採集履歴

“2006年 T山塊調査” 編 (2)



06.04.30
Sun) Mt 「1年前の再現」 
                                                                                                  

とても良い天気だ。 凄く暖かい。

と言う事で、今週も 地元茨城県を彷徨う予定である。
ただ今回は、暫くの間続けてきた 「H市調査編」 を一旦 お休みにしたい。

この時期に、こちらで採れるカミキリムシと言えば
ようやく出始めた トゲヒゲトラ、ヒメクロトラ、ヒナルリハナと
出現を待ちわびているネジロくん あたりが限度だろうから
差し当たり、冬季に行ってきたような材割りでもしない限り 手の打ちようがないので
久しぶりに「T山塊の調査」を行ってみようという訳だ。

茨城県における、これまでの採集経験から
あの辺は、カミキリムシの発生が割と早いエリアであると睨んでいる。

棲息している種類の数も豊富なだけに
今日のような暖かい日なら
H市では見られない何らかのカミキリムシに効率よく出逢えるかもしれない。

ただ、絶好な天候とは裏腹に、許された時間は少なく
正味3時間ほどのお散歩になってしまう予定である。
だったら たまには一呼吸入れて、ドライブ感覚で楽しんでしまおう。


〜 最低限の寄り道 〜


10:00に出発。

目的地へ向かう前に、毎回、欠かさずチェックしている
タラノキポイントへ ちょっとだけ寄り道してみた。

H市調査はお休み!などと謳っても
ネジロくんが発生するタイミングだけは、見逃したくない。

どれどれ??

・・・・・。

はぁ... 残念! 今日も出逢う事はできなかった。... (^-^;

まぁ これさえやっておけば、一安心。
納得してこの地を離れる事ができる。... (^ ^ゞ


現場を去る際には、横倒れになりながらも
元気に花を咲かせているウワミズザクラを見かけたので
ついでに覗き込んでみると、トゲヒゲトラカミキリが沢山いた。


珍しく、静止している個体がいました。


やはりこの辺は、このカミキリムシから始まる。


.トゲヒゲトラカミキリ(Demonax transilis BATES, 1884



それから、車に乗り込んで、ふと正面を見ると
フロントガラスの前を、真っ赤な甲虫が ふわ〜っと横切った。
まさに出発しようとするタイミングだったが
どうも気になったので、そいつが着地したポイントを確認してみると...


.カメノコテントウ(Aiolocaria hexaspilota HOPE, 1831



あらら!? 日本最大のテントウムシだった。

へぇ〜っ、この辺にもいたんだ。。
何気にH市内で見るのは初めてである。。

こう言うのを見ると、本当に春が来てるんだな... と実感できる。

嬉しいなぁ ...(T^T)(T-T)(T^T)

さぁ さぁ、時間もないし とっとと山へ移動しよう☆



〜 1年前の再現 〜


寄り道をしたばっかりに、コース変更を余儀なくされた。... (^-^;
Uターンは時間がもったいない。(特に今日はね... (^-^; )

勘だけを頼りに、目的地へ向けて知らない道を突き進んでみると
それが功を奏し、かなりの時間短縮ができた。 ナイスアプローチである。
信号もなく、ガラすき。 また 新たな巡廻コースが完成した☆

で、まず初めにやってきたのはこんな所。。

標高は、400mぐらいか??
とは言え、なかなかいい眺めである。





B.Tできそうな花樹は、カエデ、サクラ類といったところ。
早速トライしてみたが、カミキリムシは、キバネニセハムシハナばかり。。
何となく結果が見えてしまったので、深追いするのはやめにした。

気がつけば、道端にはタラノキも結構生えている。
写真のような、か細いものから
2m以上の樹高がある立派なものまで様々だ。


タラノキが気になってしまう、今日この頃... (^ ^ゞ


一応チェックを入れてみたが
やはりこちらでもネジロくんはお留守だった。... (^-^;

う〜ん... この環境、この陽気を前提にしている割には
ちょっと手応えがないな...。

では、場所を変えてみるのが得策かな??

この辺りで、30分程費やしたのち
一度標高を落としてみると
新たに別な山道が現れたので、登り直してみた。

するとその山道は、途中から、過去に辿ったことがある道のりに変わっていった。

あぁ... 懐かしい。。

この辺は 昨年の今日、つまり2005年4月30日に訪れたエリアだ。

そして、シロトラカミキリを初採集したニワトコの前に立つ。。

因みに、このニワトコ... 恥ずかしながら、昨年からずっと 名称が分からないままだった。


何とも特徴的な花ですよね??


と言うのも、「ピンクの茎と花」という先入観があり
なかなか同定に辿り着けないでいたのである。... (^ ^ゞ



ニワトコSambucus racemosa ssp. sieboldiana


後程気付いたのだが
注意してみれば、図鑑に出ているような黄緑色の茎に白い花がついたニワトコはあちこちで見られた。

う〜ん... まだまだ修行が足りませんな ... (^-^;

因みに、情報を提供してくださったのは、今回も るどるふ先輩だった。
いつも、ありがとうございます。。m(_ _)m


さて、せっかくなので今年も このニワトコを叩いてみよう。

篠棒と、受け皿のビニール傘を持ったおとうおとが
腕を伸ばせば届く範囲で、B.Tにトライ!


中央の背が高い樹木ではありませんよ,,, その右側です。


すると... おやっ!?(@_@)

なんと、また入っちゃった♪


シロトラカミキリParaclytus excultus BATES, 1884



再び、シロトラカミキリである。

しかも昨年と同じ、オレンジ色がかった個体だった。
これまで何度も確認してきた普通種だが
考えてみれば、オレンジ色がかったタイプは ここでしか採れていない。

結局、見つけられたのは今年もこの一頭のみ。
しかし、一年前にこいつを採った時の興奮たるや、それはかなりのものだったので
大変懐かしく感じた。

平野部ではお目にかかれないカミキリムシだし
この時期に見られたことも 大変嬉しかった。



オレンジ色がかったカミキリムシといえば
このあたりで採れるヤツメカミキリもその例である。
一昨年、昨年と一頭ずつサンプルを得ているが
もう少し確保しておきたいところだ。

シロトラと同様、今年も同じ樹(サクラ)を叩けば見つけられるかな?
と思ったが、そこまで何もかも同じようにはいかなかった。... (^ ^ゞ




〜 おとうとの不運でおしまい☆ 〜


ここで、ちょっとしたアクシデントが発生したので ご紹介しましょう。

たわいもない事だが、おとうとが、う○を踏むという不運が勃発。。

これがまた産みたてのほやほやらしく、強烈に臭うのだ。 ... (^-^;


スペア靴に履き替え、必死で不運に応戦してます ... (^-^;


水たまりの水を使って上手に掃除しているが
その様子が、たまらなくおかしかった。... (^-^;


興味の対象は、確実に 「カミキリ < 靴」 になってます。


つまらない話題で、ゴメンナサイ... m(_ _)m


そうしている内に、時計の針は 13:30...。
普段なら まだまだこれからと言う時間だが
そろそろタイムアップという運びになった。

まぁ、こればかりは仕方ない。

あ、ちょっと待った!

現場を離れようとすると
ようやく復帰した おとうと が、スギの倒木に群がる、ヒメスギカミキリを見つけたようだ。


思いっきり枯れてますなぁ...。


無数のヒメスギカミキリが、素早く、そしてかなり激しく動き回っている。
これこそが、ネット上でよく話題に上っている、「運動会」と言うやつなのであろう。。

ペアになれば、少々落ち着くので
こうした撮影も可能だ。


ヒメスギカミキリCallidiellum rufipenne MOTSCHULSKY, 1860



わはは、じ〜っと眺めていると、何だか楽しいなぁ。... (^-^;
最後に、面白いものが見られた☆

さて、そろそろ引きあげようかな。。

結果としては既採集種ばかりだったが
今日の所は、ま、こんなものだろう。
新しい記録は大事。されど息を抜くことも大事である。



〜 後記 〜

今回は、昨年と同じこの4月30日に
同じ場所(ニワトコの樹)で、同じカミキリムシを、やはり同じように たった一頭のみ確認した。

思えば あの日、このでっかくてオレンジ色をしたシロトラカミキリと出逢った事により
私は、時間が止まるような衝撃的な興奮を覚えた。

昨年、2005.4.30 採集
シロトラカミキリ
Paraclytus excultus BATES, 1884


そしてその衝撃は、現在に至るまで、絶え間なくカミキリ採集を続けてきた我々の原動力に
火種をつけたのである。

特に新しい発見はなかったが
そう言った 忘れられない想い出をリアルに顧みられたという点では
今回の出撃は意味があったと思う。

これを機に、よい仕切り直しができた。

H市では、タラノキに関してのみ ざっと見回りはしたものの
基本的には休憩というスタンスをとった。
ネジロくんは、もうちょっと時間がかかりそうである。

「茨城県における、一時代のカミキリムシの記録を 少しでも多く残しておきたい。」
くどいようだが、今季の私には そんな明確な理想がある。
本格的なシーズン入りを間近に控え
やる気が沸々と湧いている。


〜 主な確認種

●ハナカミキリ亜科
 キバネニセハムシハナカミキリ ×n
 ヒナルリハナカミキリ ×n
●カミキリ亜科
 トゲヒゲトラカミキリ ×n
 シロトラカミキリ ×1
 ヒメスギカミキリ ×n





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