調査履歴

“2010年 悔い、なきように” 編 (8)



10.07.16
(Fri) 〜 17 (Sat) Mt 「ちょっぴり浮気。。」 
                                                                                                  

暫くぶりの、執筆です。。

それでも調査回数はコンスタントに積み重ね
前回の報告分の後、今回で4度目の出発となります。

その間には、茨城県初の甲虫も、幾つか出ていますよ

今回は、普段より余裕があったため
2日体制で臨んできました。


10.07.16 (Fri)


5:45 に、家を出ました。。

おはよ-!

近所の野良猫に、ご挨拶をしながら路地を抜けました


右下から 覗いてますよん... @ 5:46



そして 数時間後... てっぺん周辺に到着。。

え... “ てっぺん ” なの??

今回は、定点調査の前に ちょっとだけ浮気しちゃいました...

(たまには気分転換をしてみたかった次第です... (^ ^ヾ)


久しぶりに来ましたが... さて、辺りはどんな様子でしょうか。。

う〜ん、ギリギリセ〜フ... かなっ

今年も季節の移ろいが “ ちぐはぐ ” に映ってますけど
クリの花は、まだ残されていました。。

大分、黄ばんできています。。
しかし、このタイミングが good な気もします。

早速、掬ってみましょう。。


残された クリの花... @ 9:31



おお、まずはヒゲジロハナカミキリ。。
本県では、たま〜に見られます。 そんなに多くはないですよ。
(調査エリアでは 2年前に 1頭見たのみです... (^ ^;;)



ヒゲジロハナカミキリ
Japanostrangalia dentatipennis (PIC, 1901)



続いて、ジャコウホソハナカミキリです。。
なかなか乙なムシですね


ジャコウホソハナカミキリ
Mimostrangalia dulcis (BATES, 1884)



更に、ヤマトキモンハナカミキリも。。

♀でしょう。 カッコイイ斑紋です

私は初めて見ましたので、これは ありがたく持ち帰ろうと思います。

他には、ヤツボシハナカミキリ、ミヤマクロハナカミキリ、各種 トラカミキリなどが入りました。。


ヤマトキモンハナカミキリ
Judolia japonica (TAMANUKI, 1942)



その後、久しぶりに ネキを見てみたくなり
方々で立枯れをチェックしてみましたが...
その姿を見ることはできませんでした。。

残念...

代わりに、キヌツヤハナを一頭見かけました。
ブナ帯の定番ですね



キヌツヤハナカミキリ
Corennys sericata BATES, 1884





さぁ、準備運動はこれぐらいにして
いつものエリアから再出発です。。


いやぁ、蒸し暑いなぁ... びしょ濡れになることは確実です... (^ ^;;

今日も頑張るぞっ


雑草が伸びましたねぇ... @ 10:58



道中、一頭のハナムグリに出会いました。。
他の山では 何度も見たことがありますけど、ここでは初見です。
些細な事ですが、私は ここの住人が大好きですので
とっても嬉しいです



ヒメトラハナムグリ
Lasiotrichius succinctus (PALLAS, 1781)



定例のトラップチェックを済ませながら 稜線に出てみると、青空が広がっていました。


風通しが良いところは スカッとします!@ 11:32



林床には、コシアブラや タカノツメが沢山生えています。。



見下ろせるものから 見上げるものまで
その樹高は 様々です... @ 11:39



おおお。。
こちらは、ほぼ 2年ぶりの再会となります。

近年、植栽用のカクレミノを媒体にして
森林公園や住宅地などに増えているようですが...

ここは人里とは完全に無縁なエリアですので
従来から細々と定着し続けていると思われます。。


タテジマカミキリ
Aulaconotus pachypezoides THOMSON, 1864



本音を言えば もう一種類、2年ぶりに
会っておきたい カミキリムシがいるんですよね。。

こちらの立枯れじゃ ちょっと新し過ぎますけど。。



ブナの立枯れ... @ 13:23



あと一度だけ、ここでネキに出会ってみたいんです。。

ヘタクソな私ですので、とにかく数を打って待っているしかないのですけど...
なんとも見通しが立ちません。。

やはり緯度や標高が落ちてしまうと、我が故郷では厳しくなるのかもしれません。。


ヒゲナガゴマフカミキリ
Palimna liturata (BATES, 1884)



いつの間にか、かなりの時が経過してしまいました。。
タイムアップです。。


初めて見るナガクチキも得られましたし、初日の調査はこの辺で良しとしましょう


モミを見上げて一枚。。



今夜は帰宅せずに、現地で夜を過ごすことにしました。。

久しぶりに街灯回りをしながら...
多数の タガメ、エゾカタビロオサムシ、ミヤマクワガタ
シロスジカミキリなどを見て楽しみました


シロスジカミキリ
Batocera lineolata CHEVROLAT, 1852




10.07.17Sat)


では、2日目です。

この日は 6:30 〜 活動を始めました。

予定通り、他に調査中のアカマツ林へ向かいました... が!

またも 途中から脱線し、てっぺんに浮気をしてしまいました...

一生涯を考えても、来年以降の私には このように沢山の時間が取れる余裕はないと思います。。
見られるときに、見ておきたい... そんな衝動にかられたのです。。

幹の太さは、関係ありません。。
ブナに拘る必要も、ありません。。

幾分樹皮が残されて、剥がれた部分については
表面がツルツルした立枯れを見回りました。。


すると。。。


あぁ... いましたね。。



いやぁ... やはり いいですよ

随分高方を歩いていましたが、見間違う訳がありません。。

2日目にして、運良く 一頭の♀を確認することができました。


そしてなんと... 目の前に ゆっくり降りてきたではありませんか!

ムシを見て ドキドキしたのは、かなり久しぶりのことでした。



オオホソコバネカミキリ
Necydalis solida
BATES, 1884



ずっと 待ち望んでいるエリアの主ではありませんけど...
本県では あまりない光景を、見させて頂きました。

これで心おきなく 調査に集中できます。。

どうもありがとうございました... m(_ _)m




それでは、メインである アカマツ林を目指しましょう。

大木が倒れている、この辺りが現場へ向かうための入口です。


羽脱孔が沢山あいてます... @ 11:48



草木をかきわけ、徐々に標高を上げていきます。


まずは稜線に取り付かないと... @ 11:50



傾斜はそこそこありますが、踏み後が しっかりしているので、気が楽です。


若ブナの倒木が、みち を防ぎます... @ 11:59



お隣さんは延々と植林ですが、こちら側は 2次発生の落葉広葉樹林です。
倒木の周りには、ウスイロトラカミキリや マルヒラタケシキスイなどが見られました。



なかなか良い雰囲気ですよ... @ 12:09



やがて... それが目指す アカマツ林に変わってきました。。

苦労して辿り着いたので、じっくりと 眺めてみたいと思います。



この辺から探索しましょうか... @ 12:29



しかし...

暫く時間をかけて、立枯れを中心に コメツキムシ、タマムシ、カミキリムシ
そして ゾウムシなどを探してみましたが、今回はあまり手応えを感じませんでした。

やはり、マツの林は乾燥していますね。。

それでも、これまでのオオクロや オオマルクビヒラタのように
相応の甲虫が棲息している筈ですから...
日を改めて懲りずに脚を運ぼうと思います。



では、引き返しましょうか。。

復路にて... シデの倒木上に、ニセビロウドカミキリがついてました。。

アカマツも含め、多様な樹木に宿りますからね... 念の為、これもメモしておきます。


ニセビロウドカミキリ
Acalolepta sejuncta sejuncta (BATES, 1873)



アカマツが減り、広葉樹林帯へ戻ってきました。。

こんな感じで、稜線を境に 緑地の様相が二分されています。


“ あっち ” と “ こっち ” の狭間を行きます。。



2次林とはいえ、直径 40 - 55cm ほどのブナも散見されるんです。。
私が死ぬ頃には、もっと立派な大樹となって森を潤してくれることと思います



〜 後記 〜


久しぶりに “ てっぺん ” へ浮気してしまいました。
たまには、気楽に遊んでみたい気もします... (^ ^ヾ

ピドニアや早出のトラなど、カミキリムシを掬う時期はとうに過ぎてしまったので
ちょっと心配でしたけど... 各種ハナカミキリや、ソリダも何とか見られましたし
とても良い気分転換ができた気がします。

2007年までは、分布調査のため 定期的に回っていたのですけどね...
瑠璃鍬や姫大鍬を探していた、更に昔の記憶なども含め、原点を懐かしく顧みました


こんな風に、現調査エリアでも多くの種類を確認できれば良い気もしますが...
それでは、“ やる意義 ” が薄れてしまいます。。
凡種でも、4年間で ようやく 1 〜 2頭を確認した種類がかなり多く
それだけに、沢山の想い出をつくってこられた気がします

やれるだけやって... 少しでも リアルに状況を把握しておければ
それで いいんじゃないかなと、思うんです。

今回は、お気に入りのナガクチキムシ科を増やすことができました。


〜 主な確認種 (調査地分)

●コガネムシ科 Scarabaeidae
 ヒメトラハナムグリ
●ナガクチキムシ科 Melandryidae
 アヤモンヒメナガクチキ
●カミキリムシ科 Cerambycidae
 タテジマカミキリ
 ・・・ 他 数種類


ヒメトラハナムグリ
Lasiotrichius succinctus

(PALLAS, 1781)


アヤモンヒメナガクチキ
Holostrophus orientalis
L
EWIS, 1895


タテジマカミキリ
Aulaconotus pachypezoides
T
HOMSON, 1864





09.10.17(10.02.20で終了→080627へチェンジ)

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