採集履歴

“2005年 冬のカミキリ観察” 編(1)



05.11.05 (
Sat) Hill 「お休みなさい、タテジマくん☆彡」 
                                                                                                  

11月に突入。。
そして最初の週末は、久々のお出かけだ。
考えてみれば、10月は1度もムシを求めて野山を散策していない。

季節的に成虫採集ができなくなり、仕事の方も、色々と行事が増え
暫くの間、こちらに関しては骨休みをしていたという所。。

いくら好きな事とは言え、採集の他に、標本作製や採集記執筆などの記録活動を
ひっきりなしに続けていると
さすがにくたびれも溜まってくる。。
それが夏期〜秋期ならば尚更だ。

まぁ、この1ヶ月の間は、よい息抜きになったと言えよう。

で、本日は、念願の採集を果たしてまだ日が浅い タテジマカミキリの様子を見に行ってみたいと思う。
秋期にこのムシを追い求めるきっかけとなったのは
野外成虫越冬することで有名」という、るどるふ先輩からの紹介の言葉であったわけで
ならば、その越冬状況を是非とも見ておきたくなったのだ。

カクレミノの実態把握から、成虫採集という一連の過程を踏んでいるので
個性的と言われ評判が高い お休み中の状況とやらを、最後にもう一度だけ観察してみるのも、悪くはない。

まだ冬と言うには 少々時期早々な気もするが、その光景を目の当たりにする事ができるだろうか??


〜 久しぶりだね! 〜


午前中は、大事な用事があって大洗方面へ行って来た。
なので、今日は午後からの出発である。

場所・目的がハッキリしているので、時間をそんなに要さないと踏み
ゆとりを持って 14:00 からの滑り出しだ。

あぁ、陽射しがとっても眩しい... まさに快晴である♪

おとうとなどは、久しぶりにフィールドへ飛び出すという事で
俄然やる気満々である。

事に「採集」という行為に対する彼の情熱の大きさは
私よりも数段上であると言っても過言ではない。

私も採集は大好きだが、おとうとが「採集派」というのなら
どちらかといえば、私は「記録派」という事になるのかもしれない。


さぁ、海に程近い 小高い山中へ到着した。
家を出てから、ここまで約1時間である。

早速、約2ヶ月前に 大きな感動を頂いた カクレミノが群生する林まで
まっすぐに歩いて行った。


おお... アマガエルくん。

ちょっと元気ないねぇ〜。 君も もうすぐ越冬に入るのかい??


眠いよぉ... と言ってます。(多分・笑)


まずは、カクレミノが群生する二つの林のうちの、一方(丈の低いカクレミノが多い)に到着。
前回、タテジマくんをより沢山確認した方だ。

しかしながら、今日はどんなに探しても、一頭も見受けられない。

あれれぇ??
何だか予定通りに行かないと、不安だな。。... (^-^;


そんなわけで、残りもう一方の林(丈の高いカクレミノが多い)へ。。

樹上を、じ〜っと見上げていくと...

あぁ、おった!

と、おとうとの声。

ホントだ! 久しぶりだね〜!


う〜む、何度見てもいいなぁ〜♪
この、顎をしっかりと引いて枝にしがみつく姿。。

期待していた越冬体制ではないが
バシバシと、遠慮なく撮影させて頂いた☆



-タテジマカミキリ
-Aulaconotus pachypezoides
THOMSON, 1864



引き続き、越冬成虫を探してみる...。

お、またいた!

しかしながら、残念。。 これも越冬体制ではない。... (^-^;


先程の個体よりも、ちょっと小ぶりですかね...。


さすがに まだ冬と呼ぶには時期が早かったかな...。

まぁ、いてくれるだけありがたいではないか☆
この様な健在ぶりは、正直に嬉しいものである。

なんて思っていると...

うげっ!
出たぁ、ボンドカミキリ。。... (^-^;


カビまみれのタテジマくん...


ナガゴマフカミキリ、ヒメヒゲナガカミキリ、イタヤカミキリ...
フトカミキリ亜科のこの様な光景には、これまでに何度も遭遇してきたが...
タテジマくんまで、カビの餌食になっちゃったのね。。... (T^T) (T-T) (T^T)

それにしても、急にタテジマくんが見つかり出したな...
越冬前は、みんなこちらの林(丈の高いカクレミノが多い)へ移動している模様。

そして、機は訪れた。。

ややや!?

高〜い所に、またもやタテジマくんを発見!
小さくてよく見えないが、今度のは 明らかに体が枝に埋もれているようだ。

側にいた おとうとも、間違いなかろうと言っている。

やった〜!遂に来たっ!(>_<) (>_<) (>_<)

ようやく見つけた越冬個体... バッチリ撮影して帰ろうではないか!

振動を与えないように、そっと枝をたぐり寄せ
夕暮れ前の薄暗い林の中、必死で撮影に臨んだ。

例によって、シャッター速度を遅めなければならないが
どうしても手ぶれが避けられないので
少しでもそれを軽減しようと
おとうとの頭を三脚代わりに使わせて頂きながらシャッターを切る。... (^ ^ゞ

で、まずは こんな写真が撮れた☆


これが、越冬体制に入っているタテジマくんです!


カクレミノの木肌に
自分の体がフィットするボート状の浅い窪みをつくって
そこへ顔を埋め... これから越冬に入るようです...☆

う〜〜ん、可愛いのう!

ただしこの写真、自動的にフラッシュがたかれてしまったので自然なカラーを出せていない。
やはり、バカちょんカメラは厳しいなぁ... (^ ^ゞ

今度は、フラッシュの光を極力指で隠して、更にシャッター速度を遅め
真横から挑戦...。

相変わらず手ぶれ気味だが
これで 少しは状況が伝わったのではないでしょうか??


実にユニークな体制ですよねぇ...☆


いや〜、良かった×2♪

既採集種とは言え
無事に越冬個体の観察、撮影を済ませ
本日の大切な目的を果たす事ができた。

9月に、この個性的なカミキリムシとの出逢いから得た感動は
2005年の一連の採集行の中でも、3本の指に入る程 大変印象的なものだったので
今回の、この様な形での再会は、非常に感慨深いものがあった。


カクレミノにも、色々お世話になりましたね。。


さて×2、めでたく念願成就したのだ。 早々に引き上げよう。
短い時間ながら、今回は大変勉強になるカミキリ観察行だったと思う。
思い残す事は、何もない。

ただ、帰り際に...
自称飼育下手(どちらかというと嫌い)なおとうとが
本日確認した越冬体制に入っていないタテジマくんの中から
2頭ほどを、お持ち帰りしたいと言い出した。

理由を聞いてみると
どうやら自宅アパートの一室で、タテジマくんを越冬させてみたいらしい。

はは〜ん... よっぽど この子達に惹かれていると見える☆

それぐらい魅力的なムシだ。
気持ちは良く分かる。


陽が沈むのが、早くなったもんだなぁ...。
時計の針は、まだ 16:00 をまわったばかりではないか。。
やはり、季節は秋から冬へ移行しつつある。

最後に、帰りの道中、沈み行く夕陽を車内から撮影。。


相変わらず、ピンボケですけどね... (^ ^ゞ




〜 後記 〜

今日は、1ヶ月以上のブランクをあけた、久しぶりの出陣であった。

想い入れが強いタテジマくんの越冬状況を確認できて
非常に感慨深いものがあった。

大変短い時間の中での ささやかな出来事だったが
何なのだろう、いつまでも こみ上げてくる この満足感は...??

「ムシを通しての自然観察」、これは本当に面白い。

いつも思うが
壮大な自然の摂理の中の
本の一部分の事とは言え
自分の小っぽけな胸で受け止めるには
それは余りにもでかすぎる。

9月以来、タテジマくんを見つめて来たお陰で
今年は カミキリムシを探し始めて本当に良かったという事を
改めて感じた一日だった。

色々と感動をありがとう。 お休みなさ〜い... ☆彡 > 越冬タテジマくん


〜 主な確認種

●フトカミキリ亜科
 タテジマカミキリ ×2





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