調査履歴

“2011年 R地区調査” 編 (37)



11.09.30
11.12.20  Plateau 「スダジイの古木めぐり その9 : まとめて16地区分」 
                                                                                                  

夏の終わりから、まめに継続してきた ベーツヒラタカミキリ@照葉樹林の分布調査。。
記憶にとどめておきたいエリアは かなり沢山あったのですが
1報告分の内容を満たせない (個別ではボリュームが足りない) ものも多かったので
今回は、それらを一気に寄せ集めておきたいと思います。



11.09.30
[ 羽脱孔○ 死骸× ] 


通勤途中に眺めている道路沿いの神社。

以前から気になっており、余裕がある時に立ち寄って
15分ぐらいのチェックを入れてみました。


こちらのスダジイは、なかなか貫禄がありますね。


鳥居の右側では、羽脱孔を確認できました。
少なくとも、かつてはいた ようです。
ただ、死骸が見出せなければ プロットには至りません。


近くに お巡りさんがおります ( 昨年はご迷惑をおかけしました ) ので...
そそくさと。。





11.10.03
環境保全地域 [ 羽脱孔× 死骸× ]


およそ 6年前、05.09.04 に 初めて訪れた環境保全地域。

いつの間にか、ブラックボードが新調されており 驚きました。



ここは、カクレミノが良く生育しています。
林床の若木から、かなりの高木まで、幅広いです。

以前はタテジマカミキリを探しにやってきたのですが。。


そしてこちらは、3本の葉脈が特徴的なヤブニッケイです。
あのカミキリムシが良く宿るとのことですので
今後注意して見ていかねばなりませんね。。

同じクスノキの仲間、シロダモも見られました。



スダジイも沢山生えていましたが、太い老樹は殆どなく
ベーツの手がかりは掴めませんでした。




11.10.30
環境保全地域 [ 羽脱孔○ 死骸○ ] 


先月、11.09.02 に訪問した環境保全地域。

陽当たりの良い スダジイの古木を見直してみると...

樹幹には、ベーツ ♂の頭部 (↓右写真下方)、腹部 (同写真上方)
が残されていました。


また根際の窪みでは、♂♀ 1個体ずつの死骸を確認できました。


今年の夏に果てた個体で間違いないでしょう。
ボーベリア菌にやられていましたが、状態が良かったので
殺菌・軟化して展足してあります。



来シーズンには、是非生体を確認しておきたいと思います。




11.10.31
環境保全地域 [ 羽脱孔× 死骸× ]


湖岸東側の台地上になります。

かなり久しぶりで 2度目の訪問です。

なかなか良い条件だったと記憶しており
楽しみにして来たのですが...



今回は全く手がかりを見出せませんでした。


石段や鳥居付近など、震災の影響が あちこちに出ていました。




11.11.04
[ 羽脱孔○ 死骸○ ]


11.10.30 の現場から、さほど遠くないエリアを徘徊していたところ
農耕地の中に、巨大なスダジイが見えました。

歩み寄ってみると、傍には小さな碑も建っていました。
推定樹齢 300年、樹高 26m と記されています。 実に立派なものです。


根際の枝打ち部分に、多数の羽脱孔が開いていました。。
同じ楕円形でも、ベーツのものより 明らかに膨らみがあり、大きいので
ノコギリカミキリのものでしょう。

直下の落ち葉をどけると、案の定 死骸がありました。


拾い上げて、じっくり観察してみました。

後肢脛節上縁に くっきりとした溝があるので
“ ノコギリカミキリ ” で間違いありません。 ないのが “ ニセ ” です。
因みに、 触角がノコギリ状ですので ♂でした。

また、堆積した土の中からは ベーツの死骸も出てきました。


他にも、小さな碑の下には 果てたばかりと思われる ベーツの♂が落ちていました。
このスダジイの大樹は、両者の宿木なのでしょう。。


背後の林を散策したところ、意外に スダジイの古木が多く 驚きました。

先程のスダジイがあまりにも巨大過ぎて、他はひっそりと息を潜めているような印象を受けました。

畑地や草原に棲むオサや ゴミダマなども多そうですね。 来年も訪れたいと思います。


マクロな視点で捉えれば、プロットは付近の別ポイントと一まとめにできるでしょう。


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11.11.04-2
[ 羽脱孔× 死骸× ] 


先程のポイントに続き、更に歩を進めていたところ
路傍にイヌザンショウを見かけました。
サンショウとくれば、あれですよね。。
茨城県北 - 県央 、そして千葉県で確認されているのですから
R地区での可能性はある筈です。
今後、気にかけておかねばなりません。

そしてまもなく、縄文時代の貝塚と 神社をセットで見つけたので
立ち寄ってみました。


境内に入ると、地面には沢山の貝が散らばっていました。

太平洋、北浦や霞ヶ浦、それから利根川に囲まれた
水源豊かな R地区には、縄文時代中〜後期の遺跡が沢山存在します。

そんな中で育ったせいか、実家の押入れには
かつて収集した土器や石器などの遺物がいっぱいです。。


さてさて、話を本題に戻しましょう。
視線を上げてみると スダジイや タブノキなどの老樹が何本かありましたが
全体的には照葉樹林と呼べるほどの規模がなく
ベーツの足跡も、今回は見つけられませんでした。



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11.11.04-3
環境保全地域 [ 羽脱孔△ 死骸○ ]


最後のポイントは、随分前にも訪れた環境保全地域。 R地区の西方です。
期待していた社寺林だったので、調査にはかなり気合が入りました。



鳥居をくぐってまもなく、かなり高所に羽脱孔を確認しました。
孔の形状からノコギリカミキリのものにも見えましたが
林内の雰囲気を感じ取ると
ここにはいる、と確信しました。


奥へ進むほど、樹林の規模が想像以上であることを察しました。
境内外の藪の中にも、極太の老樹が多数存在しました。
その他、モミも散見されましたね。。



樹林が広いと、逆に的が絞りにくいものですが...
ラッキーな事に、スダジイの根部に開いた洞の中からベーツの腹部を発見できました。

こちらの地域では初確認なので、重みのあるプロットになると思います。



取り出して、改めて撮影。。 おそらく、小型の♂でしょう。


さて、日が暮れます。 

先程は「最後のポイント」などと謳っておきながら...
もうひとつおまけで SHINMATI の裏手にも立ち寄ってしまいました。
ここは絶対にいると思うんだけど。。
証拠を挙げるのは、なかなか難しいものです。


また頑張りましょう。





11.11.08
環境保全地域 [ 羽脱孔○ 死骸× ]


R地区南部。 ここは 3度目の訪問です。
スダジイを主として、アカガシやモミなども見られます。
晩夏には成虫を探しましたが、残念ながら見出せませんでした。



しかし今回は、明るみの部分枯れに多数の羽脱孔を確認できました。


このエリア付近にはプロットが全くありませんので、来年は是非生体を押えておきたいところです。
ブラックボードにはヤブニッケイの記載もありましたが、見かけませんでした。。





11.11.09
環境保全地域 [ 羽脱孔○ 死骸○ ] 


07.09 以来、4年ぶりの環境保全地域@R地区西部へ。

かつてここでは、R地区では記録がなかったカノコサビカミキリを
1頭採集しています。

カノコサビ... 一時期は相当探していましたが
R地区東部〜南部では見出せませんでした。
その後、状況は変わったのでしょうか。。
念の為に再調査する必要がありますね。。



これまでに見てきた社寺林と比べると、実に見事な大樹が多く、驚きました。
(スダジイを重点的に見つめたのは、今回が初めてです。)

陽当たりが良い林縁の墓地に出たところ
地上 8m付近の部分枯れに、ベーツの羽脱孔が多数開いているのを確認しました。



となれば、なんとか☆を挙げなければなりません。

当該樹木の根周りを確認するため、藪に潜ってみたところ...


ありました! これが唯一見つかった証です。


大分古いものでしょうね。。 それにしても、結果としては充分です。


余裕があれば、来年の夏に再訪したいと思います。


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11.11.09-2
環境保全地域 [ 羽脱孔× 死骸× ]


その後、近くにあるもうひとつの環境保全地域を回ってみました。

スダジイの他、シラカシや タブノキなども見られましたが
スギなどに比べると明らかに劣勢で、照葉樹林といった雰囲気ではありませんでした。

ブラックボードの記述とは、いささかかけ離れているイメージでしたね。


しかしながら、こちらのケヤキはかなり見事でしたよ。


少しずつ、R地区西方の社寺林も 見ていかねばなりませんね。




11.11.20
[ 羽脱孔○ 死骸○ ]


日没前の およそ1.5時間を利用して、かなりマイナーな社寺林を調査しました。

この神社は、滅多に人が訪れないエリア内にあります。
日に一度、付近の細道を農家の方が利用するかしないか... その程度です。

地震の影響もあったのでしょうけど... 建築物は、倒壊寸前でした。



鬱蒼とした照葉樹林内を徘徊するうちに
スダジイの 立枯れ+倒木 を見かけました。

本来、こんな グズグズの朽木には宿りませんが...
何年も前のものとはいえ、沢山の羽脱孔を見つけてしまったので
簡単には引き返せなくなりました。



ビショ濡れの朽木の中から、♂の頭部と前胸が確認されました。


古い死骸ですので、現在棲息中であることを証明するのは難しいですが
とりあえず、動いた甲斐がありました。





11.12.05
[ 羽脱孔○ 死骸○ ]


ここも、通勤中に気になっていたポイントのひとつです。

早い仕事帰りに立ち寄ってみると
予想以上にスダジイの大樹が多く、感激してしまいました。


地上 7m 付近の裂け目から、多数の羽脱孔が確認できました。


神社の裏手に回り、風通しの良い環境を念入りにチェックしました。


ありました!根部の窪みの奥から、♂の頭部です。


この他に、獣の糞を見つけたので 解体してみたところ...
シデムシ、アオオサ、エサキオサ、センチコガネ、ノコギリカミキリ
それから、ベーツヒラタカミキリの死骸も混じっていました。
境内には街灯があったので、糞の主は、そこに集まってきた甲虫を
食べていたのかもしれませんね。。


日没間際まで滞在していたせいか、近所の方々がこちらを気にしていたようでした。
帰りに事情を説明すると、来年の夏に また訪れることを快く了承してくださいました。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。




11.12.12
環境保全地域(R地区外) [ 羽脱孔× 死骸× ] 


R地区ではないのですが、地区周辺の社寺林も無視はできません。
別件の用事を後回しにして、ちょっとだけ立ち寄ってみました。



スダジイの古木は多数見られたものの、手がかりは何も見出せないままタイムアップ。。


雰囲気は良かったので、来シーズン中に余裕があれば もう一度訪れておきたいところです。




11.12.20
[ 羽脱孔○ 死骸× ] 


目的地へ向かう途中で “ え、こんなところにも!?” と思えるような
有望な神社を見つけてしまいました。

まさしく想定外... 境内には樹齢を重ねたスダジイが何本も生えていました。



羽脱孔は、古いものから新しいものまで沢山認められました。


死骸は見つけられませんでしたが、またやってこなければなりませんね。



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11.12.20-2
環境保全地域 [ 羽脱孔× 死骸× ] 


そして、本来の目的地@一つ目へ。。
規模が大きい自然環境保全地域です。

前回は、駐車スペースを探す余裕さえなかったため
探索を断念しました。



沢山のブロッコリーが観察できましたが、老木や立枯れは少なそうです。

有望視していた割には、ベーツの羽脱孔、死骸共に見つけられませんでした。
しかしまだ初回ですので、もう暫らく様子を見ておきたいところです。



一つ気になった点は、神社の鳥居付近に大きなイヌマキが植えられていたことです。
よく見れば、周辺にある民家の生垣にも多用されており、この地域では かなり身近な樹木なのでしょう。

念の為にチェックを入れてみましたが、今のところ ケブカトラカミキリの被害はなさそうでした。

しかしながら、被害が甚大な職場付近@千葉県旭市から ここまでの距離は わずかに 40km程度ですので
いずれは入り込んでしまうのかもしれませんね。。

ラミーほどでない限り、自力で利根川を越えるのは難しいと思いますけど。。


基本的に僕は、いてはいけないムシの侵入は望みません。
困る人が沢山出るだけではないです。
そもそも、人為的な影響により、然るべき環境が変わるのは好ましくない気がします。


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11.12.20-3
環境保全地域 [ 羽脱孔× 死骸× ]


では、二つ目の目的地へ。。

これまでに何度も眺めていましたが
車を降りて探索するのは初めてになります。


ベーツの手がかりは見出せませんでしたが
樹林内には ネズミモチなども見られ、楽しかったです。



遠くから、モコモコとしたブロッコリーの林を撮影しました。


この日は、気になっていた環境保全地域を含め、効率よく 3地区を回れました。



〜 後記 〜


以上、11日分 16地区を調査した備忘録となります。

わずか 1〜2時間程度の滞在・調査でも、コツコツとつなげておけば
いつの間にか かなりの知見が得られますし、地域に対する想いも膨らみます。

これまでずっと、ずっと そうしてきたわけですから...
最終的には、しっかりと纏めなければいけませんね。。




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