採集履歴

“2008年 ラスト・スパート” 編 (1)



08.03.29
Sat) Mt 「山へ4時間の材採に」 
                                                                                                  

日が長くなり、気温も随分上がりました。
ようやく、春の兆しが見えてきましたね。
山地の雪解けも、峠を越えたことでしょう。

今回は、昨年から 調査を継続している
最も想い入れが強い山へ登り、材採してこようと思います。

今年こそ、あらゆる調査の 〆括りのシーズンを迎えるつもりです。


〜 春の兆し 〜


数時間かけて、こんな林道へやってきました。

山頂付近へ向かうコースは沢山ありますが
どれを選択しても、簡単には辿り着けません。

まだ×2 先は長いです。

のんびり、気長に行きましょう。


今日は、yasu も一緒です。
いつものように、植林地から 始まります。
@ 12:25



ポカ×2 陽気の中、ふと足元を見ると、フキノトウが チラホラ...
少しずつ、眠っていた生命の力が 開花していきます。。

あと 2〜3週間も経てば、カタクリやイワウチワの花が
地面を美しく彩ることでしょう。。


早くも、ハチが訪花していました。



道中は、こんなところも チェックしました。
今回の “オサ堀り” では、ウスグロモリヒラタゴミムシや
トウホククロナガオサムシなどが、確認されています。


材採に備え、久しぶりに “担いだ” yasu です。



やがて、冷温帯性の広葉樹林に入りました。

冬季の雪は完全になくなり...
沢の流れは、普段より幾分増しているようです。


澄んだ水が、快活に流れていました。




〜 登下山 and 材採 〜


沢沿いを歩けば、どうしてもこんな材に目がいきます。。(^ ^ヾ

そういえば...
近頃、11万円の値がついた新種のルリクワガタ が話題になり
環境行政が非常に慌ただしかったようですが...

売買・譲渡・放虫・産地の記載など、クワガタムシの扱いには
本当に慎重にならなければいけませんね。。

いや、他のムシとて同じこと。。

残念ですが、この私も ネット採集記を通じて
沢山の過ちを犯している(きた)んですよ。。m(_ _)m


左側の材が、ちょっと気になりますねぇ...
持ち帰りましょう!... (^ ^ヾ



その横で、yasu が直径 10mm弱のブナの小枝から
体長が 5mmにも満たない、小さな カミキリムシを見つけました。

どうやら、今回のお目当ての一つだったようです☆


当該地区からの タカオは
1979年5月に善場荘八さんが
採集した個体以来です。



やはりメダカでした。 間違いありません♪


タカオメダカカミキリ
Stenhomalus takaosanus
OHBAYASHI, 1958



続いて、斜面上のブナ・イヌブナに見下ろされながら
サワグルミ、ホオノキ、トチノキ、ケヤキなどの落ち枝を拾っていきました。。

断面に、カミキリムシの食痕が走っているかどうかが チョイスのポイントです。


沢筋の一本を、少しずつ 辿ります。。



思いのままに、フィールドへチェックを入れていきました。


ケヤキの根元で、何をしているのでしょう??



昨年の夏に、ライトをかざして見下ろした谷底から
逆に、当時立っていた稜線を見上げます。


久しぶりです。。



そして、若いブナやモミが生える急斜面を、慎重に登っていきました。
落ちたら、ひとたまりもありません。。

(風邪をひいていたので、さすがに ちょっと息が乱れました... (^ ^;;)


これは 私... マスクをしていると
メガネが曇ります...(笑)。因みに
花粉症ではありません... (^ ^ヾ



ようやく、数ある尾根筋の一つに乗りました。

樹齢を重ねた 大木の根が、か細い稜線の地盤を支えているようです。

足元に散乱していたブナの小枝を折ってみると
すぐに、先程掲載したタカオメダカカミキリの死骸が出てきました。

う〜む... どうやら、この辺は濃そうです。

と言う事で、yasu には追加個体を狙っていただきましょう。


では、お願いします。m(_ _)m



出ました!それも、2頭同時に。。


タカオメダカカミキリ
Stenhomalus takaosanus
OHBAYASHI, 1958



既知産地とは言え、“ここ” での出逢いですから
本当に感慨深いものがあります。
一本の落ち枝から、合計 3頭の成虫と、幼虫が確認できました。
(ヒメクロトラという “おまけ” もついてきました!)


更に、もうひとつのおまけをば...
いっぱいありましたよ〜☆
哺乳類の 糞。。(^ ^;;



ようやく、遠方の山が見え始めました。


随分登ってきたことを、実感します。



辺りには、高齢な樹木が、堂々と構えています。

ここから、頂上はすぐでした。


モミが沢山あります。 ブナも、そびえています。



イヌブナの足元を見れば、カミキリムシの羽脱孔が散見されました。。


当然ですが、いるのでしょうね。。



いったん頂上へ脚を運んだ後も
折り返し、下り斜面を徘徊しながら材採を続けました。


下りは、地盤が安定しており
幾分緩やかな斜面を選びました。



ふと、樹々の隙間から、向かいの山を眺めました。。

山肌を構成する面積の割合は
人工林 > 伐採地 > 自然林... といった所でしょうか。。

現状については、賛否両論 色々あるのでしょうが
それが良しとされた時代があったのですから
これ以上、私には何も言えません。

何より、地域の皆様が自然と共生を図ってきた結果なのですから。。



てっぺんが見えました。。



気がつくと、入山してから、あっという間に 4時間が経過していました。。(^ ^ヾ

手提げ袋の中も、しょっている籠の中も、落ち枝材でいっぱいです。
さ〜て... そろ×2 引き上げましょうか。。

苦楽あり... 相変わらずの、登下山劇でしたが
今回も、充分に心が癒された気がします☆


巨大なブナの根元に立っている、yasu...。
いったい、どれぐらい生きてきたのでしょうか。
@ 17:05




〜 後記 〜


20:00を過ぎた頃、無事に帰宅しました。。

今回は、最も想い入れが強い山の中で
約 4時間の材採をしてきました。

勿論、茨城県における カミキリムシ調査の一環ですが
最終的には、もう少し幅を拡げる準備をしています。

当地区では、これまでにも 様々な甲虫を確認していますので
いつか、然るべき場所へ資料を提出できれば嬉しいです。

山の自然は、壮大で、美しく...
癒しや、厳しさや、時には恐怖を与えてくれます。
それら全てが、“恵み” なのでしょう。
やはり、理屈抜きに 良いものです。


〜 主な確認種 (目撃数)

●カミキリ亜科
 タカオメダカカミキリ


〜 材採結果 (羽脱日時)

●タマムシ科
 コガネナガタマムシ 2exs., 08.04.17-18
●ナガクチキムシ科
 ヨツモンナガクチキ 2exs., 08.04.17-24
 アカモンナガクチキ 1ex., 08.04
●アカハネムシ科
 オニアカハネムシ 1♂1♀, 08.04.17
●ハムシダマシ科
 アオハムシダマシ 1ex., 08.04.26
●ゾウムシ科
 ツツゾウムシ 1ex., 08.05.05
●カミキリムシ科
 タカオメダカカミキリ 6exs., 08.04.10
 ヒメクロトタカミキリ 2exs., 08.04.10
 コジマヒゲナガコバネカミキリ 1ex., 08.04.17
 オダヒゲナガコバネカミキリ 1ex., 08.04.30
 ニンフホソハナカミキリ 1ex., 08.05.08
 フタオビアラゲカミキリ 1ex., 08.05.11

※材採の結果は、随時追記したいと思います。。




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