調査履歴

“2010年 悔い、なきように” 編 (10)



10.07.26
(Mon) Mt 「トラップ・チェック」 
                                                                                                  

前報 ( 21日付 ) 以降、23日、25日、そして今回の26日と...
まめに調査を続けています。

今夏は暑過ぎるせいか、本当にムシが少なく...
初めての甲虫と出逢う機会も、必然的に減っているのでしょうね。。

しかし、悔いが残らないように やれるだけのことはやっておきたい。
そんな意気込みで日々臨んでいます。
公私共に 諸々のリスクを負ってしまうのは、覚悟の上です。

今回は、毎回チェックしている 誘引衝突式トラップの様子を
せっかくなので、少しだけ掲載しておこうと思います。


〜 定例調査 〜



今朝は 5:00過ぎに家を出てきました。


車を降りて、登山を始めます。 @ 8:11



このような光景を見ると、シーズンの峠を越えたことが身に沁みます。。


ヤマアジサイに、ヨツスジハナカミキリ... @ 8:21



今回の登山は 中4日となるコースどりでしたが
わずかな日数で、随分 雑草が蔓延ってしまいました。。


かき分けて進みます。 @ 8:30



こちらは... ソバナの花です。
R地区で観察される、ツリガネニンジンと 良く似ていますね。
( 因みに、キキョウ科 ツリガネニンジン属 です。 )


ソバナ
Adenophora remotiflora



ここまで来るのには、やはり 30分ぐらいを要します。


残された原生林へ... @ 8:44



まずは、サワグルミの大樹をチェックしに向かいました。


上方を見上げます。 @ 8:48



調査エリア内 随一のサワグルミ・ポイントです。


根回りです @ 8:49



大木が 2本、細い半枯れも数本。
好環境なだけに、オオアオカミキリの可能性も想定していたのですけどね。。

残念ながら、未だ気配を感じたことがありません。



傍らにある 半枯れ・立枯れです。 @ 8:52



斜面上には、お手製の 誘引衝突式トラップ(小) を仕掛けておきました。


小型のトラップです。 @ 8:54



早速、一つ目を チェックしてみたいと思います。

半透明の容器を使用しているので
何かが落ちていることは遠目でも分かりましたが...

予想通り、いつものカミキリムシでした。



ここでは ヤハズカミキリが良く落ちます。



続いて、稜線沿いのトラップを チェックしに向かいました。


久しぶりに訪れた 3 番目の沢筋奥から
這い上がります... @ 9:12



こちらは、トラップ(大) の中身です。
容器は白色のプラスチック製です。

7月下旬からは ニイジマトラカミキリの割合が高くなり
ウスイロトラカミキリがそれに次ぎます。


1〜2日間で、これぐらい溜まります。。


イヌブナ@半枯れの傍では
このような結果です。



周辺の樹相に応じて、当然役者も変わるのですが...
アカハナカミキリや コバネカミキリは、徐々に増えてきた
終盤ならではの顔ぶれです。


ヒゲナガゾウムシや ナガクチキ、ハネカクシ
コメツキムシなど、様々な甲虫が入ります。



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  ※因みに、6月18日の結果はこんな感じでした。。。


   容器の底が、まだ汚れてませんね...
@6月18日



  オオヒメハナカミキリ、カラカネハナカミキリ、エグリトラカミキリ、トガリバアカネトラカミキリ
  ヒメクロトラカミキリ、シナノクロフカミキリ、クモノスモンサビカミキリ・・・ などが見えますね。。

  時には、ノコギリカミキリや ビロウドカミキリなど中型のカミキリムシの他
  クチキクシヒゲムシのような少ない種類、ミヤマクワガタ(♂) のような大型の甲虫も落ちていました。



   現場で撮影しました。
@6月18日

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大型のトラップが 5ヶ所、小型のトラップが 3ヶ所...
毎回、計 8ヶ所をチェックしながら
誘引剤の補給、水の取替え、各種個体数のメモを行ってきました。

ひと夏の結果を総覧すれば
この森林における亜科、種類ごとの密度が概ね把握できそうです。



さて... 最低限のノルマを終え、いつも通りのルッキングです。
エリア最奥にある、イヌブナの立枯れでは...


イヌブナの立枯れです。 @ 10:02



今年もキノコゴミムシが見られました。

上翅に お馴染みのコウモリ柄を持つ、オシャレなゴミムシです。
この斑紋... 甲虫会では割と人気ですよね (笑) ホント、謎です。。


キノコゴミムシ
Lioptera erotyloides BATES, 1883



ついでに、付近の コバギボウシも撮っておきました。
ちょっと暗いですけど、薄紫色がとっても綺麗で好きなんですよ。


コバギボウシ
Hosta albo-marginata



そしてコシアブラには...
またもタテジマカミキリの登場です。



タテジマカミキリ
Aulaconotus pachypezoides THOMSON, 1864



今シーズンは、本当に良く出会えてます。
過去 3年間では、なかなか見つけられなかったのに。。

ある程度 発生の波はあるのでしょうけど...
やはり、猛暑の関係でしょうか。。

併せて、このような痕も多いです。

少し頂戴して、自宅で様子を見るのも楽しいかもしれません。。



左は、産卵痕でしょうか... @ 11:31



更に、モミの半枯れです。



だんだん生気がなくなってきました。
@ 11:48



樹幹には、オオヨツスジハナカミキリ (♀) が産卵場所を探して徘徊中....
根際には、オオクロカミキリ (♀) の死骸が転がっていました。
昨日は落ちてなかったんだけどな。。



オオクロカミキリ
Megasemum quadricostulatum KRAATZ,1879



と、ここで突然 雷が落ち始めました。
みるみるうちに、どんよりとした雲が拡がって行きます。

昨夏のように、ズブ濡れになるのは もう遠慮願いたいです。。

今回も 新たな種の発見はありませんでしたけど
あえなく これで下山することにしました。。



〜 おまけ 〜



急ぎ足で、雨が落ちる前に マイ・カーの元へ辿り着くことができました。
これで一安心です。

しかし、帰路につくには まだまだ早い時間帯...
う〜ん... どうしようかな。。

暫く迷いましたが、せっかくなので てっぺんまで歩を進めることにしました。

あちらなら、幾つかのポイントに車でアプローチできるし
少々の雨が落ちても 何とかなりそうな気がします。


ということで、移動。。。


既に お昼をまわっていたし、時期的に考えても、もう遅いかな。。
などと、半ば諦めていたのですが...

目星をつけておいた立枯れに、運よく飛来してくれました


小雨が舞う森林中にて...
おお!やってきました。。 @ 14:12



今夏、2頭目のソリダです


オオホソコバネカミキリ 
Necydalis solida BATES, 1884



現行の調査地における、“ 待望の2頭目 ” ではありませんが
持ち帰りのムシを、何とか1頭 手にすることができました

茨城県下では、とっても良いムシなんです。


帰りの道中は、延々のどしゃぶり。。
この雨に濡れぬまま トラップの総チェックと お土産を手にすることができて
今回も なかなか運が良かったと思います



濡れずにすみました♪ @ 16:06




〜 後記 〜


18:00前には 帰宅しました。

しかし家の鍵を忘れてしまったため、車中で両親の帰りを待つはめになり...
実際に中へ入れたのは 20:00過ぎのこととなりました。
( これはアン・ラッキーでしたね

今回は、トラップに落ちたカミキリムシの様子を思い切って掲載してみました。
死骸ばかりの陳列となるので、あまり気が進まず、ずっと保留にしていたのですけど...
ファウナ調査の一環として、これも重要なプロセスですので 考えを改めました。

勿論 リアルな結果については、こんな独りよがりの場所ではなく
然るべきペーパー上に詳述できればと思います。


現行調査地における、新たな種の確認はできませんでしたが
他の地から 茨城県産のソリダを一頭持ち帰ることができ、とても嬉しかったです。


Necydalis solida BATES, 1884





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