調査履歴

“2010年 悔い、なきように” 編 (6)



10.06.18
(Fri) Mt 「カミキリムシの日」 
                                                                                                  

重要な 6月です。 コンスタントに調査へ出ています。
実は前回 ( ここでは綴ってませんが... 10.06.11 のこと )
かなり高所にある、ホウノキの葉の裏側から
葉の上に載っている グリメタ@♀のシルエットを確認しました。

捕虫網を持っていなかったので
残念ながらスルーしましたけど... 間違いないと思います。
今回は手堅く確認しておきたいところです。



“ 18 ” と一緒に、今日も行って参ります。


実家の庭から... @ 5:35



10分ほど走ると... 前方に、同じく エースナンバーが


何だか 嬉しいです... (^ ^ヾ @ 5:46



曇り空ですけど、日中は晴れ間も見えるようですよ。


軽快に飛ばします... @ 6:01



さて、家を出てから 約 3時間が経過しました。。

現場入りです。


青空が見えました!... @ 8:18



ふと... スギの林床を流れる沢筋上に、オレンジ色のムシがフワリ。。
そして、サワアジサイの葉上に降りました。

やはり、モモグロです。
この時期になると、運が良ければ出逢えます。

私は4年間、毎週のようにここへ通い 3頭ほど見かけています。

他へ行けば、ある程度は いるみたいですけどね... 好きな種類の一つです。


モモグロハナカミキリ
Toxotinus reinii (HEYDEN, 1879)



自然林へ突入し、チドリノキの枝葉を SW すれば、樹上性のゴミムシが入ります。
茨城県においては、本種は山地で見られます。


ミヤマジュウジアトキリゴミムシ
Lebia sylvarum
BATES, 1883



そして、例のホウノキです。。
自重に耐えられなくなったのか、半分だけ身を捨ててしまったので
てっぺんが、手の届く範囲に変わりました。


あそこに見える... @ 8:43



この斜面は地盤が緩く、見た目以上に急勾配です。。


あの上の...



けっこう必死で這い上がります


やはり反対側かな... @ 8:59



カミキリムシが集約する、樹木の上端部を見つめます。

前回は、あの葉の裏側から ♀のシルエットだけを見かけました。



その先で... @ 9:04



分かりにくいですが、葉脈に沿って食痕が走っています。


待っていてくれることは... @ 9:05



今回はしっかりと捕虫網持参... 早速掬ってみると。。。


分かっておりましたから... @ 9:10



やはり、グリメタでした!

とても嬉しいです

既採ですけど、ここの住人が 私はとりわけ好きなのですよ... (^ ^ヾ


フチグロヤツボシカミキリ
Pareutetrapha eximia (BATES, 1884)



目的の一つが無事に達成されましたし...
先を急ぎましょう。

仕掛けている衝突式 T をチェックして回るため
引き続き、斜面を上がります。


とても いい洞です。
この様なブナが 2本だけあります。。@ 9:24



沢筋間の稜線に取り付きました。


細い稜線をしっかりと握る、モミの列... @ 9:25



1時間ほど 徘徊して... なだらかな尾根@本線に辿り着きました。。

ん?? 何でしょうか。。
直径 25cm ぐらいのモミの樹幹に、見慣れぬコブが見えます。


お!... @ 10:38



2年ぶりとなる 乙なムシとの再会です。 どうやら ♀のようですね。
こちらも、運がよければ 6月の限られた時期に見ることができます。



クチキクシヒゲムシ
Sandalus segnis
LEWIS, 1887



衝突式 Tにも、一回り小さい♂が一頭認められました。
以前にも書きましたが、まだ×2 分からないことが多い謎なムシなんですよ。



続いて、何度も尻餅をつきながら 別の沢筋へ降りていきます。


谷底へ倒れこむ 巨木です... @ 11:10



湿度が高いので、様々なキノコが見られます。



こんなところでは... @ 11:18



それを食する、ハネカクシも良く見つかりますね。


ハスオビオオキバハネカクシ
Oxyporus triangulum
SHARP, 1889



たまには、トンボも。。

おそらく、[ ヒメクロサナエ Lanthus fujiacus (FRASER, 1936 ] だと思うのですが...
腹部の黄斑が少ないので、[ クロサナエ Davidius fujiama FRASER, 1936 ] の可能性もあります。。


早苗さんです。。
ヒメクロ? クロ?それとも ダビド??



今回は、衝突式 T のチェック、良いムシとの出逢い... 全てが効率良く
時間も随分短縮できました。

ということで、現在調査中の第2エリアへも向かいたいと思います。


よし!まだ行けそうです... @ 12:10



では、再スタートです。

先程のエリアとは、同じ稜線上の位置関係にありますが
こちらでは、アカマツが良く見られます。



孤独な “ みち ” を行きます... @ 13:02



時には若ブナも散見される、広葉樹との混生林です。。


良い立枯れも、見えます... @ 13:27



稜線を 40分ほど登ると、大半がアカマツの林となります。
おそらく、相応のムシが見られることでしょう。。



前方の斜面に見える、林を目指します。



ブッシュをかきわけ、冬季に見つけておいた 立枯れをチェックしに向かいました。


まだ新しいです... @ 13:51



高さ 4mほどの部分が折れて、傍らに倒れています。。


何やら賑やかな様子です... @ 13:52



やはり、カミキリムシが走り回っていました。
凡種ですけどね... ツヤケシハナが最も多かったです。



ツヤケシハナカミキリ
Anastrangalia scotodes
(BATES, 1873)



更に、5メートルほど横にある、もう一本の立枯れを見てみると。。


根際には... @ 13:58



おお... やはり、いましたか
我が県内では、何気に初めてお目にかかります。


オオマルクビヒラタカミキリ
Asemum striatum
(LINNAEUS, 1758)



セオリー通りでしたね。 今回は、2頭見ることができました。

あと 1ヶ月ほどで、オオクロも現れることでしょう。
このあたり(↓)では、死骸を沢山確認しています。



この倒木は、やや古めでしょうか... @ 14:22



こちらへ来てから、あっという間に 2時間が経過。。

辺りが 随分暗くなってきました。
山の天気は、ホント変わりやすいです。。
まぁ、この時期ですからね... おそらく一雨来るでしょう。。


マイ・カーのところまで
急がなければ... @ 14:55



ふ〜っ... 何とか間に合いました

良いタイミングで見切りをつけることができたと思います。



今回も 濡れずに済みました... @ 16:47



では、また来週。。




〜 後記 〜


今回は カミキリムシがメインとなり、合計20種類も見られました。
ホウノキトゲバと併せて 是非 リストに加えておきたかった フチグロヤツボシも無事に確認でき
これで、当該エリアから 111種類の棲息が明らかになったことになります。

他にも、クチキクシヒゲムシや モンキナガクチキムシ、キスジナガクチキなど
好みの種類が得られました。

このまま節目である 400種類 に近づけば、よりリアルに自然度をはかれるでしょう。。

標高が低く、非常に狭いし、このエリアにも 大分限界が見えてきています。
理論的には勿論のこと、何より肌でそれを感じるのですよね。。
けれどそれは、“ ムシを採ること ” を第一前提とした話...
さすがに、てっぺんの様な種数は見込めませんが
大切な事は 森のリアルな状況を見つめることですので
豊かな自然を表現するには、“ 充分に 足る ” と思います。


〜 主な確認種

●オサムシ科 Carabidae -
 ミヤマジュウジアトキリゴミムシ
●ナガクチキムシ科 Melandryidae
 キスジナガクチキ
●クシヒゲムシ科 Rhipiceridae
 クチキクシヒゲムシ
●キノコムシダマシ科 Tetratomidae
 モンキナガクチキムシ
●カミキリムシ科 Cerambycidae
 オオマルクビヒラタカミキリ
 モモグロハナカミキリ
 トガリバアカネトラカミキリ
 キクスイモドキカミキリ
 フチグロヤツボシカミキリ
 ・・・ 他 15種類


モンキナガクチキムシ
Penthe japana
MARSEUL, 1876


クチキクシヒゲムシ
Sandalus segnis
LEWIS, 1887


クチキクシヒゲムシ
Sandalus segnis

LEWIS, 1887

キスジナガクチキ
Mikadonius gracilis

LEWIS, 1895


モモグロハナカミキリ
Toxotinus reinii
(H
EYDEN, 1879)


フチグロヤツボシカミキリ
Pareutetrapha eximia
(B
ATES, 1884)





09.10.17(10.02.20で終了→080627へチェンジ)

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