調査履歴

“2012年 R地区調査” 編 (41)



12.02.17
12.02.20  Plateau Plain 「見直し・開拓調査 + 幼虫観察」 
                                                                                                  

近頃は、雪が良く舞いますね。。
この時期を凌げば、ようやく 3月です。 春が訪れます。

しかし、冬季の内に やっておかねばならないことは山積みです。
なので、少し時間を作り ピッチを上げました。

今回は、かつての歩みを見直します。
勿論、新しい産地を探索したり
折を見ながら 社寺林など照葉樹林の分布調査も
継続したいと思います
また、種々の幼虫にも ささやかながら着目してみます。



12.02.17


降雪のため、午前中に 若干の時間ができました。
このチャンスを活かし、少しでも歩を進めておこうと思います。

手持ちの地図上から まだ調査していない神社を見つけておいたので
まずは そこから。。

地域外では あまり知られていない神社のようですが
大変立派なスダジイが、沢山生えていました。

羽脱孔や死骸は見出せなかったものの、今後は要チェックです。




続いて... 見直し調査です。

2007年に、yasu と訪問したエリアになります。
付近まで住宅地の建設が進んでおり、乾燥も進んでますが... 
その後はどうでしょうか。。





当時は、アケビ材から カッコウメダカカミキリを割り出しているのですが
今回は... 手が届く範囲に アケビ材が見当たりませんでした。。

高所には ぶら下がっているのですけど... とてもとても。。
これでは健在ぶりが確かめられません。
次回は 高枝切り鋏 を持参したいと思います。

乾燥したエリアには、アカマツも生えているようですね。
今回は道具を持ち合わせていないので
材採もできません。。

こちらは、ヤブニッケイの葉。。 まだ若木です。




最後に、フジの枯蔓から幼虫を得ました。

カッコウメダカカミキリは、フジにも入ります。
ただ、かなり少数派ですけどね。。
( トガリシロオビサビや、ワモンサビなどが多いです。 )

何となく、カミキリ亜科のようにも見えますが...




名前を タイプ A とし、飼育して経過を見ようと思います。


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12.02.19


この日は午前中から調査を開始しました。

何度も訪れている エリアですので
カッコウメダカカミキリの見直し調査となります。




これ一頭を見つけるのに、相当苦労しました。
5、6年前は、要所毎に群れていたものですが。。
気候の変動か... 農薬の影響か。。
それとも、たまたまか。。

成長過程の傾向は、樹皮下から食べて 材中に蛹室をつくる。。
他の多くのカミキリムシと、概ね同じパターンみたいですね。


Stenhomalus (Stenhomalus) cleroides BATES, 1873



ついでに... こちらは、あっさりと見つけられました。
いつ見ても、色調と造形が美しいですね。。

僕個人の印象では、和テイストです。



Niphona furcata (BATES, 1873)



ここで、午前の部は終了。
お昼御飯を食べに いったん実家へ帰宅しました。

因みに、今は こんな車に乗ってま-す。




日没前に、小学生時、土器が拾えたエリア方面へ。。
それから帰りには、近所の神社@谷津田付近を再訪問しました。

引き続き、カッコウメダカカミキリの見直し調査です。

土器エリア方面では、アケビ材より幼虫 ( 写真↓左 ) を得ました。
小さくて、細長〜い です。
顎や前胸の様子を見ていると、カミキリ亜科のように思えます。
成虫の再発見は かないませんでしたけど、飼育して経過を見るつもりです。

しかし... 上掲した 先日の タイプ A とは大分違って見えますね。。


神社方面では、アケビ材自体が見出せませんでした。
新たな発見は、現場にイヌザンショウが沢山生えていることです。
材採してきましたが、顔を見せた幼虫 ( 写真↓右 ) はフトカミキリ亜科のように見えます。。


細長〜い... 幼虫 タイプ B @アケビ材より。。 幼虫 @イヌザンショウ材より
カミキリ亜科っぽい。 フトカミキリ亜科



やばいなぁ... 幼虫観察にハマッています。。
光量不足で、ピンボケになってしまいスミマセン。。


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12.02.20


さて、この日は朝から気合を入れて出発しました。

まずは、再訪問 エリアにおける、カッコウメダカカミキリの見直し調査です。




今回は、高枝切り鋏を持参しましたので、高所の枯枝を チェックできます。




カッコウメダカカミキリが好む、アケビ材の節の部分から
幼虫が出てきました。

例年にない寒さの影響でしょうか。。
あちこち回っているのですが、成虫は なかなか出てきてくれません。
成長が停滞気味なのかも。。




アケビの材芯部を まっすぐに食い進んでいた幼虫も出てきました。

おや? こちらは先日フジの枯蔓から割り出した、タイプ A にそっくりです。。




更に、材芯部分を食い進んでいる 別な幼虫も出てきました。
とても小さく、何だか黄色っぽいです。





持ち帰り飼育するつもりなので、これ以上の割り出しはできません。

全容を掲載できませんが...
細長く、上掲した タイプ B に似ている気もします。




アケビ材については、これで終了。
うまく羽脱してくれれば、いずれ結果は分かります。


それから、こちらの方も ぬかりなく。。
早速、シノダケ材に 産卵マークを見つけました。




割ってみます。

食痕の大半は細かい粒子が詰められていますが ( ↓写真右側 )
粗めの木屑が詰められていると ( ↓写真左側 )
その先 ( ↓写真左側の見切れている部分 ) に
蛹か羽化した成虫が潜んでいるケースが多いんです。

答え合わせをしてみたところ... やった!正解でした。



Niphona furcata (BATES, 1873)



アケビ材の幼虫 2タイプと、ハイイロヤハズカミキリを確認できたので
ノルマ完了です。 場所を移します。。


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続いて新たなポイントです。

アケビ材が蔓延っていることは、以前から知っていました。




新鮮な材と 枯れた材が、縄のように絡み合っています。




ここでも、A B 両タイプの幼虫が出てきました。

また 同じ材中からは、成虫の死骸 ( 2枚の上翅がついた腹部など ) も出てきましたので
A B のどちらかが、カッコウメダカカミキリ なのだと思います。

今後の答え合わせが楽しみです。
とりあえず、死骸が出ましたので 新産地としてプロットが打てますね。



幼虫 タイプ A
幼虫 タイプ B



案外同種だったりして。。(^ ^;;


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3つ目のエリアは、つい先日 (上掲↑) を含めて 再々訪問 となります。





今回は、道具の準備に ぬかりがありません。
高枝切り鋏も持参していますので、枯材のチェックができました。

ここでも死骸が出ましたが
見直し調査は、健在ぶりの確認が重要ですので
できれば生体を確認したかったです。。




せっかくですので、前回見つけておいた アカマツ材も 持ち帰りたいと思います。




こちらになります。

古い食痕や、羽脱孔なども窺えます。




幼虫も確認できましたが... あろうことか、未撮影でした。。

夏季になると、サビカミキリや アカハナカミキリ、 マツノマダラカミキリ なんかも
どこからともなく やってきます。 案外いるものです。

ノコギリも持参しましたので、太目の枝を切断して持ち帰りました。


こちらは、シノダケ材から出てきた ハイイロヤハズカミキリの幼虫です。
特徴的な体形ですよね。 頭部・大顎 はフトカミキリ亜科の特徴が出ています。


Niphona furcata (BATES, 1873)



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続いて、台地上を行きます。


まずは民家の裏手、屋敷林内に 巨大なスダジイを見つけました。




いつものように、樹幹や根際から 死骸を見出すことはできませんでしたが
高所には、枯死した部分に 羽脱孔らしきものが見えました。

ここも覚えておかねばなりませんね。。




そこから 数キロメートル移動したところで
尚も嬉しい発見がありました。

ヤブニッケイの成木です。 ようやく出会えました。

しかも、枯死した部分が 枝打ちされてます。
陽当たりの良い、照葉樹林の縁側にあるので 環境も良さそうです。




これは要チェックですね。
後ほど、地主さんに許可を頂いて 落とした材を 拝見させていただこうと思います。



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最後に、ぐ〜んと東側へ移動して 新たなポイントへ。。

ここも、カッコウメダカカミキリの 新産地になるでしょうか??

アケビ材は、豊富にありそうですが...




出ました! この日初となる成虫の生体です。
小さなカミキリムシですが、アップで見ると なかなか カッコイイですね。
またも高枝切り鋏が活躍しました。

そうだ、同居している 幼虫を見てみよう! と思い調べたのですが
全く出てきませんでした。。


Stenhomalus (Stenhomalus) cleroides BATES, 1873



ここで... 16歳になる メスのワンちゃんと散歩中の おじさんがやってきました。

何しているの?? と。。

この日は、色々と収穫があり 気持ちに大分余裕があったので
暫らくの世間話をしてから 引き上げることにしました。

地域の情報を聞くことも、なかなか勉強になりますよ。



〜 後記 〜


以上、3日分 の備忘録となります。

既知産地における、カッコウメダカカミキリの再確認。
新産地 2エリアの確認。

スダジイの巨樹が残る、社寺林や 屋敷林の確認。
有望なヤブニッケイの確認など、実りのある調査だったと思います。

勿論、採集した幼虫は 材と共に大切に 飼育・保管 する予定です。

楽しみが、どんどん繋がっていきます。
春までに、やれるだけのことを やっておくつもりです。





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