採集履歴

“2006年 R地区調査” 編 (2)



06.06.15
(Thu) Plain 「赤い彗星、現る!」 
                                                                                                  

今日は千葉県民の日☆
と言うことで、遠慮なく休暇をとらせていただいた。... (^ ^ゞ

6月と言えば、多彩なカミキリムシが出揃う、目が離せない時期。。
できることなら、少しでも多く彼らと対面する機会を設けたい。

朝の天候は曇り。。
梅雨入りした影響もあって、ここのところずっと雨続きだったが
今日は、昼過ぎまでなら何とか持ってくれそうなので
手際よく、ホームグラウンドの見回りをしてこよう。

今回は、前回調査したエリアより
さらに南側を攻める予定だ。
R地区調査編 その第2弾、行ってきます。


〜 のっけからヘコむ... 〜


午前10時に家を出た。
調査を入れようと思っているエリアに至るまでの
所要時間は、概ね1時間である。
そう考えれば、けっこう近い。

まずは高速に乗って、ひとっ飛びである。


雨が降らない内に、行ってきますよ☆


とは言っても、今日は何時になくお行儀良く運転していた。

ちょうど2週前の木曜日、やはり有休を使ったクリストフの日は
片道4時間弱のロングランだったので
高速道路へ乗り継いだときには、当然時間短縮なんぞをもくろみ
それはもう抜群にスピードアップしたものだが...

あの時に比べれば、今日は(近いせいか?)
気分的に随分ゆとりを持った運転ができた☆

しかし...

降りる予定だったインターの約3km手前になったところで
100〜135kmで減速、加速繰り返す
ご老人の乗用車を抜きにかかってしまった。

もはや、何の言い訳もしない。
全て事実である。

約20秒後、左方からバシっと赤い光線が自分の顔に浴びせられる。。

もう覚悟はできております。 なので早く通知を下さい。 ... (^-^;



〜 気を取り直して 〜


“やられちゃったよ〜(T^T)(ToT)(T^T)”

目的地へ到着後、とりあえず仕事中の おとうとに電話連絡を入れてみる。

すると、“バカだな〜! でも案外大丈夫じゃね〜?” との返事 ... (^-^;

しかしまぁ、ここで ヘコんでいる場合ではない。
せっかく休みをとって来たのだから
存分に楽しんで帰らねばなるまい。

気を取り直して前向きに行こう☆ ... (^ ^ゞ
(切り替えが大事!...(^-^; )

ところで、今回あえてやって来た このエリアにおけるカミキリムシは
どんなものが現れても全て公的に初記録のものとなるので
実にやりがいがある。
(つまり、これまではこの地におけるカミキリムシの記録例がない。)

短い時間の中で、できる限り沢山のカミキリムシと出逢って帰りたいものだ。

それから、余裕があれば以前からずっと気にしている
あいつの存在も念頭に置いておこう。

お!早速良さそうな光景が見えてきた☆


凄い量です。


材種は主にエノキのようだ。
バックには、そこそこの広葉樹林帯も見える。
これは何かしらいるでしょ!

ワクワクしながら車を停め
捕虫網を持って、現場へ足を踏み入れた。

すると...

わ♪ やはりあなたが第1号でしたか。

お約束の ゴマフくん。


.ゴマフカミキリ
..Mesosa japonica
BATES, 1873



まずは1種類クリア。
で、次は??

う〜ん、キスジくんか☆
とは言え、いつものキスジくんとは一味違う。
大切な2種類目だ。


.キスジトラカミキリ
..Cyrtoclytus caproides caproides
BATES, 1873



その後、ナカジロサビもありがたく確認していく。。

また気が付けば、周囲にはヌルデが沢山生えていた。
そろそろ出ているかな??
と、そちらへも目を向けてみる...。


ヌルデも気になります。


お!カミキリだ☆
しかし、思い浮かんだヤツではなく
ハナカミキリ亜科だった。


.ヨツスジハナカミキリ
..Leptura ochraceofasciata
MOTSCHULSKY, 1861



再び材場を眺め始めると
今度は、古いタケ材の上に、アトモンサビ。


.アトモンサビカミキリ
..Pterolophia granulata
MOTSCHULSKY, 1866



こんな感じで、手堅く5種類を確認する事ができた。
全て普通種、いて当然なんだろうけどね。

まぁ、簡単な数学問題の答え合わせをした結果

「うん、やっぱり合ってた。 よしよし♪」

と納得する感覚に近い。

ここで、Kトラに乗ったおやっさんがやって来て
私に話しかけてきた。

「何してんだぁ〜?」 と。。

やはり物珍しいんだろうな ... (^-^;

にこやかに、ちょっとだけ状況説明した後

「頑張れよ〜↑(茨城弁)」

と言うありがたい言葉を頂戴しながら
この地を後にした。



〜 黄色の星 〜


暫く車を走らせていると
斜面上にタラノキが群生しているのを見つけた。

願わくば、是非ともネジロくんの記録を残したかったが
必死で斜面を登った代償はベニカミキリ ... (^-^;

ま、これだってしっかりと記録しておかねば。。


更に行くと、田んぼの向こうに 伐採木が積んである。

近づいてみると、またもエノキだった。
今日は縁があるね〜。


今度は何がいるでしょうか??


まずは、先程と同様にキスジトラカミキリ。
3頭ほどが ヒョコ×2 と歩き回っている。

こりゃ、良く探せばいくらでもいるな ... (^-^;


.キスジトラカミキリ
..Cyrtoclytus caproides caproides
BATES, 1873



残念な事に、この材場ではキスジトラくん以外のカミキリムシに出逢う事はなかった。
大半の材が雑草に埋もれていたし
ちょっとオーラが弱いのかな??

その代わり、すぐ側に またもヌルデを発見。


再び、ヌルデの葉が気になります。


よく目をこらして、一枚×2 の葉っぱを下から見上げていると...

あ!カミキリだ。。

とても小さく、逆光で、見た目では何カミキリなのか判定が難しかったが
これまでの経験から、簡単にその答えを予想する事ができた。

では、捕虫網を使って確認みよう。

は〜い、正解です♪
第一ポイントでは見つけられなかったものの
やはり既に出ていたようだ。

と言う訳で、
ヨツキボシ


.ヨツキボシカミキリ
..Epiglenea comes comes
BATES, 1884



このヌルデでは、他にツマグロハナがいた。
これで合計8種類。

よし、これぐらい確認できれば もういいかな??
時間も余りないし、そろそろ念頭に置いていた
カミキリムシを探してみよう。



〜 真っ赤な星 〜


小学時代、宿泊学習、青少年赤十字などの合宿で訪れた施設付近へやって来た。

当時、そんな関係で オリエンテーリングをやったとき
子供ながらに、「ここの自然度は高いな。。」
と感心した里山の記憶を呼び覚まし
辿り着いたのである。

何気に、じいちゃんの実家の目と鼻の先であるが
このエリアへ足を踏み入れたのは、本当にあれ以来のこと... 実に久しぶりだ。

辺りを暫く彷徨っていると、遠くに鳥居が見えてきた。。
ほう、傍らには県内でよく見かける黒板チックな看板も掲げられているようだぞ。

いそいそと歩み寄り、現場の前に立ってみる。

ふむふむ、やはりこの手のものだったか☆
この採集記では、見つける度に掲載している 「■■緑地環境保全地域」 である。
こういった保全地域の分布を地図上で眺められたら面白いだろうなぁ。。


やはり生えてますね、タブノキ♪


林縁には、ズラズラっとタブノキが生えていた。
てことは、あいつがいる可能性があるな。。

H市、それから戦前とは言え K市にも記録例があるのだから
その中間にある ここにいてもおかしくはあるまい。


色鮮やかな、常緑広葉樹です。


結構時間をかけて、首が痛くなるぐらい高木の葉を見上げながら歩いていくと...

ややっ!?

あれは もしかして!?


遂に来ちゃったかな〜♪ これ!


間違いない。。 シャアだ、奴が来たんだ!(ガンダム通なりのコメントです... (^ ^ゞ )

何はともあれ、まずは自然の中における、ありのままの姿を
もうちょっとマシな写真で収めておかねば。。

しかしながら、どんよりと曇っている上に
やつがとまっている場所が、余りにも高過ぎるので
極めて撮影が難しい。

「爪先立ち+万歳状態」 で撮った 精一杯の結果がこれだ。


何枚も撮影した中で、一番まともなやつです。。


よし、ここまで頑張れば もういいだろう。
今度は捕虫網を取り出して
ジャンプしながら、難なく御用!

よっしゃ〜!(>_<)(>_<)(>_<)

死骸確認から4ヶ月、約7ヶ月間に渡る調査の結果
遂に茨城産
ホシベニカミキリの生体が手元にやってきた!


.ホシベニカミキリ
..Eupromus ruber
DALMAN, 1817



くわ〜!
凶暴そうな顔...(^-^;
これだけ、インパクトの強いカミキリムシであれば
歓びも ひとしおだ♪

ちょうど ゴミ収集車に乗ったおやっさん(先程とは別の方)が、そばを通りがかり

「クワガタ採ってんのげ??」

と、やはりバリバリの茨城弁で声をかけてきたので

「違うんですよ〜☆ 今日はこんなんやってます♪」

と、この真っ赤なカミキリムシを偉そうに見せびらかしてしまった。... (^ ^ゞ


さて、せっかくなので追加個体を狙ってみよう。
引き続き、辛抱強く上方を見上げていると...

おぉ! いた!!

今度のは、更に高い位置である。
とりあえず撮影してみたが、全然駄目。... (^-^;

どうしても手がぶれしてしまい、こんな結果に。... (^ ^ゞ


どこにいるのか、分かります?? 一応証拠写真です。。


写真はさっさと諦めて
捕虫網を延ばし、ありがたく2頭目をゲットさせて頂いた。
やった!今度のは♂である♪


先程の個体より、触角が長いですね。


うししっ♪
上翅が黒ずんでいるところなんかが
渋みを増してカッコイイ!


.ホシベニカミキリ
..Eupromus ruber
DALMAN, 1817



あ〜本当に採れちゃったんだよなぁ。。

もう何も言う事はあるまい。

できれば、ずっと一緒に探してきた
おとうとにもこの場にいて欲しかった。。

まぁ、あいつとの楽しみは後日 H市で採集する時までとっておく事にしよう。
それが、この仕事の最後の〆括りだ。


ポツリ、またポツリと 雨が落ちてきた。
もう14:30か...

採集開始から、わずか3時間程の出来事ではあったが
新産地となるカミキリムシ追加、ホシベニカミキリの確認と
大変充実した行程であった。

ちょいとアクシデントも絡んだが、終わりよければそれでいい。... (^ ^ゞ

さて、明日までにやっておかねばならない仕事を どっさりと残している事だし
気分のいいところで帰ろう...☆


家の近くへ辿り着く頃には、どしゃぶりになりました... (^-^;



〜 後記 〜

今回は、昨年から何度となく積み重ねてきた
タブノキ調査の答えを、また一つ見つける事ができた。

2月中旬、H市内にて材割りにより死骸を確認して以来
今回の生体確認で2地区目の産地を見出した事になる。

やはりR地区には、既に広い範囲でホシベニカミキリが生息している
と言えそうだ。

今回の結果は、当日中に るどるふ先輩と おとうとに報告させて頂いた。
長いプロセスを踏んで得られた結果なので
絶大な手応えと喜びを感じている。

こういった素晴らしき出会いを糧にして
我々ムシ採り屋は、日々フィールドを駆け巡るのである。


〜 主な確認種

●ハナカミキリ亜科
 ツマグロハナカミキリ ×1
 ヨツスジハナカミキリ ×1
●カミキリ亜科
 キスジトラカミキリ ×5
 ベニカミキリ ×1
●フトカミキリ亜科
 ホシベニカミキリ ×2
 シナノクロフカミキリ ×1
 アトモンサビカミキリ ×1
 ナカジロサビカミキリ ×1
 ゴマフカミキリ ×1
 ヨツキボシカミキリ ×1





※採集記目次へ