調査履歴

“2012年 R地区調査” 編 (43)



12.02.27
12.03.11  Plateau Plain 「見直し・開拓調査 + 幼虫観察 その3」 
                                                                                                  

相変わらず大きな進展があったわけではありませんが
4日分の備忘録です。

例え帰宅途中の 20分、30分という わずかな時間でも
無駄にはせずに材採や下見をしています。

今年は実家からの(R地区経路を利用した)通勤も可能になったので
調査機会がグンと増えています。



12.02.27


歯科医院の予約時間前に、若干の余裕をつくったので
以前から気になっていた照葉樹林の伐採地に立ち寄ってみました。

某学校の駐車場をお借りしてから、伐採地が見える丘の上を目指し歩いていたところ...
サクラの木に ぶら下がった、ブドウ枯を見つけました。




もしや!?

古いものですが、明らかにカミキリムシの食痕が走っていたので
割ってみると...

あらら、キスジトラ の死骸でした。。
※修正します。 12.04.04 にアカネトラと判明しました。 ちょっと意外です。




で、目的の伐採地です。

樹種は、タブノキ、クスノキ、スダジイ、それに混じってコナラなど。。




裏手にも回ってみましたが、想像以上の広さに驚きました。。




以前にも記しましたが、R地区に残る貴重な斜面緑地@照葉樹林 が滅びることは辛いんです。
自然立地的な高分級緑地ですからね。。
しかし、このエリアにはどのような甲虫が棲息しているのか... 
伐採地は、それを知るための手がかりになりますので、このような機会を無駄にはできません。

林床には、少ないながら カクレミノも見られました。




アケビ材もかなり沢山ぶら下がっています。




コナラの樹皮をベリッと剥がしてみれば、幼虫がボロボロと出てきました。




亜科違いの2種類... さぁ、いったい誰なのでしょう??




これら幼虫は、近日再訪問して回収し 飼育したいと思います。
また、夏季(5、6、7月)にも 飛来する甲虫を確認しなければなりませんね。


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続いて、2つ目の伐採地へ。。

以前、落ちている瓦礫などをめくってオサムシ科を探した経緯のあるエリアです。
ガードレールの向こうには、沢山の伐採枝が積まれていました。




道路を挟んで、反対側の広場には。。

あれれ?? なくなってる。。

実はここ、年始早々1月5日にも訪れているのですが...
その時には大量の伐採木が積まれていたのです(写真右)。





とりあえず、残された枝の方だけでも見ておきましょう。

新鮮なタブノキの伐採枝には、切断面に このようなトンネルが開いたものも幾つかあります。
カミキリムシの幼虫が入っているかもしれませんね。。
(持ち帰って経過を見たところ、後日粒子の細かい木屑で栓がされました。 幼虫が入っている証拠です。)

※材の経過を見たところ、12.05.06 にホシベニカミキリ 1♂2♀が羽脱しました。




こちらは、スギカミキリの食痕です。




まだまだ見るべき点は多そうですね...
ここも再訪問しなければいけません。。

さて、この辺で制限時間一杯です。 そそくさと歯の治療に向かいます!


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12.03.02


土砂降りの中の帰り道。。

このエリアでは、千葉県木である イヌマキ が生垣や庭木として多用されています。




ということで、話題となっているムシにも目を配らねばなりませんね。。

いつか入ってくるのだろうか... それとも、既に入ってしまっているのか...
どちらなのか分かりませんが
正直僕は、入ってきて欲しくありません。
存在して然るべき種類ではありませんので。。

しかし、現状の把握に努めることも R地区の自然を見つめる一ムシ屋としての
重要な姿勢だと思います。

とりあえず、伐採枝の断面を見る限り綺麗なものでした。




そういえば、裏手に広がる藪の林床にはカクレミノが数本生えていました。。




イヌマキについては、これからも、あちこちで覗いて行くつもりです。


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12.03.04


夕暮れ前の、2時間ぐらいの材採です。
この日は、こんな樹種を目当てに やってきました。




古いものですが、枯れ枝には食痕が。。
状況を見る限り、小さなカミキリムシの幼虫が高密度で入っていた可能性がありますね。。

考えうる種類が幾つか思い浮かびますけど...
何が出てくるかはお楽しみということで、ある程度材採して帰りました。

※材の経過を見たところ、12.04.05 に トワダムモンメダカカミキリ、コジマヒゲナガコバネカミキリが多数羽脱しました。



水辺が豊かなところでは、ハンノキも見られるんですよねぇ。。
あちらこちらで群生しているエリアを知っていますが...
果たしてこの地域ではどうでしょうか。。




R地区にも可能性は色々と残されています。
さて、この辺で タイムアップです。


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12.03.11


連日の雨が ようやくあがったので
午後から 2月27日に訪問した伐採地へ改めて向かいました。

前述のとおり、目的は幼虫の回収です。





まずは、このような木肌(写真右)の伐採木を 切断しました。




因みに、樹皮下には このような幼虫が入っていました。
前報にも掲載した、オレンジライン有り@マッシュルーム断面型 の幼虫です。
楽しみですね。





林床には、照葉樹林らしく 3裂と、3脈が。。




さて、目的のコナラ材から幼虫を採集しましょう。




再掲載となりますが、亜科違いの 2種類です。
相変わらず樹皮下に沢山入っているようです。
※内樹皮は栄養価が高いのですよ。




大きさは、現時点では同程度ですが
ナガゴマフとか。。ウスバとか。。その辺じゃないかと。。

その他、幼虫が入っているであろう タブノキの枝も切断して持ち帰りました。
※材の経過を見たところ、12.06に予測通り ナガゴマフカミキリが羽脱しました。



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無事にノルマを完了した後は
久しぶりに、オードリーな神社を訪問してみました。

裏手に回ると...

凄い... ここにもあったんだ。。
立派なスダジイの巨樹が何本も生えていました。




ややや!?

独特な匂いがしたので見上げれば、ヤブニッケイの成木でした。
これも注目です。




良い樹林なのですが、いつものようにベーツヒラタなどを探索する時間は残されていませんでした。
ここも改めて訪問しなければなりませんね。。
(課題は増えるばかりです。。)


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谷津田に沿って帰路を流していると...
小規模な伐採斜面を見かけました。

ちょっとだけ覗いて見たところ、やはりスダジイやタブノキが優占していました。





切り落とされているのは... タブノキと シロダモのようです。




今年の夏は、何だか やることが多そうですね。。



〜 後記 〜


以上、4日分 の備忘録となります。

今回は、照葉樹林の伐採地歩きが中心になりました。

採集した材や幼虫については
その後の結果も掲載できればと思います。



追記。

※アカネトラカミキリ、ホシベニカミキリ、トワダムモンメダカカミキリ、コジマヒゲナガコバネカミキリ
・・・などが徐々に羽脱しています。 詳細は本文中にとして記しています。




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