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“2009年 楽しんで見直し” 編 (6)



09.07.19
Sun) Mt 「入りました」 
                                                                                                  

とある事情があって、昨晩は AM 3:00 - 5:30 の中途半端な睡眠時間しかとれませんでした... (^ ^;;
まぁ相変わらずのすべり出しですが、眠い目をこすりながら ノルマのトレをこなし
先日、「目覚ましテレビ@フジ」 で 耳にした “ 朝カレー ” を食べて、気合を入れました。。(^ ^ヾ
(多くの方が イチロー選手の真似をしているそうですよ。これを食べると調子が出るみたいです。)

繰り返しになりますが、この7月は 時間が許す限り動かねばなりません。。
待ちわびた “ スイッチが入るタイミング ” を、見逃したくはないのです。
そろ×2 眠気も吹っ飛ぶほどに 全神経が覚醒してしまうかもしれませんね!

今回は、立枯れへ産卵に訪れる甲虫を見て廻ろうと思います。



7:05に yasu 号車で出発し、9:20に とある土場へ到着しました。。
必要な道具を身にまとい、沢登りから改めてスタートです。

自宅を出た当初は非常に雲行きが怪しかったのですが...
ここへきた途端、みる×2 うちに、青空が広がりました。
そして、気温が ぐん×2 上がっていきます。
じわ×2 蒸してくるけれど、それが心地よいんです♪

これはチャンスですよ!


何か、良いことが起こる
かもしれません... @ 09:20



移動中に、ふと見かけた 足元の彩りを一枚。。
昨年、同じエリア内で ソバナの花を見たのは 8月20日のことでした。
単純に、丸 1ヶ月もズレています。。
春先から感じていることですが、今年は 季節の移ろいが早過ぎますね。。


ソバナの お花です。



サワアジサイの花上は、完全に ヨツ・モードでした。
随分増えてきましたねぇ... もう、そんな時期です。
夏を見逃さないよう、気をつけなければ。。

さぁ、いよ×2 天然林へ入ります。


ヨツスジハナカミキリ
Leptura ochraceofasciata ochraceofasciata

(MOTSCHULSKY, 1861



どれぐらいの時間が かかったでしょうか...
無数のアブがまとわりつく、蒸し風呂のような林内の沢を登り切り
急な斜面を這い上がって稜線に出ました。
無事に 難関クリア- といったところです。。

今回は、何としても目指すべき メインのポイントがあるのですが...
焦らずに、要所へは きちんと立ち寄って行きましょう。
これまで ずっと継続してきたことですから。。


まずは、こんなところへ。。

このモミの表面が削り落とされたのは、昨夏のことでした。
おそらく、雷が落ちたのでしょうね。。

まだ生きていますが、やはり徐々に衰弱しているようです。

昨年は、オオクロ、オオヨツなど モミ食いのカミキリムシを見かけていますが...
今年はどうでしょうか??

ぼんやりと想い出にふけりながら近づいてみると...


削りとられた モミです。



ん?? 何やら、クモの様な でっかいムシが、樹幹を這い上がっています。

わぁぁ...!マジですか... ヒゲナガカミキリです。

どうやら、羽脱直後の個体のようです。
下方には、新しすぎる 孔が幾つも開けられていました。



ヒゲナガカミキリ
Monochamus grandis
WATERHOUSE, 1881



正直、かなり嬉しいです。
本種については、冬季に 落ち枝の中から死骸(頭部・前胸)を見つけていました。。
なので、是非とも生体の確認を以って 現在執筆している資料中に
記録を書き加えておきたいと思っていたのです。

本県においては、白昼に見かけることが滅多にできない種ですので
今年もまた “根性のライトトラップ” に挑戦するつもりでした。

う〜ん... あと 1分遅れたら、この出逢いはなかったことでしょう。。
物凄い勢いで這い上がってましたから。。
順当に回り道してよかったです。

ホントに ラッキーでした♪


てっぺんを 目指していました... @ 10:20



さて、お次はこちら... 稜線付近にあるイヌブナの立枯れです。。
高すぎて、枝先までは確認できないのですが...
いつか、ここにネキがやってくるんじゃないかと、ひそかに期待していました。。

県内でも、既知産地ともなれば ある程度 まとまった数が採れているようですけど...
私にとって、ここでのネキは “たかが” ではなく、“されど” な存在なんですよね。。

何せ、自然林の面積... 緯度に対する標高が、絶対的に足りなすぎます。。
いるのは分かっています... が、やはり とても薄いのです。。


イヌブナの立枯れ... @ 11:18



専門家によるお話では、古き時代の地形・河川幅・大陸からの移動経緯を考慮すれば
県南のブナ帯における棲息の可能性は、理論上 かなり厳しいそうです...
しかしながら、その限界が どこまで広がっているのか??
そんな想像をすることも、ある意味 楽しいかもしれません。
興味をそそるテーマではあります。

いずれにせよ、現段階で確認できなければ
今年、ここでは 無理かもしれませんね... そんな予感がします。。

その代わりに... 樹幹に付着するキノコから、面白いゴミムシを得ました。。
キノコゴミムシです。 割と、乙なムシですよ。

私の好きな、アトキリ系でもあります♪
昨夏の夜半、クヌギ林@土砂降りの雨中で Hさんと 追いかけた記憶がありますね。

でも最初は、一見 ミヤマオビオオキノコ かと思いました。。(^ ^ヾ
大きさは勿論のこと、上翅の斑紋が 恐ろしくそっくりなんです。
全く科が違う甲虫なのに。。


キノコゴミムシ
Lioptera erotyloides
BATES, 1883



で... こっちがよく見るその ミヤマオビオオキノコですけど。。
(同じ場所に多数いました。)
偶然なのか、必然なのか... 不思議ですねぇ。。

共通する点は、キノコに集まってくるということ...
それ故に、両者こうなったという理由があるのでしょうか。。。



ミヤマオビオオキノコ
Episcapha gorhami
LEWIS, 1879



黄色と黒の配色は、他の動物に危険を察知させます。
スズメバチなどが よい例ですよね。。
(人間界では踏切とか工事現場のバリケードとか... (^ ^;;)
カミキリムシの場合は、そのハチの擬態だとか良く言われてますが...

各々特徴ある昆虫の姿形・配色は、合理的に 「進化」 したのでしょうか??
それとも、そのような特徴を持つものだけが
繰り返し生き残り、「絞り込まれた」 のでしょうか??

結局は謎を残したまま、淘汰された結果だけが目に映りますね。。


さぁ、引き続き立枯れを見ていきましょう。。
再びモミです。 ただ今度のは、皮が剥がれ落ち やや古めです。

唯一、根際に産卵中のオオヨツがいました。。
材の新旧は問わず、どこにでも 集まるようですが
これぐらいの腐朽度が 最も良いのかもしれません。


オオヨツスジハナカミキリ
Bellamira regalis (BATES, 1884)



そして... 遂にメインです。 冬季から気にしていた立枯れがあるポイントを目指します。。
なおもモミですが、そんな とっておきは、割と新し目で 陽当たりもよい場所にあり
何といっても極太です。


危険な 斜面を伝って
本命を目指します... @ 12:10



かなり しんどいですが、ここまでは来なければなりません。。


今回こそ、スイッチが 入ることを祈りましょう。。



順を追って、まずは足元から...
こちらの根際には、産卵中のオオクロがいました。
県下では少ない種類です。 既採ですし、きっちりと撮影を優先させます。


オオクロカミキリ
Megasemum quadricostulatum
KRAATZ, 1879



そして... 首を痛めながら上方を見つめ続けます。。
はたして 本命は現れるでしょうか。。



・・・ @ 12:41



あぁ... 来ましたね。。


入りました!



ある程度 予想していたこととは言え
実際に目の当たりにすると、どうにもならない緊張感が全身に走りました。
いつの間にか心臓の鼓動が高鳴っています。

震えを抑えながら 慎重に網を伸ばすと...


ああっ!しまった。。


いや、でも 大丈夫そう。。


一度は飛ばれてしまいましたが、幸い すぐ目の前に伸びていた枝先にとまったので
手堅く ガサ×2 と 掬ってみました。

ネットの中を覗き込むと...

良かった... 入りました。。

なんとか無事に 1♀を確保できました。。

回を重ねた ひとつの想いが、これで成就しました。
全く、セオリー通りでした。。



・ ・ ・ ・ ・ 。


スイッチが入れば、あとは流れに身を任せるだけ...
今期、この場にいられたことを、本当に嬉しく思い
無駄な長居は やめにしました。

しかし、帰りの道中...

スッカラカンに乾燥したモミの傍を通りかかると...

ビックリ。。

こんなところへも飛来してきました。
それも、バッタリ目の前にです。。
いささかセオリーから外れますが...
こちらは ありがたく受け取っておくことにしました... m(_ _)m


森の恵みに、感謝しなければいけませんね。。

ホントに... 頼もしい存在ですよ。。



アオタマムシ
Eurythyrea tenuistriata
LEWIS, 1892




〜 後記 〜


17:00に、帰宅しました。。

遂にスイッチが入りました。
同時に、またひとつ あたためてきた想いが成就しました。
2009年に押さえておきたかった 幾つかの目標は
本日を以て 概ね達成されました。。m(_ _)m

とりあえず、ホッとしています。

少なくとも 今シーズンは
重い機材を、山中へ担ぎ込む必要が なくなりそうですね... (^ ^ヾ

またひとつ... よい想い出を、ありがとうございました。。m(_ _)m



〜 主な確認種

●オサムシ科 Carabidae
 ミヤマメダカゴミムシ
 キノコゴミムシ
●タマムシ科 Buprestidae
 アオタマムシ
●カミキリムシ科 Cerambycidae
 オオクロカミキリ
 オオヨツスジハナカミキリ
 ヒゲナガカミキリ





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