採集履歴

“2007年 R地区調査” 編 (6)



07.01.21
Sun) Plain 「R地区50種類目は...」 
                                                                                                  

う〜ん...風邪気味だ。。
どうも、実家へ帰ってから
よからぬものを貰ってしまったらしい... (^-^;

久しぶりに 私なりの採集プランを思い描いて帰省したにも関わらず
昨日(土曜)は、天候が悪いせいか非常に肌寒く、家族からの勧めもあり
思い切って身体を休めるために時間を使ってしまった... (^ ^ヾ

・・・と言うわけで、残り一休日、晴天の本日こそは
例え万全の状態ではなくとも、行っておかかねばなるまい。

今回は、R地区内で そろそろ確実にしとめておかなければならない
タケなカミキリムシ、ハイイロヤハズをターゲットにしたいと思う。
この時期の採集手段は、当然材割である。


〜 とりあえず湿地帯 〜


昨晩、私より1日遅れて実家へ戻った yasu に

「明日は、近場でハイイロヤハズを狙うが行くか?」

と尋ねると

「そのぐらい(近場)ならいい。」

とのことなので、本日はお付き合いいただこう。

朝トレ〜食事を済ませ 30分の休憩の後、昼からの出発となった。


さて×2、いくら普通種とはいえ
この時期は非常に陽が短いため
手際よくやらねば、採れるものも採れなくなってしまう。

日頃の下積み調査の経験から
頭の中には概ねの筋書きができているので
どんどん動いていきたいと思う。

まずは、ハイイロヤハズが好む 「タケ林&水辺」というキーワードからこんな所へ。。
谷津田の奥にある湿地帯だが、どんな様子だろう??



付近には、アカガネネクイハムシも
生息しているようです。。



う〜〜っ... ちょっと違うかも。。(^-^;


これ以上の進入は厳しそうです...。


ここまで来る途中、ベニカミキリと、タケトラカミキリのものと思われる羽脱孔は多数散見されたが
辿り着いた先は、風通しも悪く ハイイロヤハズとはどうも縁薄のシチュエーションに思えた。

こことは別に、もう一箇所の湿地帯へも立ち寄ったが やはりピンとこない。
セオリー通りに河川敷を狙うべきだろうか??

と言うわけで、次へ。。




〜 やっぱり河川敷 〜


流れ、流れて
過去に2度ほどカラスウリをB.Tしたエリアへやってきた。

一昨日の晩、実家へ帰省する際に 通りがかりで
候補に上げておいたポイントの一つだ。

東西に連なるタケ林は、南側に面し 非常に陽当たりが良い。
付近には、幅4mほどの川が流れており
その水源を利用して水田が拡がっている。

一昔前なら、川幅はもっと×2 何倍も広く
水田に使われる農薬の量も少なかったろうし
本種が棲息するには、申し分ない環境が整っていた事が容易に想像される。

かと言って、ここ最近の河川整備、宅地化程度で
息絶えてしまうほどのヤワなムシではなかろうから
当時の余韻を、未だ残しているに違いない。


タケの太さといい、ここは行けそうです☆


yasu も、現場へ足をおろすなり

「いそうだな〜!」 と、第一声を発していた。

そうなのだ... これまでに培ってきた直感というものを、軽視してはならない。

調査開始後わずか2分程度で、yasu があっさりと本種の死骸を確認した。

わぉ!ホントだ☆


ずっしりと詰められた食痕と共に あっさりと出ました☆


心の中で “ほら、やっぱり!”と叫んだ。
早すぎる結果に、確かな手応えを感じざるを得ない。

ハイイロヤハズとはいえ、一応新産地での記録である。
それなりに、嬉しい。... (^ ^ヾ

R地区における本種の確認は
私にとって、片付けておかねばならないノルマだったので
これで当面は一安心である。


どうやら羽化不全のようです。。


本種が潜んでいそうなタケ材の特徴は
過去の経験(05.02.13)からも充分に理解していたため
その後の個体追加は案外簡単であった。


親指ぐらいの太さで、表皮にはこのようなブツブツ模様。
産卵マークも手がかりになります。



ただ、出現するのは幼虫ばかりで
なかなか成虫に出会うことができない。
どうせなら、一頭だけでも生きた成虫を出しておきたいところだ。
(まぁ、成虫死骸・幼虫の確認だけでも目的は充分に達成されたわけだが... )


先端へ行くほど、入っている確率が上がります。


少々無駄に幼虫を出してしまいました... (^ ^ヾ


う〜ん... 時期的には ちょうど良い頃合だと思うのだけれど...
ちょっとフライング気味なのだろうか??

赤い奴ならいつの間にか出てくるんだけどね... (^-^;


ベニカミキリ
Purpuricenus temminckii GUERIN-MENEVILLE, 1844



しかし、近所の農婦や、Kトラのおやっさんに

「何やってんだや〜??」

などと話しかけられながら
ほのぼのとした約1時間が経過した頃...

よ〜っし 来た!

遂に yasu が当たりくじを引いた。

どうですか?これ! (^〜^)v



タケの色に、非常にマッチしています。
おそらく、擬態でしょう。
独特な上翅も美しいです。



あぁ... やっぱりいいな〜♪

何となく和のイメージを放出させる
この素朴な色、フォルムがたまらない。

カミキリ採集の第一歩を踏み出した頃の
想い入れが深い種類だけに
それがR地区でも確認できて大変満足である。


ハイイロヤハズカミキリ
Niphona furcata BATES, 1873



その後、数百メートル移動して繰り返し材割、ルッキングを試みたが
やはり数頭の幼虫、産卵マークを確認することができた。
予測通り、ある程度広い範囲で棲息しているらしい。。


今回滞在したタケ林の環境です。


さてと... 本日はこの辺で終了。。

陽のあたる時間は、まだ×2 沢山残されていたが
鼻の穴からの大洪水に加え 微熱もあり、ちょっぴり苦しい... (^ ^;
無理は禁物だ。

兎にも角にも、家を出てからわずか3時間ほどの行程で
無事に目的を達成できて良かったと思う。

本種が棲息しそうな候補地は、他にも幾つか頭に入れてあるので
分布状況を調べるために、後日 もう何ヶ所かで記録を追加できればと思う。



〜 後記 〜

今回採集されたハイイロヤハズカミキリは
私がR地区内でカミキリムシを調査し始めてから
ちょうど50番目の確認種として、大切な節目を飾った。

この数字は、私が過去に
「R地区のカミキリムシ」と題して、いつか報文をまとめようと夢見ていた頃
最低限クリアしておきたかった目標値であった。

本文中にも記したが
本格的なカミキリ採集の第一歩を踏み出した頃の、想い入れが深い本種を
ここR地区(一応新産地☆)でも確認できて大変満足している。

そういった意味で、私にとっての本種の位置づけは
単なる普通種とは言えそうにない。。。(^ ^ヾ


〜 主な確認種

●フトカミキリ亜科
 ハイイロヤハズカミキリ





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