採集履歴

“2007年 師走” 編 (10)



07.12.24
Mon) Mt 「もう一度だけ、行かなくちゃ。。」 
                                                                                                  

カミキリムシとの出逢いを求め
フィールド調査に最も時間を費やした 2007年の
〆括りの日を、クリスマス・イブに迎えました。

これを機に、シーズン中 一番の拘りを持っていた
山へ登っておこうと思います。

もう一度だけ、挨拶をしに 行っておかねばなりません。。


〜 出発 〜


連日、シト×2 と 冷たい雨が降り続きましたが
ようやく はっきりとした晴れ間が見えました。

今回は、特に “採ろう!” とする気持ちが優先していないので
ゆっくりと、10:30 に家を出ました。


最後ですよ、よろしゅう... m(_ _)m @自宅庭




〜 山登り 〜


家を出てから、約2時間30分をかけ
雨水により ぐちゃ×2 になった 長〜〜い 林業道へ入りました。

ぬかるみや、陥没した箇所には、何枚もの鉄板が敷いてあります。

しかし、やがては それもなくなり...
大きな砂利で車体を擦りながら、低速15〜20km/h で前進しました。。


植林地の中を越えて...



暫くすると、手頃な待避所を見つけたので そこに車を置き
無難に、徒歩で歩き始めました。

ユンボか何かで切り開いたと思われる、細く暗い作業道を辿り
遂に、広葉樹林の中へ入りました。


美しい、広葉樹林の中へ...



先日のコルリ採集で味わった 心地良い余韻が残っていたため
沢筋を見ると、つい周辺の落ち枝をチェックしてしまいます。

しかし、ここではオオルリのマークしか見つけられませんでした。


オオルリクワガタの産卵マーク @13:40



記念に、一頭だけ割り出しておきました。
急に雲がかかって来たため、暗くて うまくピントが合いません。。


オオルリクワガタ
Platycerus delicatulus delicatulus
L
EWIS, 1883



この山の広葉樹林内には、3つの谷筋があり...
いずれ それが一つの川になって、下方へ流れて行きます。。

今回は、まだ経験がない 2つの谷筋のうち、1つを辿って
一気に標高を上げることにしました。


真ん中の2本は、巨大なケヤキでした... @14:02



再び明るくなってきました。
ゴツ×2 とした岩場の上には、倒木が何本も転がっています。。


岩場の上に敷き詰められた落ち葉を踏んで
ただ×2 上を目指します。。



とう×2 尾根線が見えました。
辿ってきた谷筋は、突然立ちはだかった 前方の急斜面上へ伸びています。

しかし、山頂は左手にあるはずなので
ここからは左側の斜面を這い上がることにしました。

樹齢を重ねたイヌブナが、ダイナミックに なだれ落ちています。。

シーズン中は、ここにも沢山のカミキリムシが産卵に訪れていたことでしょう。


ここからが 踏ん張りどころです...@14:40



選択した斜面は、想像以上に急でした。
なおかつ、地滑りしやすいので
足場を固めながら 慎重に登って行きました。。

また、新たなイヌブナがなだれ落ちています。

だん×2 息が切れ、疲労で足元が震えてきました。。

私は落ちる訳にはいきません。


良い材が、沢山倒れています。
こんなところを自由に行き来できれば
なんと楽しいことでしょう。。



傾斜が幾分緩くなりました。
さぁ、もう少しです。。

それにしても、またも樹齢を重ねたイヌブナが倒れていました。

ここまで来ると、少々無残にも感じます。。

ただ、写真では伝わりにくいですが、モノ凄い迫力でした。


イヌブナの倒木 @3本目



随分劣化したイヌブナは、赤枯れていました。
素手で簡単に崩れる程 柔らかいです。

隙間には、トウホククロナガオサムシが入り込んで越冬中でした。

いたって普通種ですが、ありがたく 頂いておきましょう。。


トウホククロナガオサムシ
Leptocarabus arboreus parexilis
NAKANE, 1960




〜 成就 〜


遂に尾根に乗りました。
これで ホッと一安心... あとはヤブ漕ぎだけです。

ふと見ると...

あぁ、こんな生え方をしていたイヌブナもあったんですね。。

反対側の谷間へ腕を伸ばし続け、やがて絶えてしまったようです。。


それから、チラホラと モミの若木も見られるようになりました。


自重に耐えられなくなったのでしょう... @15:05



遠くに目をやれば、西陽を受けたてっぺんが見えました。
樹々の枝に阻まれて、見通しはよくありませんでしたが
つい心が動かされます。

やっぱり雄大だなぁ。。

登山中、色々なムシを思い浮かべながら
あそこにはいたけれど、こちら側にはいないんだろうな...
と、悟る度に 格の違いを感じました。



左手の巨大ブナが、小さく見えます... @15:10



そして、遂に頂上へ辿り着きました。。

これにより、麓と結ばれた 6つのラインのうち
5つをクリアしたつもりです。。

今年は、ここへやって来られて、本当に良かったです。
しみじみと感じます。

これで全てが終了... 想いが成就しました。

時刻は、15:20... 少々早いですが
陽も短いし、用心して参りましょう。。


夏の終わりに出逢ったブナと 再会しながら... @15:31



最後に 残り 1つの谷筋を下って 2007年の幕を降ろしたいと思います。
こんなものを、記念に頂戴しながら。。


凍結、融解を繰り返し、土の様に ぐちゃ×2 になった
赤枯れ材の中に、こんなものが紛れていました。。
そう、あの時には きっと生きてましたよね。。




〜 後記 〜


これにて、2007年の “みちくさ” が無事に終了しました。
最後に、少しだけ これまでの経緯を整理しておきたいと思います。

振り返れば、本格的な カミキリムシの採集に着手し始め
早くも3年半の歳月が流れました。
その間の採集数は、通算 148種類。。
特に茨城県内での記録についてみれば
一昨年までに87種類、昨年は26種類、今年は30種類...
合計143種類と出逢えた事になります。

備忘録として2007年の結果をあげておけばこんな感じです...。

  ミヤマルリハナ(114)・フチグロヤツボシ(115)・トガリバアカネトラ(116)・セミスジニセリンゴ(117)
キベリクロヒメハナ(118)・ホソヒゲケブカ(119)・ニセシラホシ(120)・ヒトオビチビ(121)
ピックニセハムシハナ(122)・シロオビゴマフ(123)・ミヤマドウボソ(124)・オオヒメハナ(125)
チビハナ(126)・チャボハナ(127)・マツシタトラ(128)・ヒメリンゴ(129)・ソボリンゴ(130)
ヌバタマハナ(131)・オニグルミノキモン(132)・フタスジハナ(133)・ミヤマクロハナ(134)
ヒゲジロハナ(135)・オオホソコバネ(136)・ジャコウホソハナ(137)・スネケブカヒロコバネ(138)
イボタサビ(139)・アカジマトラ(140)・クスベニ(141)・オオヨツスジハナ(142)・ホウノキトゲバ(143)・・

(全て茨城県)

今年は、水戸昆虫研究会の先輩方から 良きアドバイスを賜り
アカジマトラ、スネケブカヒロコバネ、ソボリンゴ、といった県内では稀な種類を含め
昨年を上回る記録数が加算されました。
積極的な材採集、捕虫網の改良なども、この様な結果に繋がった要因と言えます。

また、分布調査へ重きをおいたことにより、既採集種ではあっても
R地区を始め、多くの新産地から記録を追加することができました。
個人的な初採集記録も嬉しいですが、こちらの結果にも大きな意義を感じています。

その他、シーズン中 最も拘りを持った山における念願の「灯火採集」を達成したり
渡辺さんら水戸昆の先輩方、るどるふ先輩との採集会など、想い出に残るイベントも盛り沢山でした。

そして後半〜現在は、未登の山に脚を運び続けることで 新たなフィールドへの可能性を模索しつつ
再び、クワガタムシ@小型種 への感心を高めています。

今後は、カミキリムシだけに拘らず 他多くのムシとの出逢いも大切にしたいです。。

引き続き、生まれ故郷 およびそれに繋がる フィールドを
より一層 マイペースで駆け巡りたいと思います。。

1年間、本当に お世話になりました。
来年も、どうぞ よろしくお願い致します... m(_ _)m




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