採集履歴

“2009年 ちょっと みちくさ” 編 (1)



09.11.13
(Fri) Wetland 「オサ堀り @茨城県民の日」 
                                                                                                  

朝夕の気温が、ぐっと下がりましたね。。
11月ならば、まだ秋と呼ぶのが ふさわしいのでしょうけど
ここ数日で、大分冬の兆しが見え始めています。

今回は、千葉から茨城へ帰省する際に
方々へ寄り道しながら、オサ堀りをしてきました。

対象としたエリアが、茨城県内の あちこちに飛んでしまったので
いつもの 「R地区調査編」 などというような、かたいテーマはあえて掲げません。
(これといった狙いも、ありませんし... (^ ^ヾ)
たまには気分転換に... といった感覚で
難しいことは考えず、遊ぶ機会も 時折つくっていこうかと思います。

ただ歩行虫は、種によって様々な環境に依存しているので
地域の様相を物語ってくれる重要なムシといえますから
故郷の自然に関する認識を更に深めるために
こうした お気楽採集行を通してでも、何かしら気付くことがあれば嬉しいです。



4:10に起床しました。

本日分のトレは、日付が変わる頃に片付けてしまったので
そのまま朝食をとり、出発の準備を整えました。

最終的には実家へ帰るわけですから、衣類やノートPCなど
荷物は普段より多めです... (^ ^ヾ

気温は 5℃... 大分、冷えてきましたね。。

とりあえず、しばらくは北上しました。


通常 2時間以上かけて抜けるルートを
たったの 1時間でクリアしました。。@ 5:51



6:30頃には、明るくなりました。
とはいえ、どんよりとした曇り空...

ラジオから流れてくる予報によれば
関東地方は昼前から雨になるそうです。

因みに bay FM では...
“今日は茨城県民の日で-す!” と盛んに宣伝してましたよ☆


某河川沿いを、適当に流していきます。。
@ 7:05



すべり出しのシチュエーションが茨城南部、つまり平野部ですから
好湿性のオサムシ科を眺めていきましょう。。
同時に、R地区での可能性も模索できそうです。


何だか 殺風景ですけど...
ああいう盛り土もいいのかな??



時には関係のない よそ見をば。。
格好いい トラックやダンプがあると、つい撮影してしまいます... (^ ^ヾ


土佐の闘犬ですね☆



散々走り回った結果、ようやく落ち着けそうな場所へ辿り着きました。。


湿原の傍には林もあります。



住宅街の谷間に入り組んだ湿地帯です。


初めて脚を踏み入れます... @ 7:29



付近には、いい感じの土手も見受けられます。
あぁ... ここは採れそうだなぁ... そんな予感がしました。


まずは、ここから。。



早速、大きな土の塊を ゴロッと落とすと...

おおっ!


キラッと 出ました!@ 7:34



あっさりと アオオサの登場です。


カントウアオオサムシ
Ohomopterus insulicola kantoensis
ISHIKAWA et UJIIE, 2000



正式には、カントウアオオサですね。
夏に調査していたエリアの個体は、キタアオオサといいます。
茨城には、これら 2亜種が棲息しているようです。

いわゆる見た目判断... 図鑑との睨めっこしかできない私には
両者の違いなど全く分からないのですけど... (^ ^ヾ

とりあえず、グリメタが大変綺麗な個体でした☆


分布の概略



ここで、帰り道を急ぐ 若いお兄さん(バードウォッチャー)が
後ろから声をかけてくれました。

“オサムシですか??” と...

そうで-す♪

それにしても、良くご存知で... (^ ^ヾ

このあたり、多いんですか?? と尋ね返すと...


“分野外ですけど、たま〜に探している人は見かけますよ☆”

だそうです。。(^ ^;;

日頃から このエリアを見つめていらっしゃるのですね。。
派手にやらかさないよう、気をつけま-す。m(_ _)m


続いて、そのお兄さんが 先ほどまでウォッチングしていた場所へ...

ヤナギが生い茂る、湿原です。。
小規模ながら、2003年の春頃に ヒラタクワガタを探し始めた
環境にそっくりなため、ふと懐かしさを感じてしまいます。


ヤナギの倒木が転がっています... @ 7:45



カチンコチンの材でしたが、表面に生した苔を ペリッ と剥がしてみると...


ラッキー♪
またも 一発で出ました。



おお、アカガネ。。。

本当に、お久しぶりです... m(_ _)m



アカガネオサムシ
Carabus granulatus telluris BATES, 1882



重厚そうな姿形と 艶のある黒色... やっぱり カッコイイですね☆

そんな本種も、クワガタにしか目がなかった頃は 完全に外道扱いでした。m(_ _)m
青かった自身のことも、懐かしく思い出されます... (^ ^ヾ

ただ、こうしてまだ いるにはいるみたいですけど...
聞くところによると、随分減ってきてるみたいです。

クワガタのみならず、オサムシも流行ってきましたからね... (^ ^;;
材壊しも、相変わらず横行しているようで。。。
分布がやや局所的なイメージもありますし、ちょっと心配です。。

・ ・ ・ ・ ・ 。

な〜んて言ったら、綺麗事になっちゃいますか... (^ ^ヾ

材を削って、概ね現場が分かる写真をHP上に掲載して...
それを一度でもやってしまったら
もはや説得力ないですよ... 必死な自己防衛策にしか映りません... (^ ^ヾ
節度を持って、楽しんでいこうか... 今更言える事は、まぁそれぐらいかな。。

ということで、その後土中から現れた もう一頭も記念に頂戴し
次へ行こうと思います。 m(_ _)m


アカガネオサムシ
Carabus granulatus telluris BATES, 1882



このような湿原は、街中にも ポツリ×2と 残されているようです。。


お邪魔しました... m(_ _)m



さぁ、どん×2 進みましょう。
雨が降ってくる前に、どれぐらい楽しめるか。。。
それも今回の重要なテーマとなりそうです。



地の利を活かして、裏道を急ぎます... @ 8:37



国道に出て、雨雲から逃げるように 北上中。。。


何気に、母の勤務地付近です... @ 9:15



途中、某溜池の傍で昼食をとりながら
約 2時間が経過しました。。


遂に県北へ... @ 10:24



何ヶ所かまわっているうちに、こんなところへも寄りました。
随分昔、やはりクワガタを探しにきていた 林の裏手にある沼(池?)です。

道路際の樹液やけした ボコ×2 クヌギは、いまだ健在でした。。
(因みにここは当時、ミヤップはいませんでしたが、ス〜ジ〜なら届くエリアでした。)



緑のバスクリンが、くちゃいです... (^ ^;;
@ 11:06



良い具合に、小さな崖が見えています。。


粘土層の上を叩いてみましょう。。



早速、ヒメマイマイが 1頭 こぼれ落ちました。

しかしながら、その他 ゴミムシ類が一切続きません。
ここは駄目みたい。。。(^ ^;;



ヒメマイマイカブリ
Damaster blaptoides oxuroides SCHAUM,1862



バス釣りにやってきた福島県の兄ちゃんに、釣れますか??と尋ねると...

“ここは環境が悪くなっちゃったから、今は あんまり釣れませんね〜”

とのこと。。何を以って環境が悪くなったと言えるのかは分かりませんが
その話を伺って、ここは早々に見切りをつけることにしました... (^ ^ヾ


幾分離れて、谷津田の周辺に見えた切り通しの前へ歩み寄ります。
背景には、コナラを主とした 2次林が広がっていました。
このようなシチュエーションは、R地区でも良く見られますね。



高さ 90cm ほどの土手です... @ 11:42



ということで、登場する役者も ほぼ共通します。。
ただこの辺のエサキオサは ツクバクロオサという事になりますけど。。

ホント... 見た目は変わらないんですけどね... (^ ^;;
交尾器とか、その辺の違いを見極めるレベルにも
私はついていけてません... (^ ^ヾ


ツクバクロオサムシ
Carabus albrechti tsukubanus TAKAMI et ISHIKAWA, 1997


分布の概略



クロナガオサムシも良く落ちます。


クロナガオサムシ
Leptocarabus procerulus (CHAUDOIR, 1862)



やった!濃いグリメタ系は、まだ持ってませんでした。
ささやかな喜びです。



ツクバクロオサムシ
Carabus albrechti tsukubanus TAKAMI et ISHIKAWA, 1997



昼過ぎからは、先日 小美玉生物の会の皆様から伺った
セアカオサムシを探してみようと思いましたが...
やはり、そんな簡単に行くものではありませんでした... (^ ^ヾ

水戸昆虫研究会の先輩でもある yana さんが、新産地から見つけておられることを知り
実は、かなり刺激を受けていたのですよ☆

 yana さんが力を入れていらっしゃるのは 水棲昆虫ですけど。。
 これまでに、分野を問わず素晴らしい実績の数々を残されています。
 また、わが故郷に注がれる情熱の強さについても見習うべきことが多いです。
 数年前には、私のような クワガタにしか興味がなかった ド素人のおっさんにも
 ご親切に沢山のことを教えてくれました。。m(_ _)m
 水戸昆への入会を初めに勧めてくださった方でもあります。
 おそらく、現在も熱心に研究活動を続けていらっしゃることでしょう。。

私も、なりゆきで構いませんので
いつか美しいセアカに出逢えたら嬉しいです☆

ということで、最後はこんなところを見つめて終わりました。。


あの真ん中あたりに、行く方法はないものでしょうか...
@ 13:29



ようやく鉾田市へ到着です。

いつの間にか、相当な距離を走ってしまいました... (^ ^;;
もはや、帰宅途中の寄り道などとは言えませんね... (^ ^ヾ



次回の準備をしてから
帰ります☆... @ 16:14




〜 後記 〜


16:40 に、帰宅しました。

今回は、久しぶりに南部のアカガネオサや
中〜北部のツクバクロオサなどを見てきました。

最後まで雨に降られぬまま、
懐かしい記憶も甦り
有意義な気分転換ができました。

基本的に、湿原の周りを巡ってきましたが...
太平洋、涸沼、霞ヶ浦、北浦、利根川に囲まれたR地区には
平地性・好湿性の歩行虫が、果たして どれぐらい棲息しているのでしょう??

そんなマイ・フィールドでの可能性も模索しながら、一日を終えました。

う〜む... いくら水源が豊富とは言っても
このあたりでは、成虫が越冬するための太い樹が少ないし
何より、めちゃくちゃ農薬を使ってそうだからなぁ... (^ ^;;

そんな状況のもと、わが故郷 R地区では
現在までに 60種類ほどの歩行虫を確認しています。
コツ×2 とデータを蓄積中です。。



〜 主な確認種

●オサムシ科 Carabidae
 カントウアオオサムシ
 ツクバクロオサムシ
 クロナガオサムシ
 アカガネオサムシ
 ヒメマイマイカブリ


カントウアオオサムシ
Ohomopterus insulicola kantoensis
ISHIKAWA et UJIIE, 2000
アカガネオサムシ
Carabus granulatus telluris
B
ATES, 1882
アカガネオサムシ
Carabus granulatus telluris
BATES, 1882
ツクバクロオサムシ
Carabus albrechti tsukubanus
TAKAMI et ISHIKAWA, 1997
クロナガオサムシ
Leptocarabus procerulus
(CHAUDOIR, 1862)
ヒメマイマイカブリ
Damaster blaptoides oxuroides
SCHAUM,1862





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