調査履歴

“2011年 第5次調査” 編 (2)



11.10.08
Sat) Mt 備忘録(2) 強烈な台風の後に
                                                                                                 

気がつけば、早くも 10月です。

久しぶりに、大好きな森へ脚を運ぼうと思います。

昨年ほどではないにせよ
今年も折を見て通っていましたが
前回から随分と日が空いてしまいました。

9月 21日に、強烈な台風15号が関東を襲いましたので
急斜面に形成されている森の様相が、ちょっと気がかりです。

材採を兼ねながら、様子を見てこようと思います。



ゆっくりとしたスタートで、12:00 前に現場入りしました。

マイ・カーを乗り入れた土場付近では
砂利敷きの道路上に渓流が溢れ出し
流されてきた木片などが散乱していました。

台風時は、よほど増水したのでしょう。。

木製の古い橋も、壊れていました。


入口から、驚かされました。
@ 11:52



暫らく見ないうちに、随分雑草が蔓延りましたね。。
林業用作業道は、大胆に えぐれていました。


地盤が緩んでいます。
気をつけて参りましょう。... @ 11:59



その後、自分の背丈ほどに成長した藪の中を 200mほど進みました。


秋ですねぇ... @ 12:18



傷んだクワには...


手前の枝、左下の方です。... @ 12:22



キボシカミキリが見られました。
随分遅い時期まで活動しています。



キボシカミキリ
Psacothea hilaris hilaris (PASCOE, 1857)



ようやく、自然林へ。。



いつも出迎えてくれる、頼もしい大樹は健在でした。
@ 12:28



こちらの沢は、帰りに降りてこようと思います。



クワガタ@小型種が眠るエリアです。



今回の登りは、材採コースを辿ります。。

細い沢筋には、土砂や木片などが かなり堆積していました。。



(3) の沢筋から。。



まず初めに、上方からぶら下がる サルナシを見つめました。



傷んでいる部分は、心得ています。



樹皮の下には、割と新しい食痕が走っていました。



菌糸も入っていますね。。



昨年から見ているホオノキです。 今年は変化がありません。。



また来年も訪れたいです。...@ 12:53



サワグルミのポイントです。



写真では なかなか伝わりませんが
かなりの大木なんですよ。



暫らくの間、根回りに散乱する落ち枝をチェックしました。。



幼虫や食痕が入った材を選びました。



見上げれば、青々とした葉が広がっています。


サワグルミの緑は、優しいです。... @ 13:07



深い沢筋に、陽が差し込んできました。


斜面下方が えぐり取られ
沢の幅が広がっていました。。



あれれ?

目の前の空間が、あまりにも突然に広がったので
ちょっと面食らいました。

そして、これまで通い慣れていたはずの谷底が
まるで別世界に変わっていたことを悟りました。

林床の草木も、随分流されましたね。。



上から... @ 13:37



登ってきた沢筋を、見下ろします。


下へ。。



斜面上にあった倒木@イヌブナの向きが、90度左に回転していました。。


これには驚きました。。



地崩れする斜面を這い上がり、尾根に乗ります。

おお、頼もしいですねぇ。。
お気に入りのブナは、しっかりと根を張っていました。

この周辺では、食痕が走ったハリギリの落ち枝を拾うことができました。


ここへ来ると、必ず撮るんです。... @ 13:53



明るみに出ました。

前方のモミ林が、年々見えなくなっていきます。
植林の成長ぶりが窺えますね。。


正面は、まとまったモミの林です。... @ 14:15



峠は既に越えています。

今回は、下山後に もう一つ別の地域を訪問しておきたかったので
この辺から少々足取りを速めました。


ブナの木肌は、美しいですね。... @ 14:25



あらら...

訪れる度に眺めていた モミでしたが
衰弱が著しく、とうとう折れてしまいました。



強風に 耐えられなかったのでしょう。。



傍に横たわる、折れ目から上端部分です。。


この状態で雨にさらされると
腐朽が一層早まりますね。。



樹幹には、ヒゲナガカミキリの食痕と羽脱孔が。。


ヒゲナガカミキリの幼虫は、衰弱したモミの
樹皮下から食べ始めます。



楕円形の羽脱孔は... 何だろう。。オオヨツかな??


オオクロ、オオヨツ、アオタマムシなど
多くの甲虫が産卵していました。



おっと... 陽が大分西に傾きました。。


下山しましょう。。



この自然林に、何度心を洗われたことか。。


ここも、ちょくちょく掲載してますね。。



向かいのモミは、大丈夫でしょうか。。


次回は、あちら伝いに下山しましょう。。



緑が黄緑へ... 秋の色に、変わりつつありますね。。


人の手が入らないから、自然林は険しく
そして美しいのです。。



せっかくですので、ムシの写真も掲載しておきます。
最初の沢へ降りてきて、落ち枝から コルリクワガタ 1♀を確認しました。



コルリクワガタ
Platycerus acuticollis acuticollis
Y.K
UROSAWA, 1969



大量の材を担ぎながら、40分かけてマイ・カーの元へ。。
普段とは違った険しさが、やはりありました。

しかし、人為的に受けたダメージでない限り、森は時間をかけて再生して行きます。。
その力は、計り知れませんよ。。

今年中に、また訪問できればと思います。


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さて、予定通り もう一巡りしてから帰りたいと思います。


陽が暮れる前に。。



道中 気になった、クワガタ的雑木林です。。


こういったポイントが、まだあったのですね。。



日没前には、何とか目的地へ辿り着きました。。


左下の犬 (ハスキー?) が傍へやってきて
嬉しそうに吠えるのですよ。。



ありました! お馴染みのブラックボードです。

尾根に取り付けば、イヌブナやイタヤカエデ、モミも
見られるとか。。

いずれはここも、詳しく見ておきたいところですね。。



これまで見てきた中で、最も古いかもしれません。。
@ 17:29




〜 後記 〜


19:30 に、帰宅しました。

人の行き来が全くない自然林までの踏み跡は
背丈に近づくほどの藪で被われ...

大型の台風により
崖が崩れ、斜面の樹々がなだれ落ち
衰弱したモミの巨木が、へし折れていました。

しかし、これも 自然の摂理です。。

沢山の枝が落ちていたので
ハリギリ、サワグルミ、ブナ、モミ、サルナシ材を持ち帰りました。

昨年はブロイニング、今年はジュウニキボシ...
来年は何でしょうか。。
新しい春を待つ、楽しみにしたいと思います。

日没間際に、久しぶりの山へも立ち寄りました。
あちら方面は、植林地帯というイメージが強かったのですけど...
未知の自然林が残されている可能性があるのなら
やはり無視はできませんね。。




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