採集履歴
“2005年 秋のカミキリ採集” 編(4)
05.09.18 (Sun) Hill 「手遅れかな?ブドウトラ探し。」 |
連休中日♪ 今回は、“秋の茨城三種の神器” と称される3種類のカミキリムシの一つ ブドウトラカミキリを、遅ればせながら狙ってみたいと思う。 このカミキリ、文字通り ブドウ類を食害し ブドウ農家泣かせのムシとして、非常に名が知れているようだ。 時期的に手遅れでないか、ちょっぴり心配だが 9月半ばにして成虫採集を終えてしまうのでは ちょっと時期早々な気もする。 動いてみなければ、何もわからないし、始まらない。 と言うわけで、今日も出かけちゃおう。... (^ ^ゞ |
〜 ブドウ農園へ 〜
さて、まずはホストとなるブドウ類を探さねばならない。
だが、自然の中に生えている、いわゆるヤマブドウ(山地)、野ブドウ(平地)が
そこらで簡単に発見できる訳がない事ぐらい
充分に承知している。
目的が違っていたとはいえ
これまでに積んだ、野山におけるフィールド調査の回数はだてではない。
よって、それぐらいの勘だけは働く。
そんな訳で、一発目の今回は
手っとり早く、人の手によって管理されたブドウ畑へ行ってみる事にしよう。
何か手がかりが掴めるかもしれない。
あまり時間もないので、その方が効率がよいと思われる。
家を出発して45分... 真っ先に訪れたのは
ひと昔前、ミヤマクワガタを探すきっかけとなったSポイント付近。。
昨年、道端で売られていたブドウを
実家へのお土産に買って帰った事があるのを思い出し、やってきた。
よしよし。
今年も何軒かの農家によりブドウが売られている。
しかし... あれれ〜??
肝心なブドウ畑が近くに見当たらない。
仕方がないので、現場を少し離れ、野山の散策を始めた。
15分ぐらい経った頃であろうか??
売り場から1km程離れた所に...
ありました×2!
うしし♪ 間違いないっしょ☆
のっけから、意外と手こずってしまった。... (^ ^ゞ
まずは、ブドウ畑をチェックです。
さぁ、早速 調査開始と行こう!
農園の周囲には鉄柵がはられていたので
当然中に入ることはできない。
それならば、お行儀悪く 鉄柵の外にはみ出しているツタを
隅から隅までチェックさせてもらう事にする。
とりあえず、周辺の水田で稲刈りをやっている農家が見えたので
怪しまれないよう、捕虫網だけは忘れずに...。
「ムシ採りやってます!」 って信号をしっかりとアピールしておかなければ
堂々とやれないからね。。
予想通り、初めはこちらに対する鋭い視線を感じました。... (^ ^ゞ
う〜ん...。
しかしながら、食害の痕など ブドウトラカミキリの手がかりは一切なし。
ブドウちゃん、とても大事にケアされている模様。。
道路を挟んで反対側にもブドウ畑があったが、そちらも同様であった。
農家の間では、相当警戒されているカミキリムシだけに
その辺の対策はバッチリなのであろう。
今年度だけ放棄されたような、寝かされたブドウ畑はないのか??
などとも考えたが、そう甘くはなかった。。
ここで一時、ブドウ畑には見切りをつけ
付近の山へ入ってみた。
ある文献の情報によると
ヤマブドウ、野ブドウなど、自然のブドウは
「ブドウトラカミキリによって食害済み」というケースが多く
平地ではなかなか見つけられないと言う。
逆に寒冷の山地では、ブドウトラカミキリが成育不能であるため
生えているところには沢山生えているらしい。
以前、るどるふ先輩が実家の近所(クリストフポイント付近)でブドウを見つけたときに
そこで 「運が良ければ、秋期にブドウトラが採れるかもしれない。」
とおっしゃっていた事が、今あらためて理解できる。
探しても、なかなか見つからない物なんです。
ミヤマクワガタが沢山採れる山の東側の林道を
ノロノロと時間をかけて移動してみたが
結局ブドウトラカミキリの手がかりを得ることはできなかった。
次いで、またもやブドウ園へ。。
先程の農園とは別の場所(Y.T)である。
しかし今度は、現場でブドウ農家がお仕事中だったので
あからさまに周囲をうろつき回ることができなかった。... (^ ^ゞ
ただ、ふと駐車場の横を見るとこんなんが...。
気になったのならビーティングします!
何となく、ブドウ系な気がするが、ちょっと違うような気もする。
とりあえず、ツル性の植物なので
ブドウ畑からのおこぼれが進入しているかもしれない!
そんな期待を込めて、バシバシとビーティングしてみた。
はぁ〜。。
駄目だ... いくら叩いても、何にもいない。
難しいなぁ。 ... (^ ^ゞ
場所を移動させ、もはや何の役にも立たなくなったSきょく付近で
気晴らしにカラスウリを叩いてみた。
三種の神器の一つ、カノコサビを狙ってみる。
しかしながら、カノコサビも いなし。。
されど、そう簡単に見つかるものではない。 ... (^-^;
数百メートルに及ぶ農道沿いに生えていたカラスウリを片っ端から叩いてみたが
何の手応えもなかった。
ひゃ〜、困ったなぁ。。 ... (^-^;
これからどうしよう。。。
ちょっとやりようがなくなってきた。
こうなったら思い切って、県内ではちょいと有名なブドウ産地の一つへ足を運んでしまおう。
ブドウ農園だらけなので、あそこへ行けば何かしら切り口が見つかるかもしれない。 ... (^ ^ゞ
ということで、大幅な移動を試み やって来たのは某ブドウ園。
砂利敷の駐車場の先には、年配の農家の方達と、ブドウ狩りを済ませたお客さんがいた。
目の前に拡がるは、広大なブドウ畑。。
こちらはブドウを買う用事など 全くないのだけれど
どうしても中に入って様子を見てみたい。。
せっかくやってきたのだ。 このまま引き下がる訳にはいくまい。
よっしゃ、こういう時は私の出番である。 ... (^ ^ゞ
元気良く車を降り
どうもこんちは〜♪(東野風に・笑)
と、農家の皆さんに挨拶してみた☆
更に...
こちら、私のおとうとです。 つくばで生物系の研究やってます。(あながち間違いではないでしょ?・笑)
そんで、今日私は、その手伝いなんです。 ... (^ ^ゞ
そう説明すると、出てきてくれた 農家のおじさんは
「どうぞ×2!」 と、快く我々を受け入れてくれた♪
やった!ちゃっかり現場へ入れてもらう事に成功♪
早速助手が、カミキリムシの被害について尋ねてみると
おじさんは、「あぁ、それならあっちにある!」
と言って、我々を案内してくれた。
おじさんの後ろを、期待しながら、かがんでついていく。
ブドウ園の中は、頭の上にブドウのツルがはってあるので
背を縮めながら歩かなければならない箇所がけっこうある...。
そしてまずは、ブドウの樹根部についた
何らかのムシによる 痛々しい食害の痕を見せてもらった。
所々に穴が開き、そこを中心に樹皮が黒く変色しており、若干だが白い粉を吹いていた。
う〜ん... イメージしていたものとはちょっと違うなぁ。。
しかし、「あっちにもあるぞ!」
と、次に見せてもらったのが、これであった。
おおお!
間違いなさそうです!
間違いなさそうだ。
局所的に枝の途中が膨らんで、黒ずみ、樹液が出ている。
きっと幼虫が入っているのだろう。
ブドウトラカミキリの幼虫は、こういったツルの中で、糞を外へは出さずに成長している。
※栽培者側の対策としては
※この部分を切り落としてしまうと、そこから先のブドウが全て枯れてしまうので
※針のようなもので、外側から幼虫を刺し殺すのがベストなのだとか...
我々が感激して、その様子を見ていると
おじさんは、農園の被害話を中心に
一生懸命カミキリムシについて説明してくれた。
しかし...
説明している内容をよくよく聞いてみると
「ギイギイ音をたてる。」 と言っていたし、指を開いて説明してくれた、その大きさといい
「明らかに、シロスジカミキリのことを言っているんだな。。」
ということに気付いてしまった。 ... (^-^;
食害の状況、および、その後に受ける被害については、痛いほど認識しているものの
どうやら成虫の実態は、未だ掴めていないらしい。 ... (^-^;
何だかちょっぴり、涼しげな空気が流れた。 ... (^-^;
それにしても、おじさんが親切に園内を案内してくれたお陰で
本日は、ちょっぴりだけブドウトラカミキリの尻尾を掴むことができた☆
これは、明日へ繋がる確かな手応えと言っていい。
とっても大きいことだ。
帰り際には、このおじさんと、他におられた お2人のおばちゃんにも深々と感謝し
この農園を後にした。
本当に勉強になりました。 ありがとうございます。... m(_ _)m
さぁ、他にもブドウ畑は沢山あるようだけれど
時間も時間だ。 今日の所はこれでお開きにしましょう...☆彡
〜 後記 〜
18:00過ぎに、実家へ帰宅。
両親も、ちょうど お出かけから帰ってきた所のようで
日中は、どうやら祖父を連れて 大子町の方へ観光に行っていたらしい。。
あぁ、あの辺はいいところだよ〜♪
本日は、カミキリ採集を始めてから 通算100種類目となる ブドウトラカミキリを狙ってみたが
残念ながら、採集には到らなかった。
かっかっか・笑!
そう簡単にいく訳がなかろうて...☆
しかし、得るものはあった。
親切なブドウ農園のおじさんと出逢い
食害の痕を見学させてもらう事ができた。
PCの画面上、図鑑の書面上ではなく、この目でその実態を確認できたのだ。
確実に一歩前進したと言って良い♪
ただし、もはや9月下旬...。
時期的な事を考えると、残念ながら、今年はこれにて秋のカミキリ採集編を閉幕せざるをえないようだ。
しかし、来年のブドウトラ探しは、「0 (ゼロ)」からの出発ではなくなる。
先々の布石づくりとして、今日は行っておいて良かったと思う。