調査履歴

“2012年 R地区調査” 編 (39)



12.02.03
12.02.04  Plateau 「スダジイの古木 〜 竹垣 めぐり」 
                                                                                                  

2月です。 この時期にしかできないことを、コツコツと繋げて参ります。
例え小さなことでも積み重ね... 想いと共に膨らませていきます。
それが、僕の歩き方 “ みちくさ ” であり、R地区調査の要です。



12.02.03
[ 羽脱孔× 死骸△ ] 


東側を行きます。

まずは、2007年の春に訪れた神社を見直してみようと思います。
5年前の視点はスギカミキリに向いてましたが、今回は照葉樹林の分布調査です。

広大な水田の中を走っていると、頭上に大きなトビが舞っていました。
その中に 1羽だけ、小型の猛禽が。。
何でしょう?僕なりに調べてみたのですが、コチョウゲンボウではないかと思います。




あったあった!

大分ご無沙汰してしまったので、アクセスに苦労しました。

早速神社の境内に入ってみると...
タブ、スダジイ(巨樹はなし)、アカガシ、クスノキ、シロダモ、トベラ などが見られました。。

ベーツの足跡は... 残念ながら今回は確認できませんでした。




続いて、晩夏に訪れた環境保全地域へ。。

ここは、樹齢を増したスダジイが優占しているので
気合が入ります。

いつも通り、懐中電灯をかざしながら
樹皮の隙間や根周りの窪みなどを丁寧にチェックしてみました。

ここは絶対に 黒 (プロット) だと思うんだけど。。

樹林内のほぼ全域を回りましたが
ここでもベーツの足跡を確認することはできませんでした。

しかし、この神社の裏手が急斜面になっており
高台に位置していることがわかりました。
地形を頭に入れておくことも、重要です。

滞在時間は約 1.5時間。。
毎度綴っていることですけど、藪蚊がいなくなった
この時期ならではの調査ですね。。




ちょっとだけ休憩。。陽当たりの良い場所へ出てみました。

広い土地に、マツが植えられていました。
縦横に整然とならんでいます。

どうやって植えたんだろう。。

スタートは苗木から?
手作業だとしたら、凄い労力ですよね。。





地図を眺めていたところ、付近に まだ訪問していない神社があったので
ちょっとだけのつもりで様子を見に。。

このエリアは、訳あって中学3生時にも訪れています。

え? 受験ですよ お受験!落ちましたけど... (^ ^ヾ

へぇ〜、意外... 小規模ながら こんなところにもブロッコリーがあったんだ。。

ということで、気持ちを改めて調査開始です。




狭い境内には、巨樹とは言いがたいスダジイがポツリポツリ。。
念の為に根周りの窪みを覗き回りながら
ここも難しいかな... と感じ始めていたところ。。





おお、ありました!
あれは間違いなくベーツの上翅です。


しかし、引っ張り出して良く見ると 獣の糞ではありませんか。。
色んな甲虫が団子になって干からびていました。

因みに... 臭いは全くありません。




手前の赤い上翅や、右上端の触角などがベーツです。
大半を占める黒い部分は、カブトムシの♀。。
それからコメツキムシ、ヨツボシモンシデムシなども混じっているようです。

主は分かりませんが... みんな必死で食べてるんですね。。
以前もこの様なものを見つけましたけど...
これだけ食べて、どれぐらいの栄養を摂取できるのでしょうか。。

面白いので、今回は資料として丸ごと持ち帰ることにしました。

悩みどころはひとつ... この神社にプロットが打てるかどうか。
死骸はどこか別の場所から運ばれてきたものかもしれません。。


さてさて、最後は実家方面へ向かいながら 6年ぶりのエリアへ。。

竹林の背後に、薄っすらと影が見えますよね。。
高台の上は、実は墓地になってまして。。
以前は竹垣や竹箒などに、タケトラカミキリが発生していたのですが...
長い年月を経たので、どのホストもボロボロに腐朽してました。

おそらく棲処を移したのだろうと思い、今回はこちら側を散策しました。


案の定、すぐに羽脱孔が見つかりました。
孔のサイズは、これぐらい... ベニカミキリのものよりも、大分小さいです。
一度見れば、間違えることはないと思います。




倒れた竹材を持ち帰って、割ってみました。
食痕の断面は、いかにもトラといった形状ですね。
また、粒子が非常に細かく、乾燥していて、クリーミーな色も特徴です。。





幼虫が出てきました。
カミキリ亜科、それもトラの顔です。
体長 16mm 前後まで成長してました。






勿論、飼育して経過を見ようと思います。

いわゆる普通種であり、既採集、既知産地の個体ですが
健在ぶりを確かめて、周辺環境の変化量を実感するのも
僕の楽しみ方の一つなんです。

久しぶりに竹を見つめました。
せっかくなので、明日も流れに沿いたいと思います。



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12.02.04


夕刻前の お出かけです。

ここは我が故郷、R地区。。
地の利を活かして、竹林と竹垣がセットになっているエリアを散策してみました。

お!なんというタイミング... ちょうど斜面の竹を伐採しているところでした。




この地域の竹垣は、概ね自家製のものかと思われます。




ああ... やはりやられちゃってますね... 早速、羽脱孔を確認しました。
お住まいの方にとっては、気の毒なことです。
成虫出現期に、また様子を見にこようと思います。




数km 離れて、別の敷地へ。。

手造りらしい 味が出ていますが
やはり、こちらの竹垣もやられてます。。





付近で思い当たる、もう一ヶ所。。




空き家なのですが、案の定でした。。




人の生活空間に依存しているタケトラかぁ。。

このテーマにいては、例え狭いR地区内であっても
もう少し幅を拡げられそうな気がしますね。。

陽が沈みかけていますが、更に もう一ヶ所回っておきたいところがありました。





急げ〜!




こちらの神社です。。

樹林と呼べるほどの規模はありませんが
先日、遠方から でかいスダジイを見かけたので
思い出したときに、チェックしておかねばなりません。。





お堂の傍のスダジイです。

写真では伝わりにくいと思いますが
間近で見ると、それはそれは立派なものでした。

ベーツの手がかりは掴めなかったものの
見ごたえ充分でしたよ。


付近には、落とした枝の丸太材が。。
わわ... 古いですが、こりゃノコギリカミキリの羽脱孔ですね。。




ただいま! 今回はこの辺で。。




わずか 2時間ほどの散策でしたが、また一歩前進できた気がします。



〜 後記 〜


以上、2日分 の備忘録となります。

持ち帰った獣の糞は、後ほど写真を撮りながら分解してみます。
楽しみです。
ベーツの死骸も混じっていますが
どこから運ばれてきたものか分かりませんので
あの地点へのプロットは保留にしておきます。

また今回は、6年ぶりにタケトラの足跡を辿ってみました。
これについては、徐々に探索の幅を拡げられればと思います。

冬季は、下見や材採に、死骸探し。。
毎年毎年、この繰り返しですね。

限られた時間を、上手に使って歩を進めて参ります。


それから、採集した幼虫の写真も
今後はなるべく掲載しておこうと思います。




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