採集履歴

“2007年 あと少し” 編 (1)



07.09.15
Sat) Mt〜Plain 「ブドウ叩き」 
                                                                                                  

とう×2、9月の折り返し地点に到達してしまった。
あっという間に、夏が遠のいて...
気温が30℃を越える厳しい状況は、まだ時折訪れるものの
秋晴れの空の下では、カラッとした風が程よく吹き始めている。。

今シーズンは、ラスト・スパートをかける、と。。
そう決心していたのだが
私は、私らしくやれたのだろうか??

物事には、自分の力だけではどうにもならない限界が必ず存在するから
おそらく、想いは成就することなく終わるだろう。
しかし、時間が残されている限り やれるだけの事はやって幕を降ろしたい。
あくまでも自然体で、あと少し... あと少しだけ、粘っておこう。


〜 R地区調査 〜


久しぶりの出陣だ。
今日の県内は、最高気温 34℃が予報される猛暑となるらしい。

少々寝不足気味だが、体調を崩さぬよう上手に休憩をとりながら
のんびりと 一日を楽しんでこよう。



秋晴れ@自宅庭



8:00 ピッタリに 家を出発した。
まずは近所のスタンドで、ガソリンを満タンにし
ブラ×2 とR地区を流し始めた。

あぁ... 懐かしい。。

思い起こせば、生まれ故郷 “R地区の調査” は、私の原点であった。。

それは、茨城県のカミキリ調査を始める 遥か以前から想い描いていた
私の “みちしるべ” となる大切な地図だった。。


ぼんやりと、そんな事を考えながら暫く行くと...

出ました!久しぶりのブラックボード。。

これを無視する訳にはいかない。


2007年現在、県内では34地区が指定されている
自然環境保全地域です。



例によって、神社の周辺に残された鎮守の森らしい。。
R地区らしく、スダジイ、タブノキなどの常緑広葉樹の名が まずはあがっている。。
これまで目にしてきたボードの内容と大差はない。

とりあえず林内に車を駐車し、1時間ほど周辺を散策してみた。

道路際に出ると、スギの林床、タケ藪の前面に 蔓性の植物が密生している。

発生率は低いが、ノブドウなども見えたので
これまでの課題の一つであった ブドウトラを探してみることにした。


これは 叩いておかないと。。



とりあえず、この辺から。。


右上の方に、ノブドウも見えます。。



すると... あれれ???

なんと、カノコサビじゃん。。

何気にR地区では初採集(54種類目)となる。

これはこれで、ラッキーかも。。(^ ^ヾ


カノコサビカミキリ
Apomecyna naevia naevia
BATES, 1873



同地区内における、最も内陸部からの確認である。
まぁ、かろうじて存在してもおかしくはない。

それならば。。

と、周囲のカラスウリも叩きまくったが
本来いるべきところからは、一頭も見つけることができなかった... (^-^;


ならば、こちらもと思ったのですが...



勿論、こういうのを優先的にチェックしていく。。


ノブドウの葉を叩いて回りますが
なか×2 見つけられません。



駄目だ... 相変わらず、野生系(ノブドウ・エビヅル他)からの手応えは全く得られない。。

よし、決めた!

今日は ブドウトラを求め、県内の野生系を徹底的にチェックして回ろう。
そしていずれは、未だ確認例がない R地区からの可能性を再検討してみたい。



〜 山へ 〜


ブドウトラカミキリ...
ブドウ栽培を行う農家にとって、最も警戒すべき害虫とされている本種だが
駆除法が確立されるにつれ、近年では随分と数を減らしているらしい。

エビヅルなどの野生のブドウにおける記録例は、県北、県南のいずれからもあるが
決して多くはない。

幾つかの資料を読むと、やはり栽培ブドウの蔓をより好むようだ。

とりあえず、過去(22年前)に記録があるエリアへ向かい様子を見てみることにした。
何事も、まずは勉強からだろう。。

と言う訳で、一路 山地へ。。


連休初日だけに 車は多いです。。



山へ来ると どうしても上がってみたくなってしまう。。(^ ^ヾ


とりあえず、尾根線に乗り流していきます。



がしかし、エビヅルなどの可能性ある蔓は全く見当たらない。。


ここ... 夜更けになると、ドン×2!という太鼓音が
鳴り響くのでちょっと怖いです。。



う〜ん、やっぱり 麓の方が良さそうだ。。(^-^;


で、植生豊かな 長〜〜〜〜い林道を抜け、下へ降りてくると
エビヅルやノブドウが次々と見つかり始めた。。

おそらく、過去の記録はこちら側から生まれたのではなかろうか...??


エビヅルは、小さな葉の縁が
丸っこいです。。



ただ、蔓の量があまりにも多過ぎて どうしても的を絞ることができない。
結局、このエリアからは何も見出せないままだった。。(^ ^ヾ




〜 峠越え 〜


携帯で、月初めに行われるイベントの打ち合わせをしていたら
いつの間にか隣県へ出てしまったので、少々の軌道修正。。

Sきょくあたりのコンビニで休憩をとった後、今度は海の方へ向かってみることにした。

あちら側にも、過去の記録はある。。
何事も、まずは勉強からでしょ?? やっぱり。。(^ ^ヾ


峠越えの途中、薄暗い林の中に有望なケヤキの古木を何本か見かけたので
せっせと 落ち枝を切断し、トランクに積んだ。

こういう事も、マメにやっておかねば。。

明るみに出ると...
おっと!鉄柵にエビヅルが密生している。。

少しでも気になれば、必ず車を停め 隅々にチェックを入れて行った。


今日は、こいつを何回叩いたのでしょう??... (^ ^;;



また、更なる峠越えの途中では...


思わずブレーキを踏んでしまいます。



こんなクヌギが何本も生えていたので 念の為 チェックを入れてみると
何頭かのコクワちゃんや、ス〜ジ〜が樹液に群がっていた。
へぇ〜、まだ頑張ってるんだ... (^-^;

7月の中下旬なら、おそらく、地元のクワガタ屋さんが
せっせと脚を運んでいるエリアなのだろう。。


あれもいいです。。



その後、無事に沿岸部へ辿り着き
いわゆる屋敷林、里山林縁に生えた、エビヅル、ノブドウを叩き続けた。。

県北、県西、県東、県央、県南... あちこちを叩きまくって、およそ8時間が経過。。

しかし、お目当てのムシを 見つける事は とう×2 できなかった。。(^ ^ヾ

やはり、昔やったように ブドウ園に行って聞き取り調査を進めるのが
一番効率よいかも。。



〜 クワガタで〆 〜


流れ、流れて随分遠いところまで来てしまった。
ここで、車の走行距離が
123,456km」に到達♪... (^ ^ヾ

偶然にもその現場は...
「99,999km」 → 「100,000km」 @06.06.01 をゲットした場所と
全く同じ エネオス前であった。
ホント、ビックリした... (^ ^;;


123,456 @エネオス前 16:44



因みに、これまで...

「77,777km」 @04.07.23
「88,888km」 @05.06.12 my birthday and クリストフ初採集日
「99,999km」 → 「100,000km」 @06.06.01 クリストフ 2度目
「111,111km」@07.04.06 特に何もなし... (^ ^;;


という履歴を辿っている。。

気づかなかった 「121,212km」 の時は、どうだったのだろうか??


ここで、ふと何となく ヤナギに付くクワガタの姿が見たくなってきた。

先程、クヌギの2次林で目の当たりにした光景が
印象に残っていたのだろう。


ヒメオオは無理としても、旬な時期なので、アカアシぐらいは見られるだろう。。


そんな訳で、再び標高を上げてみた。

先日の台風の影響か?? 狭い林道には沢山の落ち枝が散乱している。。

ちょっと寂しいことに、毎年多くのアカアシが集まるヤナギは
無残にも根こそぎ倒れていた。。


それにしても、やっぱり減っているんだろうな...
クワガタは。。

何と言っても、人気があるからねぇ... (^ ^;;
また、開発や温暖化などによる影響は計り知れないだろう。。

こういうのを書いて掲載している以上

保護を謳っても、説得力はない。

ムシは、クワガタやカミキリだけではない。

昔の日記を眺めると、何だか恥ずかしい。。

とりあえず、何とかペアの写真を頂戴できたので
良しとしよう。。m(_ _)m


この写真が撮りたかったのです... @17:30



やっぱり綺麗ですね、アカアシくんは。


アカアシクワガタ
Dorcus rubrofemoratus
VOLLENHOVEN, 1865



あちこちを回っているうちに、真っ暗になってしまった。。
山間部では、かすかに雨も落ちてきたので、ぼち×2 引き上げよう。。


いつの間にか、随分遠くまで来ていたようです。。




〜 後記 〜


トータルの走行距離は、454km。。
今回は、県内全域、隣県を渡り歩き ブドウトラカミキリを探してみたが
残念ながら、またしても(今年も...(^ ^ヾ) これといった手がかりを得る事ができなかった。
まぁ、本種については いつか採れれば良いと思っているので
今後とも、時間をかけて じっくり探索を楽しんで行きたい。

今シーズン、念願だった何種類かのムシを採って 現在に至り...
私には、どうしても採りたい!と切に想うターゲットが存在しなくなってきた。
生意気に聞こえるかもしれないが、これは 本心である。
これまでの実績が、充分なものとは決して思っていない。
また腕を上げたいとか、名声を得たいとか... そんな つまらない欲など全くない。

ただ今は、単純にムシを採り、それにより故郷の自然を見つめることが好きだ。

水戸昆虫研究会発行 「るりぼし 13 (茨城県のカミキリムシ)」の著者、沼田 稔 さんは
つくづく凄いと思う。
1989年の発刊時、掲載されていたカミキリムシ 210種類の内の 165種類を
調査、確認された ご尽力も去ることながら
辺鄙なエリアにも、積極的に足を運ばれていた跡がある。
おそらく、分布調査の重要性を理解されていたのだろう。

だから私は、そんな足跡を辿ってみたい。
そして当時未調査だったエリアへは何度でも通わねばならない。

やはり最後まで、やれるだけの事は、やっておかなければ。。
いずれにせよ、あと少しなのだから。。


〜 主な確認種 (持ち帰り)

●フトカミキリ亜科
 カノコサビカミキリ 1ex





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