調査履歴

“2010年 悔い、なきように” 編 (9)



10.07.21
(Wed) Mt 「シーズンの山場」 
                                                                                                  

昨夜は千葉から実家への帰りが遅くなり、4:00過ぎに寝たのですが...
一応セットしておいた目覚ましの時刻どおり 6:00 には起きました。

当然、これでは眠いです...
どうしようかな... 迷ったけれど。。。
辛くなったら、途中で車のシートを倒せば良いと思い
6:30には家を出ました。

そろそろ、諸々の条件さえ揃えば、ネキダリスとの再会の可能性もあります。
標高が低い現在の調査地では、2008年に かろうじて 1♀を確認したのみです。

いずれにせよ、この時期は シーズンの山場だと思っていますので
まめに行っておかねばなりません。。

いささかしんどいですが、踏ん張りどころです。



さて、毎度のことながら 2時間以上の運転からスタートです。
気負いすぎず、のんびり構えたいと思います。 楽しく参りましょう。


まずは快晴を getです♪... @ 6:48



2時間 20分をかけ、とある沢筋の出合いへ辿り着き 登山に移行しました。


森の中から、空が見えました。 @ 9:45



今夏は暑過ぎて、上流域はカラカラです。。


これではムシも減りますね... @ 10:02



トラップに水を補給するため、かすかな流れを汲み上げました。。


重いものは、現場で調達... @ 10:02



お陽様と共に、稜線に乗りました。


モミの半枯れです。 @ 10:19



1年前... 同じ時期に、ここでは羽脱仕立ての ヒゲナガカミキリ ( 1♂ ) を見つけました。
今年は、数日前までは見られなかった新しい羽脱孔を幾つか確認できました。


新しい羽脱孔... @ 10:21



傷み始めたイヌブナの樹幹には、ヒゲナガゴマフカミキリが群がっていました。
ほとんどが、ペアです。

毎年、然るべきタイミングで、然るべき いとなみ が繰り返されているのですね。。


ヒゲナガゴマフカミキリ
Palimna liturata (BATES, 1884)



イヌブナの倒木を覗いて見ると...


大胆にへし折れています。 @ 10:56



ムネアカクシヒゲムシなどが見られました。
この時期に、よく見られます。
あまり珍しくはありませんが、私は好きです。



ムネアカクシヒゲムシ
Horatocera niponica LEWIS, 1895



続いて林床部。。
傷んだコシアブラがやけに目立つので、注意して見て行くと...



左は産卵痕でしょうか... @ 12:07



前回 2年ぶりに再会した タテジマカミキリに
また出逢うことができました。


写真の中央部です。



昨年は、再会を望んで一生懸命に探したのですが...
結局一頭も見つけられないままでした。
なのに今年は、随分と はぶり良く登場してくれます。
異常気象 ( 猛暑 ) と関係しているのでしょうか??



タテジマカミキリ
Aulaconotus pachypezoides THOMSON, 1864



主要な稜線の、ピーク付近を徘徊しました。
このような立枯れの前で、じ〜っと待っていたところ...


陽が差し込まないのですよね... @ 12:33



本命ではなく ルリボシカミキリが飛来しました


ルリボシカミキリ
Rosalia batesi HAROLD, 1877



従来 茨城県では本当に少ないカミキリムシでしたが
近年では、わずかなブナ帯のみならず、丘陵地〜平野部からも時々見つかるようになりました。

・・・にしても、このエリアでは4年間で 2頭目。依然として少ないみたいです。

ひょっとすると、広大な植林地に囲まれた本調査地は、森林が他エリアからの影響を受けず
ありのままの様相を維持しているのかもしれません。

※余談になりますが、シイタケの原木を介して本県中で個体数を増やし始めたと推測される
クリストフコトラカミキリは、未だ当該エリアからは確認されておりません。
また、キイロトラカミキリや キスジトラカミキリなど、県内全域で普通に見られる種類は
マレーズ・衝突式各トラップの結果も含め、まだ 1頭ずつしか確認できていません。。



また、いつも見回っている倒木上ではノコギリクモゾウムシを確認しました。
こちらは例年通りです。
クモゾウは、死んだフリをして反り返った時のフォルムが とても好きです。
一帯では他に、コウノクモゾウムシ@茨城県初 を見つけています。。


ノコギリクモゾウムシ
Mecopomorphus griseus HUSTACHE, 1920



エリア最奥にある、イヌブナの立枯れでは
その根部に、アカアシクワガタを確認しました。


こちらも ペアのようです。 @ 13:03



中型の♂ですが、傷もなく なかなかの良形でした。


アカアシクワガタ
Dorcus rubrofemoratus (VOLLENHOVEN, 1865)



2時間ほどかけて、森林内に仕掛けてある全ての トラップに給水した後
午前中に訪れたモミの立枯れを改めて覗いてみました。


何かが見えますね... @ 15:05



かなり高所でしたが、キラリと輝いたので すぐに分かりました。


タマムシです... @ 15:06



寄ってみます... どうやら産卵しているようです。
光量が足りませんので、これが限界ですね。。



アオタマムシ
Eurythyrea tenuistriata LEWIS, 1892



樹皮の隙間に、入っては出て、入っては出て...
それを 7〜8分ほど繰り返した後に ブゥィ〜ン!と羽音を立てながら飛び去りました。

何だか、良いものが見られた気がして 得した気分になりました



さて、帰りましょうか。。



40分ほどかけて、マイ・カーが停めてある沢筋の出合いまで降りました。

素っ裸で川の水に浸かり、べたついた汗を 洗い流してからの下山です。。
毎回、これを楽しみに 着替えのシャツやパンツも持参しているのですよ... (^ ^ヾ



帰りのコンビニでも見かけた ペアです。 @ 17:43



予想通り、眠気との厳しい戦いが待ち受けていましたが...
休憩を挟まずに、何とかゴールまで辿り着けそうです。。


陽が落ちます。。 @ 18:29



クワガタがメインだった数年前なら、これからが本番。。
19:30以降がゴールデンタイムだったのですけどね...




〜 後記 〜


19:30に、帰宅しました。

今回は、もはや茨城県でさえ少なからず見られるようになったルリボシカミキリを
調査地にて 2年ぶりに確認でき、またアオタマムシの産卵の様子を一部始終観察できました。
ソリダとの再会はありませんでしたけど、これで脚を運んだ甲斐があったと思います。

今シーズンは、タテジマカミキリの個体数が増えているようですね。。
数日後に、また様子を見てみるつもりです。


〜 主な確認種

●ホソクシヒゲムシ科 Callirhipidae
 ムネアカクシヒゲムシ
●タマムシ科 Buprestidae
 アオタマムシ
●クワガタムシ科 Lucanidae
 アカアシクワガタ
●カミキリムシ科 Cerambycidae
 ルリボシカミキリ
 タテジマカミキリ
●ゾウムシ科 Curculionidae
 ノコギリクモゾウムシ





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