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“2007年 まだ見ぬエリアを訪問” 編 (1)



07.04.14
Sat) Mt 「目的を持って山登り」 
                                                                                                  

暫くの間、R地区の平野部ばかりを回っていたので
気分転換に、山登りをしてみたくなった。

幸いなことに、今日の天気は朝から非常に良く
予報では、午後から 5月中旬並みの暖かさになるという。。

自然度が高い山地の森へ入れば、さぞかし気持ちが良いだろう。。

では、どこへ行こうか??

実は、前々から一度足を運んでおきたかった山があった。
地元の自然を学んでいこうとするムシ屋として
是非知っておかねばならないエリアだ。。

ただ、動機はこれだけではない。。

現在取り纏めている カミキリムシの全データを眺めてみると、その山での記録は
水戸昆虫研究会の大先輩である 沼田 稔 さんによって纏められた
1989年の「るりぼし13(カミキリ特集号)」 の発行以来
(厳密に言えば、1986年以来)、全くないのだ。

続編を作る上で、これは良くないと思い...
せめて材採して 何かしらの記録を残そうと考えたのである。

また、当地におけるクワガタムシの生息状況にも興味がある。。

という事で、今回は...

(1). 初めての山を学ぶ。
(2). カミキリムシの記録を残すため、材採する。
(3). クワガタムシの生息状況を知る。

以上、3点の目的を持って某山へ出かけてこよう。


〜 出発! 〜


11:30 に実家を出発した。

今日は、yasu も私のプランに賛同してくれるとの事なので
12:20 に某所で合流する予定だ。

う〜ん... それにしても、本当に天気が良いな。。



田舎道は、何もないので
余計に気持ちが良いです♪



ただ、こういった陽気だからこそ
山へ近づくにつれ、観光・行楽を目的とする車が多くなり...
スムーズに前へ進めなくなる。。(^-^;


ほら〜、青ですよ〜っ!> 前の車。。
信号が変わっても
暫く停止したまんまでした... (^-^;



そんな訳で、結局 約束の合流時間より 3分ほど遅刻してしまった... (^-^;

トホホ... (^ ^ヾ

合流後は、山道を走るのに適した yasu の車に乗り換え 1台で現場へ向かう事にした。
マイ・カーに積んできた必要な荷物を大急ぎで移し
さぁ、改めて出発だ。


しかし、気分を一新した その直後...

先程までの晴天がまるで嘘のように
雲行きが どよ〜んと怪しくなり...

案の定、遂には大粒の雨が落ち始めた。。


降ってきちゃいました... (^-^;


やがて、風も強くなり... 前進するのも困難な状況に。。


うひゃ〜っ!雷まで鳴り始めました。


ただ、こういった状況の雷雨は
ほんの一時的なものであるケースが多い。。

念の為、実家に電話連絡して、インターネットで調べてもらったところ
現在 この辺りにだけ局所的に濃い雨雲が通過しているとの事。。。

そんな訳で、予想通り数十分過ぎた頃には、無事に元の青空に戻った♪(良かった... (^-^;)


そして、14:00 を回った頃...
遂に目的とする山の麓へ辿り着き、林道の入り口を探し始めた。

ある程度予習をしてきたつもりだが
これには思いのほか、てこずった... (^ ^ヾ

しかし最終的には、地元の皆様の他、山歩きを楽しまれていたご夫婦からのアドバイスを得て
何とか、山頂までの最短コースを辿れる事になった♪



さぁ、どうなりますやら。。



〜 山登り 〜


まずは、砂利が敷かれた林道を ぐい×2 と突き進んだ。
せっかくなので、行ける所までは車で移動しよう。
体力は、できる限り山頂付近での調査に当てたい。


周囲は、スギの植林です。



道中、古びたダムも見られた。
背景は、やはり一面スギだらけである。。(^-^;


水辺なので、ヤナギが群生してました。。


暫くすると、スギ林の開墾地へ到着した。
山歩きを楽しんでいたご夫婦が
一生懸命に教えてくれた広場とは
おそらく、ここの事だろう。



植林と、伐採の繰り返しですね。。
まさにスギの生産地です。



前情報通り、どうやらこれ以上の車での登山は不可能の様だ。

では、そろ×2 行くか!

リュック、手提げ袋に荷物を積み込み
ここからは徒歩にて移動する事にした。


結構急な登り坂です。。


しかし... 登っても×2、景色はスギの植林のみ。。
さすがにちょっと、飽きが来る。。(^-^;

また、先程の豪雨のせいか、急な傾斜路は地滑りが激しい。
道中、何度もバランスを崩してしまった。。(^ ^ヾ

そんなに甘いものではない。

ただ、こういった木杭が打ち込んである足場は
とても助かる。。m(_ _)m


人の足跡を辿りながら前進あるのみです。。



やがて、山道は獣道のような状況に変わった。
景色だけは相変わらず... スギだらけ。。

振り返れば、相当登ってきたものだ。。。
標高は何メートル上がったのだろう??


これまでの道のりを見下ろします。


あと、もう少しだ。
上方に うっすらと明るい稜線が見えてきた。

この山では、28年ほど前に タカオメダカが記録されているのだから
頂上付近には、少なくともブナが生えていたに違いない。
また、30年前には、ヨコヤマトラの記録も2例ほど残されている。
いずれも古い記録であるが
当時の名残があれば、それなりの環境が整っているはずだ。

この段階での状況からはとても想像しにくいが
是非行って現場の様子を確認してみたい。
そう思うと、ワク×2 してきた。

そして、息を切らし、汗まみれになって
明るい光が差し込む場所まで登りつめた。。




〜 待望のブナ林 〜


わぉ〜っ!w(◎。◎)w


尾根上に立つと、これまで一切目にすることがなかった
広葉樹林帯が一気に眼下に広がった!


写真では伝わりませんが
直下の斜面はかなり急なため
結構迫力がありました。。



素晴らしい。。

我が県のてっぺんと比べたら
その規模に関しては雲泥の差がある。

しかし所々には、大変立派なブナやモミの巨木も見受けられる。

なるほど...
これなら、過去に残されたカミキリムシの記録にも 充分うなづける。。


 
ブナと、モミの巨木です。。



また、面白いもので、尾根に沿ってスギ林と広葉樹林がくっきりと分かれていた。。
つまり、先程は写真でいう右側から登ってきたという訳だ。

ここまでやってこないと、この景色を堪能できないという仕掛けだったのか。。
う〜ん、感動... やってきて良かった。。(T^T) (ToT) (T^T)


造られた自然と、残された自然の境目です。。


おっ!
足元には、イワウチワが咲いている。。
その他、カタクリなども斜面を綺麗に彩っていた。。
春ですね〜♪


こういった光景も山ならではのお楽しみです☆


さぁ、もはや15:30を過ぎている。
ホッとして景色に見とれている余裕はない。。
やらなければならない仕事は山積みだ。


早速、緩やかな斜面を見つけ降りてみました。


ブナ類、カエデ類、サクラ類、モミ類。。
気になった落ち枝は全て左手の手提げ袋に回収していった。。

これらから羽脱するムシがカミキリムシなら、どんな種類でも構わない。
数を打って、できるだけ沢山当てよう... (^ ^ヾ

暫く下ばかりを見ていたが
ふと前方に目をやると、かなりでっかいブナの立ち枯れが現れた...


ちょっと古く、渇き気味ですね。。


ネキなんかが飛んで来そうな枯れ具合ではない。
ただ、ここにもルリがいれば楽しいだろうと思い
とりあえず 近寄ってみた。。。


しかし、駄目。。(^-^;
見渡せる限り、漏れなく材の表面をチェックしたが
産卵マークは見つからなかった。

また、キツツキが突いた痕もないので
やや大型のムシが宿っている可能性も低いということだろうか。。


ここで、暫く行動を別にしていた yasu と合流する事にした。
不思議なもので、急斜面は 降りるときよりも、よじ登るときの方が危険を感じないので
数倍楽である... (^ ^ヾ

で、10分後ぐらいに私より遥か上方にいた彼を見つけ、歩み寄ると
なんと、ひっくり返した広葉樹の腐朽根部から
ミヤマの幼虫を見つけていた。

おお〜っ! 久しぶりだね〜☆


顎の上の4つの点刻、毛深さが特徴です。


むむ〜っ... やはり、棲息しているのか。。
ごく当たり前の結果かもしれないが
初めての地における クワガタムシとの出会いは、やはり嬉しいものである。

それに、最近 クワガタ(大型種)の幼虫を探す機会など
全くなかったので、ちょっと新鮮だった。(^ ^ヾ


早いもので、陽が沈んできました。。


という事で、ミヤマについては良く分かった。

しかし、せっかく苦労してブナがある環境に辿り着いたのだから
先程も触れた高山種のルリ...
もしくは、ツヤハダ、オニあたりを 何とか見つけておきたい。。

陽が随分傾きだしたが
今日を逃したら、次回は いつやってこられるのだろう??
そう思い、残り時間は、ギリ×2 まで高山種の足跡を探すことにした。

と、そんな決断をした矢先に...

おっ... あった!!

本当にタイミングよく、yasuが産卵マークを見つけてしまった☆


間違いない、ルリです♪


やっぱりね〜!

彼らこそ ここに棲息していて然りの役者である。

しかし、当たり前の結果を、1チャンスで手堅くものにすることは
案外容易ではなかった。。(^ ^ヾ

結局、見つけられるか、られないか... というのは
その時の運が大きく作用するものなのかも...

そんな事を考えながら、試しに材の表面を軽く剥がしてみると... ん!?

おお っ!

やった♪♪♪ (>_<) (>_<) (>_<)

なおもラッキーなことに、あっさりと新成虫を確認することができた☆


ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus
LEWIS, 1883



次いで、yasu も綺麗な♂をゲット!


ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus
LEWIS, 1883



いや×2、良かった!
これにより、当面の目標を ほぼクリアしたことになる。

1ペアを得ることができたので
それ以上の深追いはやめにした。

「やはり、ルリがいた!」

それをこの目で確かめられただけで
充分過ぎる成果であった。


さぁ、もうすぐ17:30 に差し掛かる。。
陽が沈んでしまったら、危険な山道を下ることはできない。。

引き返そう。。



夕暮れ時の斜面をゆっくりと下りました。。


という事で、この日は この上ない達成感に浸り...
ついでに、おなかも満たしてから帰宅する事にした♪... (^ ^ヾ


仕上げは中華レストランで...☆



〜 後記 〜

今回は、以前から一度見ておきたかったブナ林を訪れ、想像以上の素晴らしさに感動した。
また、おそらく 1986年以来 公的なカミキリムシの記録が残されていない当地で材採を試み
更に、私的には 新たなルリクワガタの産地を見出すこともできた。

以上、冒頭に掲げた目的を 概ね達成し、満足している。

過去に多くの先輩方が辿った 山頂までの道のりは
とても長く、そして険しいものであった...
しかし、それ故に、古くから抱かれていた
ムシ採りに対する強い情熱を感じずにはいられなかった。

そういった意味でも、実りある一日であったと思う。。



 今回手提げ袋で持ち帰った材は、プラスチックボックスに収納するため
 それぞれを適当な長さに切断した。
 その際、外へ飛び出してしまった幼虫は、育った環境と近い材に彫刻刀で溝を彫り
 そこへ投入後、蓋をかぶせ保管する事にした。
 さて... 今後、うまく成虫になってくれるだろうか!?
 一種類でも多くのカミキリムシが、ここから溢れ出してくれたら嬉しい...☆

 結果は、随時以下に追記したいと思います。。


 エゾサビカミキリ 2exs., 07.05.12
 ニンフハナカミキリ 1ex., 07.05.18
 ヒトオビチビカミキリ 1ex., 07.06.01
 シロオビチビカミキリ 1ex., 07.06.04
 シロオビチビカミキリ 1ex., 07.06.08
 シロオビチビカミキリ 1ex., 07.06.10
 ヒトオビチビカミキリ 1ex., 07.06.14

 ヨツスジハナカミキリ 1ex., 07.06.14 (上掲写真幼虫羽脱)



〜 主な確認種

●クワガタムシ科
 ルリクワガタ 11





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