採集履歴

“2007年 今夏の課題” 編 (1)



07.06.23
Sat) Mt 「リンゴの日」 
                                                                                                  

先週の日曜日(07.06.17)の事だ。 午後からの空いた時間を使い
某林道へ、カミキリムシの定期点検に向かったところ...

なんと、ビックリ!w(◎。◎)w

偶然にも、現地には水戸昆の大先輩であるWさんと、Hさんがおられ
茨城県版レッドデータの特定昆虫を調査中であった。

いつも、お世話になっております... m(_ _)m

Wさんには、早めに お借りしなければならないもの、お渡ししなければならないもの
それぞれがあったので、本当にグッドタイミングだった。
で... その時 Wさんからは、当日 別の地区で採集してきたと言う
大型のクリストフを 3exsも見せて頂いた。。w(◎。◎)w Oh!
それがかなりのインパクトで、以来、私も採りたくてウズ×2 していた。。(^ ^ヾ

近年、全国的に勢いを増し始めたクリストフ...
かつての茨城県では本当に珍なムシだったと言うことで
一昨年、昨年と、たま×2 良いタイミングで出逢えた事は
私にとっては、本当にラッキーな出来事だったと思う。
自身の採集記(目次)のトップを飾る 想い入れが強いカミキリムシだけに
できるものなら今年も会ってみたい。。

また、Hさんからアドバイスを頂いた
ヤマツツジにつく、ソボリンゴカミキリも
時期が訪れたので、そろ×2 押さえておかなければならない。
4月の総会時も含め、これまでに かなりの情報をお伺いしているので
カミキリムシの分布調査に当たらせてもらっている立場上、絶対に外すことはできない。
また、本種の採集については、yasu も熱望しているようだ。

という事で、今日の目標は 課題を含め 2つである。
日中は、大変天気が良くなるらしく、自ずと気合が入ってくる。。
それでは、行ってきます!


〜 私は茨城人 〜


午前中から 強烈な陽射しだ。 とても暑い。。

この分だと、夜の部も可能性があるので
マイ・カーの狭いスペースに、自家灯火セットを積み込んでから出撃することにした。

いきなり関係ないが、写真は私が積荷をしている際
ずっと傍に付きまとっていたTEDO... 隣家の飼い猫である。。


今日は暑いですね... (^-^; > TEDO



何度も私の足元に じゃれ付いて来たが
スマン、そろ×2 行くからね... (^-^)/~~  (AM 9:30 )


木陰でお留守番しててね〜☆


と言う事で、出発進行!

珍しく、今日の田舎道は賑やかだ(笑)。


こんちは〜!> チャリンコ部隊



おおっ!西の空には 筑波山が見える。

 空には筑波〜 白い雲♪
 いばらき〜、いばらき〜、我らのいばらき♪

 茨城県民の歌。。。

気分が良いせいか、車中で独り つい声を張り上げて歌ってしまう。。

こんな歌が自然に出てきてしまう私は
千葉県民でありながら、やはり茨城人なのである。... (^ ^ヾ


さて、今日はどうなることでしょう!?



〜 合流@某林道 〜


まずは、午前中仕事をしていた yasu と合流する為に
ここ暫くの間、定期点検を続けている某林道へと向かった。

で、11:30 頃に到着。。

車中より、林道周辺の雰囲気を、ざ〜〜っと見回してみたが
やはり、例年とはいささか感じが違うようだ。。

雨が降るタイミング... 花が咲くタイミング
カミキリムシが発生するタイミング... etc
それらが今ひとつ噛み合っていないような気がする。。

実際に良く探してみれば、それなりにムシは見つかるのだろうが
おそらく、この林道が持つ本来のポテンシャルを 感じることはできないだろう。。

そんな感想を抱いているうちに
まもなく、yasu が到着した。

では、まず最初に Wさんらがクリストフを確認したという某エリアへ行ってみよう。

(因みに、待ち合わせをしたこの林道では Sさんとスライドしてました!→ m(_ _)m


という事で、私が先頭を行きます。

現地まで、まっしぐらです。



〜 いるか!?クリストフ 〜


この暑いさなか、元気にマラソンをしていた眼鏡おじさんに
突如、“●▲■山〜!” と大声をかけられ (どうやら、道案内してくれた様です...m(_ _)m)
遂に待望のエリアへ突入。。

さ〜て、どうだろう??

車中から、ゆっくりと周辺の様子を窺い
土場などの気になった箇所には、逐一チェックを入れる... というやり方で、歩を進めた。

しかし、クリストフが寄ってきそうなシチュエーションに出くわす事は何度あっても
実際には、なか×2 見つけられない。。

周囲の環境を含め、とても素晴らしい材木置き場に集まっていたのは
エグリトラ、キスジトラ、本日あちこちで発生し始めたと思われるハネビロハナなど
いて然るべき役者のみ。。

Wさんが採集してから、まだ1週間ほどしか経っていないが
気候の変動が激しい今シーズンだけに
さすがに タイミングを逸したかな... と思われた。


と、そんな時、プィ〜ン!とオレンジ色のカミキリムシが飛来してきた。。

お、リンゴだ♪

まさか、もう一つの目標が早くも到来か!?

とっさに捕虫網を振ってキャッチすると....

う〜ん、残念... ホソキリンゴカミキリであった。。(^-^;


ホソキリンゴカミキリ
Oberea infranigrescens
BREUNING, 1962



とは言え、個人的には まだ×2 手持ちのサンプル数(標本)が少ないので
ありがたい一頭には違いない。
それに、茨城県内では新産地からの記録となる。良しとしよう。


ホソキリンゴカミキリは、腹部の配色が
こんな感じ(第4節と5節の基部を除いて黒色)
なので容易に同定できます。。



因みに この個体は、以下の写真に示す茂みの中に生えた スイカズラの周辺を飛翔していた。
一昨年の話だが、R地区でもスイカズラの葉を食べている本種を 確認したことがある。

もしかすると、シラハタと同じ習性があるのかな??


この中のスイカズラの前を飛んでました。。


それでは、ホソキくん が出てきたところで
そろ×2 オベレアモードに突入しちゃおうかな!

クリストフについては、残念だが諦めよう。。
(さらっと書いたが随分探したのだ...(^-^;;)

暫く ブラ×2 しているうちに
いつの間にか、私が担当するエリア外へ出てしまったので
まずは軌道修正しなくては。。

という事で、早速大移動を試みた。。

道中、何気に横切った炭焼き小屋では
以前何度かお世話になった、カミキリムシと仲良しの主がお仕事をされていたが...

“ お元気そうで!でも、今日は先を急ぎます!(>人<) ”


大移動中です。。


しかし、そこから更に進んだ某所では 突如急ブレーキ!
担当エリア外とは言え、さすがに ここはスルーできなかった。。
これには後続の yasu も納得。。

ドキ×2 しながら様子を見てみると、予想通り、カミキリムシが大発生だった。


ここに材木が積んであるのは初めてですね。。


しかしながら、やはりいたのは多数のキスジトラ と、ハネビロハナ...
次いで、エグリトラ、カラカネハナなど。。。
特に目新しい種類には出逢えなかった。
ヤナギが中心である周囲の環境を考えれば、もはやクリストフは有り得まい。。


ハネビロハナカミキリ
Leptura latipennis MATSUSHITA,
1933



それではワンちゃん、行きますんで 道をあけてねっ... (>人<)


のんびり屋さんのワンちゃんがいました☆



〜 広大な伐採地 〜


流れ流れて、ようやく担当地区入り... した途端の事だ。

ゲゲ〜ッ!w(◎。◎;w

普段見慣れた 広葉樹優勢の斜面地が
いつの間にか見事な禿山に変わっている。。

どうやら伐採木は、全て現場に放置してある模様。。
これは要チェックだ♪

見応えがありそうなので、残り時間を気にせず
じっくりと腰をすえて挑みたい。

それにしても...


凄過ぎです...

これまでに見てきた伐採地の中で...

最大級の広さと言えるでしょう..

コナラを中心とする伐採木がなだれ落ちてます。

眼下の景色は かなり美しいです。(原始星様風に。。)


本当に、広大だ。。

しかしながら、これだけの伐採地であっても
乾燥が激し過ぎる様で カミキリムシの姿は殆ど見えない。。

確認できたのは、かろうじて、ヘリグロベニ...
それから隅の方の木陰に、ムネアカクロハナなど。。

ふ〜っ... 何だか拍子抜けしてしまうな... (^-^;

ただ、こういったシチュエーションだからこそ
こんなムシは採れた。

いわゆる、オーソドックスな ハンミョウである♪


綺麗でしょう??


近づく度に、数メートルの間隔で低空飛行し、着地するというパターンを繰り返すので
ネットインするまでには、相当な移動距離を要した... (^ ^ヾ

これは、後日標本にしたものだが
非常に美しく、かつ凶暴な表情である。。(^-^;



ハンミョウ
Cicindela chinensis japonica
THUNBERG, 1781



この他にも、ハンミョウは何種類か見られた。
集めてみると、なか×2 面白い甲虫である。

この後、昨年通った伐採地へも立ち寄ったが
結果は、同じような状況であった。。

やはり、今シーズンは どこかおかしい。。(^-^;




〜 今日の課題 〜


さて×2、ここからは 本格的なリンゴの旅だ。。

キーワードはヤマツツジである。

どうやら、Hさんから教えて頂いたエリアの一歩手前から
道路縁や 時折現れる民家の植栽など... いたる所にツツジが植わっている模様。。

念のために これらにもチェックを入れてみよう。

例えば、こんな所で足を止めてみる。。


畑を囲うヤマツツジです。。


すると、前半のホソキくんの時と同様に
いきなり リンゴちゃんが飛んできた!

よっしゃ、今度こそ来たか!?

と思いきや、また×2 残念...

今度は、ヘリグロくんだった... (^-^;


ヘリグロリンゴカミキリ
Nupserha marginella
BATES, 1873



近くにはヨモギもあったので、おそらく そちらへの訪問客だったのだろう。。

う〜〜む... セオリー通りに探せたとしても
そう易々と採れるものではなさそうだ。

時間は限られている。。
やはり、アドバイスを頂いたポイントへ急ぐのが利口かも... (^ ^ヾ


という事で、遂に待望のツツジポイントへやってきた。。

早速、ズラリと並んだ植え込みに目をやると...

ほほ〜ぅ... なるほど!

あっさりと食痕を発見できた。 おそらくこれが本命の足跡なのだろう。。
実に幸先が良い。


間違いなく、カミキリムシの食痕でしょう!


で、それを見た直後に...

やややっ!?


いました!

ほら、あそこにも!!

そして、こっちにも!!!


ここはまさに、ソボリンゴカミキリのパラダイスであった♪


ソボリンゴカミキリ
Oberea sobosana OHBAYASHI, 1956



いや〜っ、久しぶりに 本命を “浴びて” しまった。

遂に、我々にも採れた!

と言うより、“採らせて頂いた” と言った方が正しいかも... (^ ^ヾ
これで、本日の課題は無事に完了である。

本当に良いポイントでした... ありがとうございます。。m(_ _)m > Hさん。


興奮が冷めぬ内に、早くも陽が暮れてきた。。
それでは、夜の部へと移行しよう。。


某所まで、高速移動しました。



〜 夜の部 〜


職場の先生から、息子さんにプレゼントするクワガタのリクエストが入っていたのを思い出し
まずは、とあるヤナギをチェックしに向かった。。

樹上にライトを照らすと、あっさりと数頭のノコギリクワガタが見つかる。。

ここは、毎年どんな時に来ても、“ハズレ無し” である。

で、クワガタがいる、傍の枝に目をやれば...

お、ラッキー!カミキリだ♪

ライトを当てながら、yasu にそう伝えると、「ホントだ、イタヤだ!」と言う。

別角度から見ると、簡単に分かったらしい。

私は、一瞬ビロウドにも見えた。

で、捕虫網を携えていた yasu にお願いして
手繰り寄せてみると、ジャ〜ン、なか×2 立派な大型の個体であった。



イタヤカミキリ
Mecynippus pubicornis
BATES, 1884



茨城県内では、いる所に行けば それなりに採れる このカミキリムシ。。
しかし、過去の記録地を 白地図上で眺めれば
分布域は随分と限られている。

一昨年から何度も採集記の中で綴ってきたが...
このエリアは、いずれ水没する予定だ。

カミキリムシに限らず、貴重な動植物が豊富に見られる
自然豊かなところだけに、何とも惜しい話だ。。


で、この30分後に
用意してきた自前のライトトラップを試してみた。

結果は... さすがにちょっと早すぎたようで... (^ ^ヾ
るどるふ先輩風に言えば、“ シ〜ン... ” と言うやつであった。

真昼の暑さが嘘の様に、とても冷んやりしてしまった事が原因だろう。。(^-^;

とっておきのクヌギで、お土産用のミヤマを1♂...
個人的にキープの大型スジ(33.5mm)を1♂ ほど追加し
帰路に着いた。。



〜 後記 〜

22:30 に、実家へ到着。。

残念ながら、今シーズンは クリストフに出逢えぬまま 終わりそうだ。
しかしながら、以前からの課題であった ソボリンゴカミキリを
無事にホスト採集することができ、手応えは充分であった。

また、今回の調査とは直接関係がないが
先週 Wさん、Hさんとお別れした直後に採集した
写真のリンゴ系カミキリムシが、本日採集したソボリンゴカミキリと比較することで
ヒメリンゴカミキリであることが分かった。


ヒメリンゴカミキリ
Oberea hebescens BATES, 1873
17. VI. 2007.



見た目が非常に似ている 2種類だが
腹部末端節の形状、上翅両端の黒い筋、触角の長さ(上翅末端を越えればヒメ)
により、わずかな違いを見極めることができた。

ホソキ、ヘリグロ、ソボ... と、振り返れば
今日の成果はリンゴづくしだったと言える。
単純に嬉しかったし、あわせて、各々のホストの再確認ができ
また、ヒメを交える事で 種類の判別方法についても知識が深まり 大変勉強になった。
良い機会が得られたと思う。。

改めて、ありがとうございました... m(_ _)m> Hさん



〜 主な確認種

●ハナカミキリ亜科
 ハネビロハナカミキリ
 ムネアカクロハナカミキリ
 ニンフハナカミキリ
 カラカネハナカミキリ
●カミキリ亜科
 キスジトラカミキリ
 エグリトラカミキリ
 シラケトラカミキリ
 キイロトラカミキリ
 ヘリグロベニカミキリ
●フトカミキリ亜科
 ゴマフカミキリ
 ヒメヒゲナガカミキリ
 イタヤカミキリ
 ヘリグロリンゴカミキリ
 ホソキリンゴカミキリ
 ソボリンゴカミキリ(初採集)





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