採集履歴
“2006年 H市調査” 編 (5)
06.04.15 (Sat) Plain 「タイムリーなホスト採集」 |
今回は、先月から毎週チェックを入れてきた、某スギ林をメインとする採集行だ。 春先のスギ林とくれば、おのずとターゲットは定まってくるだろう。 そう、スギカミキリと ヒメスギカミキリである。 最近、カミキリをやられている諸先輩方のブログや掲示板を拝見させて頂くと もうスギカミキリは時期が峠を過ぎているとの事だが ここ、地元H市内では 残念ながら未だ確認ができていない。 茨城は少し発生が遅いのかな?? 単に、ポイントの選び方、探し方が下手くそなだけであろうか??? いやいや、“あの林” にいないわけがないでしょ。。 間違いなくいる! そう確信している。... (^ ^ゞ 何とか今季中に、未記録の地、H市内で スギカミキリをおさえておきたいところだ。 (因みにヒメスギは確認済み。) 曇り空で やや肌寒いのが気になるが、ここの所ずっと雨続きだったので 無事に出陣できるだけありがたい。 では、行ってみよう。 |
〜 久しぶりに 〜
12:00 ジャスト、今日は おとうとの車での出発となった。
で、12:03 には目的地へ到着。。 早っ!... (^-^;
冒頭で、「間違いなくいる」と豪語した
実家からわずか800m程の場所にあるスギ林とは、こんなところである。。
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. | 何気に小学時代の友人宅のそばかも。。 当時から、ここはスギ林でした。 |
老木が伐採されたおかげで、以前と比べると、地面まで陽が差し込むようになった。
(今日は曇ってるけど... (^-^; )
そして、切り株の隙間にはフレッシュな若木が植林されている。
また、採集人にとっては大変ラッキーなことに
大量の伐採木が、現場に放置されたまんまである。
材の表面を眺めると、古いものとは言え
カミキリムシの羽脱孔が無数に開いている。
大きさから考えれば、ヒメスギカミキリのものであろう。
大概の材に、この様な羽脱孔が開いてます。
毎週土曜か日曜になる度、必ずここへ訪れて これらを眺めてきた訳だが
これまでは、ムシの気配などまったく感じられなかった。。
(あ... でもワラジムシやムカデなら沢山いました... (^-^; )
さてさて、今日こそは いてくれるだろうか??
毎度の事ながら、現場の蓋を開ける瞬間というのは、多少なりともドキドキさせられる。
では... いざ行かん!
ん!?
そう意気込んだ矢先、背後から突如おとうとが叫んだ。
“あぁ〜、いたっ!”
え゙っ、マジで!? こりゃまた早いね... (^-^;
後ろを振り返ると、ベリベリっと剥がされた樹皮の裏側に、本当にいました♪
予想通り、ヒメスギカミキリでした。
ほ〜ら、赤いやつ☆
ヒメスギカミキリ-(Callidiellum
rufipenne
MOTSCHULSKY, 1860)
この一頭だけではない。
バタバタと逃げ始めたもう一頭を、慌てて摘み上げると...
あちゃ〜、勢いあまって、右後ろ脚がとれちゃった。... (^-^;
ごめんよぅ...。
配色違いの2頭目です☆
既に確認済みの普通種とは言え
冬季を乗り越えてきた、カミキリムシとの久しぶりの出会いが
あまりにも突然訪れたため
ついテンションが上がってしまった。... (^ ^ゞ
因みに...
こんな材での出来事でした。
樹皮の裏側には、幼虫の食痕がビッチリ。。
迷路みたいでしょ?
よしよし、なかなか幸先の良い滑り出しである♪
今日はここで、思う存分楽しませていただこう。
ようやくGOサインが出たようです♪
手当たり次第、伐採木の表面を観察していく。。
うひゃ〜! いきなりスイッチが入ったという感じ。
いくらでも採れる。
赤いのやら、緑のやら、紫のやら...
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ヒメスギカミキリ-(Callidiellum rufipenne MOTSCHULSKY, 1860) |
とりあえず、これらは全て採集させていただいた。
サンプルは、なんぼあっても良い。
樹皮をめくれば、今まさに外界へ抜け出ようとしている個体も...
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ぞく... | ぞく... | 登場☆ |
う〜ん... やっぱりいいもんだなぁ〜♪
活力に満ち溢れ、元気にうごめいている個体...
ひっそりと、静かにたたずんでいる個体...
どちらにせよ、野外で成虫の姿を眺められる事が、理屈抜きで嬉しい。
久しぶりにこんな気分を味わう事ができた。
しかし... 1時間ほど林の中をうろついてみたものの
お目当てのスギカミキリには出会えない。。
う〜む、おかしいなぁ... (^-^;
彼らの羽脱孔も沢山見受けられるのに。。
毎度のごとく、なかなか予定通りにはいかないものだ。
ま、基本的に彼らは夜行性なので
日没後、再びやって来たほうが得策かもしれない。
いるのは確かなのだから。。
他に見ておきたいポイントも数ヶ所あるので
とりあえず、この地にはいったんサヨナラしておこう。
スギアレルギーである、おとうとの くしゃみと鼻水が
止まらなくなっちゃったしね... (^-^;
〜 ブラブラと下見 〜
その後、市内のあちこちを見て回ったので
以下に、その内容をズラズラと書き連ねておく。。
続いてやってきたのは、こんな所。
これまで「カッコウP」と呼んできた場所である。
奥の方へ続く小道(?) を辿ると
ヌルデの木が数本、それからタラノキが生えている。
これは私(笑)。 おとうとからの頂き物です。
昨年は、この付近でネジロカミキリを採集しているので
当然ここにもやってくる予定なのだが...
残念、やっぱりまだ早かったみたい。
タラノキの前で、フライング... (^-^;
その代わりに、こんなのを見つけた。
相当昔、何らかの目的で打たれたと思われる木杭から出てきたものだが
おそらく、トラカミキリ系の蛹だろう。
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. | この材、蛹のアパートです。 |
何に化けるかちょっと楽しみなので、持ち帰って観察してみよう。
では、次へ。。
ブラブラと湖岸を行くと、途中でこんな光景を見かけた。
そっか、もうすぐこどもの日なんだぁ。。
ゴールデンウィーク間近... という事ですな☆
気がつけば、少しだけ晴れ間が見えてきました。
湖岸を離れる際には、民家の竹塀に無数の羽脱孔を見かけた。
犯人は、タケトラカミキリで間違いなさそうだ。
これはいい!(お住まいの方にはお気の毒ですが... (^-^; )
夏が訪れたら、是非もう一度チェックしに来なければなるまい。
こうして、気になるポイントには欠かさずチェックを入れていく。。
傾斜地に拡がる竹林内に潜り込むと、巨大なタブノキが生えていた。
周囲にはこの様な落ち枝も散乱している。
カミキリムシの足跡も残されています。
ちょっと削ると、案の定 幼虫が出てきた。
さぁ、誰の子でしょうか??
で、昼の部の最後に辿り着いたのは
先月、ホシベニカミキリの死骸を確認したポイントの、すぐそばという事になった。
各種タケ類、タブノキ、ヤブニッケイ、クワ、コナラ、シイ、その他蔓性の植物など
沢山の樹々が混生しており、ムシ採りをやるには大変魅力的に映った。
こんな所です。
陽当たりが悪い、うっそうとした林の中へ潜り込んでみると
得体が知れない植物も多く、なかなか面白いエリアであった。
林の中へ、40mぐらい入った所です。
材割りをしながら様子を見る限り、多くの甲虫類が棲み着いているようである。
ただ、今後侵入する事は間違いなくないだろうな。。
夏なんて、蚊が多そうだし... (^-^;
しかし、こういう所でも、知っておいて損はない。
地元の植生分布に対する感覚は
広く浅く眺める・・・というやり方で、充分に養えるものだ。
さて、そろそろ家に帰ろう。
くしゃみ鼻水によってダメージを受け続けた 運転手の体力は もはや限界のようである。... (^-^;
休憩を挟んで、夜の部に備えようではないか...。
〜 夜の部 〜
いったん家へ戻って、一眠り。。
一時間程で目覚めると、大分疲労がとれ、スッキリした。
何時間も寝ていたような気分である。
運転手の体調も、随分回復したようだ☆
時刻は、18:10。
陽は完全に落ちた。
それでは予定通りに、昼間のスギ林へ再度行ってみよう。
例によって、ものの2〜3分後に現場へ到着。。
うひゃ〜、風が強い... それでもって冷たい... (^-^;
果たして、本当にいるのだろうか??
ちょっぴり不安になる。。
しかし、“いる!” と言いきってしまった以上、今度こそ いてもらわねば困る。
頼みます、出てきてくださいよ〜 (^-^;
ライトを片手に、探し始めて10分。。。
やっぱり無理なのかな〜?
と、少々焦りが生じ始めた時の事だった。
スギカミキリのものと思われる羽脱孔があいた、高さ2m程の切り株の皮を...
この切り株に、賭けてみます。。
ペリ〜っと剥がしてみると...
あ...
あ!
いたっ♪
ほっと胸をなで下ろした瞬間です!
うひゃひゃ!ラッキー☆彡
気温が低いためか、あまり動かないので
まずはバッチリと写真を頂戴した。
そして、そっとキャッチ♪
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スギカミキリ-(Semanotus japonicus LACORDAIRE, 1869) |
やったね☆
まさに、タイムリーなホスト採集である。
いや〜、良かった... (^-^;
こいつが採れなければ 今回の話はまとまらない。
それ故、無事にノルマを達成できてホント嬉しかった。
県内で91種類目の採集となった、嬉しい×2 カミキリムシは
皮肉にも、林業家を悩ますスギの害虫という事になった。... (^-^;
さてさて、一安心したところで 今回はお開きにしよう。
追加個体は、また今度でよい。
一頭採れれば、御の字である。
何よりも今は「記録が大事」なのだ。
〜 後記 〜
今回は、野外活動する成虫の姿を 久しぶりに満喫し
更に、鹿行地区に棲息するスギカミキリを なんとかこの目で確認することができ
大変意義のある採集行であった。
これで、近々報告する予定でいた カミキリムシのリストに新たな肉付けができる。
これからも、時間が許す限り採集に出かけ
茨城県における、一時代のカミキリムシの記録を
少しでも増やせればと思う。
今春から初夏にかけては、報告書の提出にむけ、ラストスパートをかけたい。
〜 主な確認種 〜
●カミキリ亜科 | ||
ヒメスギカミキリ | : | ×8 |
スギカミキリ | : | ×1 |