなかった。

しかし、もはや夕刻前で、ただでさえ暗い林の中では
樹上のカミキリムシを探すのには大変不利な状況であった。
(因みに、掲載した写真は、すべて夜景モードとし、シャッター速度を遅くして撮影している。)

おまけに、突然湧いてきた藪蚊の大群に襲われ、あっと言う間に両腕を7箇所刺され
「早くここを脱出したい!」
と言う気持ちに負けてしまった。 ... (^ ^ゞ

よって、この短時間のルッキングだけで
「ここにはいない。」
などと断言はできない。

何にせよ、今日はここ「×××地区」へやって来られて本当に良かった♪



〜 灯台下暗し 〜


最終目標であるタテジマカミキリの採集に達し得なくても
そこまでのプロセスが少しでも進展すれば
それは×2、嬉しいものだ☆

帰り道、ルンルン気分で自宅へ通ずる路地へ曲がろうとしたところ...

あれれ!?

ちょっとストップ!

何?あれ...

なんと、自宅の目と鼻の先に
先程まで一生懸命眺めていたやつが生えているではないか... (^-^;


ただこれ、確実に植木でしょうねぇ...。


間違いない、カクレミノだ... (^-^;

採集に出かける時には、ほぼ毎回通っていた道なのに
何で今迄気がつかなかったのだろう... (^-^;

やはり先程の、「まずは現物を見るべし」と言う経験を果たした効果の現れであろう。

…となると
意外にこれまでの調査中でも、見落としがあったのかもしれない。

しかし、
どう見ても植木だよなぁ... こりゃ。。

近所にお住まいのIさんは、庭木を植えるのが好きだしね。... (^-^;


林の奥には、もう2本植わっています。


林の奥を覗くと、もう2本植わっていた。
タテジマくんが、かろうじて生きていけるかな!?

こうやって、カクレミノに「
気づくことができる」ようになった事も
本日の確かな手応えであった。

満足度アップである♪

う〜む、今回は大変実り多き調査であった☆



〜 後記 〜

今日は、遂にカクレミノを見る事ができた。
生えていた場所は
自宅から車で15分程の自然環境保存地区で
海岸線というよりは、湖に近い小さなエリア内であった。

昭和53年(今から27年前)に建てられた看板に
既にカクレミノが特記されていたのだから
今回確認したカクレミノは
誰かに持ち込まれたものではなく
以前から土着していたものと推測される。

ただ、今考えてみると
そんな良好な環境の中で、タテジマくんが見つからなかったのは
少々痛いかも。。

ムシってやつは
条件がそろえど、いないところには全くいないからなぁ...。

まぁ、夕刻だったし
見落としもあるだろうから
後日、もう少し丹念に見ておく価値はあると思われる。

蚊の奇襲攻撃にも邪魔されちゃったし...。
もうちょっと粘らんと ... (^ ^ゞ

それから、後ほど気付いた事だが
シイの林床に生える」という説が、当たっていた。
今回は、スダジイの林床だった。
勤務校の図書室にあった図鑑も、あながち捨てた物ではないな...笑。

それにしても、自宅から200m圏内の林に植えられていたのにはビックリだった。
庭木としてよく植えられている」という説も、大正解であった☆
あえて薄暗いスギ林の中に植えられていたので
おそらく地主さん(Iさん)は、カクレミノのことをよく理解しているのだろう。

で、次回は遂にタテジマくんと、ご対面したいと思う。
え? この自信はどこから生まれてくるのかって??

実は、カクレミノの見極めができるようになり
かつ、ある程度タテジマくんがいる場所の絞込みができてきた矢先
いきなり走者一掃となるタイムリー安打が生まれたのである。
るどるふ先輩から、決め手となるアドバイスを受ける事ができたのだ。

ふっふっふ... 私は運がいい...(シャア・アズナブル風に☆)
今回は、カクレミノの発見で、大きな前進を遂げ、かつ自信がついた。
次回が本当に楽しみである。



〜 参考文献

・ 「山渓フィールドブックス17 樹木 秋冬編 (1997 山と渓谷社)」
・ 「日本の植生図鑑(T)森林編 (1983 保育社)」 ほか・・・




※採集記目次へ

採集履歴05.09.04