調査履歴

“2012年 第5次調査” 編 (5)



12.01.06
(Fri) Mt 備忘録(5) 今年もよろしくお願い致します。
                                                                                                 

明けまして、おめでとうございます。
2012年も、どうぞよろしくお願いいたします。

新年早々、大好きな山へ ご挨拶をしに伺いました。
ストーリーは、まだまだ ゆっくりと継続中です。



今回は、久しぶりに Mの沢から。。

かつて、大きなコガネムシが落ち着いていた斜面を見下ろしたところ
ちょっと寂しい光景が飛び込んできました。


いつか、倒れると思っていましたが...



昨年の秋に、関東地方を直撃した巨大な台風の影響で
古いモミの立枯れが、こちらでも 倒れていました。


今まで 気づきませんでした。



腐朽が進行し過ぎて、とてもムシが宿るようなものではなかったのですが
僕にとっては、とても存在感がありました。
様々な想い出がありますし、かつてはここで育まれた甲虫も多いはず。。


そして... このような流れですから、つい先日の話も付け加えておこうと思います。
昨年の暮れ( 11.12.30 )に見つめた こちらでは
いささかショックで、切ない気持ちになりました。

スギや ヒノキの植林で覆われた、長い長い尾根筋が
かつてはブナの自然林であったことを証明する
実に頼もしい存在だったのですけど...

この通り、半分力尽きてしまったのです。。


樹齢を重ねた、大ブナまでも。。



天災、老衰... 自然の摂理とはいえ、辛いものです。
倒れてしまってもなお、生気が残されているのですから。。

やがては果ててしまうのでしょうけど
孤独に生き存えてきたことを、知っているのが人間だけなんて...
周囲にはどこを見渡しても、見届けてくれる仲間がいないんです。

建築学(自然立地的緑地計画や古建築)を専攻した経緯があるので
植林が横行した時代背景だけでなく
山を守るために、林業が重要であることも、少しは知っています。
お仕事に従事されている、あたたかなお友達が沢山います。

けれど... だからこそ、色んなドラマが見えてくるものです。。



年明け早々に、湿っぽい話はこれぐらいにして...
気を取り直し、B, M沢筋間の稜線を辿り、Bの沢筋へ降りました。


この辺から、参りましょう。



落ち葉が積もった、急斜面を滑り降りていきます。



真ん中にサルナシが垂れ下がっています。。



せっかくですので、今回も材採して帰ろうと思います。



どちらかといえば、沢筋に多いようですね。。



枯死してまもないもので、なおかつ可能性があると思われる材だけを厳選しました。
今回は、少し手応えを感じています。



そして... 帰りに見つけた 新たなモミ。。

このエリアでは、これぐらいの太さのものに
このような傷痕が出現するケースが多いようです。
病気でしょうか... かなり謎です。



トラのものでは、ないとのこと。。



西からの陽射しを受けた山の斜面が、映えます。


てっぺんと、一続きに繋がる植林の尾根です。



さぁ、引き返しましょう。
沈む太陽を追いかけるように、斜面を登ります。



これから少しずつ、日が延びていくことでしょう。。



まだまだ長いつきあいになりそうな
山々の景色を振り返り、ご挨拶を。。



今年もよろしくお願いいたします。



時間をかけて、2代目 マイ・カーのもとへ。。

事情があって、ここへ運んで貰う機会は
もしかしたらこれが最後になるかもしれませんね。。



18番、もう一回来てくれる??



無事に新年のご挨拶を済ませ、ホッとしたせいもあり
睡魔が襲ってきました。
冷え切った身体が温まれば、なおさらですよね。


今年も同じパターンを繰り返す予定です。 @ 16:24



道中は長いです。 気をつけないと。。




〜 後記 〜


18:30に、帰宅しました。

昨年の 9月21日に関東地方を襲った
強烈な台風15号の影響は、他の老木にも及んでいました。

広大な植林地帯が、かつては豊かな自然林であったことを証明する老ブナまでも
痛烈にダメージを受けてしまいました。

まだ半分は大丈夫とはいえ、永年しぶとく生き存えてきたことを想像すると
やはり切なくなります。
最期を見届けてくれる、仲間もいませんからね。。


近年の “ ムシ採り ” は...
想い入れがある地域自然の調査や個人的な興味へ繋げるために行っています。
勿論、得られたムシは標本にして大切に残しますが...
一般的な昆虫収集とは、目的やスタンス、成果の価値観が異なるのかもしれません。
趣味の世界は、人それぞれに楽しいのが一番ですよね。

一アマチュアの、お散歩程度に捉え
お時間がある際には 覗いていただければ幸いです。。m(_ _)m

本年も、どうぞよろしくお願いいたします。


後ほど、この日に持ち帰ったサルナシ材の幼虫を観察してみました。
食べている部分、亜科などは判別できますので、概ね見当がつきますね。。


樹皮下だけを食べます。 幼虫が出てきました。
A面。特徴的な前胸ですね。 B面。明瞭な6本の肢はなく、 顎の幅と突出が目立ちます。





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