採集履歴

“2006年 帰ってきた私の夏” 編 (3)



06.08.12
Sat) Mt 「ブナの森に棲む気品あるカミキリを求めて」 
                                                                                                  

さぁ、お盆休みに突入だ。
この週末を含めて15日までの4日間は、職場の事など一切考えなくて良い。
嬉すぃ〜♪(>_<) (>_<) (>_<)

ここ数日間は、喘息を原因とする極度の寝不足が続いたりして
疲労も随分溜まってきたが
待ちに待った連休の初日なので、早速出撃したいと思う。

今日の狙いは、ブナの森に棲む気品あるカミキリムシだ。
初心者なら誰もが憧れるという、ヨコヤマヒゲナガカミキリである。

まぁ、憧れのカミキリムシには
そう易々と出会えるものではないようで
実は、これまでに 3度も自家灯火により挑戦したものの
残念ながら全て、惨敗という結果に終わっている。
因みに...

1度目は、気温が低く、強風の中での 2時間30分。。
2度目は、1度目より更に強い暴風の中での 1時間。。
3度目は、気温そこそこ、無風で、なかなかのシチュエーションであったにも関わらず
何故か、甲虫の飛来のみがない 2時間。。

これまでが、若干フライング気味だった事も 採れなかった理由の1つと考えられるので
4度目となる今日こそは是非決めておきたいところだ。

う〜む... 空はどんより、曇りか。。 天候だけがちょっと気になるかな...??
とりあえず、行ってきまっす!


〜 クワガタチェック 〜


昼過ぎに、yasu の運転で実家を出た。

夜のお楽しみ(灯火採集)までには、ブナ帯への移動時間を含めても
まだ充分に余裕があるので
今日も某エリアへ立ち寄ってクワガタをチェックしておこう。

自己ギネスサイズの更新も忘れてはならない。

にしても...

やべ〜なぁ... 怪しかった雲行きが
徐々に悪くなる一方である。。
やがて...
ポツリ、またポツリ... と 落ちてきた雨が
ついには土砂降りとなった... (^-^;

そして更には、心配していた自分自身の体調までもが悪い方向に...
滑り出しは調子良かったのだが
だんだん、呼吸がつらくなってきた... (^-^;

と言うことで、実家を出発してから
1時間ちょいで某エリア内に突入すると
行きつけとなっている数ヶ所の樹液ポイントは、yasu に見回ってもらうことにした。
私は暫し車内待機... (^-^;

で、その結果は...
「細道」で 1♂、「田んぼ」で 1♂1♀... う〜む、やっぱりいなくなったね... ミヤマクワガタ。。

ここはもはや有名ポイントになってしまったのだ。
シーズン中は仕方なかろう。。


では、山の反対側にあるGポイントへ行ってみよう。
あちらは、非常に久しぶりの訪問となるので
是非私も車を降りて探してみたい☆

その後、15分程でその現場へ到着するが...
やっぱり駄目だ... いないねぇ。。
ここも結構有名になったポイントだからな...。

主要なクヌギの樹液には
コクワちゃん一頭さえも付いていない。
因みに いたのは3頭のカナブンだけ。... (^-^;

視界に入るクワガタは、全て誰かが回収済みと言うことなのだろう。

“それならば!” ・・・と言うことで
yasu が何本かのクヌギを蹴り始めた。

すると、どうだろう??

ある一本のか細いクヌギを蹴ったとき...

突然、
ボトッ!ボトッ!っと

大きめのミヤマクワガタが2頭も落ちてきた☆

ほぅ!(◎o◎)!?

うち1頭は、なかなか大きいぞ!


ミヤマクワガタ
Lucanus maculife moratus
MOTSCHULSKY, 1861



後ほどノギス計測した結果、サイズは68.0mmだった。

記録更新とまではいかなくとも
フセツ欠けなど一切ない、見事な個体である。

よし、この子だけはいただいて帰ることにしよう♪

良型のミヤップを捕まえて、一時的に随分テンションが上がってしまった。... (^ ^ゞ


とは言え、基本体力は 恥ずかしながら落ちる一方... (^ ^ゞ
こりゃ、冗談抜きでやばそうだ... (^-^;

ブナ帯までの運転は yasu にお任せして
私は助手席で静かに仮眠をとることにした。。



〜 脅威の森 〜


長い渋滞に巻き込まれながら 目的地へ向かう途中で、天候は徐々に回復した☆
相変わらず曇りではあっても、時折青空も垣間見られる。
おそらく もう降る事はなかろう。。

うん、いい傾向だね☆

山へ入る前に
薬局で、漢方の飲み薬(咳止め)を購入し
コンビニでは食料を調達した。。

何事も、「備えあれ」である。

これは、私の辛そうな表情を見て
店から出てくるところを思わず撮った!という yasu による一枚...。


「必死で買い物を済ませた私....」 by yasu


ブナ帯への到着予定時刻は16:00だったので
夜が訪れるまでは
否応なしに、山の急斜面を徘徊することになるだろう。。

いつ喘息の発作が起こっても おかしくはない私にとっては
これからの行程が非常に楽しみである一方、試練の時間となるに違いない。。

とりあえず、スタミナだけはつけておかねばと思い
鶏肉、ジャガイモ、チーズ系統の食事を
ガツガツと済ませた。。
食後のお薬も忘れずに☆



そして、予定通りに これまで何度もお世話になってきたブナ帯へ辿り着いた。

よし×2!今の所 風は殆ど吹いていないな。。
今晩の灯火採集の事を想定すれば
まずはそれが嬉しかった。

しかし捕虫網を携えて、早速山中へ入れば
すぐに私の体力のなさが露呈し始める事に... (^-^;

一生懸命食べても、薬を飲んでも、それは気休めでしかなかった。。
呼吸が思うようにいかないので
yasu と足並みを揃えることができない。

途中で立ち止まってしまう事も多々あり
どんどん、遅れをとるばかりである。

ゼェゼェ... ヒィヒィ... (^-^;


こういった急斜面は かなり辛いです...(^-^;


あそこに見えるブナの倒木は
降りてから登ってくるのが辛そうなんで... yasu、おまえに任せた!


横倒れになっているあれです。 実際にお任せしました... (^ ^ゞ


曇っているし、時間も遅いけど
せっかく来たのだからと、ブナの立ち枯れをなめるように見回して ネキを探して見る。
しかしながら、当然、駄目×2。... (^-^;


良さそうな立ち枯れではあります☆


結局、この森の中で見つかったカミキリムシは、ブナの伐採木にやってきた
ウスイロトラカミキリ 1ex、 トゲバカミキリ 4exs、 タテスジゴマフカミキリ 2exs
だった。。

その後、yasu はコバネカミキリなんかも見つけていた。


はぁ... 疲れた。。。
いつもなら、壮大なスケールで感動を与えてくれていたはずの
ブナの森が、今日はある意味脅威であった。... (^-^;



〜 4度目の挑戦 〜


時刻は18:30 ...。
ようやく、本命の時間帯が近づいてきた。

まずは、良さそうな場所を決定し
yasu と2人で、少しずつ灯火セットを組み始めた。

極太のマムシ (こんなバカでかいのは初めて見た... (^-^; )
に驚かされながらも、20分ほどで完成。。

そして、車の中で じっと時を待った。

かろうじて入ってくるラジオのナイター中継に耳を傾けていると
やがて陽は沈んだ... 19:30。

さぁ、行きましょう!
憧れのヨコヤマさんを目指して、スイッチ・オン!


遂に4度目の明かりが灯りました!


ブロロロロロロロロロ!!

静けさの中に、エンジン音だけが鳴り響く。

この場所で、ほぼ無風の状況で灯火をやるのは初めてだ。
気温が低くても、何とか行けそうな予感がする☆

さぁ、どうだ!?

まずは、例によって周囲の蛾やセミ、トンボなどが押し寄せる。
しかし、やはり気温が低いせいか
集虫度がやや弱い。。

また前回同様、甲虫が少ないようだ。

暫く待っていると...

お!ようやくカミキリムシのお出ましだ☆

まずはノコギリカミキリが来た。
それまでにやってきた甲虫類は、小さなコガネムシが1頭だけだったので
これでも結構嬉しかったりする。。

そして、点灯してから1時間が経過した頃...
遂に3頭目の甲虫が登場!

やった!今度は見慣れないカミキリムシである☆
目的種ではなくとも、初採集であることに変わりはないので
かなり嬉しい♪


オオクロカミキリ
Megasemum quadricostulatum
KRAATZ, 1879



同定に苦戦した末、オオクロカミキリである事が判明。。
最初は、ツシマムナクボあたりかな?と思ったが
後ほど、るどるふ先輩から正解を教えていただいた。( いつもスミマセン... m(_ _)m )

よし×2、県内109種類目を手堅くゲッツ!

これで県内110種類目という、キリの良い数字で ヨコヤマさんを迎えられるというわけだ♪

まさか今日は来るでしょ! やっぱ採れちゃうんでしょ!?

yasu にそんな言葉をかけながら
甲虫の飛来度的には、本当にショボい状況を じっと見守り続けた。

もう4度目のトライになるんだ... 頼む〜、今日こそは来てくれよ!(心の叫び...)

相変わらず呼吸器系の調子が悪く、立っているのが非常に辛いので
路上に横になりながら更に30分が経過した。。

すると...


ややや!?


中型のカミキリムシが、フワッ〜っとやってきた!
間違いない、フトカミキリ亜科である。

もしかして!?

と思いながら、2、3歩近づいてみる。。

遠目で見ても、例え初めての遭遇であっても
すぐに分かった。

あぁっ! ヨコヤマだぁ!!

マジで!?


yasu と二人で大興奮である。

これまで何度もスカシを食らってたので
喜びも大きい!

早速 yasu が摘もうとしたが...

待て×2、ここは一つ、写真を撮ってからにしよう!

と、撮影の準備に入った... (^ ^ゞ

しかし再び飛び立とうとしたので
やっぱり写真は後回しにして、結局はしっかりと我が右手でキャッチしてしまった☆
(万が一逃げられたら、yasu から相当怒られていただろう。。)


ヨコヤマヒゲナガカミキリ
Dolichoprosopus yokoyamai
GRESSITT, 1937



よ〜〜っ しゃ〜〜!!!(>_<) (>_<) (>_<)

遂に来た!

実はこのカミキリムシ、昨年の夏から ここで採ってみたいと ず〜っと思っていたのだ。
今夏揃えたこの灯火セットも、半ばこのために購入したと言って過言ではない。

うわ〜っ!綺麗だなぁ〜!

改めてみると、上翅がピカピカ輝いて見える☆


フラッシュを少し落として、もう一枚♪


ああ... なんて、美しいんだろう。
なんて、エレガントなんだろう。。

褒め言葉がいくらあっても足りない。。

発見時に yasu は、るどるふ先輩のように
たまにはクールなリアクションを決めてみたかったそうだが
我々のような 「ド」 がつく素人どもに
ヨコヤマさんはそんな余裕など与えてはくれなかった。

そんな興奮の一幕は、21:00を回った頃の出来事であった。。

その後、21:30 まで粘ってみたが、残念ながら追加個体は得られず。。

まぁ、1頭採れればそれでもう充分、御の字だろう。

トータルして考えてみても、今宵やって来たカミキリムシは
ノコギリカミキリ、オオクロカミキリ、ヨコヤマヒゲナガカミキリ・・・
この3種類、3頭だけなのである。
うち2頭が初採集なんて実にラッキーだったではないか☆

では、そろそろ帰り支度をしようかな...
セットの撤収作業を進めつつ
付近で無線をやっている兄ちゃんに車を移動してもらいながら
22:00を過ぎた頃、暗いブナの森を後にした。。

2時間ちょいの帰り道、私が助手席で死んでいたのは言うまでもない。... (^ ^ゞ



〜 後記 〜

と言うことで、今回は念願のヨコヤマヒゲナガカミキリを遂にゲットすることができた。
これが採れたことにより、今日一日の自己評価が100点満点になった☆
そして、灯火セットを揃えた事、懲りずに何度も挑戦し続けた事...
全てが肯定されたのである。

正直な話、体調は どんどん悪化している。
しかしもう そんな事はどうだっていい...
後先の事は考えたくない。。

この上ない満足感と疲労感に浸りながら、深い眠りに落ちていった。。

こうして、一生記憶に残るような、新しい夏の想い出が
また1ページ加わる事になった... ☆彡

PS: とは言え、この2日後に私は 病院で点滴を打つはめになりました... (^ ^ゞ


〜 主な確認種(持ち帰り頭数) 〜

●ノコギリカミキリ亜科
 ノコギリカミキリ
 コバネカミキリ ×1
●クロカミキリ亜科
 オオクロカミキリ(県内・自己初) ×1
●カミキリ亜科
 ウスイロトラカミキリ
●フトカミキリ亜科
 タテスジゴマフカミキリ
 トゲバカミキリ
 ヨコヤマヒゲナガカミキリ(県内・自己初) ×1





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