採集履歴

“2006年 H市調査” 編 (8)



06.06.03
Sat) Plain 「自宅の庭でも」 
                                                                                                  

さてさて、一昨日の興奮もおさまらぬ内に
再びムシ採りの為に用意された楽しい週末がやってきた。

今日は、地元 H市を含んだ R地区の調査を再開しよう。

東南地区における調査の意義を充分に理解している おとうとも
カミキリ採集するには最高の場所に住んでいながら
わざわざ実家まで帰省してきた事だし。。

午前中の天候はあいにく曇りで、風も吹き 肌寒く
決して良い条件とは言えないが
限られた時間の中で、最大限の努力をする時期が訪れているだけに
出陣は当然の流れだ。

では、行ってきます☆


〜 とりあえず 〜


まずは、最近気にかけている材場へ。。
今日は、ここの地主さん(農家の老夫婦)が
お仕事にみえていたので、バッチリと用件を伝えて
採集の許可を頂いた。。


奥が じいちゃん☆ 手前がおとうとです。


むむぅ... やはりこの陽気では少ないな。。
かろうじて、ゴマフ、ナカジロサビが確認できる程度... (^-^;
いい所なんだけどね。。


.ゴマフカミキリ
..Mesosa japonica
BATES, 1873



30分ほど滞在したが、全く進展が得られなかったので
この場は諦めることにした。


林の裏側にある、ヌルデ等も覗いてみましたが駄目でした...(^-^;



〜 お隣の市へ 〜


ではどこへ行こう??

実は、先程のポイントに けっこう期待をかけていたので
ぶっちゃけ、次を考えてなかった...(^-^;

環境の良さそうな場所を、これまでの経験から想像していく。。

お!ひらめいた☆

もってこいの場所を思いついた。
春先に訪問した N市の高台へ登ってみよう!

一度 「また来よう」 と思ったポイントへは
時期を見て、再び脚を運ぶように心がけている。
そうでなければ、普段から地道にフィールド調査をしている意味がない。

竹林やタブノキを求めて彷徨ったことが、訪問のきっかけに繋がったエリアだが
その他の植生も含め、とても好印象だったので、ちょっと楽しみだ。


で、15分後にその現場へ辿り着いた。

いいね、ここへ来て ぐんぐん気温が上がってきたぞ。


正午、一気に晴れ間が見えました!


あれれ?? 大量に積んであったはずのシイタケのホダ木が、跡形もなく なくなってる...。
残されていたのは、真っ黒になったカブトの幼虫だけ。。

これについてもけっこう楽しみにしていたのにな。。

でも ま、いっか... (^-^;



たまには、私も登場... (^ ^ゞ


先日るどるふ先輩が確認していたホシベニカミキリの事を思い出したので
私も数本のタブノキをチェックしてみたが
残念ながら、この辺りでは まだのよう。。
今日もフライングしてしまった... (^ ^ゞ


右がタブノキです。 左はシイ。。


前方のクリ林内に、ソダの山が見えたので
入ってチェックを入れてみる。
すると、あっという間に...

お!ミドリじゃないですか〜!


.ミドリカミキリ
..Chloridolum viride
THOMSON, 1864



何気に、このエリアでは公的に未記録かも☆

思わずでかい声を出して
ウメ林の方で採集していた おとうとを呼び寄せてしまった。

因みに、こちらへ走ってやって来た おとうとの方は、ヒメヒゲナガカミキリを手にしていた。
やはり、そこそこカミキリムシが生息してるようである。

その後、真っ赤な個体などを含め、ここでは5頭のミドリを確認する事ができた。


真っ赤なミドリくんもいました。 けっこうイケてますよね☆


どうでも良い事だが、ここでは、今年初めてヤブ蚊に刺されてしまった。
しかも指先を2箇所も ...(T^T) (T-T) (T^T)


この様なクリ林の中での出来事でした。


では、先程おとうとが叩き網による採集をやっていたウメ林の方へも行ってみよう。。

現場へ向かう途中、枯れヅルにゴマフがいっぱいついている事に気づいたので
試しに、捕虫網を下に添えて揺すってみた。


試しに揺すってみると...


わはは☆ バラバラッ!と沢山落ちてきた・笑!!


大漁です...(^-^;


で、そのウメ林。。

ここでもやはりゴマフがいくらでも入ってきたが
何度かやっている内に...


何か入りましたか!?


お!ヤハズだ♪

と、おとうと。

どれどれ... ホントだ!



.ヤハズカミキリ
..Uraecha bimaculata bimaculata
THOMSON, 1864



指で摘んで、色んな角度から撮影してみる。。


サイドビュー。 いい顔していますね!


県内におけるこいつの採集経験は、T山塊での一頭のみだったので
こちらでの確認は、なかなか感慨深い。

その他、この辺りでは
アトモンサビとか...


.アトモンサビカミキリ
..Pterolophia granulata
MOTSCHULSKY, 1866



ツマグロハナなどが見られた。。


.ツマグロハナカミキリ
..Leptura modicenotata
PIC, 1901



それから、このエリアには思った以上にタブノキが生えている事が分かった。
シーズン入りしたら、是非ホシベニカミキリの分布調査を行いたいので、今後も要チェックである。


よし、そろそろ場所を変えてみよう。
とは言え、まだN市を抜けるわけではない。
県内におけるこの辺りのカミキリムシの記録は極めて少ないので
できるだけ多く「当たり前の結果を、正確に記録」しておかなければなるまい。

特に珍しい種類が見つかった訳ではないが
まぁ、こんなのとか...


.エグリトラカミキリ
..Chlorophorus japonicus
CHEVROLAT, 1863



ベニカミキリなんかもしっかりと記録をとらせていただいた。

ここの所、いろんなサイトに出てくるカミキリムシにも目を向けてみよう。
時期相応の種類なのだが
民家の生垣など、あちこちマメに見回ったけれど
なかなかうまく出逢えないものだ。。


いないですね、あれが ...(^-^;


ここで、ちょっとブレイク...

ややや?
なんだあのヘンテコな建物は。。


民家など滅多に見られない この様な野山に...

不可解な形をした1頭の建築物... 確認はおりたのでしょうか??


う〜〜む。。
意味もない天窓なんかが、いかにも怪しい。。

別に、どうという事はないのだが
小ったぁ建築学をかじった私としては
何のためにつくられたのか、それなりに気になるところだ。

私の友人や後輩が見れば
やはり 「なんだ、これは?」と思うに違いない。。

まぁ、いいや... (^-^;


結局、2時間ほど辺りを徘徊してみたが
このN市についても、H市同様に調査を重ねていく必要がありそうである。



〜 小っちゃいのを発見! 〜


流れ、流れて、再びH市に戻ってきた。
依然として太陽が燦々と照り続けているので
もう少し、回っておこう。

いつも通っていた「カッコウP」の裏側へ回ると
いかにも “田舎” って感じのバス停の横に
伐採された枝が大量に放置されていた。


ここには何かいるでしょうか??


因みに、そのバス停。。


「手づくりバスのりば」 実家周辺には、こんなのが沢山あります。。


チェックを入れ始めてまもなく
おとうとが、「お、いた!」 と声を上げる。


何かがいたようです!


一瞬カッコウカミキリかと思われたが
よく見ればちょっと違う。

やった!どうやら未採集のカミキリムシのようだ。
しかも、地元H市でそれが確認されたのは嬉しい。

後ほど調べた結果、ニイジマチビカミキリであることが分かった。
“チビ” と名乗るだけあって、本当に小さい。... (^-^;



.ニイジマチビカミキリ
..Egesina bifasciana bifasciana
MATSUSHITA, 1933



まさに、これまで採集したヒシカミキリ、カッコウカミキリサイズである。
この後も1♂追加し、ペア〜♪で採集する事ができた☆

それから、シラホシカミキリもゲット。


.シラホシカミキリ
..Glenea relicta relicta
PASCOE, 1868



まぁ普通種なんだろうが、とりあえずH市内でこいつを見るのは初めてである。

ところで、我々が大騒ぎで写真撮影をしている一部始終を
Kトラに乗ったじいさんが、背後から 「何事?」 って感じで見つめていた。
先程の建物の話ではないが、我々がとっている行動は、一般的に見て
それ以上に怪しいのかもしれない。... (^ ^ゞ
(一旦いなくなりはしたが、気になってしまったのだろうか?数分後に、やっぱり戻ってきて見ていた...(^-^; )


では、自宅に近づいたこの辺で
お開きと致しましょうかね??

帰る途中、こんな収穫もあった。
普段、敬遠がちのスズメバチだったが
希に見るでかさだったので、とりあえず標本用にお持ち帰り。。

大のハチ嫌いなおとうとは、このスズメバチを見た瞬間に
数メートル走って逃げてしまった...(^-^;



.オオスズメバチ
..Vespidae Vespa mandarinia japonica
RADOSZKOWSKI, 1857




〜 お庭でも! 〜


自宅へ戻り、車のドアを開けるやいなや
目の前にあったレモンの植木に
オレンジ色のカミキリムシが休んでいるのを発見!

ほうほう...
どうやらリンゴカミキリのようである☆


左の方に、食痕が... しっかり糞もしています。。


昨年は 裏庭のウメ畑でも確認しているし、表庭にも八重ザクラの老木があるので
まぁ、あり得る話ではあるが
あまりにも突然姿を見せたので
ちょっとびっくりした。...(^-^;

それにしても、レモンの葉っぱも食べるんだね。
ちゃんと葉脈に沿った食痕があり、傍らには糞もありました...(^-^;


.リンゴカミキリ
..
Oberea japonica HUNBERG, 1787



また、家の中に入って
早速今日採れたカミキリムシのデータ整理をしていると
何やら おとうとが、庭の方から 大声で呼んでいるらしい。。

その事を母が知らせてくれた訳だが
どうやら、またも庭木(ヒメリンゴ)にてカミキリムシを発見したようだ。
しかもそれは、本日もカナメモチを中心に探し歩いていた
ルリカミキリだという。

なんと、ルリまで自宅の庭にいたとは...(^-^;

急いで庭の菜園まで行ってみると
ヒメリンゴの前には、おとうと と 父が真剣な表情で並んでいた。



自慢げな父と、撮影にいそしむおとうと...。


いそいそと近づいて、私もヒメリンゴの葉を覗かせてもらう...

おお、ホントだ!
正真正銘のルリカミキリがいる☆


.ルリカミキリ
..Bacchisa fortunei japonica
GAHAN, 1901



う〜む...これが噂の。。(@o@)


何だか赤ちゃんみたいなイメージですね(笑)。 可愛いでしょ??


よく見れば、食痕や、羽脱孔の跡も残されていた。


葉脈に沿った食痕です。

ピンボケですが、羽脱孔も。


そもそも、おとうとが父に

「ヒメリンゴ(ルリカミキリのホスト)なんて植えてないの??」

と問いかけたことが事の発端だったらしい。

父によれば、別に植えてあるリンゴの樹の他家受粉を目的として
このヒメリンゴを植えておいたそうだが
最近食害がひどいから、殺虫剤をまこうと思っていたとの事。。

う〜む、その前に採集することができてラッキーだったかも ... (^-^;

因みに この時点では、3頭のルリを得る事ができた。

センノキ、ゴマダラ、シロスジ、アトジロサビ、ナガゴマフ、ツマグロハナ、ベニや、その他にも沢山...
昔から、自宅の庭におけるカミキリムシとの出会いは多かった。

良いところに住んできたんだなと、つくづく思う。。



〜 後記 〜

今日は、公的には未だ記録がないN市の某エリアにて
ミドリ、ヤハズなどのカミキリムシを多数確認し
また近所ではニイジマチビ、自宅の庭ではルリなど
自己初となる採集もできたので
なかなかの収穫であった。

6月入りし
ようやく楽しくなってきたH市調査。
冬季からの「採れない」下積み時代があっただけに
現在の状況にはけっこう感動している。

これからの時期は
種類の同定、データの記録、標本作成、採集記の執筆など
やる事が益々増えて、ちょっと大変だが
突き詰めて考えれば、趣味でやっていることだし
これらを 今しかやっておけない事と信じ
それ故にラストスパートをかけているのだから
一つの節目を目指して、これからもやれる限り頑張ってみたい。


〜 主な確認種

●ハナカミキリ亜科
 ツマグロハナカミキリ ×1
●カミキリ亜科
 ミドリカミキリ ×6
 ベニカミキリ ×1
 エグリトラカミキリ ×1
●フトカミキリ亜科
 ルリカミキリ(初採集) ×3
 ニイジマチビカミキリ(初採集) ×2
 シラホシカミキリ ×1
 ヤハズカミキリ ×1
 アトモンサビカミキリ ×2
 ナカジロサビカミキリ ×n
 ゴマフカミキリ ×n
 リンゴカミキリ ×1





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