採集履歴

“2007年 今夏の課題” 編 (6)



07.07.25
(Wed) Mt 「新たなる節目」 
                                                                                                  

ここのところ時間に余裕がなく、全ての採集行を こうした日記に反映できないでいるが
ソリダを探し続け、早くも 6度目の出撃機会を迎えてしまった。。(^ ^ヾ

しかし、手を抜いて いたずらに回数を重ねてしまったつもりは全くない。
相手は、茨城県に棲息する ソリダなのだ...
地元のカミキリ屋を目指す私としては、背伸びをしてでも 何とかクリアしておきたい種類である。
だから、素人なりに いつも真剣に取り組んできた。
そして今回は、ある出来事をきっかけに 相当な気合が入っている。。

実は、5度目に当たる前回、某山中をさまよっている際に
とあるベテラン・カミキリ屋さんと出会い、こんなものを見せていただいた。

ゲゲッ、マジっすか!w(◎o◎)w


オオホソコバネカミキリ
Necydalis solida BATES, 1884


この大きなソリダ(♀)に感銘を受けた後
現地調査を兼ねながら、5時間程のカミキリ・トークを楽しんだ結果
“ソリダは、必ずしも大木を必要とするわけではない!” という感想を持った。

よって今回は、少し視点を変えて、か細い立ち枯れや
生木の部分枯れにも積極的に目を向けてみたい。

せっかく 気分が盛り上がった所なので、早速午前中から リトライしてみよう。

また後半戦は、本日別の山で採集する予定の yasu と合流し
夜の部まで楽しむつもりだ。


〜 採らねば! 〜


そんな訳で、いつもより ちょっと早めの 7:20 に家を出発した。。

久しぶりに、「採らねばならない」という 使命感にも似た感情が湧いてきた。
ヒメオオの時の様な、採るべき “機” が訪れたのだ。

目指すフィールドは、今シーズンの 5度にわたる経験を踏まえて
最も拘りを持つ山にしようと、昨晩から決めていた。


普段とは、意気込みが違います!



寄り道は一切せず、予定通り 10:00 に現地入り。。
毎度の事ながら、辿り着くのには随分と時間がかかった。

さて、一息ついている余裕はない。
手短に支度を整え、イソ×2 とブナ林の中へ突入した。

おおっ、早速前方に見慣れぬ立枯れが見えたぞ!


ガサ×2 と、クマザサを掻き分けながら
前進して行きます。



普段の巡回コースを離れたおかげで
次々と新しい材が見つかった。

これらなんかは、新しすぎず、古すぎず...
所々皮が剥がれており、とても良さそうに見える。。





また、この様な細い立枯れにもマメにチェックを入れて行った。。





調査を始めてから、あっという間に 1時間が経過した。。
しかし、やはり そう簡単には見つけられない。

そこで、標高をこれまでより幾分上げてみることにした。
現状でも、充分な位置(高さ)に達しているとは思うが
上へ×2 と向かおうとする、ムシの習性をイメージをして。。
(実に安易な根拠だ... (^ ^ヾ)


そして 15分後に山頂付近で再挑戦。。

すぐに、直径60cm程の、細長い立枯れを見つけた。
歩み寄って覗き込んでみたところ。。

むむ!? ヨツスジハナが産卵しに来ているゾ!


ヨツスジハナカミキリ@産卵中


どうやら、カミキリムシがお好みの材らしい。

念のため、ぐる〜っと 幹の周りを一通り観察してみた。

すると...

 あれっ!?◎_◎;

一瞬、息が止まった。

 こ、これ そうだよね!?

 うむ... 小さいけど、間違いなかろう。。

 い、いたぁ...!

 
いたっ! いたっ! (>_<) (>_<) (>_<)

目の前、わずか50cm程のところに、紛れもない
一頭のソリダ(♂)がとまっていた。

長らく待ち焦がれていた未採集種が、遂に姿を現したのである。
よって、最近 私の中で取り決めたばかりの方針に則り
“採る前に撮る” ではなく、“採ってから撮る” を決行。。

下方にネットを添え、ゆっくりと、まっすぐに右手を伸ばし...

イエ〜ス! ナイス・キャッチ!!(→意外と冷静に事を運べました... (^ ^ヾ)

逃げる様子など一切見せなかったので、簡単に指で摘みあげることができた。
(案外できたんじゃないのか?? “採る前に撮る”。 まぁ、そんな事はさておき... (^-^; )

ジャ〜ン!これが念願だった 茨城県産のソリダである♪


オオホソコバネカミキリ
Necydalis solida BATES, 1884



あぁ〜、マジで嬉しかぁ。。(T^T) (ToT) (T^T)

ようやく私にも採ることができた。
これで、ホッと一安心である。(^-^;

リュックから取り出した瓶ケースに、ちょっぴり震える手でこいつをしまいこみ
前から、横から、そして裏側から... じっくりと その姿を眺めてみた。。
ああ... なんて繊細な体のつくりだろう。。
凄〜く小さいけれど、ソリダには変わりない!... (^ ^ヾ

これでまた一つ、重要な節目を迎えることができた。
生涯、忘れられない一頭となるに違いない。。

以上、11:40 前後に起きた 感動の出逢いであった。。


こんな材 (写真中央付近) に付いてました。



〜 良いムシとの合流 〜


13:30 に、予定通り 向こうの山からやってきた yasu と合流。。
彼からは、ノリウツギから掬ったという こんなムシを預かった。



オオトラフコガネ Paratrichius doenitzi HAROLD, 1879


 う〜ん、なんて美しい紋様なのだろう。。
 実は、最近採り逃がして以来 ずっと茨城県産に憧れていたんだよね... (^ ^ヾ
 何気に、REDデータのリストにも含まれている(県の特定動物分布調査の対象種である)。
 後で、渡辺さんに報告しておかねば。。

彼は他に、ヒゲジロハナ(初採)、キヌツヤハナなどのオツなカミキリムシも採集していた。
また、井上大成さんにもお会いできたようで、大変有意義な時間を過ごしてきたらしい。。


さて! まだ×2 陽も高いので、もう暫く当地で頑張ってみよう。

先日デビューしたばかりの 5m長捕虫網をアイテムに加え、改めてルッキングを始めると...
おや×2 ?? 何やら蔓性の植物にアサギマダラが群がっているぞ。。


花に集まっているようです。。
何という植物でしょうか??



独特の花やハート型の葉を手がかりに検索したところ、どうやら “イケマ” のようである。
あわせて、ホソツツリンゴカミキリのホストらしい。
本種に関しては、T山塊などからの記録があるので、今後注意して見ておきたい。


小さな花が集まっています。


で、この花につく可憐な蝶達を ボ〜ッと見つめていると
何やら見慣れぬカミキリムシの姿が目に映った。。

“あれっ!?未採集種だ!”

そう声に出すなり、突然 フワッと飛び上がったので
すかさずネット・インしたところ...

ほぉ〜。。

なんと、ジャコウホソハナではないか。。


ジャコウホソハナカミキリ
Mimostrangalia dulcis B
ATES, 1884



地味な感じだが、こいつも REDデータのリストに含まれている。
今日は、色々と良い虫に出逢えて ホント運が良い♪



〜 クワガタ採集 〜


今夜は、どこで灯火をやろうか??

悩みに悩んだ結果、思い切って別の山まで大移動することにした。

その道中、湿原に群生していた大規模なヤナギ林が気になったので
ちょっとだけ寄り道してみると。。

わ〜ぉ!いっぱいいる !!


小さなペア〜♪

あっちにもいます!


基本的に、ノコの方が沢山見られたが
ある一本のヤナギについては ミヤマのみが集会を開いている模様。。
試しに蹴りを入れてみたところ
ドスン!と一際でかい音を立てて落ちてきた奴がいた。

それがこいつ。 なか×2 大きくて立派な個体だ。(67.0mm)
内歯先端が発達した、黒い固体である。


ミヤマクワガタ
Lucanus maculifemoratus
MOTSCHULSKY, 1861



かわいそうだが、あなただけは一緒に来てくだされ。。m(_ _)m


いや〜、やっぱりクワガタ採集は面白いなぁ〜♪。。(^ ^ヾ




〜 仕上げはナイター 〜


灯火をやるポイントの候補を 経験地、未経験地の二ヶ所に絞り込んで
とある山の麓までやってきた。。

登山向きではないマイ・カーを市営の駐車場に残し
並走してきた yasu の四駆に乗り換えて ぐい×2 と標高をあげた。

せっかくなので、今夜は経験がないこちら(↓)で挑戦してみよう。


4駆でなければ、ここまでは上がってこれませんでした。。

いったい どんなムシが棲息しているのでしょう!?


手前には、小さな伐採地や渓流があり 条件としては なか×2 良いと思われる。
ただ、夕刻になると 気温・湿度が ぐっと下がったので、いささか心配だった。... (^-^;

とりあえず 19:00 過ぎに、広葉樹優勢の山肌へ向け ライト・オン!


頼みますよ〜!


まずやって来たのは、すぐ近くに潜んでいたと思われる 数頭のコガネムシだった。
その後 暫くの間は、ピタリとムシの飛来が止まってしまう。。
やはり今宵は駄目なのかな〜??と 半ば諦めかけていたところ...
20:15 を境に、いきなりミヤマクワガタを始め 甲虫類の波がやってきた。


ここからが本番でしょうか!?


やった!ハンノアオカミキリ♪
何度採っても嬉しい、グリーンメタリックなカミキリムシだ。



ハンノアオカミキリ
Eutetrapha chrysochloris
BATES, 1879



しかし、残念ながら その後が続かず...
21:30 まで様子を見たが、他にやって来たカミキリムシと言えば エゾサビぐらい。。

う〜ん... ちょっと寂しいかな。。(^-^;

ただ、気候次第では 随分と結果が変わっていたと思われる。
期待の場所だっただけに、縁があればまたここで挑戦してみたい。

では、翌日の生活に乗り遅れぬように この辺で引き上げよう。。



〜 後記 〜

実家へ帰宅したのは、日付が変わる直前の 23:45 。。
また遅くなってしまった... (^ ^ヾ

今回は、念願のオオホソコバネカミキリ(♂)を
6度目にして ようやく採集することができ
ムシ採り人生における、新たな節目が迎えられた。
これまでとは幾分視点を変えて臨んだことが
功を奏したのだろう。

何の変哲もない、細長い立枯れの幹を
触角をピク×2 させながら、歩行する姿。。
おそらく、一生忘れることはないだろう。

ホント、今日は運が良かったのだと思う。
とても嬉しいし、私にも採れた!と実感する度に
どういう訳かホッとした... (^ ^ヾ

色々とアドバイスを下さった先輩の皆様に感謝致します。。m(_ _)m

その他にも、ヒゲジロハナカミキリや
REDデータのリストに入っている、ジャコウホソハナカミキリ、オオトラフコガネなどの
良いムシとも出逢えたので、これ以上の結果はないと思う。。



〜 主な確認種

●ハナカミキリ亜科
 ヒゲジロハナカミキリ (初採集)
 ジャコウホソハナカミキリ (初採集)
 キヌツヤハナカミキリ
●ホソコバネカミキリ亜科
 オオホソコバネカミキリ (初採集)
●フトカミキリ亜科
 ハンノアオカミキリ





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