採集履歴

“2009年 楽しんで見直し” 編 (2)



09.05.16
Sat) Mt 「ラッキーな日」 
                                                                                                  

ドンヨリ... 厚い雲がかかって、ムシを採りに出かけるべき陽気ではありませんでしたが
せっかく時間をあけておいたので、行動に移すことにしました。

今日は、yasu が手伝ってくれるそうです。



移動中、車の中で持参したおにぎり(+鳥唐揚♪)を食べながら...
山入りしたのは 10:30過ぎとなりました。

気温 17℃未満の涼しい空気を吸いながら、BTメインで沢登りを始めます。


サワアジサイを 叩いて行くと... @ 11:04



お!早速手応えあり... これはドウボソかな??
県内では ミヤマドウボソが圧倒的に多く、いわゆる 「ただの」 ドウボソを見かけません。
個人的に、後者なら凄くラッキーです。


ドウボソカミキリ
Pseudocalamobius japonica (BATES,1873)



雨が落ちだし、今日は駄目かな? なんて不安視していたのですが...
自然林内へ達すると、ゴミムシ類にも目が届き始めました。

倒木をひっくり返せば... やった!ベーツナガゴミです。
付近の山 (一連の山塊) からの記録があるので、ここにも存在して然りですね。


ベーツナガゴミムシ
Pterostichus asymmetricus (BATES,1883)



手当たり次第、BTを続けます。
樹上性の、ルリヒラタ、ウスグロモリヒラタ、ミヤマジュウジアトキリなどが次々と落ちます。

ん?? こちらは、見かけない顔ですね。。。

お尻の先端が出ているので、アトキリ系かな??
と思ったのですが、後で調べたところ モリヒラタ系でした。。(^ ^ヾ

この後に落ちた、極小のダイミョウツブゴミムシと共に、嬉しい初採集です。


クビアカモリヒラタゴミムシ
ColpodesLoxocrepisrubriolus BATES,1883



一方、傍では yasu が乙なカミキリムシを落としたようです。
見せてもらうと、真っ黒なキクスイモドキカミキリでした。

関東以北では稀で(勿論本県でも稀)、保存度の高い山地に生息が限定されるため
環境指標としては申し分のない存在となります。

昨年も、やはりこの時期に 葉上で静止する個体を 沢筋 3 から得ています。


キクスイモドキカミキリ
Asaperda rufipes BATES, 1873



いいですね♪ だん×2 のってきました。

なおも散策を続けます。


最近、タカオメダカカミキリが集まっていたチドリノキの葉上を見上げていたところ...

ん?? より大型なカミキリムシのシルエットを捉えました。

早速、逆さ ビニール傘を下から広くあてがい、BTすると...

おお!これはいい。

なんと、クリイロシラホシカミキリでした。

全国的に少ない種類で、県内では(森林総研の調査を除けば)
水戸昆の先輩である Zさんと、Sさんのお二人しか採られていません。
このことは、特集号の標本撮影を続けていたときから認識していたので、超ラッキーでした。
何せ、水戸市立博物館にも収蔵されていませんでしたから。。


既知産地における個体ですが、20年以上の健在ぶりを物語る嬉しい一頭となりました。


クリイロシラホシカミキリ
Nanohammus rufescens BATES, 1884



悪天候ながら、珍しく 次々と良い成果が生まれてしまいます。
今日は... 山の恵みに、おんぶに抱っこ... ってな感じですね。。(^ ^ヾ

さて、更に沢を登りましょう。。

選択したのは、地盤が緩く、少々勾配の険しい 2番目の沢筋ですが
何とかサルナシが群生しているエリアまでは、行ってみたいと思います。。

で、暫し時間をかけて、目指す現場へ辿り着こうとしていた時でした。

yasuが、上方から垂れ下がっている太目のサルナシをBTすると...


部分枯れしているサルナシ... @ 12:03



わぁ!なんと、ムネモンヤツボシまで落ちてきちゃいました。


ムネモンヤツボシカミキリ
Saperda tetrastigma (BATES, 1879)



従来県内では、海側の山地から 2例が記録されていたのみでしたが
昨年、水戸昆のNawatani さんにより 28年ぶりに 別の山からの記録がもたらされた種類です。
そして、今回は更に新たな産地からの確認となりました。

黄色の地に、黒の斑紋が鮮やかですね。
各地で採集された方が、ブログ等で何枚も写真を掲載している人気種のようです。
勿論、フィールドで生体を見たのは これが初めてでした。

ということで、これまたラッキーです☆

う〜〜ん... もうお腹がいっぱいです。。m(_ _)m

今回は、充分すぎる成果が得られたので 稜線付近の散策は控えておきましょうか。。(^ ^ヾ


上方から、ブナがなだれ落ちてます...
@ 12:27



斜面上に倒れているイヌブナの倒木を軽くチェックして、終了とします。


気がつけば、雨があがっていました。
この陽だまりも、なか×2 いいですよ... @ 12:36



まだ時期早々で、ムシの顔は少なかったですが
追々、ここも気にかけていくべきでしょうね。。


上から撮られていました... (^ ^ヾ



とりあえず、セアカナガクチキを一頭拾えたので、素直に折り返します。


今回 辿ってきた 2番目の沢筋を
斜面上から振り返りました。。



たまには早く帰って、身体を休めないといけませんね... (^ ^ヾ



〜 後記 〜


17:00前には、無事に帰宅しました。。

今回は、あれよ×2 という間に、県内では なか×2 お目にかかれない
カミキリムシ数種類と出逢えました。
これまでの経緯から考えると、特に感動的な印象までは持ちえませんでしたが... (^ ^;;
何十日も通っていれば、こういったラッキーな日もあっていいってことですかね。。

自論ですけど... ムシ採りは、上手い下手ではなく 運だと思います。
楽して採れてしまうこともあれば、苦労しても採れないことはあります。
天候等にも左右されるでしょう。。
事前準備としてできることは、何回も現地へ脚を運んで、ホストの濃度が高いスポットを知り
せめて、そんな可能性ある空間に身を置く機会を なるべく増やすぐらいのものでしょうか。。

クリイロシラホシには、たま×2 出逢えました。。
サルナシが密生している場所を知ったのは、2007年12月24日のことです。
当時はそれらがサルナシであることさえ知りませんでした... (^ ^ヾ

とりあえず、結果オーライです。m(_ _)m


〜 主な確認種

●オサムシ科 Carabidae - -
 ダイミョウツブゴミムシ
 クビアカモリヒラタゴミムシ
 ベーツナガゴミムシ
●ナガクチキムシ科 Melandryidae
 モモキホソナガクチキ
 セアカナガクチキ
●カミキリムシ科 Cerambycidae
 ドウボソカミキリ
 キクスイモドキカミキリ
 クリイロシラホシカミキリ
 ムネモンヤツボシカミキリ
●ゾウムシ科 Curculionidae
 ジュウジコブサルゾウムシ





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