採集履歴

“2007年 まだ見ぬエリアを訪問” 編 (2)



07.04.20
(Fri) Mt 「新たな林道へ」 
                                                                                                  

さて、今日は金曜だが 時間があるので これを例のごとくカミキリ調査に充てたい。
先週に引き続き、また山に登ろう。... (^ ^ヾ

ここ数日の間に、とても興味がわいた林道があるので
その周辺がどのような環境であるか、是非この目で確かめてこようと思う。

茨城県にも、地図に掲載されていない無名の林道(作業道)や山は沢山ある。
それだけ、将来長きに渡り 学ぶべき余地が残されているということだろう。
当然、そういったエリアからのムシの記録は少ないので 調査のやりがいがあるというものだ。

第一の目的は、当地からのカミキリムシの記録を残すために材採してくること。。
ついでに、再びクワガタのチェックを入れたい。


〜 出発! 〜


8:00 に実家を出発した。
朝陽が眩しく 大変気持ちが良い。
今日は暖かくなりそうだ。


ガソリンがすっからかん...
まずは給油しないといけませんね。。



さぁ、ガソリンをフルにして再出発!
目指す林道までの距離は結構長い... しかし時間は沢山あるので
のんびりと出かけてこよう。


毎度のごとく、この道はすいてます。
信号もないし、とても軽快に走れます♪




〜 アドバイスを頂きながら 〜


家を出て、約2時間30分が経過した頃に
難なく 目的とする林道の入口へ突入することができた。

地図やガイドブックに掲載されていない林道なら
地元の方に聞くのが一番手っ取り早い。。

そう考え、とある民家の庭先にいた おばさんから
入口までの経路を丁寧に教えていただいたのだ。

(ご親切に、どうもありがとうございます。助かりました。。m(_ _)m)


それにしても、周辺に映る景観ときたら...

出足から、辺り一面見渡す限り スギやヒノキの植林地帯。。
ここ(写真↓)などは、伐採済みの不毛の地... (^-^;

本日私が期待しているのは
山頂付近に残されていればラッキーな広葉樹林帯のみである。


今回の選択が、吉と出ますように!


少しずつ、道路幅員が狭くなってきた。。
対向車がやってきてしまえば
間違いなく すれ違うことはできない。
滅多に現われない待避所まで
長距離バックを余儀なくされるだろう。。

徒歩での登山は極力少なくしたいので
一刻も早く、詰められる所までは車で前進あるのみだ。

ただ、いかんせん車高が低い私の車は
こういったシチュエーション向きではないので
凹凸が激しい、砂利敷道を
やむをえず超スロー速度で移動するしかない。。


やがて... 運良く一台の車とも出会うことがないまま
とある山小屋(おそらく空き家)の前へ辿り着いた... 11:00。。

車で登るのは、もうこの辺が限界だろう。
山小屋の傍には小さな空き地があったので そこへ駐車した。

う〜ん、家を出発してから かれこれ3時間か...
同じ茨城県内とは言え、随分遠くまで来たものだ。。

と、そこへ いきなり二人組のおじさんが現れた。
人気がない林道を 暫くの間さまよって来たので
ちょっとビックリ... (^-^;

お二人の会話を聞いてみると、どうやらシダ植物の研究をしているらしい。

ラッキ〜♪
きっとこの山に詳しい方々であろう。

思い切って、●●方面へ行きたいのですが... と尋ねてみると
事細かに、林道周辺の情報を教えてくれた。
ありがとうございます!

やはり、山人には親切な方が多い。
今日は道に迷うことなく、ストレートに現場へ辿り着けそうだ。

さぁ、支度もバッチリ☆
ここからが本番だ。
気合を入れて行ってみよう!


さすがにここからは、徒歩で
行かねばなりませんね。。



うね×2 と蛇行した 始めの作業道を抜けると
それ以後は、緩やかな直線続きとなった。

前回の登山道同様、周囲は相変わらずスギを主体とする植林地である。
遠く前方に見える山肌も、どうやら植林が一帯を占めているようだ。。
何だかちょっと気がめいるなぁ... (^-^;


緩やかな傾斜道... 本当にスギばかり。。


それにしても、今日は本当に暖かい。。
というか、暑いぐらいだ。

額から汗が絶えず こぼれ落ちてくる。
厚着をしてきて失敗だったかも。。(^-^;;

先は長いので、黙々と歩いていると
小さなハチやハエの他、チョウやイトトンボなどが目の前を横切っていく。。
もう、すっかり春なのである。。

ふと見ると、道端にはタラノキが沢山生えていた。
昨春は、これに宿る R地区でのネジロカミキリに拘っていた。
あの頃が懐かしい。


春ですねぇ... 先端から芽が出てきました。


そして、歩き始めてから 20分が経過した頃...

来た〜っ!(>_<)

前方に現れた新たな稜線に、うっすらと広葉樹林の輪郭が見えた。
あそこまで行けば、きっと材採もできるだろう。



遥かかなたに広葉樹群が見えます。


よし×2 ♪、これを見て俄然やる気が出てきたぞ。。
おのずと、足取りも軽くなる。。もう一息だ。



〜 素晴らしい広葉樹林 〜


遂にやってきた!

周囲の景色が、植林地から 突然広葉樹の原生林に変わった。

目の前には、ボロ×2 に腐朽したイヌブナの大木が横たわり
斜面上にも立派なブナがそびえ立っている。。

まだ×2 山頂付近ではないのに、これは見事だ。


極太のブナが見え始めました!


この林道を選んで、ホント正解だった。

まだ×2、知らない世界が多いことを
分かっていながらも痛感させられる。


おおっ!ブナの立ち枯れに、早速ルリの産卵マークを発見♪
標高は、まだ500m前後といったところだろうか??
環境さえ整えば、低山帯でも充分に棲息していけるということだろう。



産卵マーク@ルリクワガタ



立ち枯れの先端部を、左手でボロッと崩すと
あっさりと成虫が姿を現した。


ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus
LEWIS, 1883



やはり、生きムシに出会えると嬉しい♪

この材には、タイミングよく羽化後の個体が多く宿っているようで
その後も、簡単に追加個体を得ることができた。


ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus
LEWIS, 1883



♀は、標準的な銅色の個体の他
標本サンプルとしては嬉しい青色の個体も得ることができた。


ルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus
LEWIS, 1883



計、3♂4♀... 棲息記録を残すのには充分過ぎる結果が得られたので
早々に安堵感が得られた。

また、同じ材にはシロトラカミキリの姿もあった。

うほほっ!ラッキ〜♪

菌糸にまみれ、死んでいたが
私にとっては、このエリアからの初カミキリ(成虫確認)となるので
記念すべき個体である。

そういえば過去を振り返ると
4月の下旬には、何かとこのオレンジ色をしたシロトラカミキリに縁があったかも♪


シロトラカミキリ
Paraclytus excultus BATES, 1884



さぁ、どん×2 標高をあげていこう。

これまで辿ってきた林道は、既に消滅してしまったので
ここからは山あいの沢筋を辿ることにした。

なお、気になった落ち枝は全て左手の手提げ袋に回収していった。


この谷間を登ってみましょう。。


登山中、手つかずの極太材がゴロ×2 と転がっていたので
そのうち、ブナの赤枯れ材を選び割ってみた。

すると... あら!マダラの幼虫だ♪


マダラクワガタの幼虫です。

凄く小っちゃいです。。


ルリに続いて、マダラもいた。
この後、同材からはオニの幼虫も確認された。

おそらく、一帯には一通りの小型種が生息しているのだろう。

カミキリムシにしたって、ヨコヤマあたりが棲息するのにも
申し分ない環境が整っていると言って良い。

他には、どんなムシが棲息しているのだろうか??

あぁ... 1度ここで灯火を張ってみたいなぁ...
でも、ここまでセットを運んでくるのは めちゃくちゃしんどいだろうなぁ... (^-^;

そんなことを考えながら、岩でゴツ×2 とした沢を 一歩ずつ登っていった。


やがて、時刻は 12:30を回った。。

うひゃ〜、眩しい!
太陽の高度が上がり、一段と明るく、そして暑くなった。


この倒木... 実際は 写真で見るよりも
ずっと迫力がありました。



気がつくと、足もとにはカタクリの花が沢山咲いていた。
一斉に芽吹き始めた樹々の枝といい
この時期の森の中は底知れない生命の力、美しさで溢れている。


辺り一面、綺麗に咲いてました。


そんな大自然に、たったひとりで包まれている事を実感すると
凄く大らかな気持ちになれる。。

溜まってきた疲労も、次第に心地よく感じられるから不思議だ。。
つくづく、やって来て良かったなと思う。。


振り返れば、随分と登ってきたものです。。


さぁ、それではこの辺でお昼にしよう☆

ジャ〜ン。。今日はささやかながら お弁当を持参しているのだ♪


こういった場所で食べるおにぎりは格別です♪


13:00... お腹の方も満たし、更に気分が上向きになった。

そして引き続き、材採をしながら谷間を登って行った。

この時点では、ムシ採りという趣旨とは別に

“せっかくなので、行ける所までは...” という想いが強くなっていた。


おぉ... あそこが終着点か。。

目の前に、辿ってきた谷間を防ぐ 眩しい稜線が現われた。

おそらく、この山のてっぺんではないだろう。。
しかし、こここそが本日私なりに決めたゴールなのである。

もはや、この上ない達成感でいっぱいだった。。


来るべき所まで、やって来られたようです。


この後、現れた尾根線の位置をしみじみと理解した末に
頭の中にあった全ての事が整理できた。
今回見てきた素晴らしい環境が、山のほんの一部分である事も悟った。

さぁ、左手に持つ手提げ袋も 既にずっしりと満たされている。
暫しの感動に浸ったところで、
引き返そう。。



〜 後記 〜

18:00過ぎに、実家へ帰宅した。

今回も、あえて初めての林道を選択し、登って行った結果
春の息吹が感じられる、素晴らしい広葉樹林帯へ辿り着くことができた。

そして、そこから更に歩を進めた山あいには
ブナの大木も結構な頻度で生えており
多くのムシ達が棲息していることを連想させられた。

持ち帰った落ち枝材から
今後どんなカミキリムシが羽脱するのか、非常に楽しみである。

このエリアからのムシの記録は、過去を振り返っても あまり多くないと聞くので
今後とも定期的に調査しておく価値はありそうだ。


.. ヒメクロトラカミキリ
ホソヒゲケブカカミキリ
ホソヒゲケブカカミキリ

ホソヒゲケブカカミキリ
ウスバカミキリ(写真赤枯材)
1ex., 07.04.23
1ex., 07.05.23
1ex., 07.05.24

2exs., 07.05.26
1ex., 07.07.04

 今回分の材です。
 結果は、写真の右側に随時追記したいと思います。。



〜 主な確認種

●クワガタムシ科
 ルリクワガタ 34
 マダラクワガタ 幼虫
 オニクワガタ 幼虫
●カミキリ亜科
 シロトラカミキリ 材中死骸





※採集記目次へ