調査履歴

“2011年 R地区調査” 編 (36)



11.12.18
Sun) Plateau 「スダジイの古木めぐり その8」 
                                                                                                  

僕には、いったんの節目を迎え なおも細々と継続しているテーマがあります。
それから、久しぶりに見つけた 新しいテーマがあります。
そして... やり残していた、大切な仕事を思い出しています。

まぎれもなく、それが僕の原点でした。

だから、照葉樹林については勿論、R地区の調査をコツコツと進めて参ります。



これで何回目になるでしょうか。。

来期まで待てず、SHINMATI の裏手にある環境保全地域へ
また立ち寄ってしまいました。


羽脱孔を見つけてから、5回、6回。。
実は、何度も訪れているんです。



鬱蒼とした林内よりも、陽が当たり 風も抜ける場所へ出ます。。


ブロッコリーが沢山あります。



藪蚊に刺されまくって、何度も覗き込んだ洞です。


貫禄充分の老樹です。



古い羽脱孔なら、ポツリポツリ 見られます。



つぶれた楕円形が 特徴です。



今回は、根際の窪みに詰まった落ち葉を 丁寧に取り掃ってみることにしました。


地味に行きます。



で、暫らく経った時に。。。

はぁぁぁ... 遂に来ました!


ようやく 証拠が出ました!



考古学好きの観点からすると、まるで遺跡の発掘をやっているような気分です。
遺物が出た、そんな感じ。


腹部に続いて、♂の前胸と頭部、それから触角です。



良かった。 本当に良かったです。

これで、ホシベニ時@96年 からずっと拘り続けてきた樹林にも
▲プロットが入ります。



続いて、別のスダジイを見つめました。



これだけでは終わりませんでした。

更に、新たなスダジイの樹上を見上げていくと。。
思いも寄らぬサプライズが訪れたのです。


マジですか。。



あの、ノコギリクワガタのように鮮やかな赤色は。。


写真の中央になります。。



間違いありません。


樹皮に挟まったまま果てた、ベーツヒラタです。
やはり、ボーベリア菌にやられているようですね。。



おそらく完品でしょう。。
乾燥しきっているようですので、壊れないよう慎重に取り出しました。



実に立派な顎です。 大型の ♂でした。
丁寧に、殺菌・軟化処理したいと思います。



明らかに、今年の夏に果てた個体です。 この事実は、とても重要だと思います。
茨城県が指定している貴重な樹林には、今もなおベーツが棲息中である。
そのことが裏付けられたわけですから。。



この樹林には、ある程度の規模があります。
写真は、道路を挟んで 反対側のブロッコリーです。
1ヶ月ほど前に、チェックを入れました。



早い段階で、またひとつ 小さな前進ができました。
これまでに何度も通っていた経緯を考えれば、今回は運が良かったのだと思います。


さて、更に歩を進めて参りましょう。


いつもの谷津田を流していきました。



お!あれはもしかして。。


手前のタブノキではなく、その向こうが気になりました。



独特な葉脈です。

ここのところ気にかけている ヤブニッケイかな!?
と思ったのですが。。。



R地区で、ハッキリさせておかねばならない
課題なのです。



実が赤いので、違うようです。
シロダモでした。



ヤブニッケイは、黒っぽい実をつけます。



いずれにしても、同じクスノキ科ですので 大変近い種類のように思えます。
ならば可能性があるはずです。

ここで課題としている カミキリムシは、“ 枯れ木 ” に宿ることを知っていたので
早速落ち枝を探してみました。



折れた後、他の枝に引っかかっていました。



枯葉がついているので、同じ樹で間違いありません。


独特な葉脈を見れば、分かりますよね。



ちょっとだけ折ってみると... おお!幼虫が入ってました。


まだまだ 入ってそうなので、楽しみです。



図鑑には出てませんでしたが、課題としているカミキリムシ(ヒメリンゴでありません。)は
この樹木も食べると伺いましたので、楽しみが繋がりました。



それから。。


傍にあった 蔓性の植物にもチェックを入れました。



半分枯れた状態なので、種名は分かりませんが
おそらく、野生のブドウ類だと思われます。


ムシが糞を出した痕 (何かを注入した痕)?も
見られました。 また、ブドウスカシバかな。。



何が宿っているのかは分かりませんが、こちらも採取して持ち帰りました。


ノブドウだと思います。
楽しみは、多いほうが良いですね。



さぁ、制限時間いっぱいです。

今回は、11:30 〜 14:30 という短時間ながら
非常に有意義な内容だったと思います。



〜 後記 〜

.. 期待ができる材採や 新たな棲息地の把握ができて
とても良かったと思います。

長いストーリーは、少しずつ ゆっくりと展開していくものです。
今回も またひとつ繋がりました。

ずっと抱いていた想いは、誰にも分からないものです。
このまま埋もれることなく、いつか成就させないといけませんね。。

採集したベーツヒラタカミキリは、軟化して展足しました。
入念な殺菌処理も 必要です。

ベーツヒラタカミキリ

Eurypoda batesi GAHAN, 1894





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