採集履歴

“2008年 R地区調査” 編 (18)



08.01.14
Mon) Plain 「作業の合間にプチ採集... その3。」 
                                                                                                  

この連休中は、溜め込んでいた甲虫類の記録を整理する傍ら
図鑑とのにらめっこを繰り返している。。

その分量の多さと、種の見極めの難しさには いささかの疲れを感じ始めているが
シーズン中に 意外なムシとの出逢いがあった事を思い知らされると
つい、ホッとしてしまう。。

マメに拾っておいて正解だったなぁ... と。。(^ ^ヾ

そんな折、大作 「茨城県産甲虫リスト」 を纏められた大先輩から
まだ同定できていないムシの中に
県内初記録となる甲虫が何種類か含まれていることをお知らせ頂いた。

これについては、本当に感激しています。 ありがとうございました... m(_ _)m

私の仕事は、せっせと県内のムシを回収すること。。
それが、少しでも茨城県における甲虫相の解明に繋がるのであれば
喜びも、ひとしおである。

目指せ甲虫3000種類!ということで、今日も寸暇を惜しんで行ってきます。。(^ ^ヾ

ターゲットは、引き続き ゴミムシ類である。


〜 正味30分で 〜


今回は、2年前(06.01.29)にも脚を運んでいる
谷津田の周辺をチェックしてみよう。

過去の記憶が定かなら、現地には 「陽当たり・湿気・土の硬さ」 などの条件に恵まれた
小さな崖があったはずである。。

あそこなら、きっと何かしら採れそうだ。

実家から 徒歩で15分程の身近なエリアなので、車に乗る必要はない♪


玄関先から、歩いてスタート。。
右側が、私の実家です... (^ ^ヾ



裏道を抜けると、広大な畑地に出た。

小学生の頃、凧揚げをして遊んでいた場所は
今もなお、変わらぬ様子である。

懐かしいなぁ。。(^ ^ヾ

やや雲がかかっているが、空はとても明るく 気持ちが良い。
ポカ×2 とした、暖かい陽気だ。


正面に見える、緑屋根の奥に
私が通っていた小学校があります。。



やがて、目的地が見えてきた。


南側の斜面に陽が射し込んでいます。



因みに、里山の正面に構える神社の樹叢は、市の天然記念物に指定されている。
まぁ、こんなのっぺりとした平坦地にも 守られるべき自然が、かろうじて残されているということだ。


スダジイ、タブノキなどの
常緑広葉樹がメインです。。



おお、ここだ×2!

高さ 90cm 程の小規模な崖だが、南側に面して陽当たりが良く
里山と水田の際にあるので、おそらく湿気の方もバッチリだろう。

まさにイメージ通りである。


写真の右下になります。



凝縮された砂質層を崩せば、この(↓)通り!
表面は乾燥しているが、内部にはしっかりと水分を含んでいるようだ。


ムシが越冬するためのシェルターとしては
申し分のない シチュエーションでしょう。。



で、地層の表面に小さな穴が開いている箇所を崩してみると。。


あっさりと、本日の第一号が出ました!



やった!
幸先良く未採集種をゲットである♪


図鑑検索をした結果、ヤマトトックリゴミムシであることが判った。
体長 10mm 程度の小さなゴミムシだが
この独特な顔つきや体つきに、何となく愛着が湧いてくる。。(^ ^ヾ


ヤマトトックリゴミムシ
Lachnocrepis japonica BATES, 1873



続いて このような大きめの穴を見つけたので
斧を使って大胆に崩してみた。

すると...


何か潜んでいそうな予感がします!



来た〜っ!(>_<) (>_<) (>_<)


予想的中です♪



緑色の光沢が美しい、大型のゴミムシが5頭も飛び出した。

「キベリ」と名が付く、見た目が良く似たゴミムシは他にも何種類かいるが
本種の体長は 20mmを軽く越えている為、オオキベリアオゴミムシと容易に判断できた。


...
オオキベリアオゴミムシ
Epomis nigricans WIEDEMANN ,1821



いいねぇ〜。 色鮮やかな種類は、やはり一味違う。。(^ ^ヾ

それにしてもこのゴミムシ... 蛹になるまでに、アマガエルを 3頭程 吸血してしまうとか。。
どおりで、田んぼの周辺に多いわけだね。。(^-^;;

また、同じシェルターの中には、1頭だけ別のゴミムシも混ざっていた。


プシュ〜!プシュ〜!っと
オナラを連発です。。(^ ^;;
(おかげでお尻が湿ってます!)



こちらは、オオホソクビゴミムシと言って
オサムシ科ではなく 「クビボソゴミムシ科」 に分類される。

( 顔つきも、何だか異質に感じる。...(^-^;; )

敵に襲われれば、お尻から ガスを発射すると言う習性も、存分に見せ付けてくれた...(^-^;


オオホソクビゴミムシ
Brachinus scotomedes REDTENBACHER, 1868



その他にも、ゴモクムシ系を何頭かゲット♪
ただ、同定が非常に難しく、残念ながら掲載には至っていない。。


さて、ここへやってきてから まだ30分も経っていないが
気になっていたポイントのチェックを無事に終えたので
今回は、この辺で。。m(_ _)m

最後に、2年ぶりの訪問となった田んぼの畦道を
一回りしながら家路に着こう。。



ここでは、ハイイロヤハズや、カッコウメダカなどの
各種 カミキリムシも採集しています。
いわゆる普通の谷津田ですが、丹念に観察すれば
色んな生物が棲息しており、奥が深いです。。




畦道の傍には、こんな樹が何本かあり...
いまだに樹液臭が 漂っています。
夏には、多くのムシが群がってくることでしょう。。




もはや荒地と化した休耕田の周囲には
図太いクヌギやコナラの二次林が広がっています。
進入は困難ですが、どんなムシがいるのでしょうか?
緑が少ないR地区では、貴重な里山と言えます。。




〜 後記 〜


今回は、採集時間が正味 30分未満という
かなり手短な内容であった。(^ ^ヾ
その割には、色々と採れて効率が良かったと思う。

この連休中は、あえてゴミムシ類のプチ採集を続けてみたが
故郷、R地区における自然とのふれあいを含め
予想以上に楽しむことができたので、満足している。

たまには、こんなリラックスした展開も良い。

今年は、カミキリムシだけに拘らず、幅広くムシを採っていこう。

ゴミムシ類は同定が難しく、かつては積極的な掲載を避けてきましたが
今後、種名・学名等の記載に関し、明白な誤りにお気づきの方がおりましたら
お手数をおかけいたしますが、ご連絡をいただけると大変助かります。
ご協力のほど、何卒、よろしくお願いいたします... m(_ _)m



〜 主な確認種 (持ち帰り頭数)

●オサムシ科
 オオキベリアオゴミムシ 2exs
 ヤマトトックリゴミムシ 2exs
●クビボソゴミムシ科
 オオホソクビゴミムシ 1ex





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