採集履歴

“2007年 クワガタ @小型種” 編 (2)



07.12.20
(Thu) Mt 「コルリを求めて... その2」 
                                                                                                  

一年を〆括る前に、どうしても もう一度ムシが採りたくなった。

そこで、まず最初にターゲットとして思い浮かんだのは
先日♂を採集したばかりのコルリクワガタである。
県内では難関種と謳われている本種だが
できれば、その♀を得て ペアにしておきたい。

既知産地における採集の試みが
分布域を辿るための進展には繋がらないことぐらい
充分に承知の上で、あえて出かけよう。

連日、地元の研究会誌 “るりぼし” のバックナンバーを読みあさっているうちに
平日の最中にもかかわらず、俄然やる気が湧いてしまった。。(^ ^ヾ

そんな訳で、今回は “師走編” を一時中断し
気合を入れて「採りに行きたい」と思う。


〜 出発 〜


3時間程の睡眠をとって、1:50 に起き出した。
さすがに眠いが、この季節は採集可能時間がとても短いので
その確保のためにと思えば、まぁ仕方がない。

とりあえず、洗濯機を回しながら ノルマの朝トレを1時間ばかりこなし
カップラーメンと水戸納豆をすすって、午前 3:40に家を出た。


行ってきます...@3:55



長い市街地を抜け、やがて田舎道へ。。

何となく、いつも楽しく拝見させてもらっている某サイトの日記を思い浮かべながら
遠い山を目指した。


少しずつ、夜が明けてきました...@6:43




〜 コルリ採集 〜


午前 7:35... 約4時間の運転の末に、ようやく目的地へ到着した。

山間部故に当然零下であり 非常に寒い。。

ただ、雪が積もっていない分 まだマシである。

どうやら、今のところは暖冬が続いているらしい。。

噂によれば、これから恐ろしく寒くなるそうなので
このタイミングでやって来られたことは、ラッキーだったのかもしれない。。


零下でありながら、冬枯れの
荒涼たる光景はなく...
穏やかな空気が漂っていました。



標高を気にする必要は 特になさそうなので、今回は ぐい×2 と 谷間を降りていった。

当然ながら、陽当たりは悪くなり 湿度も増して より ひんやりとしてくる。

ただ、コルリはいそうだ。

少々離れた所で 1♂の実績があることは確かだが
ここ数回に渡る、沢歩きの経験を踏まえた上で 一層 その様に感じる。


では、セオリー通りにコルリ材を探してみよう。

(・)マークが付いた腕周りぐらいの細材...
なおかつ、湿度を保ち ある程度腐朽が進んだ堅めの材は...??

お!?

やや乾燥気味だが、ようやく ピンと来る材を発見!


条件が揃ったコルリ材を見つけるのは
意外に難しいです... @9:16



早速 表面を削ってみると...

ビンゴ!!


チラッと B 面が見えました!



オレンジ色の B面を見た瞬間に... 「あ、こいつはルリじゃないな!」と悟った。。

しかも、本日のお目当てである♀のようである。

ドキ×2 しながら小枝を使って引っ張り出すと、やはり間違いなかった。
明らかに、前胸背板の後角に突起がある。

イエ〜ス!! (>_<)(>_<)(>_<)


コルリクワガタ (原名亜種) ♀
Platycerus acuticollis acuticollis

Y.K
UROSAWA, 1969



またしても、ルリの前にコルリが... あぁ、私は何て運が良いんだろう。。
こんな小さなムシに大興奮である。

前回、1♂の採集後 3時間程の散策の試み
結局 追加個体を得られぬまま タイムアップとなった経緯を思い出した。

しかも... 今回は付近にあった別の材から 更なる 2♀を追加。。
くは〜っ... さすがにもう充分である。。(>_<)

因みに、どういう訳か コルリ材から ルリ改め 「オオルリ」 2♂も出てきた。
うむむ... 本当に濃いエリアである。。(^-^;

せっかくなので、クワガタムシらしく 大顎を強調した一枚を載せておこう。


オオルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus
L
EWIS, 1883



さて、気がつけば 既に 12:00を回っている。
空は随分と明るくなり、あっという間に 4時間以上が経過してしまった。

そして... かなり下の方まで降りてしまった... (^-^;;
マイ・カーのもとへ戻るのは一苦労である。。


今日は、こんなところで遊んでました。。



せっかく朝早くから動いているので、陽があるうちに 別の山へも入っておきたい。。
そんな想い一心で 辿ってきた沢筋に沿って引き返し始めた。


渓流が少しずつ凍り始めていました。



その途中で、ふと斜面上を見上げると、コケまみれになった よさ気な倒木がなだれ落ちていた。
(ずっと下ばかりを見てきたので、全く気がつかなかった。。)

これを無視してやり過ごす訳にはいかず
サクッと、3〜4分のチェックを入れてみる。。

すると... あるムシがポロッと転がりで出てきた。

ほぅ! もしかすると、これは良いお土産に化けるかもしれない。。

今後に繋がる、ちょっとした発見である。

それをケースにしまいこみ、引き続き せっせと傾斜を這い上がった。。


正直 しんどい... (^ ^;; ですが
いつかまた 来られればと思います。。



上方を見ながら暫し登り続けていると、次第に空が真っ青になり
徐々に現れた ブナやミズナラの大木が、美しく映え出した。

いやぁ... 今回の眺めも素晴らしかった。。


とても小さく 無力な自分が
大自然に包まれて、安堵を
覚える瞬間です。。




〜 チグハグな午後の部 〜


13:20... マイ・カーのところへ辿り着いた途端に
どっと疲れが出てきた。

午前の部に相当夢中だった証だろう。

ホント、楽しかった。。(^ ^ヾ

おっと、そんな余韻に浸っている暇はない。
タイムアップまで、せいぜいあと 3〜4時間程度である。。

さぁ、次はどこへ行こう??


見晴らしの良い尾根に乗って一枚。。



本日一番の目的を達成し、その後のことは あまり考えてなかったが
近場に 1つ、やや離れた場所に 2つ、計 3つの候補地がすぐに思い浮かんだ。

運転しながら考えた結果...
制限時間を有効に使うため、近場の山登りを選択した。

体力的に少々キツかろうが、そこでコルリ探しの延長戦に入ってみたくなったのだ。

が。。(^ ^;;

やっとの思いで荒れ果てた林道をクリアし、いつもの小スペースに駐車しようと思ったところ...
大量に積み上げられた材木と ショベルカーが 「ドカン!」 と構えており、行く手を阻んだ。。

なおかつ、あろうことか 突然空が真っ暗になり 激しい雨が襲来。。

むむぅ... これでは どうしようもない。。

「今日はやめておけ!」 という 天のお告げと感じ、仕方なく 「近場」は諦めることにした。

非常に残念だが、可能なら 年内にまた来よう。。


これによって 約 30分のタイムロス。。

それでも、「やや離れた場所」を目指し歩を進めた。。


とある高原を目指すと...
雨が上がりました。。



残された選択肢は、あと 2つ。。

今回は、一度降雪があれば 春まで封鎖が続く林道を辿り
コルリ以外の全ての小型種を確認している とある山行きを優先することにした。

果たして、まだ 間に合うだろうか??

で、実際にその林道の入口まで行ってみると...

ガ〜〜ン。。(○
○;;

路面凍結を理由に、早くも封鎖されていた。。(T^T) (T^T) (T^T)

しかし、バリケードを動かして こっそりと (ちゃっかりと?) 潜入。。(^ ^ヾ

そして、わずか 1時間程の散策により
古いオオルリの産卵マークを幾つか確認したところで あえなくタイムアップとなった。。


こちらは、薄っすらと雪がかかってました... @15:45 古いマークで精一杯でした... (^ ^ヾ



しかし... 何ともチグハグな午後の展開であった。。(^ ^;;



〜 先輩の家に 〜


帰りがけに、水戸昆の大先輩である 渡邊さんの御宅へ
ちょっとだけ寄らせていただいた。

るりぼしの最新号や、カミキリ特集号の件は勿論
阿武隈山系や月の頭に行われた忘年会についてなど
短時間ながら、内容ある お話が沢山できた。


 突然の訪問となり、色々と ご迷惑をおかけしましたが
 大変 親切にしていただき 感謝しております。
 ありがとうございました。。m(_ _)m

 PS: クワガタ @小型種 の採集も頑張ります!


なお今回は、山で得たお土産と引き換えに、こんな(↓)宿題をゲッツ☆
るどるふ先輩からも御協力を賜った結果
答えは「セミスジニセリンゴカミキリ」となりました。


宿題を授かりました... m(_ _)m
良いムシが、沢山いますねぇ...(◎。◎;;




〜 後記 〜


20:40 に、実家へ帰宅。。

今回は、年内に押さえておきたかった コルリクワガタの♀を
無事に得ることができ、大変ラッキーだった。

走行距離は 約420km... 幾つもの山を渡り歩き
いささかくたびれはしたが
思い切って “夜中に家を出発し、高所でルリ属を狙う。” といった
とある専門サイト特有の採集スタンスを体験できたので
かなり新鮮に感じた... (^ ^ヾ

また、帰りには水戸昆の大先輩 渡邊さんを訪ね
今後の方針・展開について お話をし 背中を押していただいた。
これにより、何となく 2008年以降の目標が見えてきた気がする。

2007年は、残すところ あと 11日...
“師走編” として、最後の〆括りに もう一度だけフィールドへ出てみたい。。

行く先が 今年一番の拘りを持った山となれば、最高だと思う。。


〜 主な確認種 〜

●クワガタムシ科
 コルリクワガタ 3♀
 オオルリクワガタ 2♂





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