採集履歴

“2007年 まだ見ぬエリアを訪問” 編 (5)



07.05.20
Sun) Mt 「ホオノキの葉を見上げ続けて」 
                                                                                                  

カミキリムシのシーズンが本格的に始まった。
日々、週末の天気予報が気になり
今現在やるべきことを考え イメージしている。

個人的な記録の追加も楽しみだが
それ以上に、未だ記録が少ない(もしくはない)エリアから
カミキリムシを採集しておくことが重要である。

という事で、今週もまだ見ぬ(もしくは調査が充分でない)エリアを
優先的に訪問する予定だ。

先日、茨城県産カミキリムシの記録の取り纏めは
今年10月までのデータを対象とする事が決定した。
シーズンが終わるまでは、あらゆる休日を極力出撃の機会に当てたい。


〜 気になる峠道へ 〜


さて×2、ちょうど 10:00 に実家を出発した。。

むむ〜、見事なまでの晴天也。。 とても気持ちが良い。
ただし 時折強い風が吹き かつ気温が20℃と低く
カミキリ採集には あまり好条件とは言えないか。。
まぁ、雨が降らなかっただけ良しとしよう。


青空の下、今日は 北へ向かいます。



それにしても、相変わらず田舎道は空いているな〜♪
快調な滑り出しある。


ほとんど車が走ってません。



電話連絡により 11:00 に某所で yasu と合流。。

まずは、茨城県の白地図上で、これまでに記録があった 全ての採集スポットを眺めた結果
漏れがある(プロットのない)エリアをチェックしに行くことにした。

前情報では、どうやら広大なスギの植林がメインの土地らしい。

本日は、そんな環境下にある某峠道の周辺を下見しておこう。

現地を目指す道中では
山間の街道筋に残された古き土蔵、町家、門が私の目を楽しませてくれた。

思えば、大学時代はずっとこれを専門でやってきたのだ。。

で、2時間弱の移動の末に当該地区へ到着。。

うゎぁ。。どうやら本当にスギだらけのようだ。

ただ、ちょっと横道へ入れば
山肌に 微量ながらも広葉樹で形成された残存緑地帯が見受けられる。
茨城県では珍しく、クヌギの台場なんかもあった。

で、2時間ほどを割いたカミキリ調査の結果は...
林道沿いの沢筋に咲いた花上で、トゲヒゲトラを多数。。
それからタラノキ畑で、アトモンサビを2頭、センノキの上翅一枚といったところ。。
あと、種類を確認できぬまま逃げられてしまったが
ホウノキの葉の裏に 気になるフトカミキリ亜科を見た程度だった。

う〜〜む... 今回はまだ 一連の写真を公開できないが
ここへは、また来なければなるまい。



〜 新産地で自己的初採集 〜


続いて、4月に何度か材採に訪れた山へやってきた。
先輩の話では、ここからの公的なムシの記録はあまり多くなく
どんなものを採集しても貴重な結果となるらしい。
実にやりがいがある。

BTして、トゲヒゲトラや シナノクロフを落としながら、暫く登りの林道を突き進むと
やがて山頂直下へ辿り着いた。。

ありゃりゃ??

前回の訪問から、まだ数週間しか経っていないというのに
現地は日光が遮られ 大分鬱蒼とした雰囲気に変わっていた。

ごく自然な結果とは言え、ちょっと ビックリ... (^-^;
あんなにも明るく、山肌一面に咲いた カタクリの花が美しく耀いていたのに。。

まぁ、これも一つの表情という事なのだろう。

とりあえず、早速カミキリムシの調査を開始した。


とは言え、やっぱり緑ちゃんは美しいですね☆



人里離れた森林内でのカミキリ採集は、そんなに簡単なものではない。
いわゆる土場の様な 材が積まれた場所はなく
陽当たりが良い林縁部とは違って、あまり花も咲いていない。

ただ、樹々に葉がついた事によって
ここには、サワグルミ等の他に
ホオノキが沢山生えている事がわかった。
(今回初めて気づいた...(^ ^ヾ)

先日、別の山で採取した材から フチグロヤツボシが2頭羽脱したばかりなので
その時に味わった嬉しさの余韻が まだ残っていたこともあり
本日は(前半もそうだったが)、いつの間にかホオノキの葉の裏をじ〜っと見つめいた。


ブナの林床部にはホオノキが生えてたんですね。。


う〜む... どうやら、ハチが沢山いるようだ。
ホオノキの葉は面積が広いので、裏側にムシが休んでいると 黒い影が良く目立つ。
ムシの存在自体を確認するのは実に簡単だ。


ただ、見つけた場所があまりにも高すぎると
届かないでしょうね... (^-^;



首が痛くなるぐらい、じ〜〜っと上方を見続けていると...

おぉっ!(◎。◎;

ようやく カミキリムシを発見!


あのシルエット... 間違いありません。。


はて... 何カミキリムシだろうか??
またも種類が分からない。。

フトカミキリ亜科の様だが...
サイズが同程度とは言え、フチグロヤツボシではなさそうだ。。

それでは今度こそ採って確かめるまでよ!

・・・とは言っても、さ〜て、これをどうやって採ろう??... (^-^;

結構高所だが、捕虫網をのばせば届かない距離ではない。
しかし、ムシが休んでいる葉の真下に網を添えるのは
数本の枝が邪魔をして非常に難しい。。

おまけに、急斜面の足場では爪先立ちをしてバランスをとるのも至難の業だ... (^-^;

仕方がないので、付近を散策中の yasu を呼び
彼が持つ もう一本の捕虫網の、竿の部分で
ムシが付いた枝葉を そっとたぐり寄せてもらいながら
かつ下で構える私のネットの中に叩き込んで貰うという作戦に出た。

結果は...!?

よ〜っし、ラッキ〜☆彡

うまい具合に ポロッと転がり込んでくれた♪


セミスジニセリンゴカミキリ
Eumecocera trivittata BREUNING, 1947



やった!セミスジニセリンゴカミキリである。
中脚が1本欠損しており ちょっと残念だったが
新産地からの自己初採集種だ。

コナラやクヌギがメインの種類なので
ホスト採集とは呼べないものの
うむ、これで遠路遥々ここへやってきた甲斐があったと言えよう。


その直後、フワ〜ッと 茶色の甲虫が飛来してきたので
すかさず、yasu がネットイン!

わ。。何やら面白い触角である。
初めて見る、ちょっと変わったムシだった。

るどるふ先輩のアドバイス
および 図鑑検索の結果、クチキクシヒゲムシという
意外にマニアックなムシであることが判明。。
勿論キープしておいた。


クチキクシヒゲムシ
Sandalus segnis LEWIS, 1887



やはり、訪問経験が少ない新たな環境を備えたフィールドへ立つと
それなりの出逢いも効率良く訪れる。

沢筋に咲いていた この辺りで見つけた唯一の花、ハナイカダ(ママッコ)に目をやれば
沢山の フタオビヒメハナ、ナガバヒメハナの中に
一頭のキベリクロヒメハナ(♀)を見つけることができた。

また×2、ラッキ〜♪
これも新産地からの初採集種である。

16:30... 本種が得られたところで、今回は上出来であろうと判断し
下山することにした。

その後、せっかくなので隣の山の頂上付近へ
花の咲き具合をチェックしに行き
まだ時期早々であることを確認してから帰路についた。。



〜 後記 〜

ちょっとフライング気味に、灯下なんぞもチェックしつつ
何も得られぬまま 20:30に帰宅した。...(^ ^ヾ

今日は、最近気にかけている山で
新産地からの自己初採集種を 2種類も得ることができ
大変ラッキーだったと思う。

ホスト採集ではなかったにせよ
何となく ホオノキの葉を見続けたことが
功を奏した理由の一つだったのかもしれない。
(たまには、拘りを持つのもいいかな...(^ ^ヾ)

勿論、現在取り纏めている資料の中には
今回採集した、いわゆる普通種の記録も しっかりと加えておくつもりだ。
当たり前の結果を、正確に記述しておくことが重要なのである。

前半に立ち寄って予習した峠道へは、後日再び訪れてみたい。


..
セミスジニセリンゴカミキリ
Eumecocera trivittata BREUNING, 1947
キベリクロヒメハナカミキリ
Pidonia discoidalis
PIC, 1901



〜 主な確認種

●ハナカミキリ亜科
 キベリクロヒメハナカミキリ 1ex
●フトカミキリ亜科
 セミスジニセリンゴカミキリ 1ex





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