採集履歴

“2007年 今夏の課題” 編 (2)



07.07.05
(Thu) Mt 「ネキダリスへ始動」 
                                                                                                  

今回から、地元のカミキリ屋として 以前から憧れており
そろ×2 挑戦しておかねばならない ホソコバネカミキリ亜科、2種類に目を向けてみたい。
2種類と言うのは、県内に棲息する オオホソコバネカミキリと、ヒゲシロホソコバネカミキリである。
これらのうち、ソリダ(前者)だけでも 何とか手が届かないだろうか??
ぐ〜〜っと 背伸びをすれば、私の背丈でも大丈夫かな???

「挑戦」などと、カッコを付けて謳うほどの意気込みがあるのかどうかは さておき... (^ ^ヾ
最初から飛ばしすぎると、後々くたびれてしまうので
普段どおり、じっくりと時間をかけていきたいと思う。。

また、県産カミキリムシの分布調査の一環で
春先から通っている某エリアから、是非 記録しておきたい種類がいるので
その辺のチェックもやっておきたい。

連日の雨が 久しぶりに上がった。
気温がそこ×2 あるので、この際 曇り空でも全く問題はない。
それでは出撃しよう。


〜 私の相棒 〜


のっけから関係のない話で恐縮だが
3日前に、ちょっとしたアクシデントが発生した。
マイ・カーの前輪(右側)が 突如パンクしてしまったのだ。。(^-^;
(普段、険しい道ばかりを走ってもらってるから... 無理もないね... (^ ^ヾ)

仕方なく、2日程 簡易なスペアタイヤを履いていたのだが
昨晩ようやく、新しいタイヤにチェンジし終えた。

悪いけど、今日も頼んだよ〜!m(_ _)m > 相棒



現在の走行距離は、約 120,000 km...
まだ×2 頑張ってくださいね。。m(_ _)m




〜 課題:その1 〜


という事で、今日も遠路遥々 てっぺんまで連れてきてもらった。
サンクス! > マイ・カー (AM 11:00 )

林道沿いに花が咲いていたので
手始めに、とりあえず捕虫網で掬ってみる。。
が、カミキリムシは全く入らない。

一方、ハチやアブだけは、相変わらず嫌と言うほど入る。。(^-^;

明るい曇り空、無風、気温も22℃ほどあり
条件としては、そう悪くないのだが...
連日の雨で、勢いが弱まってしまったのだろうか??


集虫力は相当なものでした。。


さて、本命を求めて、ブナの立ち枯れを覗きに行こう。
捕虫網を携え、足早にクマザサがびっしりと蔓延った天然林の中へ。。

新しすぎず、古すぎず、そんな立ち枯れのありかは
幾度も通っているエリアだけに 何ヶ所か把握している。

私がそこを訪れるタイミングと
彼らが、そこへ産卵をしにやって来るタイミングが ピッタリ合えば
超ラッキーという事になる。。


さすが...

随一のブナ林ですね。。


まず第一回目の今日は、目をつけておいた
こんな立枯れの前に じっくりと居座ることにした。。

陽当たりが良く、なか×2 良いと思う。

ただ、幹に絡みつくツタがちょっと邪魔かな。。






皮が剥がれた部分へ産卵しに やってくるそうだが
ベストと思われる部分は非常に高い位置にある... (^-^;

例え運よくやってきたとしても、届かないだろうなぁ。。。


すぐ傍にあった倒木の上に腰を下ろし、じ〜〜っと待つこと、1時間30分。。(^-^;

その間、身の回りには色んなムシがやってきた。。

一斉に大合唱を始め、一斉に静かになる、ハルセミ。。


近寄っても、全く逃げません。


それから、シラホシカミキリ。。


シラホシカミキリ
Glenea relicta relicta
PASCOE, 1868



それから... おおっ!
オオトラフコガネじゃないか!!

何気に初遭遇。。 確か、県版レッドデータの調査リストにも入っていたはずだ。
これは、押さえておきたい。

しかしながら あまりにも自然体で美しいので
相変わらず、“採る前に撮る” を決行してみる。。(^ ^ヾ


ホント、美しい紋様なんです。


と言う事で、アップ!


オオトラフコガネ
Paratrichius doenitzi
HAROLD, 1879



だが、そんな余裕をかましていた結果...
案の定、逃げられてしまった。。(T^T) (ToT) (T^T)

それにしても、肝心な立枯れの方には、良い変化が全く起こりそうにない。。
時折視界に入るのは、コメツキムシ、キマワリと、多数のトンボ、それから産卵に来るハチ類など。。

標高は充分かと思われるが、もしかすると、当該エリアのてっぺん付近を好むものなのだろうか??

周辺にあった、他の立ち枯れにも目を配ったが、結局本命に出逢うことはなかった。。

ここへ訪れてから、早くも2時間30分が経過。。
既に、14:00 に近づいている。

う〜〜ん... ダメだ、この辺で見切りをつけよう!

また次回 ... (^ ^ヾ



〜 ニセモノ 〜


せっかくここまでやってきたので
周囲を一通りルッキングしてみることにした。

最近、方々から採集報告を聞く あるカミキリムシのことを思い出したので
ちょうど目の前にあった サワフタギの葉上を丹念に観察してみる。。


林床部には、結構生えているようです。



ほ〜〜っ! 思いっきり食われているではないか。。


独特なカミキリムシの食痕です。


と言う事で、あっさりと見つかってしまった♪
和名上では、先ほど見たシラホシカミキリの 「ニセモノ」らしい。。



ニセシラホシカミキリ
Pareutetrapha simulans
BATES, 1873



自然光のもとでの、美しい写真を得たいため、何度もシャッターボタンを押してみたのだが...
林内は薄暗く、どうしても フラッシュがたかれてしまう。。

予想以上に多数群がっていたので チャンスは何度もあったのに...

やっぱり、高性能なカメラでないと 出逢った時の臨場感は伝わらないのか... 残念。。。

仕方なく、普段どおり指に摘んで撮影した。。(^ ^ヾ


分類上...


なか×2 個性的な紋様だ。
黒・茶色を基調とする配色も、本家と違った味があり美しい。
ついでに、もうひとつ。。


シラホシとは全く別属なのです。


とりあえず、5頭程頂いてお腹がいっぱいになった♪


続いては、こんな所に目を向けてみる。。
台風などの影響で折れてしまったと思われる枝だ。。
折れ目から上端には、まだ青々とした葉が付いているので 割と新しい... これは期待できる。


こういった箇所は要注意です。


わお!やはり、産卵しに来ていた♪

個人的に、手持ちのサンプル数がまだ×2 少ない
セミスジニセリンゴカミキリ(♀)である。

何気に、またも「ニセ」がつくカミキリムシだ。


セミスジニセリンゴカミキリ
Eumecocera trivittata BREUNING, 1947



産卵管を出し入れしながら、枝の割れ目を右往左往している。。

こういった♀は、あまり逃げないものなので
余裕をかまし、例によって採る前に撮影していたのが...

ヤバ... また逃げられてしまった。。(^-^;

ただ これに関しては、オオトラフコガネとは違って
この後、別のもう一個体が付近へ飛来し それを採集できたので救われた。。(^ ^ヾ

しかし、更にルッキングを続けた結果
未採集種である ヒゲジロハナ、他 数種類を採り逃がしてしまった... (T^T) (ToT) (T^T)

主な理由は、やはり “採る前に撮る” をやった事だった。。

ソリダと出逢った時、私はやはり同じ失敗を繰り返してしまうのだろうか。。

一瞬、ちょっとブルーになったが、過ぎたことは仕方がないので
気持ちを切り替え、次の課題へ移りたいと思う。。


15:30... まだ、充分に陽が残っています。



〜 課題:その2 〜


時速10〜20kmで延々と荒れ道を走り
今年、ずっと気にかけている山の麓までやってきた。。

適当なところへ車を停め
今度は、徒歩で登山を開始する。。


小川も渡ります。。


冒頭に記した、本日のもう一つの課題は
ヤマアジアサイ(サワアジサイ)につく、ミヤマドウボソカミキリの棲息を確認することである。

県内では、近年山地の一部で記録されたばかりのカミキリムシだが
yasu の調査報告によると、予想以上に広い範囲で分布しているらしい。。

では、この山の場合はどうだろう??
yasu の調査区域から、大分離れているが
ここでも確認できれば、本種が山地全域に定着していることを実証できる。

山頂までの道端には、かなりのヤマアジサイが生い茂っていた事を
春先の下見以来、常々気にしていた。。

お!早速見えてきた... どんな結果が出るのか、楽しみである!


これがヤマアジサイです。。


ややや!?
ここには潜んでいるかもしれないぞ。。

彼らは、部分枯れした枝先よりも
これぐらい大胆に痛んでいる箇所の方がお好みと聞く。


完全に枯れた箇所を好みます。


そして... 予想通り!

発見〜♪


ミヤマドウボソカミキリ
Pseudocalamobius montanus
HAYASHI, 1951



そっかぁ... やっぱりここにもいたかぁ。。

誰もいない山の中で、独りこの上ない嬉しさを噛み締めた。。

正直、ホッとした気持ちもある。

例えが変だが、予想して筋道を立てながら解いた数学の答えが
バッチリあっていたときの感覚にも似ている... (^ ^ヾ


交尾中のペアも含め 4exs 得られました。


きっと、当たり前の結果なのだと思う。。
しかしそれを、一時代の記録として しっかりと残しておくことは重要だ。。


さて×2、せっかくなので
もう少しだけ様子を見てみよう。。


獣道を 延々歩いて行きました。。


雑草をかきわけ、ゆっくりと前進して行くと
ヨモギ類の合間を浮遊しているヘリグロリンゴとか
立枯れたヌルデに群がる キッコウモンケシ、ヒトオビアラゲ、ヨツキボシ... などが多数見られた。
全てお馴染みの顔ぶれだが、当地からは初記録となる種類もいる。


ヘリグロリンゴカミキリ
Nupserha marginella
BATES, 1873



やがて、手つかずの見事な広葉樹林帯へ。。


ブナやミズナラの大木が見え始めました。


夏季は、湿度も高く ちょっと鬱蒼とした雰囲気がある。
しかしながら、棲息するムシの種類は相当なものと予想される。

できるものなら、この山奥で一度 灯火採集をやってみたい。
カミキリムシに限らず、どんなムシがやってきても きっと楽しいだろう。
実に興味がそそられる環境だ。

そんな個人的課題を また新たに心の中で抱きつつ、山を下りた。。



18:40... 陽が沈んでいきます。。


汗まみれになってマイ・カーに乗った時には もう陽が暮れ始めていた。。

以前の職場の先輩から、子供のお土産にと ミヤマクワガタのリクエストが入っていたので
それを少しばかり拾ってから今日はお開きにしよう。。




〜 後記 〜

22:00 に、実家へ到着。。

本格的に ネキダリスへ目を向け始め、第一回目のトライとなった今日は
残念ながら、何の手掛かりもつかめないまま終了した。

まだ、見つける為の “目” が全く備わっていないのだろう。。
採集に役立つと思われる 一通りの情報は入れてあるが
こればかりは、回数を積んで(失敗を繰り返して)養っていくしかない。

と言う事で、めげずに また次回。。

一方、ミヤマドウボソの新たな分布域の把握は非常に嬉しかった。
答え合わせは重要だ。

やはり、自分なりのスタンスやセオリー、課題を持って取り組むと
採集行が数倍楽しくなる。

他者への迷惑だけは極力避ける様に気をつけながら
マイ・ペースでやるのが一番だろう。

それから “採る前に撮る” は、既採集種のみに やっていい手段という事で
暫くは割り切ったほうが得策かもしれない... (^ ^ヾ



〜 主な確認種

●ハナカミキリ亜科
 オオヒメハナカミキリ
 ニセヨコモンヒメハナカミキリ
 ニンフハナカミキリ
●フトカミキリ亜科
 シラホシカミキリ
 ニセシラホシカミキリ
 セミスジニセリンゴカミキリ
 ミヤマドウボソカミキリ
 ヨツキボシカミキリ
 キッコウモンケシカミキリ
 ヒトオビアラゲカミキリ
 ヘリグロリンゴカミキリ





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