調査履歴

“2010年 悔い、なきように” 編 (11)



10.08.10
(Tue) Mt 「目標に向かってビーティング」 
                                                                                                  

とうとう 8月になりました。

今回の調査は、6日に引き続き 2度目となります。
前回の様子ですと... もう殆どムシは見られないでしょうね。。
猛暑の影響もありますが、我が茨城県では ただでさえ
夏の去り際が早いですし。。

しかし、少しでも可能性がある限り
やれるだけのことは、やっておきたいところです。

現在までに蓄積した甲虫のデータは、49科;399種類です。
本調査も かれこれ 4年目になりますので
せめて、あと 1種類は上乗せし
400種類の記録目標をクリアできればと思います。




今朝は、ゆっくりと 8:00に家を出ました。

夏の終わりを迎えつつある 茨城県内ですので
午前中調査への拘りは、特にありません。


この時間になると、いつものように
すいてませんね... @ 8:34



毎回、こんな抜け道も使っています。


信号回避です。 @ 9:04



で、久しぶりに ちょっと “ みちくさ ” をしてみました。。


気になる 入口には、誘われるがまま...
徐々に みちくさ をする余裕が出てきました。
@ 10:26



行き止まりかな? と思ったのですけど
更に その奥が見えました。

ナビに表示されない山道を突き進んでいると
路傍には、クワガタなクヌギが 7本ほど並んでいました。


こんなところにも、あったのですね...
@ 10:32



連日の暑さで樹液はカラッカラでしたが...
根際には、ミヤマクワガタや カブトムシの死骸が転がっていました。

う〜ん、懐かしいですね
7 - 8 年前までは、こんな感覚で県内を縦横無尽に走り回っていましたよ。。



さて!そうこうしているうちに 目的地付近へ到着です。


別ルートから アプローチします。
@ 11:22



今回選んだ登山コースは、目指す稜線への距離が最短となります。

しかし、勾配がいささか急なため、慌てれば すぐに息切れしますので
ゆっくり参りましょう。。


などと、のんきに構えていたのですが...

霧の発生と共に、湿度が異様に高くなり...
大発生中の 各種アブ達に
隙あらばと首筋や肩を咬まれ...
かなり鬱陶しい登山となってしまいました...


で、なんとか 12:00頃には 尾根のピーク付近へ到達。。

まずは付近の立枯れや、衝突式トラップを見てまわることにしました。



イヌブナの樹幹に しがみ付く
1頭の ヒゲナガゴマフ。。
大分 減ってきました。 @ 12:11



やはり、どこを見渡しても ムシの数は減っていました。
あれほど賑やかだったのに... すっかり 影を潜めてしまった印象です。

中3日 もあけているのですが...
トラップ内の様子も、この通りです。。



ノコギリカミキリや
コバネカミキリなど。。



承知の上でしたが、あまり芳しくない結果ですね。。


こんな時には、嫌なことも おこるものです...

調査エリアの最奥にある、いつもの立枯れ@イヌブナ の傍へ歩み寄ろうとした際に
うっかり、ハチの皆様が お集まりのところへ突入してしまいました。

わっと 舞い上がったことに気付いてからでは遅く...
一瞬にして、
ズン!チカ〜!ズ〜ン!!
と、 3ヶ所に お注射されてしまいました...



手首など、関節部分をやられました。
@ 12:58



湿度が高く、暑過ぎたため とは言え
薄着になってしまった自分が馬鹿でした。

まぁ... 小学生の頃から 良く刺されていますよ... (^ ^ヾ

ただせっかくなので、暫らく時間をおいてから
現場へ舞い戻り、ハチの写真も撮っておきました。

帰宅後に同定してみたところ...
どうやら スズメバチ科 アシナガバチ亜科の
普通種らしいです。

やや山地性で、低木などの葉裏に営巣するとか。。
何を基準にしているのか分かりませんが
攻撃性は、「やや高」 とのことです。
確かに、かなり遠くまで追跡されましたね


ムモンホソアシナガバチ
Parapolybia indica
(SAUSSURE, 1854)



その後も、モミやシデ、ブナなど 一通りの立枯れを当たってみましたが、ダメでした。。
ルッキングでは、進展がありません。


モミに産卵中のオオヨツスジハナ。
@ 13:57



節目の目標もありますので
何としても、1頭は未確認種を得ておきたいところです。

残された時間は、小さな雑甲虫をも見逃すまいと
ビーティングをして歩き回ることにしました。


終始、パッとしない お天気でした。
@ 14:07



私の場合、盛んに ビーティングするのは 4 - 5月頃 のこと。。
8月は久しぶりで、割と楽しかったです。


ソバナ
Adenophora remotiflora



アブに咬まれ ハチに刺され、痛い思いもしましたが...
粗朶@ブナ倒木 の叩きにより、最終的には 乙なゾウムシが得られました。

これでホッと一安心です。
この日の仕事に納得できたので、下山することにしました。



帰りの道中... 山麓の畑で農作業をしておられる
老夫婦に 久しぶりに お会いしました。

こちら側からの登山 はあまり多くないので
大変ご無沙汰してしてしまいました。。
本当に申し訳ございません。。

車を降りて、懐かしい昔話を沢山聞かせていただきました。

会話の流れで、このあたりの地名についても触れましたが
日頃からお世話になっている Sさん御夫妻とは
また違ったエピソードを伺うことができました。

かつては、栃木県の地名研究家も調査に入っていたそうです。
う〜ん... やはり謎が多い地域ですね。。
お陰様で、また一つ 勉強になりました。
どうも、ありがとうございました。

美味しいお茶も、久しぶりで嬉しかったです。
ご馳走様でした




〜 後記 〜


18:30に、帰宅しました。

現場へ足繁く通うこと自体が、大変なことなのかもしれません。
なれば、どんな普通種であれ 新たな出逢いを授かれば嬉しいものです。

今回は、茨城県初のシロカレキゾウムシなどを含む
3種類のゾウムシを リストへ追加することができました。
振り返ると、ヒゲナガゾウムシ科、オトシブミ科、ゾウムシ科から
11種類の県初が出ました。
県の甲虫ファウナ解明に、少しはお役に立てるかもしれません。

これで、4年目の目標をクリアし
49科;402種類の甲虫を確認できました。

刺されちゃいましたけどね...
現地の郷土史も、新たに伺うことができましたし
元気な顔も見せられたし
意義のある訪問だったと思います。


〜 主な確認種 〜

●ヒゲナガゾウムシ科
Anthribidae
●ゾウムシ科 
Curculionidae
.
クロメナガヒゲナガゾウムシ
Ulorhinus funebris
SHARP,1891

 
シロカレキゾウムシ
Karekizo impressicollis
MORIMOTO, 1962

 





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