調査履歴

“2011年 北の照葉樹林” 編 (2)



11.08.30
(Tue) Plateau 「スダジイの古木@環境保全地域めぐり その3」 
                                                                                                  

一昨日の下見を踏まえて
今度は、そこにどのようなムシが棲息しているのか
確かめてみたくなりました。

久しぶりに、夜のライトトラップを仕掛けてみたいと思います。
もはや 9月を目前としていますし、カミキリムシなどの甲虫類は
期待できないにしても、来年への布石づくりは必要です。

勤務中の yasu から 機材一式を借りる
段取りは整っています。

楽しみです。



機材の受け渡しは、15:00 過ぎの予定ですので
今回はゆっくりと午後から動き始めました。


ガラ空きのスタートです。... @13:18



定刻に、yasu の会社で機材を預かりました。

19:00 の点灯までには 暫らくの時間があったので
前回見逃していた社寺林をチェックしておくことにしました。


スギ林の中に、モミが見えます。... @14:36



手元の地図を頼りに、目的地へ接近してみると
なんと、鳥居の傍から車道が上へ伸びていました。


ここが 入口ですね。。



これはラッキー。
境内まで車で登れました。



綺麗な神社でした。。



周辺には、スダジイ、カシ、モミの常緑樹や
ヤマザクラなどの古木が見られます。



太くて、高い 樹々です。。



ただ、個々の樹木は古いものの、いささか相が浅いですね。。
樹林と呼べるほどの雰囲気ではありません。

アクセスのしやすさがメリットでしょうか。。


日没まではもう暫らく。。

場所を変えて、ライトを灯す予定の樹林内に機材を運び込んだ後は
コンビニで休憩したり、すずき文字の撮影をしながら時間を埋めました。。


実は、雑誌にも掲載された有名車なんですよ。



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さて、日没が近づきました。

樹林の周辺に住まう皆様には、予め事情を説明して
今夜 7時〜9時頃に、裏山で発電機の音が鳴りますと
ぬかりなく お伝えしておきました。

19:00をまわった頃に、黄色のコンビニで yasu と合流。

現場へ案内して、19:30 にライトを灯しました。


すぐに、周辺のセミが集まってきました。
役者は、ツクツクボウシと、ヒグラシ。。

気がつくと、セミヤドリガの幼虫が宿るヒグラシ (↓) がとても多く
ツクツクボウシには一切ついていないのが不思議でした。


セミヤドリガの幼虫がついた ヒグラシ(左) と
ツクツクボウシ(右)。



甲虫は、ヨツボシモンシデムシや コガネムシ科の他
時折現れる エサキオサムシなどの歩行虫。。

その数は、とても少ないものでした。

まぁ、夏も終わり間近ということなのでしょう。。

しかし、20:30 をまわった頃に 近傍にあったモミの樹上から
カミキリムシが急降下してきました。

いつものノコギリカミキリのようでしたが
拾い上げると、すぐに前胸背の点刻が多く
光沢が鈍いことに気付きました。。

「これ、ニセノコだったりして。。」

南方系の週類ですが、“ ただノコ ” とは雰囲気が違うことを直感し
念の為 ケースにしまいこみました。

うん、いいですね。 何かの手応えを感じることができました。

早いですが、これを機に次のポイントへ切り替えます。

yasu は事情があり、機材の撤収を手伝ってもらった後に帰宅しました。


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せっかくですので
先程のアクセスしやすい境内でも ライトを灯してみました。

カマキリモドキや、コメツキムシなどがわずかに飛来しましたが、あとはセミが多く。。
吹き抜ける風も強いため、今夜はこれぐらいにしておくことにしました。


樹相が浅いですし、すぐに限界が見えてしまいました。




〜 後記 〜


23:00 過ぎに帰宅。。

早速 持ち帰った、カミキリムシの同定に挑戦しました。
ノコギリカミキリと比べ、前胸背板の点刻が明らかに多く
光沢がありませんので、本県初のニセノコギリカミキリではないか
と予想しましたが、暫らくは確信が持てませんでした。

そこへ千葉県昆虫談話会のヤスポンさんからニセノコに関する情報を頂き
更に、伊藤敏仁先生へ同定のお願いをして頂きました。

後日、伊藤先生のお住まいで実検していただいた結果
やはりニセノコギリカミキリであることが判明しました。

触角の長さと、後肢脛節上縁の溝の有無が決め手となりました。

栃木県北部からの記録もありますが
現時点で、太平洋側では最北の産地となりましたので
公表を勧めていただきました ( 月刊むし no.490 掲載済 )

お陰をもちまして、茨城県産のカミキリムシも一種類増加しました。

今回は、千葉県の先生方からのご厚意を賜りました。
どうもありがとうございました。


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ノコギリカミキリ
Prionus insularis (MOTSCHULSKY, 1857)

ニセノコギリカミキリ
Prionus sejunctus HAYASHI, 1959
 





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