採集履歴

“2006年 帰ってきた私の夏” 編 (2)



06.07.29
Sat) Mt 「第2次 “夏” の到来」 
                                                                                                  

毎年、7月末日になると、ここ茨城県では一気にクワガタが爆発する。
そういえば、ちょうど一年前(05.07.29)に書いた採集記のタイトルは
「クワガタの日」だった。

一方、カミキリムシ的には
大半の種類が5月下旬〜7月上旬あたりを発生のピークとしているので
とりあえず、この辺で一段落といった感があるが
これから後半戦にかけて
新たに出現する特定のカミキリムシに期待がかかる。

まさに、第2次 “夏” の到来といえよう。

今回は、クワガタにもちょっと目を配りながら 行って参ります。。


〜 クワガタの様子を見に 〜


やっと梅雨が明けた! 今日は暑くなりそうだぞ〜!
朝 8:00 前に意気揚々と家を出発した。

まずは、行きつけのクワガタポイントへ。。

約1時間後に到着し、早速山中へ入ると
私よりも先に現場へ訪れていた お2人の採集者といきなり遭遇した...。

彼らが持つケースの中には、沢山のミヤマクワガタが入っている。
65mmは軽く越えるであろう個体もちらほら...。

本と、いつの時代もクワガタは人気があるなぁ...(^-^;

せっかくやってきたのだから、是非私もミヤップの写真を撮っておきたいと思い
穴場的な場所へ向かう事にした。
道端に生えている主要な広葉樹は
おそらく綺麗に掃除されちゃっているだろうから、見切りをつけてスル〜。

で、辿り着いたここには、やっぱりおりました☆

自分で囓り出した小さな樹液につくミヤップのペア〜☆


ミヤマクワガタ
Lucanus maculife moratus
MOTSCHULSKY, 1861



何も メインの樹にばかり拘る必要はなく
良く探せば結構いるものである。

とりあえず、無事に “新たな夏” らしい写真が撮れた☆
これで納得である。

この後、yasu と合流し
今度はそっちの山へ、カミキリムシを探しに出かける事にした。



〜 伐採地巡り 〜


午後2:00頃、まずはお決まりのチェックポイントである、「斜面伐採地」へ到着。

空はカラッと晴れて、ほぼ無風。
伐採地のカミキリ採集には絶好のシチュエーションに思えたが
前回と比べると、明らかに発見される個体数が激減していた。

一週間で、こうも状況が変わるとは。。

やはり、「一段落」 しているという事だろう。。

しかしまぁ、良く探せば先週の生き残りも、ちらほら見受けられた。


ガロアケシカミキリ
Exocentrus galloisi
MATSUSHITA, 1933



いつも長居する斜面伐採地には、早々に見切りをつけ
次は、久しぶりに「主の炭焼き場」へ。。

肝心な主はお留守のようだ。
しかし煙がもんもんと上がっていたので
おそらく今日も仕事に来ていたのだろう。

お! 積んであるコナラの薪炭材の上に
早速カミキリムシの姿が見えたぞ☆

ちょこまかと動いているのですぐに分かった。

先程の斜面伐採地と比べると、若干数が多そうだ。

ただ、顔ぶれが少々違うようで
アカハナカミキリ、ホソトラカミキリなどがメイン。。


お!「ペア〜☆」 じゃないですか♪


アカハナカミキリ
Corymbia succedanea
LEWIS, 1879



しかし、それを邪魔する奴も登場... (^-^;


マツ類をホストにするアカハナカミキリがいっぱいです。


とりあえず、標本のサンプル数が少ない
ホソトラカミキリを、2頭ほど摘ませて頂いた。

ここも、かなりの有力候補地だったのだが
やはりこの程度の状況では、材場採集は効率が悪そうである。

今日のカミキリ採集は、全てを夜の部に賭けることにして
そろそろ、灯火セットをはる予定の「あっちの山」へ移動しよう。

という訳で、ここから1時間以上のドライブ。。

そんな道中、過去に何度もクワガタを採集したヤナギ地帯の前を通りかかったので
ちょっと覗いてみる事にした。


「クワガタの日」なので「注意」して見ておきましょう...。


お〜、早速ノコが何頭か見えるぞ。

1頭、2頭、3頭... ざっと数えただけでも 合計 3♂1♀といったところ。。

視界に入らない奴らも含めれば、 かなり沢山付いていると見た!

ここは一発蹴りを見舞っておかねば。。

せ〜の、ドスン!っと。。

ボト ボト ボト ボトッ!

ほ〜ら、案の定♪

おい、yasu 、右足の前に落ちたやつが でかいぞ!
誤って踏むなよ!

地面の草の中へ逃げ込もうとする奴の腹部が
どえらく大きく見えたので、自己ギネスサイズを更新できるかと思ったが....

摘み上げてビックリ...(◎o◎)!

「お尻でっかち、頭つぼみ」のこんな奴だった...(^-^;


ノコギリクワガタ
Prosopocoilus inclinatus
MOTSCHULSKY, 1857



頭部・大顎が、先端へ行くに連れ極端に縮んでいる。。
腹部は67mmの♂ぐらいの厚みがあっても
頭部は60mm弱の♂ぐらいの大きさである。


B面です。。


体長は 49.5mm だが、その内 顎はたったの 5.0mm 弱。。
う〜ん... なかなかおもろいな。 こういうのは初めて見た...(^-^;

おそらく羽化不全ではなく
こうなるべくして生まれてきた個体であろう。

採ろうと思っても、なかなか巡り会えるものではないので
ちょっと嬉しい奇形種であった☆



〜 別格の山 〜


何とか陽がある内に、今晩灯火をはる予定の山麓へ辿り着いた。

山道入口にある 小規模な薪炭材置き場をチェックしてみると
ヤツメ、ビロウドなどが何頭か見受けられる。

嬉しいお膳立てではないか♪
楽しみになってきたぞ☆


ビロウドカミキリ
Acalolepta fraudatrix fraudatrix
BATES, 1873



うねうねと蛇行する林道を登り詰め
遂に頂上に辿り着いた。

扉を開けて、ちょっと唖然...。

あちゃ〜!風が猛烈に強い... そして冷たい。。

上と下ではこうも違うものなのか... (^-^;

上昇気流に乗って、鳶も悠々と舞っている...。
山頂特有の爽快なイメージではあるが、今晩の灯火採集は大丈夫だろうか??



飛〜べ 飛〜べ〜 トンビ〜♪そ〜ら た〜か〜く〜♪


とりあえず、陽が暮れるまでに まだ若干の時間が残されていたので
久しぶりに訪れた ブナ帯の散策をする事にした。


久しぶりに、ここへやってきました。


開始からまもなくすると
yasu が、大声で私を呼んだ。

何事かと思い、歩み寄ってみると
指先に、一頭の赤紫色をしたカミキリが摘まれている。

おおっ! いきなり未採集種ではないか... (◎。◎)!

県内106種類目の、キヌツヤハナカミキリである。
ブナの立ち枯れに付いていたそうだ。

おそらく、産卵にやって来た個体であろう。。


キヌツヤハナカミキリ
Corennys sericata
BATES, 1884



う〜む、なかなかエレガントな姿と色合いだな。。

カミキリムシを本格的に採集し始めた昨年と比べると
今年は、採れる新しい種類の数が否応なしに減ってくるので
大変貴重な一頭だ。

それを、わずかな時間でゲットできてしまうなんて
さすが、他の山とは別格である。


さぁ、間もなく陽が沈むぞ...
早速夜の部の準備に取り掛かろう!


今晩はブナ帯での初灯火です。 とてもワクワクします。


時刻は 19:00 になった。

なるべくなら、完全に「こちら側」と言える場所に
自家灯火セットを組み立て始める。

気になる風は、尚も強くなる一方だったが
もう後には退けない。

洗濯バサミという重要なアイテムを忘れながらも
ガムテープ、ビニール製のヒモを使って何とかスクリーンのセッティングを完了!

そして19:30 をまわり、陽が落ちかけた頃
いざ 明かりを灯し始めた。

スイッチ・オン!


ブルルルルルルル!! さぁ、始まりました。


まずは、セットの近くにいたムシ達が一気に押し寄せる。
(主にハムシ類。)

これから どう状況が変わるかが勝負の分かれ目だ。

そして静かに30分が経過した。


う〜〜ん... 駄目だ... (^-^;

やはりそれ以後が続かない。

ピタリとムシの飛来が止まってしまった。

相変わらず吹き荒れている強風が、邪魔しているのだろう。。


やっぱり今日は駄目かな??

半ば諦めた頃だった。。

真っ白な布製のシート上に、いつの間にか色鮮やかな甲虫が歩いている。。

おおっ... このグリーンメタリックはもしかして!?


ハンノアオカミキリ
Eutetrapha chrysochloris
BATES, 1879



やっぱり!? ハンノアオカミキリじゃないか♪

あああ... 良くやってきてくれたな〜、おまえさん。... (T^T) (T^T)(T^T)

いわゆる普通種とは言え
前々から気にしていた未採集種だったので
私的には非常にラッキー☆彡だった。

一見、フチグロヤツボシにも似ているが
見間違えることなくハンノアオだということが分かった。

という訳で、めでたく県内107種類目を追加である♪


しかし、この事に気をよくして 以後 22:00 まで 計2時間30分程頑張ってみたが
結局、その他に飛来したカミキリムシはクロカミキリのみ...

時間の経過と共に、どんどん肌寒く感じてきたし
これ以上のムシの飛来は、どう考えても望めそうになかったので
渋々お開きという運びとなった。

さっ、撤収!
灯りを残して、まずはスクリーンから解体しよう。。


…と作業に取り掛かった時だった。。

突然トガリシロオビサビとか...


トガリシロオビサビカミキリ
Pterolophia caudata caudata
BATES, 1873



ビロウドとか...


ビロウドカミキリ
Acalolepta fraudatrix fraudatrix
BATES, 1873



ミヤマクワガタなどの、甲虫類が次々に飛来し始めた... (^-^;
そう言えば、先程まであれほど強く吹いていた風が
大分弱まっている。。

しかしもう、時既に遅く...
苦労してセットしたスクリーンは、ほぼ解体済み... (^-^;


という事で、狙っていたヨコヤマくんは、次回以降へ持ち越しという事になった。

あ、やっぱり狙ってたんだヨコヤマくん。 > 私

わはは!当然でしょ☆

相変わらず、ここでもフライングしてしまった。... (^ ^ゞ



帰り道、自販機の前で久しぶりの水分補給。。
思った通り、もの凄い羽アリの量だった。
麓まで降りてくれば、風が殆ど吹いておらず
ムシの飛びも抜群である。


自販機の横にミヤップの♀がおりました。


この時点での時刻は、22:50...。
普通に帰っても、帰宅は午前1:00を軽く回ってしまうだろう...
しかし、これほどのムシの飛びを見せつけられてしまうと
そう簡単には家へ辿り着けそうにないな。。... (^ ^ゞ




〜 後記 〜

結局、午前 2:15 に帰宅。 久々に遅くなってしまった。
道中、クワ・カブを寄せ付けている灯下には逐一チェックを入れ
「犬や」や、「細道」などのチェックポイントには抜かりなく寄り道してきた結果である。... (^ ^ゞ

今日は、他とは別格と呼べる山の中で
県内 106、107種類目となる キヌツヤハナカミキリ、ハンノアオカミキリを採集できた。
県外ではいわゆる普通種なのだろうが... 我々としての手応えは大きい。

ただ、相変わらず今回もフライングしてしまった。... (^ ^ゞ
あと何回フライングすれば、大きな目標に辿り着けるのだろう??

ま、いつもの事である。暫く様子を見ていきましょう。。

キヌツヤハナカミキリ
Corennys sericata

BATES, 1884
ハンノアオカミキリ
Eutetrapha chrysochloris

BATES, 1879


クワガタの方も、なんだかんだとミヤマクワガタを 5♂11♀目撃することができた。
採集に値する程の大型個体には出逢えなかったが
今回は、変テコなノコギリクワガタを採集でき、それはそれで、ちょっと嬉しかったかも... (^ ^ゞ


ノコギリクワガタ
Prosopocoilus inclinatus
MOTSCHULSKY, 1857


さあ、運良く梅雨明けのタイミングにのった この3連休 (月曜は有休をとってしまった... (^ ^ゞ )
もう一頑張りしておかねばなるまい。


〜 主な確認種(持ち帰り頭数) 〜

●ノコギリカミキリ亜科
 ノコギリカミキリ
●クロカミキリ亜科
 クロカミキリ
●ハナカミキリ亜科
 ヨツスジハナカミキリ
 アカハナカミキリ
 キヌツヤハナカミキリ(県内・自己初) ×1
●カミキリ亜科
 キスジトラカミキリ
 ウスイロトラカミキリ
 ホソトラカミキリ
●フトカミキリ亜科
 ガロアケシカミキリ
 ビロウドカミキリ
 トガリシロオビサビカミキリ
 シラホシカミキリ
 ヤツメカミキリ
 ハンノアオカミキリ(県内・自己初) ×1





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